パナソニック株式会社 PROJECT

“次の100年”をつくるプロジェクト、3ヶ月の成果

サービスイン、プログラムコンテスト出場、論文発表も!“次の100年”をつくるプロジェクト、3ヶ月の成果

2018年にパナソニックが創業100周年を迎えることを機に構想がスタートした100BANCHプロジェクトは、渋谷に活動拠点を構え、これからの時代を担う若い世代と共に、次の100年に繋がる様々な価値創造に取り組んでいます。

その100BANCHのメインプログラムとなるのが、常識にとらわれない35歳未満の野心的な若者リーダーのプロジェクトを支援するGARAGE Programです。

7月のオープンと同時に第一期として入居したプロジェクトは13チーム。それから随時公募を行い、審査を通過したチームは計31プロジェクトを超えています

プロジェクトは3ヶ月を1サイクルとし、去る10/1、実験とアウトプットを繰り返し、1サイクル目を終えた第一期生が各プロジェクトの成果発表会を行いました。
100BANCHがオープンしてから3ヶ月。現場では何が起こり、どんな化学反応が生まれたのか。これまでの軌跡を、本プログラムを企画・運営してきた越本が振り返ります。

3ヶ月でどこまでいけるか。ゴールは決めない。

GARAGE Programでは、運営側から各プロジェクトにゴールを提示していません。ゴールを決めてしまうとそこまでしか到達できないので、もっともっと先を目指して欲しい。そんな想いを込めて、それぞれのゴールは自分たちで決める。そうルールを決めました。もちろん野放しで3ヶ月で何も生まれませんでしたということにならないように、入居時に活動計画書を提出してもらい、それを元にメンタリングを行ってメンターと一緒にゴールを組立てていきました。

コンピューターによる新たな料理のレシピ開発を研究してきたComputational Creativityプロジェクト。有名シェフの松嶋啓介氏や、シェフワトソンを開発したヴァーシュニー先生とのコラボレーションを行いながら、プロジェクトの成果をFrontiers in ICT, section Big Dataに学術論文提出というかたちでアウトプットしました。
論文タイトル:A novel system for transformation of dietary style(現在査読中)

「部屋にいる」「いない」が、遠くからでもスマートにわかるシステムのアプリ開発を行ったCalteraプロジェクト。3ヶ月でプログラム開発とデバイスを製作を行い、U22のプログラミングコンテストに出場しました。10/1はその様子をパブリックビューイングしました。GARAGEでは夜を徹してプログラミングを行うことも多く、ラックにはいつもエナジードリンクが並んでいたのが印象的です。

「おもてなし」をスマート化しスマホ1つでホテル経営を可能にさせるRun your hotel with Smartphone only!プロジェクトと、ロボットを一家に一台普及させる“HACO” robotプロジェクトのリーダーは高校生。10代とは思えない行動力とプレゼンテーションでプロジェクトを進めてきました。
Run your hotel with Smartphone only!プロジェクトの民泊施設向けセルフチェックインサービスは3ヶ月でサービスローンチし、300社以上からオーダーが入っています。

ABCチェックイン(無人宿泊施設向けチェックインサービス)

プロジェクトの活動を加速させるメンタリング

3ヶ月という期間はとても短く、100BANCHを使って一体何ができるんだろう?という周りからのプレッシャーを受けながらGARAGE Programは進んできました。

メンターに採択されて活動を始めたのに、最初のメンタリングで活動の趣旨が変わるほどの方向転換をすることになったプロジェクトもいました。

高宮慎一氏のメンタリングを受けるMonoconnectプロジェクト。ユーザーテストやヒアリングを行い、需要の低さに指摘を受け軌道修正をした上で、新たなサービスのローンチまでを3ヶ月の中でやり遂げています。

Monoconnect(アイデアを1点からすぐカタチにできる試作品・特注品の製作サービス)

ふんどし姿のShift→プロジェクトはコミュニケーション力の高さから、多忙な落合陽一氏の時間を確保し隔週でメンタリングを受けるほど接近し、人生相談までできる関係性になりました。途中メンタリングにより方向転換を行いプロジェクト名をFFF〜Fundoshi Fashion Festivalに変更。約2ヶ月の準備期間のみで10/29には世界初となる「ふんどしファッションショー」を開催します。

