ロフトワークから新年のごあいさつ
あけましておめでとうございます。本年もロフトワークをよろしくお願いいたします。
マネジメントメンバーより、2022年のご挨拶と抱負をお届けします。
代表取締役社長 諏訪 光洋より
2021年、“crQlr”というプロジェクトを手掛けた (https://crqlr.com)。サーキュラーデザインに関するグローバルアワードでありコミュニティ。世界24カ国から200を超える作品が集まり、グローバルな19人の審査チームによる審査が行われた。
意識高い?いやそんなことなくて。
僕はいわゆる「環境活動」に関して斜に構えている方でした。太陽光発電が取り沙汰された時には「日本で?そんなアホな」と思っていたし、実際、山や水に対し太陽光発電が環境破壊を行なってしまっている近年「ほらー」と思っていた。ビニール袋やらストロー問題やらなんかシンボリックなだけで科学的/合理的じゃない……とっとと原発動かした方がよっぽどいいよ、と思っていた(これは今でも思ってるけどね)。クジラだって食べちゃうもーん、とかね。
そんな僕がサーキュラーアワードに集まったプロジェクトをみて彼らのインサイトを感じる。世界の変化する未来、端的に言うならばZ世代やその前後の世代の感覚。どんな視点/尺度/価値観で世界を見ているのか。あ、そうなんだ、僕の合理的なアプローチって経済合理性的なアプローチで、そもそもその資本主義的な視点ってズレてるのね。
ロフトワークは「もっと多く売る」「もっと高い商品にする」ことは得意ではない。求められる未来の視座はどうやってつくるんだろう?
偉大なる先輩、IDEOはサーキュラーデザインに対し“Circular Design Guide”というフレームワークをつくり公開をしている。美しく完成されたアウトプット。
僕らは世界中の200を超えるクリエイター、そして未来の視座を持つ19人と「共に考え実践するコミュニティ」をつくるというアプローチ。
常に答えは僕らの「外」にあると信じている。だからオープンさと謙虚さを大切にしないと。どうやってその未来に辿り着けるのだろうか。
2022年今年、世界はまた出会えるようになるといいよね。
共同創業者 取締役会長 林千晶より
明けましておめでとうございます。
ロフトワークをつくったのが2000年だから、22周年。当時は、1999年の年末に帰国し、起業本を読みながら慌ててつくったので考える余裕もなかったけれど、創業から何年経ったのか数えやすい年につくったものです。1000年、2000年、そう、千年に一度のチャンスだったんです。
どうせ憶えやすい年につくったのなら、設立記念パーティもわかりやすい年月日にすることにしたらいいのでは?そんな思いが私たちの中でムクムクしてきたので、2022年2月22日(火)にロフトワーク22周年パーティを開くことにしました。
今まで一緒に苦楽を乗り越えてきたロフトワークの仲間(もちろん卒業生も含まれます)、想像もつかないプロジェクトをアサインして私たちを飛躍させてくれたクライアント、これからもずっと仲良くしてほしいパートナーやクリエイター、かけがえのない友だち。きっと呼びはじめたら軽く百人、千人を超えてしまうんだろうな。
ただコロナ禍ではあるし平日なので、「来てほしい」とワガママは言いません。グッと飲み込みます。ただこの日この時に、一瞬、ロフトワークを思い出してくれれば幸いです。人それぞれ、ロフトワークに対する想いはさまざま。それでも思い出されるだけしあわせなのです。
22周年、みんなの想いをのせて、さらに羽ばたいていくつもりです。
取締役 COO 矢橋 友宏より
未曾有のパンデミックに世界中が翻弄された2年間が幕を閉じました。
暮らし方や価値観、そして事業活動のやり方そのものが問われる中で、ロフトワークに寄せられる相談も組織の根っこに迫るものが増えてきた気がします。2021年は、世界中でこの本質的な問いに対する考察が進んだ時期でもあったと感じています。
我々は何者なのか? どこから来たのか? これからどこに向かうのか?
