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横山 暁子 2021.12.15

プロジェクトの未来を描き、クライアントへの愛着を増幅させる
「ロジックモデル」テンプレート大公開

こんにちはマーケティングDivの横山です。緊急度は低いけれども、重要度の高いタスクをみなさんはどのように進めていますか?通常業務の合間ではなかなか集中できないですよね。私も、つい後回しにしがちです。

今回、プロデューサーチームは一念発起!日頃の“モヤモヤ”に向き合うため、スキルアップとチームビルドを目的とした富士吉田合宿に行ってきました。合宿の様子をお届けます。

横山 暁子

Author横山 暁子(京都ブランチ共同事業責任者)

大学卒業後、大手化粧品会社にて営業職として10年間従事。売上の管理、イベントの設計・運営、販売者育成など多岐にわたる業務を経験。その後、アメリカ・シカゴにて2年半ほど子育てを堪能する。2017年ロフトワークに入社。マーケティングDivにて、ビジネスイベントの企画運営、コーポレートサイトのコンテンツ企画・編集、CRM業務に携わる。常に心がけていることは、発信を通じて関わる人やプロジェクトに追い風を吹かせること。2022年10月、ブランチ事業共同責任者に就任。神奈川に住みながら、京都オフィスと渋谷オフィスを往復している。趣味は手芸、パッキングと旅。好きなものはビールとコーヒー。

Profile

ボトムアップで、我らの役割をアップデートする

ロフトワークではプロデューサーとディレクターがプロジェクトを動かしています。(ざっくり紹介すると)クライアントの方々に相談をいただいたら、まず動くのがプロデューサー。話を聞いて、課題を洗い出し、プロジェクトの企画提案を行います。提案が通り、プロジェクトを実施することが決まったら、アサインされたディレクターがプロジェクトを詳細化し、実装していくという体制をとっています。

発注前からクライアント企業と対話し企画提案を行うプロデューサーの仕事において大事なことの一つが、ロフトワークをパートナーとして選んでもらえるよう、強みや魅力を伝えること

実は、プロデュースの仕事は属人化しやすく、各個人でやり方も様々。受注できるようになるまで苦労する、なんてことが起きてしまいます。

実際に、入社間もないプロデューサーからはこのような声があがっていました。

  • 複数の案件を抱えているが、それぞれにどの程度入り込み時間を割けばいいか判断できない
  • プロジェクトのスタート後、自分の役割や存在感をどう出していくべきか迷うことがある
  • 気づくと何だか孤独な時がある

一般的にもセールスは営業マンのスキルに委ねがちだったりしますよね。その構造に似ています。新メンバーが増えてきた今、皆でスキルを底上げしていくために、先輩プロデューサーのヤナパイ(柳川)とハモさん(小島)が立ち上がりました。

年々、クライアントの課題も複雑になり、提案内容の難易度も上がっています。それに伴い、プロデューサーの役割も日々変化してきました。入社して8年、これまで自分になりに築いてきたプロデューサー像を他のメンバーと議論する中で、若手メンバーのためにも、改めて「プロデューサーとは?」を言葉にしたいと、同じ想いを持つハモさんとチームを立ち上げました。

シニアプロデューサー 柳川 雄飛

今はそこそこに仕事ができるようになったけれど、実は大変な時期もあって。経験値に関係なくプロデューサーのみんなは、とてつもなく創造性に富んでいます。その創造性を、より表現・発揮できる状況を作りたいと、自分達主体となり自らをアップデートしていくこの活動を始めました。

プロデューサー 小島 和人

取り巻く環境が目まぐるしく変化し将来の予測が困難な今、チームに、企業に、そして社会にインパクトを生み出し、良い巡りを生み出すためにーー
そして、プロデューサーはどんな役割であるべきかをアップデートするために、今回合宿を通して向き合ったのは、「プロデューサーである、我々は何者なのか。どうありたいのか。」という本質的な問い。日常業務から離れ、いざ富士吉田へ。

ロジックモデルの活用シーンを見定める

クライアントに多様な視点でアドバイスをする立場ではありますが、我々もまだまだ発展途上です。変化の激しい社会に向き合うため、私たち自身が常に新しい視点を取り入れ、学び続けることがとても大事です。
そこで、スキルアップのために本合宿で取り上げた手法は「ロジックモデル*」です。長期的な視点でクライアントをリードするプロデューサーの業務。実現したい未来からバックキャストする視点、そして現在の活動から未来へ向かうフォアキャスト視点の両軸から、今やるべきの活動を可視化・理論づけることができるロジックモデルは、近年相談数が増えている不確定要素の高い案件の相談時に活用できるのでは?と今回お題に選びました。最終ゴールは、新人プロデューサーも含め全員が使えるテンプレートをつくることです。

*ロジックモデルとは?

ロジックモデルとは、事業が成果を上げるために必要な要素を体系的に図示化したもので、事業の設計図に例えられます。一般的なロジックモデルの図は事業の構成要素を矢印でつなげたツリー型で表現され、「インプット」「活動」「アウトプット」「アウトカム」と4つの要素で図示されます。
プロジェクトを通じてどのような社会・景色を実現したいのか?関わるメンバーで共通認識をもち、推進しながら活動内容をアップデートさせていくための航海図のようなものです。

一部引用:社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ「ロジックモデルとは」より

参考記事:

まずはロジックモデルをどのタイミングでどのように活用すると効果的なのか、実際のクライアントを想定した架空の会社、株式会社Pのケースをお題に、2チームでロジックモデルをつくることからスタートしました。

  • Aチーム:クライアントへの提案前にロジックモデルをつくる
  • Bチーム:プロジェクト開始後にロジックモデルをつくる

ロジックモデルをつくると、クライアント担当者への愛着が増幅する?!

