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二本栁 友彦, 皆川 凌大, 関井 遼平, 松田 絵里 2023.03.30

地域の未来になにが有効か?
プロジェクトを通して紐解く手法「AWRD」について

地方創生、商品開発、サーキュラーエコノミー……。地域、企業で挑む課題は尽きることはありません。しかし、そこから目をそらすのではなく、複雑な課題の解決に向けて、クリエイティブの力でオープンにみんなでアイデアを出し合うサービスが、ロフトワークが運営する「AWRD(アワード)」です。
今回、地域プロジェクト専門ユニット「ゆえん」と「AWRD」ユニットによる初の対談が実現しました。

ゆえん」は、10年以上前から地域プロジェクトを担ってきた二本栁友彦が2022年に設立した地域に特化したユニットです。ロフトワークが持っている、ネットワーク、グローバル拠点、取り組めるテーマ領域の広さなどの資産をフル活用した地域の事業者を支える日本発・世界拠点の「インフラ」となるべく誕生しました。

AWRD」は、課題やテーマにクリエイティビティを掛け合わせることで、あたらしい価値の創造、活性、発信を生み出すエンジンとして、あらゆる領域でさまざまなプレイヤーを繋ぎながらさまざまなプロジェクトを展開しています。これまで手がけてきたプロジェクトは100件以上、14,000以上のアイデアを世界中から集め、選ばれたアイデアを社会へ実装するサポートを行っています。

ここでは、それぞれ異なるベクトルから、過去に開催した4つの地域プロジェクトを見つめ直し、「AWRD」と「ゆえん」で実現できる、これからの地域の未来について率直な意見を交わしました。

話した人

二本栁 友彦/株式会社ロフトワーク ゆえん ユニットリーダー
皆川 凌大/株式会社ロフトワーク ゆえん クリエイティブディレクター
関井 遼平/株式会社ロフトワーク AWRD プロダクトマネージャー
松田 絵里(通称:キャロル)/株式会社ロフトワーク AWRD 編集長・キュレーター

これまで開催した地域×AWRDプロジェクトを振り返る

松田絵里(以下、キャロル) 「AWRD」は、ロフトワークのさまざまなプロジェクトに関わっています。なかでも「ゆえん」を立ち上げた二本栁さんと皆川さんのお二人が担当するプロジェクトに関わることが多いことに気づいて、今回「地域×AWRD」のこれまでの取り組みと、これからどんなことに挑戦したいかについてお話できればと思っています。

まずはじめに、「ゆえん」について、どんなユニットなのか教えていただけますか?

二本栁 近年、地域の課題は複雑化し、さらには新型コロナウイルスの影響で様々な地域・企業が大きなダメージを受けました。「ゆえん」では、ロフトワークがもつ国内外のネットワークや多様なアプローチの経験を活かして、地域の皆さんと本気で稼いでいける関係性を生み出していきたいと思っています。

これまでロフトワークが培ってきた、デザイン経営導入支援、クリエイティブコラボレーション、地域ブランド醸成、地域プロモーション、マーケティング(グローバル進出支援など)を軸にして、地域が稼いでいくためのチャレンジをしていきます。

「ゆえん」のステートメント
「ゆえん」のステートメント

基幹産業とデザインの連結で都市の求心力を高める「HIROSHIMA DESIGN CHALLENGE」

広島県内の事業者が主体的に「デザイン」を活用し、クリエイターと共同で新たな製品やサービスの開発に挑戦する「HIROSHIMA DESIGN CHALLENGE 2021」
woonelf fense (ボンエルフ フェンス)
woonelf fense (ボンエルフ フェンス)
エントランスファニチャー sisui(しすい)
エントランスファニチャー sisui(しすい)
オンライン灯ろう流し ー灯ろうに込めるメッセージー
オンライン灯ろう流し ー灯ろうに込めるメッセージー
Porta
Porta

キャロル 「ゆえん」を立ち上げる前から地域の活動を軸にプロジェクトを展開している二本栁さんですが、特に印象に残っている「AWRD」を活用したプロジェクトがあれば教えてもらえますか?

