ロフトワーカーが選ぶ、
オン/オフの視点で考えた2021年のおすすめコンテンツ
2021年、今年もさまざまなプロジェクトに携わってきたロフトワーカーたち。
その学びはいつも業務の中だけにあるとは限りません。
そこで、ロフトワーカーが今年出会った映画や書籍の中から「学びを得た」「気づきがあった」「インスピレーションを受けた」ものを選定。読者の皆さんが年末を過ごすうえでおすすめのコンテンツをご紹介します。
こちらの記事では、仕事に直結する「オンモード」と、趣味や個人活動のタネとなる、あるいは自身のB面を表すような「オフモード」という2つの視点から、書籍を中心におすすめを選定。
5人のロフトワーカーが、それぞれの推しポイントを語ります。
企画:後閑 裕太朗、鈴木 真理子(loftwork.com編集部)
編集:後閑 裕太朗
オン:「街とアート」の仕組みを探る ⇆オフ:自分の表現を探る
オンモードのおすすめコンテンツ
「都市は文化(アート)でよみがえる」
著:大林 剛郎 (集英社新書)
「文化」と書いて「アート」と読む。「地方創生」と「芸術」、どちらかの単語で振り向いた方に是非読んでもらいたい一冊です。アート単体の力だけでなく、長期的なまちへの関わり方という視点は、地方の案件やアーティストとの共創に取り組むロフトワークとしても、とても参考になります。生活にアートが入り込んで生まれる文化とは何か、なぜ成功したと言えるのか、などのトピックスを、国内外の事例を用い、また会田誠さんとの対談からもわかりやすく語られています。
オフモードのおすすめコンテンツ
『大きな鳥にさらわれないよう』
著:川上弘美(講談社文庫)
東京に来て1年と半年。千駄木にある”本が積み上がっている薄暗く小さな空間、その奥に丸メガネの店主がいる”というザ・古本屋にてジャケ買いした一冊。短編のため読みやすいのはもちろん、文章の作り方、言葉の選び方、世界観の作り方など、仕事以外の制作活動のインスピレーションがとても沸いた本です。どこか遠い世界に行きたいあなたへ。白くて、掴めないもやのような、だけどなぜかリズムを感じるような世界に行きたいあなたへ。
オン:わかりやすいWebデザイン ⇆ オフ:わかりやすい空間デザイン
オンモードのおすすめコンテンツ
『インターフェースデザインのお約束――優れたUXを実現するための101のルール』
著:Will Grant、
訳:武舎 広幸、武舎 るみ(オライリージャパン)
『超明快Webユーザビリティ――ユーザーに「考えさせない」デザインの法則』
著:スティーブ・クルーグ 、
訳:福田篤人 (ビー・エヌ・エヌ新社)
普段の仕事では、主にクリエイティブプラットフォームAWRDの開発や、AWRDを使ったプロジェクトのサポートを担当しています。日々、コツコツとした機能改善やUX改善を目指すにあたって、参考にしている書籍たちを紹介します。
この2冊の推しポイントは各章の解説が図解も含まれ簡潔でわかりやすいこと。
また、人の行動特性についても記載されており、UI設計の基本的なポイントを抑えるのにも役立ちます。「あれ、こういうときどうするといいんだっけ?」をぱっと引いて確認しやすいのも推しです。
オフモードのおすすめコンテンツ
TECTURE MAG
空間デザインメディアの「TECTURE MAG」を定期的にチェックしています。特に当メディアのTwitterをチェックすることが多いです。
HIROSHIMA DESIGN CHALLENGEの審査員である谷尻誠さんや吉田愛さん、WOOD CHANGE AWARD/CAMPで審査員をしていただいた秋吉浩気さんの取り組みが掲載されていることから見始めました。国内外の最新事例やインタビュー・対談が読めます。
推しポイントは、「CULTURE」の切り口です。ハードウェアとしての空間と、ソフトウェアとしてのサービスや人の営み、そしてそれらをつなぐ空間デザインやブランドデザインがわかりやすく解説されているところが読んでいて興味深いです。
オン:学術から拡張される空間 ⇆ オフ:エンタメで味わう仮想空間
オンモードのおすすめコンテンツ
『空間の経験-身体から都市へ-』
著:イーフー・トゥアン、訳:山本 浩(ちくま学芸文庫)
空間という非常に曖昧な概念について解説した一冊。ここでいう空間とは、いわゆるm2といった数値化された面積でなく、身体的・心理的な距離感覚も含んだ、より広義のものを指します。
