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宮崎 真衣 2023.11.24

都心のオフィスに広葉樹の温もりを。
ヒダクマが製作した4つのテーブルを紹介します

(2024月1日26日に、4つ目の丸太脚のソファテーブルを加筆しました)

渋谷で飛騨の森の恵を体感できる

こんにちは! PRの宮崎です。

ロフトワーク渋谷の10Fには、「loftwork COOOP10」という主にイベントやミーティングを行うスペースがあります。代表諏訪の依頼を受けて、クリエイターの岩沢兄弟が2012年に設計を担当。クリエイティブ・ラウンジをテーマに、用途に応じてレイアウトを自由に変えられる柔軟な空間デザインになっています。大人数でディスカッションしやすい大きなテーブルや、スタンディングでパソコンの仕事がしやすいカウンターなど、シーンに応じて使い分けています。

今回、これらのテーブルを一部改修したり新しく入れ替えを行うことになり、飛騨の森でクマは踊る(通称:ヒダクマ)が製作しました。設計は、古市淑乃建築設計事務所です。ちなみに、 2018年に執務エリアをリニューアルした際にも、什器の製作ディレクションをヒダクマが担いました。

ヒダクマは、ロフトワーク、飛騨市、トビムシの3社による官民共同事業体です。飛騨市の森林率は94%もあり(ほとんどが森!)、ヒダクマが拠点を構える岐阜県飛騨市古川町は、広葉樹の豊かな森として知られています。家具産地としても有名な飛騨地域では、古くから林業・木のものづくりが盛んで、飛騨の匠による高度な木工技術を活かしたノウハウが蓄積されてきました。ヒダクマは、そんな広葉樹を知り尽くした林業事業者・製材業者・木工職人と密接に連携しながら、国内外のさまざまなクリエイターとコラボレーションした建築空間・家具製作・商品開発プロジェクトを行っています。

この記事では、匠の技が詰まった美しく温かみのあるテーブルを紹介します!

飛騨の森から届いた4つの贈り物

まっすぐ伸びる針葉樹が建築構造材等に多用されるのに対し、硬い広葉樹は強度が必要な椅子、小物などに使われます。針葉樹に比べ多様な樹種が存在し、それぞれ個性がある広葉樹ですが、私たちが普段の生活で触れる木材は、建物そのものより、家具類やテーブルの方が中心だと考えると、広葉樹は意外に身近な存在と言えそうです。

ここで、飛騨の森から届いた4つのテーブルをご紹介します。いずれもヒダクマが広葉樹の多様性を活かしてデザイン・製作した広葉樹のオフィステーブルです。10Fからは国道246がよく見えますが、都市の象徴的シンボルを眺めながらも木の温もりを感じるので、心身がリラックスして自然に呼吸が深くなりそうです。

クリの木の受付カウンター

イベントを実施するときに、10階の顔となる受付カウンター。クリの無垢材を使った立派な天板が印象的です。テーブルの仕上がりは2mですが、実は4mの板材が使われています。というのも、飛騨で流通する板材は一般的に2mの長さで製材されていますが、実際は割れや反りなどがあるため、使える長さはそれよりも短くなります。この天板は2mで仕上げることができる貴重な長材から作られました。これほどの逸品は飛騨でもなかなかお目にかかれません!

触るとしっとりとした質感で気持ちがいい。側面のロータリー突板* にもクリが使われていますが、作り方が違うので木目の表情が無垢の天板とは異なります。加工でこんなに見た目が変わるなんて! 補強のためのリブや脚元の巾木(はばき)にはナラ無垢が使われています。

*大きく真っ直ぐ成長した選び抜かれた木を、大根の桂剥きのように薄くスライスしたもの

3種の木を使った楕円テーブル

サクラ・ナラ・ウダイカンバの3種類の木を使用した移動式テーブル。天板に大きくRを取ることで、木肌が持つ優しさを全面に感じることができます。日中は太陽光がよく当たる場所に設置しているので、丸みのあるかわいらしいフォルムがより際立ちます。実は3つ連ねると一体感のある長テーブルに変形するので、イベントや会議に応じて臨機応変に組めるように設計されています。

広葉樹ミックスの窓際カウンター

ヒダクマが、これまでのプロジェクトで使用したフローリング材のストックを、新たに天板として利活用したカウンター。全長10m以上あり、カウンターの幅を考えながらサクラ・ブナ・クリといった樹種をバランスよくランダムに組み合わせることで、軽やかでパッと明るい印象に仕上がっています。 1枚1枚の個性が光る、飛騨の広葉樹の見本帳のようなカウンターです。

丸太脚のソファテーブル

大根の桂むきならぬ、丸太の桂むきでロータリー突板を作った後に残る芯をテーブルの脚に活用したソファーテーブル。 2枚目の写真のように、太さの異なるクリの丸太を組み合わせてテーブルの脚にしています。実は、それぞれ別の丸太ではなく、2本の丸太を分割して組み合わせています。丸太に亀裂が入っている場合、時間の経過とともに割れた状況が進行してしまうため、事前に分割しました。天板の厚さが6cmあり重厚感のあるデザインに仕上がっていますが、丸太の下にキャスターがついているので、簡単に移動できます。

テーブルに手を触れると温かな木の温もりを感じ、一瞬、渋谷の高層ビルにいることを忘れてしまいます。ここでは紹介しきれない匠の技が光っているので、ロフトワークに訪れた際には、ぜひloftwork COOOP10で実際のテーブルに触れてみてください。

ヒダクマでは、プロジェクトに関するオンライン相談も受付中です。

まだまだあるよ、loftwork COOOP10

10FはL字型のスペースになっていて、奥側の半面は主にイベントを開催したり、大人数でのディスカッションやワークショップとして使っています。ヒダクマのテーブル設置と同じ頃に、壁に埋め込み型のモニターを設置しました。場所の貸し出しはしていませんが、ロフトワークではどなたでも参加いただけるイベントを毎月開催しているので、この場所で皆さんにお会いできることを楽しみにしています!

loftwork COOOP10 の写真をflickrに公開しました。

>>flickr

宮崎 真衣

Author宮崎 真衣(Public Relations/広報)

広報の理論と実践を「Mie Institute of Communication」で学んだ後、アートやIT企業の広報・企画職などを経てロフトワークに入社。さまざまな場面でわきおこるコミュニケーションを、組織だけではなく暮らしや地域に還元していくために、cooperative(協同組合)やcollective(拘束力を持たない緩やかなネットワーク)に参画しながら学びを深めている。

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撮影:川島彩水、村上大輔

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対話を重ねる、外の世界に触れる。
空間に魂を吹き込む、オフィスリニューアルの軌跡