愛読書とプレイリストを通じて垣間見る、ロフトワーカーの脳内<書籍編>
11月に初開催となったDesign Scrambleに、ロフトワークも参加。クリエイティブ・ラウンジと題して、ロフトワーカーの脳内を覗き見していただくことを企画し、クリエイターや学生さんなど、参加者の方々ををお迎えしました。今回は、このイベントに出展された、ロフトワーカー選出による本と音楽の一部をご紹介します。
こちらでは、愛読書をご紹介しています。
ロフトワーカーの愛読書
社内には読書家が多く、面白い本、仕事に役立つ本などを貸し借りしたり、先輩から読むようにアドバイスを受けたり、といったことが日常茶飯事です。今回は、特に仕事に役立つもの、といった縛りは設けず、プライベートで何度も読む本、大げさに言えば、人生を変えてくれた本、といった愛読書を選出しました。
本には、オリジナルキャッチコピー、その本への思い入れ、そして各々のプロフィールを付記した特製の「しおり」を作成。「しおり」のコメントを通して、ロフトワーカー同士にとっても、ふだんの会話でなかなか知ることのない一面を知る機会になりました。
デザインについて考えたい時に読む本
時間のデザイン: 16のキーワードで読み解く時間と空間の可視化
ロゼッタストーンや錦絵から、杉浦康平、コールハースのダイアグラムまで、可視化された「時間」のイメージを16のキーワードに沿って採集。また、第一線で活躍するデザイナーらの、「時間」に向き合うデザインを紹介。「時間」を探求する、濃密な一冊。
(「BOOK」データベースより)
時間のデザイン: 16のキーワードで読み解く時間と空間の可視化/
早稲田大学渡辺仁史研究室時間‐空間研究会
「建築について学べない建築の本」
建築や都市を時間と捉えた時、どのようなデザインの可能性があるのか。妄想が捗ります。思考停止した時に、「ちょっと助けて」と開きたくなる本。
読んだきっかけ:
ふらっと立ち寄った本屋(場所は忘れた)で目に入った本。何も目的無く本屋に行くことがしばしばあるが、そういう時に表紙にあるキーワードが気になって、直感的に出会った本は大事にしたいと思っている。
Information is Beautiful
新版のために、大幅に改訂された素晴らしいインフォグラフィクスとデータの可視化により、この世界が本当の意味でどんな風に動いているのか導いてくれる。
我々の日常は、電話、TV、 PC、新聞など、情報が氾濫している。このInformation is Beautiful 新版は、20以上のアップデートと新しいイメージが改訂されている。事実の関係性、コンテクストをそれぞれのつながりとともに混ぜ合わせ、データを可視化する事によってその情報の洪水から我々を守ってくれるシェルターとも言える。ページをめくるのも楽しいが、熟読するには十分なほど魅力があり、今までに見たことも内容な世界にあなたを誘うだろう。
(Amazon.co.uk意訳)
「世界は広くて、面白い」
時間があいたり、ちょっと元気がないときに、パラパラめくってしまう楽しい本。すべての編集された情報は「物語」を語るが、「データ」と「関係性」という役者を使って、世界の見方をポップに語りかけてくれます。カフェラテとカプチーノの違いも、このインフォグラフィックで一目瞭然です!