一通りロジックモデルを書き上げ、全員揃っての共有タイム。課題点や記入していく手順などを洗い出していきます。ふと気づくと、時間を忘れ対象となる企業(今回は、株式会社P)と担当者の未来について語り合い盛り上がっているではないですか。架空の会社なので、いいプランをつくってもクライアントにはなり得ないのですが!笑

ロジックモデルつくる過程で企業やクライアント担当者について調べたり、類似事例を共有したり、皆でアイデアを出し合うことで、いつの間にかクライアント企業への愛着が増していたのです。全く知らなかった企業が徐々に自分ごとに変化していく感覚。

そう、一番の気づきは、ロジックモデルをつくりながら、チームで語り合う行為こそが大事!ということ。そして、この作業をディレクターやクライアント担当者と一緒につくることが目線合わせやチームビルディングのために効果的であることが見えてきました。

余白がつくるチーム、“I”の視点から“We”の視点へ

さて、合宿を行ったのは山梨県富士吉田市。SHIGOTABIプロジェクトでもお世話になっているSARUYA HOSTELに滞在しました。見渡せば雄大な富士山。そして、昭和にタイムスリップしたようなレトロな街並みが迎えてくれます。一足踏み入れると、日常を忘れ、ゆったりとした時間が流れはじめます。

合宿二日目、この街並みの中行ったのが、朝のお散歩ディスカッションです。メンバー全員がスマホでZoomに入ります。そして、映像をオフ。音声だけオンにして、皆で街へ散歩に繰り出します。耳だけ繋いで、各自が違う場所を自由に散歩しながらディスカッション。散歩しながら前日の振り返りをしてみる。

散歩しながら話すことで「素の自分」で価値観を共有することができるんです。ロジックだけでは到達できない個人の観点、「人らしさ」や「土っぽさ」を引き出す効果があります。この手法を考えたのはハモさん。実際にプロジェクトにも取り入れています。(実践事例はこちらをご覧ください>>)

朝の澄み切った空気を感じながら歩くことで、本音がポロリ。前日のアクティビティを通じて感じた思いが言葉となり、自然と溢れます。

「プロデューサーってどんな役割なんだろう」とディスカッションした際に出てきた言葉が、「プロジェクトをつくること、そしてチームをつくること」そしてチームをつくるというのは「放っておいても物事がどんどん良い方向にドライブしていくような良いチームをつくること」
それを聞いた時に、「あ、私がやりたかったのはそれだ。」と思った。

私は、人が幸せそうに働いている姿を眺めたい。何かが生み出される瞬間に立ち会いたい。そして「仕事」という世界すら飛び越えて、全員がプロジェクトの意義を理解し、「もっとやりたい」「もっと良くしたい」と思えるようなチームをつくりたい。

ディレクターの私はプレイヤーだったけど、これからはプロデューサーとして、プレイヤーのサポートがしたい。そのために必要なことはなんでもやりたいと思えるし、やりがいを感じる。合宿の対話の中で自分がやりたかったことが言語化され、今一番しっくりきている!プロデューサーに転向するのがさらに楽しみになったな。

クリエイティブディレクター 冨田 真依子

現在ディレクターの冨田さん。年明けからプロデューサーに転向することが決まっています。今回一足早くチームに加わり、良きチームビルディングの機会となりました。
富士吉田名物、吉田うどん
夜の街へ

コロナの影響もあり、これまで個人で活動することが多かったプロデューサー。食事をしたり、休憩したり、時にお酒を片手に日頃のモヤモヤをぶちまける。余白の時間をともにすることで、お互いの価値観や意外な一面を知り打ち解けていく。改めて、こんな機会が欲しかったんだと気づく。

ーープロデューサーである、我々は何者なのか。どうあるべきか、どうありたいのか。

個人としてだけでなく、チームとしてプロデューサーとしての本質的な問いに向き合うことで、それぞれの解に近づくための大きな一歩となりました。

環境を変え、通常業務では向き合えない課題に向き合う場を創り出すことが大切だと改めて実感した二日間でした。そうこれは、自分たちの役割をアップデートしていくためのボトムアップの活動。今後も継続していきます。

ちょっと日常から離れて、ワーケーションを楽しんでみたい方は

ロジックモデルテンプレート大公開

合宿で作成したテンプレートを各プロデューサーが商談中のクライアント実例で実践を重ね、アップデートをした第一弾のテンプレートがこちら。(今後もアップデートを重ねる予定です。)

  • こんなケースに使えます。
    • ボトムアップの活動時、チームメンバーや上役と価値観を統一する
    • 企画中の新規事業の未来予測をする(未来に与える影響をデザインする)
    • 学びの提供(一つのテーマを掘り下げる)

ぜひ、活用してみてください。

ロフトワークへご相談を検討中の方へ

プロジェクトの未来を描く際に使えるこのロジックモデル。一度、我々と一緒につくってみませんか??

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プロジェクトメンバー

左から、
上段:井上 龍貴、中圓尾 岳大、小島 和人、柳川 雄飛
下段:冨田 真依子、新澤 梨緒、横山 暁子

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複雑な世界で未来をかたちづくるために。
いま、デザインリサーチに求められる「切実さ」を問い直す