二本栁 「AWRD」を活用したプロジェクトで印象に残っているのは、「HIROSHIMA DESIGN CHALLENGE 2021」ですね。僕自身は、プロジェクト最初期のブレストに関わっただけだったんですが、その後の展開を横からみていて本当に羨ましいなと思うプロジェクトでしたね。ロフトワークで展開していたこれまでのアワードは、モノに特化されたものが多いイメージでしたが、サービス開発などのコトにまで範囲を広げたアワードになっていました。そして、それが社会に実装されていく、アワードの可能性の広さを感じたのも印象的でしたね。

「HIROSHIMA DESIGN CHALLENGE 2021」は、イノベーション立県を掲げる広島県内の事業者が主体的に「デザイン」を活用し、クリエイターと共同で新たな製品やサービスの開発に挑戦する、プロジェクトです。広島県が主催となり、運営はロフトワーク、クリエイターからのアイデア募集のプラットフォームにはAWRDが採用されました。

プロジェクトでは、審査委員長にデザイナーの深澤直人、審査委員には建築家の谷尻誠と吉田愛(SUPPOSE DESIGN OFFICE)、編集者の柴田隆寛を迎え「街なかをピースにするデザイン」をテーマに、広島県内の事業者とタッグを組むデザインパートナーを募集。選ばれた県内事業者5組に対して、デザインアイデアは全国から107組、154作品が集まりました。

選ばれた事業者とクリエイターとともに約3ヶ月の開発期間を重ねて、5つのプロダクト・サービスが広島の街なかに実装されました。その取り組みや実装後のプロダクト・サービスなどは、メディアなどにも取り上げられるなど話題を呼びました。

>> HIROSHIMA DESIGN CHALLENGE について詳しくみる

関井遼平(以下、関井) 実際に、広島の街なかに具現化したプロダクトやサービスを実装したところもいいですよね。

二本栁 体験まで含めたデザインをしているから、本当に素敵だなと思ったんです。

関井 実際にクリエイターに参加してもらうときに、どうやって前のめりにプロジェクトに関わってもらえるかというところでいくつか設計をしたところがあります。審査委員に、日本を代表するプロダクトデザイナーの深澤直人さんをはじめ、谷尻誠さんと吉田愛さん(SUPPOSE DESIGN OFFICE)、編集者の柴田隆寛さんなど、建築と編集の分野の第一人者を招聘しました。

キャロルさんはアーティストとして活動もしていますが、クリエイターから見たときに、著名な審査委員の方々はモチベーションにつながりますか?

キャロル 参加するの視点から、プロダクトの世界でも権威のある、深澤さんなどの審査委員に評価・フィードバックをうけるのは非常にモチベーションになると思います。

二本栁 ただ有名な方が審査してくれるから応募しよう、というよりは、自分が評価して欲しい業界やジャンルにおいて信頼できる方や憧れの方が審査してくれるというのがパシッとはまると、応募のモチベーションにつながるのではないかと思います。

アワードの良さって、参加者の自分の想いであったり、つくったものをプロの視点で評価してもらえるチャンスを提供してくれることでもあります。普段、そのような方々との接点を生み出すのは難しいので、そういった機会をつくれるプラットフォームがあるのはすごくいいと思います。

関井 コロナ禍ではあったものの、審査会もリアルで集まっていただき、一つひとつのエントリー作品を確認してから評価していくプロセスで進めていきました。
審査のプロセスや選出方法もオープンにし、かつ、受賞者に向けたコメントが公表されることで、誰がどんな理由で選ばれたのかが見え、アワードのコミュニケーションとしての公平・公正さを体現していたのも設計のポイントでした。

二本栁 特に「HIROSHIMA DESIGN CHALLENGE 2021」は、表彰して終わりではなく、社会と接続させて実装するという点で、アワードというスキームのその先をつくれたんじゃないかなと思います。

地域発のオリジナルプロダクトで世界の市場を目指す「YAOYA PROJECT」

二本栁 ほかには、普段はものづくりの裏側を支えている事業者の技術を世界に届けるプロジェクト「YAOYA PROJECT」も素晴らしい取り組みだと思っています。

八尾市の企業と一緒に、世界を舞台に挑戦してくれるクリエイターを募集した「YAOYA PROJECT」
受賞アイディア:Silik Glass / Silik Wrap
受賞アイディア:Silik Glass / Silik Wrap
KINJO JAPAN E1
KINJO JAPAN E1

「YAOYA PROJECT」は、大阪府・八尾市のものづくりを世界に広めるためのプロジェクトとして2019年にスタートしました。
日本のものづくりを裏側から支え、あらゆる生活雑貨や工業製品を生み出してきた八尾の企業。その優れた技術を世界へ発信すべく製造業のリブランディングとして始動したのがこのプロジェクトです。

