森・地域・テクノロジーを活かしたプロジェクト創出を促進する
飛騨の森でクマは踊る Webサイトリニューアル
目指すブランドポジショニングに向けた、コーポレートサイトのフルリニューアル
森や伝統文化といった地域資源とテクノロジーを融合させながら、循環型のものづくりや空間づくり等のプロジェクトデザインを手掛ける、「株式会社飛騨の森でクマは踊る」がコーポレートサイトをリニューアル。Webサイトを刷新するにあたって、その先進性とクリエイティビティ、活動領域の幅広さを表現し、従来のパートナーである建築家はもちろん、企業や大学・研究機関、サステナビリティへの感度が高い生活者など、幅広いステークホルダーに自社の理念と活動を伝えることを目指しました。
多様な人々に愛されるブランド像を体現するためのブランドコミュニケーションをかたちにした、コーポレートサイトリニューアルの全体像を紹介します。
執筆・編集:岩崎 諒子/loftwork.com編集部
Outline
2015年に、飛騨市と株式会社トビムシ、ロフトワークの共同出資により設立された、株式会社飛騨の森でクマは踊る(通称、ヒダクマ)。創業時から続くカフェ・宿泊事業と、広葉樹の魅力を活かした空間づくり・ものづくりのプロデュース・ディレクションを主に行ってきました。
ヒダクマが得意とするのは、多彩な建築家やアーティストらとコラボレーションしながら、森林資源とデジタルテクノロジー、飛騨の木工職人の技術を掛け合わせるプロジェクトデザイン。森とプロジェクトとのつながりを意識しながら、持続可能な空間づくり・ものづくりを支援しています。
近年、従来の空間プロデュースや家具づくりのみならず、プロダクト開発、イベントやツアー、ワークショップ、大学や企業向けの合宿プログラムなどの「体験」や「学習」のデザインまで、プロジェクトの領域が広がりつつありました。さらに、2023年8月に自社所有林がある山の麓に、新たな拠点「森の端オフィス」を竣工。森の資源を活用した建築・空間プロジェクトをさらに加速させることを目指しています。
創業から6年を迎え、事業拡大フェーズへと移行する中で、同社はコーポレートサイトのリニューアルを決定。ロフトワークがパートナーとしてプロジェクトを支援しました。
Outputs
Topページ・Aboutページ
事例ページ
Staff Credit
- クライアント:株式会社飛騨の森でクマは踊る
- プロジェクトマネジメント・クリエイティブディレクション:室 諭志(株式会社ロフトワーク)
- クリエイティブディレクション:古田 希生、皆川 凌太(株式会社ロフトワーク)
- テクニカルディレクション:大森 誠(株式会社ロフトワーク)
- デザイン:阿久津 望 >>Website
- コーディング:原國 政司(ubu)
- WordPress実装:坂田 一馬(Good rings)
Approach
森とのつながりと、活動のアクティブさを印象づけるコンテンツ設計
Topページでは、ヒダクマのメンバーがいつも「森の現場」にいることを伝えるために、ファーストビューに「森のふもとからの便り」として、現地の気温表示やメンバーからの新着ボイス、Podcastへの導線を配置。さらに、グローバルナビゲーションとフッター直上にInstagramを配置することで、SNSとの連携を図りながら少人数のコンテンツ運用リソースでも、アクティブさを感じさせる構成としました。
旧サイトでは、イベントレポートとプロジェクトレポート(事例)など、複数のアウトプットがひとつのカテゴリに集約されていましたが、今回はプロジェクトとコラムを切り分け、それぞれのコンテンツの位置付けを明確化。目的ごとに最適化したコンテンツ設計を行いました。
さらに、読み手に向けて、森の循環を意識したプロジェクトデザインをより丁寧に伝えるために、「森からはじめる」をテーマに、事例ページのコンテンツ構成を大きく刷新。プロジェクトのプロセス紹介に、森林資源を選ぶ森や土場のシーンを盛り込みました。また、竣工写真を大胆に掲載することで、建築・空間のダイナミックさを表現することを目指しています。
開発工数を抑えながら、コンテンツの柔軟性と運用効率を両立
コーポレートサイトの運用に欠かせないCMS(コンテンツマネジメントシステム)には、更新性が高く豊富なプラグインにより柔軟なカスタマイズが可能なWordPressを採用。実装するテンプレートの数を最小限にすることで開発工数・コストを抑えつつ、アクセスが集中するTopページ、Aboutページではヒダクマが手がけるプロジェクトの魅力を多面的に表現できるようUIを工夫しています。
さらに、これから拡張されていく新事業に対応するべく、汎用テンプレートを実装。Topページやハンバーガーメニューに導線を入れることで、たえず変化を続けるヒダクマの事業を柔軟に受け入れられる器を設計しました。
新たなブランドイメージを体現することへの一貫したこだわりと、運用負荷を抑えた設計の工夫によって、生まれ変わったヒダクマのコーポレートサイト。飛騨地域の伝統産業である林業と木工産業、サステナビリティとテクノロジーへの感度が高い国内外のプレイヤーとが、ヒダクマを通して出会い、コラボレーションするためのコミュニケーション基盤が強化されました。
関連動画:
ウェブリニューアルでブランド価値を育てるには? 自社サイトの「資産化」に向けた課題設定のアプローチ
Webサイトを通じて企業の「ありたいブランド像」を体現することは、顧客やファンに向けて本質的なメッセージを発信することに繋がります。
本記事では、ロフトワークがこれまで支援してきたWebサイト制作事例を通して、中長期的にブランド価値を積み上げるためのWebサイト制作の視点とプロセスを解説します。
Member
Next Contents