読んだきっかけ:
海外のデザインサイトで推薦されていた本。こんなふうに、アイデアひとつで見方が変わるのが好き。
東京R計画 RE‐MAPPING TOKYO
CET(Central East Tokyo)とは、かつて東京の中心部であった地域を、デザインやアートの観点から、再発見=創造するための運動体。本書は、CETのガイドブックであり、新しいタイプの情報誌であり、現代都市を読み解くためのマニュアルであり、認識方法のカタログである。いまここで、何が起ころうとしているのか、それを記録し、ノウハウ化していくテキストブックである。都市を見直し、都市を創り出していくということ。それがRE‐MAPPING TOKYO。
(「BOOK」データベースより)
「街を創るためのバイブル」
活動の軌跡を通じ、現代都市を読み解くためのマニュアルのような一冊。10年以上前に出た本だが、今でも参考になることばかり。街に関わる仕事をするにおすすめです。
読んだきっかけ:
大学のゼミ室。建築を学んでいて、行き詰りを感じた時に視点を大きく広げてくれた。この本との出会いが、今の仕事に繋がっていると思う。
まなざしのデザイン
『まなざしのデザイン』というタイトルの本書で考えてみたいことは、モノの見方を変える方法である。当たり前の世界を改めて見直し、今見ている風景を違った角度から眺める。見方が自由になれば、私たちはより創造的になることができる。そして何かに捉われることが少なくなれば、物事がより正しく見えてくる。またモノの見方を変えることは、状況が困難であればあるほど必要なことである。私たちは日々の生活の中ですぐに何かに捉われてしまう。モノの見方が固定されてしまうと自由さを失い、物事が正しく見えないことがある。だから私たちは時々視点を変えて異なる方法で世界を見ることが必要である。そうするとこれまで見えなかった風景や、忘れていた大切なことが見えてくるかもしれない。そんなモノの見方を解放するための方法と可能性を探ることが本書の目的である。
(「BOOK」データベースより)
「あなたがまだ知らない世界の捉え方」
自分の「まなざし」が変わると「世界」はまるで違ったように見える。筆者はWSやアート活動を通してそれを体現し続けてきた。風景という分かりやすい事象を通して体系的に解説されている。
読んだきっかけ:
「まなざし」という言葉に惹かれて。
選者:小檜山 諒
頭を柔らかくしたい時に読む本
まばたきとはばたき
「読書と旅は似ているかもしれない」
鈴木康広さんの視点で世界を眺めてみたいと、つくづく思います。その夢が少しだけ叶う本。
読んだきっかけ:
何かをつくることについて何も分からなかった頃に、友達にお勧めしてもらいました。分かったつもりのものが分からなくなることに、魅力を感じるようになりました。
A More Beautiful Question: The Power of Inquiry to Spark Breakthrough Ideas
ハーバード・ビジネス・レビューが300のもっともクリエイティブかつ成功しているビジネス・エグゼクティブを観察し、数々の共通する傾向や特徴を発見したが、もっとも目立っていたのは、彼らは「問う」ことに長けている、という事実である。必須ではないにしろ、良い「問い」は、発明の母である。世界をリードするイノベーター、発明家、起業家、クリエイティブ業界人は、とにかく質問がうまい。ブレークスルーと言える発明、スタートアップ、強固な問題に対するラジカルな解決方法はなど、彼らの素晴らしい成功の数々は、行き着くところ、「問い」とその回答の連続と言える。著者は、どのような「問い」が素晴らしいのかを決定づけるため、そのような革新的な質問者たちをよく捉えている。インターネットラジオサービスPandoraにつながった、「音楽DNAのマッピング化」プロジェクトを試みたTim Westegrenや、落ち着きのない生徒のために、高い座席の学習デスクを発明したAbby Brownなどが登場する。よりよい問いは、プロフェッショナルであろうと個人的なものであろうと、問題を浮き上がらせ、ビジネスや学校、政府、我々の生活の仕方そのものを若返らせる。全ては、正しい問いを投げかけることから始まる。
(Amazon.co.jpより意訳)
A More Beautiful Question: The Power of Inquiry to Spark Breakthrough Ideas/Warren Berger
「何気ない日常に、クリエイティブなQを抱くヒントを。」