八尾市とロフトワークが主催し、AWRDのプラットフォームを活用して八尾市の8つの企業と共に世界を舞台に挑戦してくれるクリエイターを募集。初回の「YAOYA PROJECT」では、日本とも交流が深く、文化的にも親和性が高い台湾マーケットへの進出を目指し、八尾の事業者の技術や素材を活かしたプロダクトアイデアを募りました。

メンター・審査委員にトランクデザイン株式会社 堀内 康広、合同会社シーラカンス食堂小林 新也、Pinkoiのアカウントマネージャー李郁函を迎え「こころを豊かにするプロダクト」をテーマにデザインパートナーを募集、96作品が集まりました。

審査の後、選ばれたクリエイターは、事業者と共に台湾のフィールドリサーチを踏みプロトタイプを制作。製品は、台湾で展示会を行いマーケットインへの第一歩を踏み出しました。
なかでも、錦城護謨株式会社とシーラカンス食堂によるプロダクト「KINJO JAPAN E1」は、落としても割れないシリコーンロックグラスで長年培ってきた錦城護謨のノウハウを駆使しゴムの可能性を最大限に引き出したアイテムとして多くのメディアで取り上げられ話題に、現在は国内のインテリアショップなどでも展開されています。

>> YAOYA PROJECT について詳しくみる

関井 「YAOYA PROJECT」では、優れた技術を持ちながらも、その価値の言語化に距離ができてしまうといった課題感に対して3つのアプローチを行いました。

1つ目は、デザイン経営の手法を用いた実践です。自分たちの価値をどうやって言語化・具現化するのか、実際にデザイン経営の手法を使ってプロダクトを開発されているクリエイターをお呼びして勉強会を開催しました。

2つ目は、台湾でのフィールドリサーチです。台北市内の店舗や住居を実際に訪れて、現地の生活者からのインサイトを探りました。

3つ目は、事業者とクリエイターによってつくられたプロダクトを台湾で展示し、現地で手にとっていただいた方からのフィードバックを得て次の開発に繋げるというステップで進めていきました。

キャロル 技術をもってる人とクリエイターの柔軟なアイデアがコラボレーションすることで解像度があがり、より研ぎ澄まされたモノができ、実際にプロトタイプやプロダクトとしてアウトプットされたというところが、このプロジェクトの魅力だと思います。

関井 価値の言語化をする機会やデザイン経営をやる価値について、これまでの経験も含めて聞いてみたいのですが。

皆川 自分たちの持っている価値やものの魅せ方は、自分たちだけでは見つけられないと思うんですね。「YAOYA PROJECT」では、実際に事業者とクリエイターが一緒に台湾に行ってユーザーの声を聞いたり、それを踏まえてプロダクトに反映したりと、デザイナーの視点とユーザーの視点の二つを掛け合わせながら製品のアイデアを練ったことが、とてもいい経験になったのではと思います。

関井 このプロジェクトで生まれた、錦城護謨株式会社とシーラカンス食堂によるプロダクト「KINJO JAPAN E1」は、シリコーンという柔らかなゴム製品の加工技術にたけた事業者との共創で生まれました。この製品が、クラウドファウンディングで大ヒットしましたね。

クリエイターと共にものづくりに入る過程のなかで、シリコーンを加工する技術や透明度の上がり方などは、クリエイターだけでは生み出せなくて、事業者の持っている技術があることでプロダクトの良さが際立つということを教えてくれた象徴的なプロダクトです。

ジャパンブランドに情熱を傾ける人々が一堂に会する、出会いと交流の場「JAPAN BRAND FESTIVAL」

キャロル「ゆえん」の活動にフォーカスすると、事務局として関わっている、JAPAN BRANDの未来を担う挑戦者と支援者が国内外から集う「JAPAN BRAND FESTIVAL」でAWRDを利用してましたよね。

日本発の地域産業の支援活動を支援する「JAPAN BRAND FESTIVAL」

「JAPAN BRAND FESTIVAL」は、組織や立場を超えて人をつなぎ、それぞれのチャレンジを発展させるためのプラットフォームです。

国内外で日本人が生み出す素晴らしい技術と思いが込められたプロダクトやサービス、それら全てがJAPAN BRANDととらえ、組織や所属を超えて、イベントや展示会、商談会などのリアルなコミュニケーション、Webサイトでの情報発信など、あらゆる拠点と連携、活用し、新たな可能性を生み出すし発展させるためのプラットホームを築いて行くことを目指しています。

>> JAPAN BRAND FESTIVAL について詳しくみる

キャロル 「AWRD」では、展示会への出展者募集に活用いただきましたが、例えば、イベントに人を集めにくいという課題を、AWRDのオンラインネットワークによって解決することができるんじゃないかと考えています。AWRDならグローバル展開もでき、いろいろなプロジェクトと絡めて上手く展開できるのではないかな?と可能性を感じています。

