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服部 木綿子(もめ) 2021.01.04

偶発的な出会いと、プロジェクトマネジメントの掛け合わせ。
COUNTER POINTで起こっていること。

一人一人の偏愛と衝動が、姿を現す3ヶ月間。

皆さん、あけましておめでとうございます〜!COUNTER POINT第1期8組の活動も、終盤フェーズ。さらに、第2期として4組が活動を開始しました。開始から2ヶ月が経過し、FabCafe Kyotoで何が起こっているのか?コミュニティマネージャーとして各プロジェクトを見守る服部が、現場よりレポートします!

まずは、COUNTER POINT第1期プロジェクトの顔ぶれを復習

偏愛と衝動に突き動かされた第1期メンバー8組が決定

Fabツールを駆使して、チロルチョコのパッケージ回収箱、「チ層」が完成。

偏愛と狂気を体現するのは、「チロルチョコの成れの果て」のチロリストちあ吉さん。愛するチロルチョコのパッケージでモザイクアートを作り、ギネスに挑戦。ちあ吉さんがこれまでの人生で集めてきていたパッケージも相当な数にのぼりますが、さらなる高みを目指すために、FabCafe Kyotoがお手伝い。カフェメニューをご注文いただいた方にチロルチョコを1つサービスする企画です。そのパッケージを回収するのがチロルチョコのパッケージで層を作る「チ層」。レーザーカッターとUVプリンタを使用して制作したそうです。ちなみに、Fabつながりで言うと、第2期として活動をスタートしている「ART SHISHA」の豊田さんは、FabCafe Tokyoのスタッフだったこともあり、Fabツールを駆使して、シーシャのプロトタイプの制作を始めています。

1/18までFabCafe Kyotoでメニューを注文した方に、チロルチョコをプレゼント。食べ終わったパッケージをレジ横のチ層にどうぞ。一緒にギネス記録に挑戦しましょう!

コミュニケーションはDiscordでオープンに。オンライン会合でお悩み相談。

COUNTER POINTのメンバーは、Discordというコミュニケーションツールを利用し、プロジェクトを越えたオープンなコミュニケーションを行っています。先日、チロリストちあ吉さんがUVプリンタを使用した後、私(コミュニティマネージャー服部)がCOUNTER POINTの入居者用ネームプレート制作のためにUV プリンタを使用しました。設定に苦戦し、ちあ吉さんに向けて「うまく出来ない!さっきどうやりました?」と、弱音をDiscordに投稿したところ、それに気づいた「ART SHISHA」の豊田さんが助け舟を出してくれたことで、一気に問題解決するということが起こりました。

まさに「神降臨!」と思った瞬間。コミュニケーションをオープンにすることで、COUNTER POINT内の自治が生まれてくることを密かに期待しています。

COUNTER POINTでは、3ヶ月のレジデンス期間の半分は、次の期のプロジェクトと重なるようにしています。まさに今、1期の8組と2期の4組を合わせた12組が合流し、カオスな空間はよりカオスになっているわけですが、COUNTER POINTが目指す「メンバーの好奇心が相互に作用し合う、衝動のエコシステム」の気配を感じています。

3ヶ月で54人と対談するアフリ観ラジオ。他プロジェクトメンバーも続々出演。

プロジェクト間の交流を目的に、月に1度のペースで、同期の集いも実施しています(現在はオンラインで実施)。プロジェクトの進捗を共有し合ったり、時には悩みを吐露したり。
同期の集いで、ユーザーが工芸家と共創するプラットフォームづくりを目指す「Re:Craft」の岩田さんが、「ユーザーからの反応が思ったより少ない」という課題と共に、プロジェクトに対する想いを告白しました。その言葉には熱があり、参加していた全員から好反応。岩田さんの熱を乗せた声そのものがユーザーに届けば良いのでは?という意見があがりました。一方で、声そのものを届ける「アフリ観ラジオ」を実施中の「となり」が、3ヶ月で54人との対談達成のため、対談相手を募集しているところでした。しかも岩田さんは「僕、『アフリカ力(りょく)』って、すごくいいなと思って聴いているんです」とリスナーであることを告白し、あれよあれよとマッチング成立。岩田さんがアフリ観ラジオに出演し、「となり」の奥さんと壁打ちを行いました。(他のプロジェクトメンバーもゲスト出演しているラジオのアーカイブはこちらから→Oku Yusaiのアフリ観ラジオ

アフリカに根付く多様な価値観「アフリカ力(りょく)」について、様々なバックグラウンドの人たちと、アフリカの食を囲みながら雑談を繰り広げるラジオ番組、「アフリ観ラジオ」。アフリカ大陸の国の数(※日本の外務省談)54に合わせて、対談人数は54人と、毎回異なるアフリカの食を提供を目標にオンエア中。対談相手は、僧侶、タクシードライバー、女将、落語家、美術家、八百屋など超多様。COUTER POINT1期生はもちろんのこと、2期のメンバーも早速出演。2ヶ月で40人近くとの配信が終了。
岩田さんのラジオを簡単にまとめる