量の拡大やスピードを競う時代から、一歩引いて本質に迫るこの流れは、一旦立ち止まるキッカケをもたらしました。
そして、2022年。
ほんの少し進化した人類は、次の時代を模索し始めます。
実装・実現のフェーズへ。
机上で描いた未来像に向けて、実際に手を動かし、実装・実現していく。
すでに大小さまざまなプロジェクトや活動で、実装に向けてのアクションが増えつつあります。この動きを、さらに膨らませてムーブメントへ……。
パーソナル・コンピュータの父アラン・ケイは言いました、
“The best way to predict the future is to invent it.”
(未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ)
2022年は実装の年にします。
取締役・京都ブランチ事業責任者 寺井 翔茉より
2021年は「責任」という言葉を何度も何度も考えこんだ1年でした。
役員の責任、プロジェクトマネージャーの責任、チームリーダーの責任、仕事を受けた人の責任、仕事を頼む人の責任、一緒にくらす家族への責任、ものをつくる責任と買う責任、地域社会への責任…… あなたにも、私にも、毎日たくさんの責任が付きまとっている。
でも、責任を“重く”することは、実は簡単なことだとも気づきました。
僕たちはつい無自覚に責任を“重く”してしまう。自分の価値を確かめるように、相手へ念押しをするように。これはとても大事な仕事であり、責任重大ですよ!ちゃんとしてくださいね!失敗してはいけませんよ!投げ出してはいけませんよ!と。
逆に考えてみる、どうしたら責任を“軽く”することはできるんだろう?
責任=重くある“べき”と思い込み雁字搦めにしてしまってないだろうか?
責任が軽くなった世界はどんな変化をするだろうか?
もちろん「無責任たれ」と言うつもりは毛頭ないが、たとえば離れることができなかった現場から一時的に離れて別のことにチャレンジしてみたり、場所を変えて新しいインスピレーションを得たり、思い付いてしまったアイデアをすぐ取りいれてみたり、今よりももう少し風通しの良いフレキシブルな世界にならないだろうか。
強くて重い不変的で安定的な責任の仕組みは、人が本来もつ創造性をしだいに硬直させてしまい、行動を起こせなくしてしまう。変化をしなやかに受け止める軽やかでフレンドリーな仕組みこそが、健やかな創造性と行動をはぐくむことにつながるのだと思う。
脱・中央集権、分散型の時代のデザインには、こういう「軽やかさ」の考え方が欠かせないのかもしれない。それと同時に、さまざまな事情で「軽くなれない」ひとたちも必ずいる。そういう人たちのもどかしさや孤独を置き去りにせず、どうデザインで応えられるだろうか?とも。
「私たちはこれまでずっと過去をベースにして現在を構築してきましたが、今こそ、未来が求めるものにしたがって現在を形づくらなくてはならないのです。」
オラファー・エリアソンの言葉を反芻しながら、2022年は誰と一緒にどこで未来のタネを生み出せるだろうか、とドキドキしています。
今年もみなさま、どうぞよろしくお願い致します。
執行役員 兼 イノベーションメーカー 棚橋 弘季より
他のメンバーと話していてよく、関わる仕事が年々むずかしくなっていくねと言い合ってることがあります。
確かに、だんだんとより大きな社会的インパクトにつながることが期待されているプロジェクトが増えているということもあるのですが、もっとシンプルに考えると、いつもある意味でこれまでにやったことがないことにチャレンジするプロジェクトが多いんだと思います。
やったことがないから、どうすればできるだろうか?というところから頭を悩ませたり、そもそも手掛けたことのない領域の現状や課題を理解することからはじめるので、むずかしく感じたりもするのでしょう。
でも、これ、当たり前だなと思ったりもします。
ロフトワークはクリエイティブ・カンパニーなのだから、求められているのは創造することです。創造って、そもそも未だないから創造の余地がある。創造に関わるなら未だない領域に関わらないといけない。未だない領域がやったことない領域なのは当たり前だな、と。
そして、僕らはいつも「また今回もむずかしい仕事だな」と感じつつも、その未だない領域のやったことのない仕事を実行するためのスキルやノウハウをなんだかんだ持っていて、あれこれ悩みながらも、いろんな人を巻き込んで、最終的には未だないところに何かを創造する仕事ができています。