「同じものを見たとしても、個人の経験則や環境要因によって、その見え方が変わる」というテーマは、ありふれた内容かもしれません。しかし、本書のように特定のテーマから学術的な解説が入ることで、その絶妙な変化をより実感しやすくなると思いました。
(ちなみに本自体はめちゃムズでした。)
オフモードのおすすめコンテンツ
「ミッション:8ミニッツ」
XRプロジェクト「NEWVIEW」を担当していることもあり、気になって視聴しました。
本筋はサスペンスですが、量子コンピュータによって再現された仮想現実世界の設定・描写がよくできています。個人的にエンディングがめちゃくちゃ好きなのですが、ネタバレになるので今回は差し控えます。
SFやシミュレーション仮説、ループ物が好きな方には、特にオススメしたいです。時間も短く、サクッと見れるのも推しポイント。
『三体』の世界が結ぶ、オン ⇆ オフ
オンモード&オフモードのおすすめコンテンツ
『三体』
著: 劉慈欣(早川書房)
オンモード
プロデューサーとして、クライアントの未来を中長期で考える際に「時間軸とレイヤーの軸を行き来して考えましょう」と訴える。そうすることで、物事の全体像が見えてくるから。
この「三体」は、いともたやすく数百年が過ぎ、3次元が別の次元に展開される。流れるだけの日常では体感できない、宇宙からの、未来からの視点を提供してくれた。今、目の前にある課題は果たして本当に真の課題なのか? 視点を変えてみることで、違った未来も見えてくるかもしれない。
オフモード
オンモードと同じ「三体」を選んだ。 現代アーティストでもある僕は作家「ハモニズム」として、その名の通り「調和(ハーモニー+イズム)」を表現しようとしている。 この物語はしばしば、絶対に正解が存在しない「予測不能な問い」が提示される。「AかBか」ではなく、「AのようなB」であったり「Bとは言えないB」のような曖昧な判断が必要とされる。どちらかではなく、どちらも内包した曖昧なバランスを選択していく。まさに調和である。 生きるうえでも、働くうえでもこの「三体」は視点を調律する上でとても良い。
オン:生命科学的に考える ⇆ オフ:生命科学に想いを馳せる
オンモードのおすすめコンテンツ
『ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考』
著:高橋祥子(NEWSPICKS Publishing)
一個体が生命を維持すること、それを種として持続していくこと、それらが相互でつながりながらひとつのシステムとなること。種が滅びないようにするシステムも、個を維持するためのシステムも、自然のなかでつくられたしくみやデザインは、仕事にもつながる視点を与えてくれます。
物事の本質を捉えたいとき、新たな理解や解釈をしたいとき、生命科学の視点を重ねて物事を捉えてみると、頭の中が少し整理できる気がします。
オフモードのおすすめコンテンツ
鮮魚コーナーで購入した魚介類の解剖
生物の身体を構成する臓器一つ一つの形態や構造、個体の特徴を観察しているときすごくリラックスできます。進化という壮大な時間によってつくられた機能やデザインの美しさにただただ没入し、無心で臓器を観察している瞬間は、悩み事など忘れさせてくれます。なかでも、丸々いち個体を手に入れて観察できる魚介は、手頃に解剖できるだけでなく、季節によって置かれる魚も変わるため、産地や種類も楽しむことができておすすめです。(もちろん、観察したあとは美味しくいただきます。)
いかがでしたか?個性的なメンバーがそろうロフトワーク。選定されるコンテンツもかなりバリエーション豊かでしたが、みなさんが年末年始に手に取りたい作品の参考になりましたでしょうか。せっかくの年末年始ですので、仕事に向けたインプットの時間とリラックスするための時間、両方のバランスを取りながら有意義に過ごしたいですね。
「2021年のロフトワーカーおすすめコンテンツ」シリーズは、「漫画編」もあります。こちらでは、仕事に活かされた漫画をより熱くプレゼンしています。ぜひこちらもチェックしてみてください。
また、ロフトワークでは一緒に働く仲間も募集しています。
多様なメンバーとともに、個性をプロジェクトに生かしてみたい!という方はぜひご気軽にご応募ください!
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