二本栁 実は、まだ内緒なんですが、グローバルを巻き込んだアワードの構想も持っています。

二本栁 「AWRD」のサービスは、表彰して終わりという、期間完結型のプロジェクトには止まらず、コミュニティ形成の軸にも出来ると考えています。プロジェクトの先にある未来を生み出すために、クラウドファンディングとか、販路開拓の見本市との接続といった、さまざまな仕組みとの連携や、テーマを設定したコミュニティ形成にも向いていると感じていて、地域コミュニティは最適なパートナーになり得ると思っています。

あとは、アワード・コンペティションという、だれでもピンと来る分かりやすさのある仕組みを実装できるのも利点だと思っています。

関井 それに、オープンですよね。

二本栁 そう!オープンでありフラットな環境をつくれる。これって先述したとおり、すごく地域と相性が良い仕組みなんじゃないかなと。

キャロル なるほど、地域のプロジェクトの多くは自治体や行政が主催していますし、アワードの公平・公正な選出プロセスは相性が良いですね。

二本栁 審査員も第一線の方々をアサインできれば、その人に表彰されたい、勝負したいとなってくる。
うまく浸透できれば、その地域に対しての柱の1個になっていく可能性があると思っています。それらの実績を重ねていけたら「AWRD」の仕組みって本当に全国の自治体や挑戦したい皆さんが、使いたいプラットフォームとして認知してもらえるのではないかと、思っています。

貸し借りから生まれるコミュニケーション型レンタルストア「47 RENTAL STORE」

二本栁 ほかには、「47 RENTAL STORE」を例にすると、このプロジェクトに「AWRD」に入ってもらってアワードをつくり、アクセラレーション、展示、イベントなどのコミュニティのプラットフォームをつくるのはどうかと思っています。そうすると、これがどんどん全国に広がっていくみたいなこともできる。これは「ゆえん」と「AWRD」でできることですよね。

「レンタルから生まれるコミュニケーション」をテーマにすえた企画展「47 RENTAL STORE」

「47 RENTAL STORE」は「レンタルから生まれるコミュニケーション」をテーマにした企画展。
「さらに一歩前に進みたい」という製品・サービスを3ヶ月という長いスパンの中で、d47 MUSEUMで展示し、使い手(ユーザー)やものづくりに関わる人々(専門家)とのコミュニケーションを通して、つくり手が自らの力で成長し、次のステップへ進んでいくことを目指したプロジェクトです。

47都道府県の“もの”や“サービス”をレンタルし、商品を体感し購入することが可能です。レンタルのみでも、その感想をつくり手に届けることができます。つくり手である出展者は、その声から新たな可能性や改善点の発見へとつながる、生きたフィードバックを得ることができます。この企画展が、使い手とつくり手の新たな関係性を生み出し、一緒に成長していくきっかけなることを目指し開催されました。

「AWRD」は、イベント告知・出展者募集のPRツールとしてプラットフォームを活用されたことを契機に、次のステップとして、アワードとしてのプラットフォーム活用を模索している。

>> 47 RENTAL STORE ついて詳しくみる

キャロル 地域の人にも「47 RENTAL STORE」のように、フィードバックをもとに自らが成長していく仕組みを入れながら、オープンなプラットフォームでアウトプットも一緒に出し、継続して開催していけたらいいですね。

二本栁 いずれは、クラウドファンディングと絡めてそこから生まれたプロダクトを売り出していくこともできます。

そして「HIROSHIMA DESIGN CHALLENGE 2021」のように街に実装されるフェーズになったら、なおいいですよね。そこに異なる海外の審査員を入れることで、その価値を世界にひらいていくように発信していきたい。

関井 グローバルに流通させることもできますね。ロフトワークは、世界中に拠点を持つクリエイティブコミュニティ「FabCafe」のネットワークも持っているので、連携して展示などもグローバルにできるといいですよね。

二本栁 いいね、巡回展にして日本のモノであったり、日本で起こってるコトとかを知ってもらうきっかけになっていったら、それが起点になって観光に繋がったり、もしかしたら観光協会ともタッグが組めるかもしれない。