検索技術やAIの進化に伴って、単純な知識の価値はどんどん下落していく。今でもGoogleに問いを投げればだいたいの事は返ってくる。一方で、適切な解を得るための問いはどうか。どうしたら「美しい問い」を立てることができるのか。当たり前を再定義し、新たな価値を創造するヒントがこの本には溢れている。
読んだきっかけ:
Haravard Business Reviewでブレストに変わる、クエスチョンストーミングの手法を紹介してたのが、Warrenだった。
選者:加藤 翼
観察の練習
アイデアの種は、あなたの日常の「小さな違和感」に隠れている――
“「見落としていたものに気づく」ということ自体は、何に着目すべきかという問題設定が適切にされていれば、誰でもできるはずなのだ。
その上で、「良い」気づきを得るために「観察の練習」が必要になってくるのだ。観察による気づきは技術だと捉え、何に着目するかを意識しながら、何度も何度もやってみる。当然、技術というからには後天的に学習が可能だし、慣れれば慣れるほど上手くなっていく。”(本書「おわりに」より)
駅やオフィス、街や家の中で出くわす、小さな違和感。あるいは、市井の人々が生み出すささやかな工夫や発明のようなもの。著者が日々収集し続けている数多の「観察」の事例を読み解く思考の追体験をしていくことで、読み手にもアイデアの種を与えてくれる。
過去の膨大な量のリサーチの中から50あまりの「観察」の成果を厳選し、テキストはまるごと書き下ろし。著者のこれまでの人気連載コラム「AA’=BB’」(modernfart)、「まなざし」(DOTPLACE)を愛読していた方も必読の、初の単著にして決定版的な一冊。
(Amazon.co.jpより)
「つまらない毎日がちょっとだけ楽しくなる本」
面白い発想はどこからやってくるの?と、あるクリエイターに聞いたときに、「毎日の暮らしの中から」と言われたことを思い出す。毎日見ているものに実はいろんなヒントが隠れていて、それに気づけるようになると、退屈な徒歩での移動がちょっと楽しくなりました。ちなみに著者のTwitterもおすすめです。
読んだきっかけ:
著者のTwitterから
選者:伊藤 望
「ない仕事」の作り方
世の中を変えちゃう「変なこだわり」
みうらじゅんさんの狂気的な収集癖のことが延々書かれています。誰も気に止めない「ちょっとだけ変なこと」を集めて、誰でも楽しめるコンテンツにしてしまう。よくわからない事を皆がクスっと笑える程度のユルさで発信するのがとにかく上手い。ちょっと変わったこだわりを持っている人に読んでほしい。
本を読んだきっかけ:
自分の美術作家としての特性を活かした働き方を模索していた時に入った古本屋で。装丁がキラキラしているせいか光って見えたので手に取った。
選者:小島 和人 ハモニズム
眺めるだけでも面白い、インスピレーションにしたい本
リトル・ニモの大冒険
ニモ少年と仲間たちが、夢の国で大あばれ!
1905年からアメリカの新聞連載で人気を集め、現在も多くのクリエーターに影響を与えている 『リトル・ニモ』。
毎回、夢の国に招かれたニモは、火星人やピエロ、怪物たちと奇想天外な冒険をくり広げます。
楽しいファンタジー・コミックの傑作を、新訳による美しい印刷でお届けします。
(Amazon.co.jpより)
「ベタな展開も見せ方次第。ものづくりが好きな人におすすめの1冊」
1900年代初期にアメリカで新聞連載されていたマンガ。主人公ニモが様々な登場人物に出会い大冒険する話ですが、特徴的なのは全てのオチが「夢オチ」だということ。「夢オチ」はどちらかというとネガティブに捉えられがちですが、この物語では新たな物語を始めるための重要なファクターとして機能します。
読んだきっかけ:
バンド・デシネなど海外のマンガを買い集めてたときにその流れで知った一冊。物語も面白いんですが、絵柄の描き込み具合がとにかく好きです。
When Attitudes Becomes Form
歴史の再構築に関する大胆な試みとして、キュレーターのジェルマノ・セラン(Germano Celant)が、トーマス・デマンド(Thomas Demand)とレム・コールハース(Rem Koolhaas)との対話を通して、1969年にクンストハレ・ベルンにてハラルド・ゼーマン(Harald Szeemann)のキュレーションで開催した、Live in Your Head: When Attitudes Become Formと題した革新的な展覧会を再現し、2013年6月から11月までヴェニスのCa’Corner della Reginaにて開催。ゼーマンに夜展覧会は、クンストハレ・ベルンとの対話であり、セランのバージョンは、Ca’Corner della Rreginaとの対話しながら作品を展示することでその精神が再現された。この本は、3つのパートに別れており、1つはオリジナルの展覧会のフォト・ドキュメント、2つ目はセランのプロジェクトのインタビューやエッセイ、3つ目はヴェネツィアで行われた再現展覧会についてである。この本は、両方の展覧会の作品を含む記録である。