文部科学省が公表している「持続可能な開発のための教育(ESD)推進の手引」に、持続可能な社会づくりのための課題解決に必要で学び身につけるべきものとして、次の「7つの能力・態度」が挙げられています。
- 批判的に考える力
- 未来像を予測して計画を立てる力
- 多面的・総合的に考える力
- コミュニケーションを行う力
- 他者と協力する力
- つながりを尊重する態度
- 進んで参加する態度
この7つの項目はどれも、僕らが未だない領域で未だない何かを創造する仕事をするときに使っている力だなと感じます。そして、あらためてそれが「持続可能な開発」につながることなんだなと。
これも当たり前ですが、2022年というのもこれまで経験したことのない年です。
でも、僕らは今年もまた、やったことのない仕事を「これどうやってやろう?」と悩むこと自体も楽しみながら、引き続きやっていくのだろうなと思います。
そんなわけで今年もどうぞよろしくお願いいたします。
Layout Unit CLO 松井 創より
LAYOUT Unit のモットーは、いかに“面白い場”をつくれるか。たとえば、子供たちが知性と感性を磨き、創造力を高めるAkeruE。未来をつくる若者たちがユニークな活動を繰り広げる100BANCH。チャレンジングな問いから社会価値を生み出すSHIBUYA QWS。つねに「面白い」にこだわって場をつくり、育んできた。
ところで「面白い」とは、いったいなんだろう。一説によると『目(面)の前がパッと明るく(白く)なる感覚』が「面白い」の由来らしい。これまで見聞のなかったものを知って、何か新しい気づきを得たりする。確かに多くの人が僕らのつくる場を見て、表情を明るく変えながら「面白い!」と言ってくれる。そして自身も何か新しい行動を始めてくれる。おそらく「面白い」は、内に秘めた「スキ!」を呼び覚ましてくれるスイッチだ。僕らの仕事や空間を通じてスイッチが入り、人生がより豊かになったと感じてくれる人が増えたら嬉しい。
これからますます面白い場をつくってこう。AkeruEのようなSTEAM空間を街づくりの規模でやってみたいし、循環型経済に本気で取り組む商店街をつくってみたい。文化も価値観も異なる世界中の人々が交流できる駅もつくってみたい。一方で、役割を終えた建築や土地を地球に還すプロジェクトもやってみたい。ありがたいことに「やってみたい」と願うとその仕事が自然とやって来るのがロフトワーク。来たるその日に向けて鍛錬あるのみだ。「相変わらず、面白そうなことやってるな!」「一緒に面白いことやりたいな!」と言われ続けるように、自ら率先して面白い仕事をつくろうと思う。
自身、ロフトワーク在歴10年の節目。新しい10年の幕開けのような、パッと明るい気持ちで新年を迎えます。共に面白い世界をつくりましょう。今年もよろしくお願いします!
Loftwork Taiwan co-founder Tim Wongより
昨年は「embrace」の意味をあらためて理解した年でした。
仲間、家族、そして愛する人を「embrace」(抱きしめる)こと。
たとえ現実には距離があっても、もはや障壁ではありません。私たちはさまざまなメディアを使い、一緒に過ごす時間に集中することができます。絆を維持しようとする熱意こそが、私が最もありがたく感じることです。
変化を「embrace」(受け入れる)こと。
振り返ってみると、2020年と2021年のはじめは、起きていることを受け入れることに一生懸命慣れようする段階だったように思います。それは、昔からあるものを守り、できる限り保存しようとする、生来の防衛意識だったのかもしれません。
しかし、私たちは、この変化がこれまでの常識をリセットし、物理的にもデジタル的にも新しい環境に進むために必要な機会だと気づきました。
2021年11月、私たちは、8年以上FabCafe Taipeiの本拠地であったHuashan Creative Parkから移転することを決めました。台湾やアジアで急速に進化しているクリエイティブな社会に対して、FabCafeがインパクトをもたらす存在になるよう、新たに目的を考える時がきました。
2022年、皆さんと一緒に活動できることを楽しみにしています。
ロフトワーク みんなの抱負(東京・京都編)
仕事始めの日に行う、毎年恒例のロフトワーク書き初め大会。今年も感染症予防に気をつけながら、新年の抱負や目標を力一杯に書きました。
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