「AWRD」は様々なプロジェクトと組めるのが魅力でもあるので、どんどん仕掛けていってほしいです。

地域発、グローバルへ。「ゆえん」と「AWRD」の挑戦

関井 これからの「ゆえん」の活動と「AWRD」をどう組み合わせると面白いものができそうかと考えています。

キャロル 「HIROSHIMA DESIGN CHALLENGE 2021」も「YAOYA PROJECT」もそうでしたが、参加してくれるクリエイターのみなさんに、きちんと価値を還元しないといけないっておっしゃってましたよね。

二本栁 これは、アワードを企画・運営する側の責任として必ずやらなければいけないこと。クリエイターから、プロフェッショナルとしての価値のあるアウトプットを提供してもらうわけだから、やっぱりきちんと対価とその後の仕事を生み出せるプラットフォームになるといいな、と思っています。

企業や行政からも「AWRD」というプラットフォームに価値を感じてもらって、さまざまなプロジェクトが走っているようにしたいですね。そのためにも「ゆえん」と「AWRD」が一緒に企業や行政の人たちに喜んでもらえるスキームを一緒に提供して、クリエイターたちと共創できる場をつくっていきましょう。

キャロル いいですね!それにクリエイターも東京1点で働いているわけじゃなく、地元に戻って地域を盛り上げている方もいる。そういう方にも参加いただけるといいですね。

二本栁 例えば、総務省がやっている地域おこし協力隊の地域でコンテンツをつくらなければとならないというミッションがあるなかで、地域に還元できるアワードを総務省に提案するのもいいかもしれないですよね。

キャロル 「ゆえん」はさらにグローバルにも活動の幅を広げていますよね。

二本栁 日本は海外に向けて、歴史的な価値を打ち出すことによって発展してきた面もありますが、それだけに依存するのではなく、新しい価値を作り出していかなくちゃいけないと思っています。

本気で売りに行くんだったら本気で売りに行くための戦略作りからやっていかないと。もっと社会のことを知ろう、もっと自分たちの価値を知って物を売りに行くことに特化していかないと、海外の人たちからも選ばれない。そのためにも企業のブランド価値をより高めていく必要があり、そこでもデザイン経営に取り組む意味があると考えています。

キャロル プロジェクトに参加・受賞して表彰されて終わりでなく、参加していただいたクリエイターやプロジェクトの、その後の活動や、展開もフィーチャーしていきたいですね。

あとは「YAOYA PROJECT」や「HIROSHIMA DESIGN CHALLENGE 2021」のような素晴らしいプロジェクトがあるので、「AWRD」を起点に企業や地域へ発信していくと「AWRD」というサービスも分かりやすくなるのかなと感じました。

関井 プロジェクトの魅力度をさらに高めてくれるような、現在進行形で活躍されていらっしゃる方を審査員に招き、参加者にとっても、審査されること自体に意味があるようなプロセスを加える。そうすることで参加クリエイターにとってもプラスになるし、主催する地域やオーナー側にとっても新たなネットワークが生まれるメリットができる。相乗効果が生まれる仕組みだと「ゆえん」のお二人と話をしていて改めて感じました。

本当にシンプルに、アワードを使ったプロジェクトをしっかり設計し、そこで生まれる価値を「AWRD」としてどう発信するかは、より一層こだわりながらやっていかないといけないですね。

二本栁 今後は「AWRD」を主語として1年に1回でもプロジェクトを立ち上げるのもいいですね。ロフトワークのクリエイティブディビジョンと組んで「AWRD」を使ったチャレンジをしてもらうと、どんどん広がりそう。ロフトワークには異能がいっぱいいるので(笑)。

関井 そうですね!ぜひ地方自治体のみなさまも「AWRD」に少しでも関心を持っていただけたら、ご相談でも構わないのでご連絡いただけると嬉しいです。

ゆえんについて

事業者を支える、日本発・世界拠点の「インフラ」をつくりたい
2009年から始まったロフトワークの地域での活動を経て、2022年10月、事業者を支える日本発・世界拠点の「インフラ」を目指すユニット「ゆえんユニット」が立ち上がりました。近年、地域の課題は複雑化し、さらには新型コロナウイルスの影響で様々な地域・企業が大きなダメージを受けました。ロフトワークがもつ国内外のネットワークや多様なアプローチの経験を活かして、地域の皆さんと本気で稼いでいける関係性を生み出していくことを目指していきます。

AWRDについて

複雑化する社会課題をオープンにみんなで解決
「AWRD(アワード)」は、それぞれの人が持つクリエイティビティやアイデアと、世界中のプロジェクトをつなぐプラットフォームです。プロダクトデザイン、テクノロジーやアート、社会課題解決のアイデアまで、多彩なプロジェクトを通じて、あなたが活躍する場を提供します。

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