あっちもこっちも、焚き火ブーム。漫画も脳波も百人一首も…。

そんなこんなで、プロジェクトを越えた繋がりが生まれているのがCOUNTER POINTの特徴です。「焚き火のはじめ方を漫画にしてみました〜」と言って、SNSに漫画をどんどんアップロードしているのは第1期プロジェクト「突撃!昨日の前世さん」のみかんありささん。同じく第1期「焚き火LAB」が開催した都市の河原での焚き火に参加して以来、焚き火LABのイベントでトーク内容をグラレコしたりと、もはや「焚き火LAB」の一員。
「脳波で音楽を奏でる」の安藤さんは、自身が経営する会社のチームメンバーと焚き火を実践し、チームビルディングに役立てたそうです。「流転の花」のedalab.前田さんは、百人一首が好きらしく、「焚き火LAB」にふさわしい一句を紹介してくれました。(焚き火LABが開催したイベントレポートはこちら→焚き火を哲学してみたら…?現代の都市にこそ、焚き火が必要だ!

COUNTER POINT1期メンバーと、運営チームで淀川(大阪)の河川敷で焚き火。レジデンス中に、京都の街で焚き火ができる場所を開拓できるのか…?情報求ム!
突然、Discordで「焚き火に合う一句」を選んで投稿した「流転の花」前田さん。

前世やインナーチャイルド、変化する植物の撮影、動き回るロボット、脳波が鳴らす音。

もちろん皆さん自分の活動も当然怠りません。「突撃!昨日の前世さん」は、「昨日の晩ご飯を思い出すように、前世を思い出させるお手伝い」を1.5ヶ月で23人の前世と向き合ってきたとか。(詳しくはみかんちゃんのSNSで!)

前世を誘導した結果、現世が見えたり、インナーチャイルドが見えたり様々だそう…。現世が見えなかった人には、もう一度実践して、次は前世にたどり着くかの実験をしていくそう。

「流転の花」は、写真集の完成に向けて、頻繁にFabCafe Kyotoに滞在して、粛々と撮影を続けています。「エッグパーティー」は、FabCafe Kyotoで展示とトークイベントを実施し、ローンチしたテレプレゼンスアバターロボットの公開実験の場として利用されました。
(トークイベントのレポートはこちら→「便利だけがテクノロジーの使命じゃない。人間のわたしたちができること。」)
「脳波で音を奏でる」は、これまでFabCafe Kyotoのスタッフなどの脳波の測定をし、実際に音を鳴らすデモンストレーションを行ってきました。11/13 ( 水 ) ~ 1/15 ( 金 ) の 3 日間(12:00 ~ 20:00)は、FabCafe Kyotoに来られたお客さまの脳波データを集めるために滞在します。最終的にどんな演奏が聴けるか楽しみです!

「流転の花」の前田さん。「それ何の花っすか?」と話しかけると、いつでも丁寧に教えてくれるので、ぜひ気軽に話しかけてみて。
「エッグパーティー」によるテレプレゼンスアバターロボットがFabCafe Kyotoをハック!小さな男の子がロボットに夢中になる姿が素敵でした。

3ヶ月の期間限定だからこそ、計画を立て、形にできる。

レジデンス期間である3ヶ月は、プロジェクトを企画して達成するには短いかもしれません。応募時点で何より重要なのは、「衝動」。もちろん計画を立てる必要がありますが、ゴールと、そこへ向かう衝動があれば、形にすることはきっと出来ます。計画達成のためのマイルストーンを置いたり、FabCafeスペース活用方法を提案したり、掛け合わせると面白い人やプロジェクトを紹介したりするなど、プロジェクトで成果を出すために、COUNTER POINTの運営チームがプロジェクトマネジメントのサポートを行います。第1期メンバーからは、「期限を決めて、オープンに宣言して活動することで、自分だけではきっとやりきれなかっただろうことが形になっていって、参加して良かった」との声も。
3ヶ月の締めくくりには、「COUNTER Session」と題し、成果をプレゼンし、全員でトークセッションを行うイベントが待っています。第1期メンバーの「COUNTER Session」は1/29(金)の夕方〜。FabCafe Kyotoのサイトをチェックしていてくださいね!

この記事を読んで、傍観者じゃいられなくなったあなた、ぜひ、COUNTER POINTにご応募を!

服部 木綿子(もめ)

Author服部 木綿子(もめ)(クリエイティブディレクター)

神戸生まれ神戸育ち。岡山で農林業や狩猟がすぐそばにある田舎暮らしを約10年に渡り経験。その中で2軒の遊休施設をゲストハウス(岡山県西粟倉村/香川県豊島)として再生し、自らも運営の第一線に立った。その後、神戸の農産物などを販売するショップで、マネージャーとして店舗の運営に携るなど、ローカルのコミュニティ拠点づくりに関わってきた。プロジェクトを通じて出会ったクライアントやクリエイター、ロフトワークのメンバーが、一個人として楽しく、持っている能力をシェアし合える「ええ空気」なプロジェクト設計が得意。社会が面白くなるのは、専門分野やバックグラウンドの異なる個人が肩書きを忘れてつながる瞬間だと信じていて、公私の境界線を往来しながら、さまざまな場づくりを行っている。

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