(Amazon.co.jpより意訳)
「過去と現在の境界線」
キュレーターの父と称されるハラルド・ゼーマンが1969年に開催した企画展「WHEN ATTITUDES BECOME FORM(態度が形になるとき)」。伝説の中に存在するこの展覧会が、2013年に完全復刻。作品も作家もそのままに。過去と現在がどこまで再現可能かを考えるための衝撃的な展示です。
読んだきっかけ:
2013年に復刻展示されると聞き、慌てて身支度してヴェネチアに飛びました。あまりに感動したので、衝動的に購入しました。
じっくり味わいたい小説
菜の花の沖
突然の災厄が、嘉兵衛を襲った。彼自身がロシア船に囚われ、遠くカムチャッカに拉致されたのだ。だが彼はこの苦境の下で、国政にいささかの責任もない立場ながらもつれにもつれたロシアと日本の関係を独力で改善しようと、深く決意したのである、たとえどんな難関が待ち受けていようとも…。感動の完結篇。
(「BOOK」データベースより)
「キミは、キミの船を手にしたか?時代を生きてるか?」
廻船業で函館の発展に貢献し、私財で公共事業も行った高田屋嘉兵衞の一生涯をダイナミックに描いた歴史小説。船に魅せられた青年が船乗りとして活躍し、自らの船を手に入れ、創意工夫をもって時代の荒波の中を生き抜いた。私自身の転機に「この出来事は、嘉兵衞ならどの成長局面だったか?」と自問自答して読み返している。
読んだきっかけ:
浪人生時代に祖父が全6巻を贈ってくれた。その意図は聞いてないが、進路に迷っていた私に向けた祖父流のアドバイスだったのではと思う。
その年の冬
京都の茶道家元の妻・直子と、中世芸能史家で劇作家の深津荒太。その運命的な出会いを飾ったのは、清楚な冬の花・水仙の花束だった。箱根湯本の雑木林の中で始まる2人の純粋な愛の日々。真の大人の愛を主題に、死の気配を身近に感じつつ完成に心血を注ぎ、ついに絶筆となった、立原文学最後の華麗な世界。
(Amazon.co.jpより)
「美しいとは・美味しいとは・確かさとは」
立原正秋という知る人ぞ知る流行作家の恋愛小説は、センスとはなにかを死ぬほど教えてくれた一冊。ものの「確かさ」とはなにか。風土があるから美しく、そして美味しいと感じられる。目の前にあるのに気づけないもの。風、音、匂い、感覚を研ぎ澄まして日々を生きていたいと思える一冊です。
読んだきっかけ:
母親の本棚から勝手に本を持ち出していた自分に、たまたま手渡しで貸してくれた一冊。山下達郎、カーペンターズ、オードリー・ヘップバーンを教えてくれた母なので疑うことなく夢中で読みました。
はたらきたくないイタチと言葉がわかるロボット
なぜAIは、囲碁に勝てるのに、簡単な文がわからないの?なんでも言うことを聞いてくれるロボットを作ることにした、怠け者のイタチたち。ところが、どのロボットも「言葉の意味」を理解していないようで―
(「BOOK」データベースより)
「ユーモラスな絵本とテクノロジーをかけ合わせたような一冊」
「働きたくないから」と、言葉がわかるロボットを作ろうとするイタチたち。様々な動物たちが作る同様のロボットを参考にしていく過程で、「言葉を理解する」ことの困難さに対面する。ユーモアたっぷりの物語を通して、人工知能についての知識と言語を理解する奥深さを知る一冊。版画作家による挿絵も可愛く、アイロニカルに物語を引き立てている。
読んだきっかけ:
人工知能に関する知識を小説を通して得られるという点で興味があったのですが、読んだらアイロニーとユーモアが詰まっていて引き込まれました。
選者:伊藤 友美
いかがだったでしょうか?今回、本については自由に選出してもらったので、その人の好みが現れていると思います。時に、会話よりもその人の好きなものや、描いたものなど、言語以外のものからその人らしさを理解する、ということはありませんか?社内でのコミュニケーション手段として、気軽に本や音楽を見せ合うような場を作るのも一つかもしれません。
このイベントをきっかけにロフトワークを知った方、こんな人たちと働いてみたい!と思った方は、ぜひ採用ページを覗いてみてください。
Next Contents