プロジェクトチームごとのコラボレーション

GARAGE Programにはふんどし、翻訳機、昆虫飼育、民泊支援、働き方、テクノロジー、カルチャー、ライフスタイルと驚くほど多様なジャンルのプロジェクトが入居しています。あえて似ているという括りができるとしたら、食糧課題の解決や未来の食スタイルテーマに問題意識が共通するプロジェクトが3チームありました。

昆虫食をデザインするFuture Insect Eating
コオロギを漁業養殖飼料に活用するECOLLOGIE
水産養殖と水耕栽培をかけあわせた生態系をつくるNow Aquaponics!

この3プロジェクトに、後から入居した食系プロジェクトも2チーム加えて、食糧問題をテーマにしたイベントを開催しました。メンターの岩田洋佳氏を中心に100年後のお弁当についてトークした話題はSNSでも盛り上がり、第二弾も開催が予定されています。岩田氏は「自分のほうがプロジェクトメンバーから刺激をもらっている」と言いながら、様々な企業とのコラボレーションや、海外大学とのネットワークを各プロジェクトに繋げてくれています。

EAT VISION 〜100年後のボクらは何をどう食べている?〜

100BANCHに集まる人たちからの広がり

昆虫食をデザインするFuture Insect Eatingプロジェクトは、毎月のミートアップ時にケータリングで参加した料理家とコラボレーションが生まれました。料理家の手が入ることで味付けにかなり影響を受けたそうです。そしてそのつながりからイベント開催し、そのイベントでサポーターを獲得するなど化学反応が次々と生まれています。

100年前は笑って誰もが見向きをしなかったものが、今では普通に受入れられているものはたくさんあります。昆虫食やふんどしだって、もしかしたら100年後には当たり前になっているかもしれない。GARAGE Programのプロジェクトからは日々そんなことを感じます。

多彩なメンター陣と、多様すぎるプロジェクト

このGARAGE Programの設計として、まず最初に決めたのはメンターでした。
テック系の支援プログラムであれば、テック系の著名人がメンターとして名を連ねることが多いですが、100BANCHの場合は「“次の100年”をつくるプロジェクト」をテーマに掲げカテゴリやジャンルは設定せず、どんなプロジェクトの応募があるか蓋を開けるまでわからない状態でスタートしました。

その受け口としてプロジェクトの審査からメンタリングまでを行うメンターも、スタートアップやIoT・ハードウェアに強い方もいれば、アート・写真、農業、働き方、BARの店主までかなり幅広各分野のトップランナーを選定し、21人の方に就任していただきました。

このプログラムのチャレンジは、プロジェクトの採択の仕方にもあります。メンター同士の合議によって決める支援プログラムが多いなか、それを実験的に辞めてみました。ユニークなメンターたち個人の視点で、おもしろい!と評価したものを採択するのがルール。どのメンターも「自分だったらそのプロジェクトは採択しなかった」とコメントが出るほど、多様でユニークなプロジェクトが採択されています。

採択されたプロジェクトは昆虫食からふんどしのプロジェクトまで、ジャンルが幅広く傾向が示せないほどの多様なプロジェクトとメンバーが集まり、メディアには変人揃いと(良い意味で)評価される記事が多く取り上げられました。

日経トレンディネット

http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/1019373/080700096/?rt=nocnt

化学反応を起こすためのフレキシブルな土壌

このGarage Programを運営するにあたっては、いかにプロジェクトの意思や行動を尊重し自由度を高くするかを考えました。しかし、ルールがない=自由ではありません。
多様な可能性を受け入れる受け皿を作ることで、各プロジェクトのメンバーが最大限力を発揮し、そこから生まれる化学反応で何倍にも飛躍するために、100BANCHの心意気を3つ決めました。

【100BANCHの心意気】
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その(1)創造しよう
「そんなこと、できるわけがない」「そんなものをつくって何の役に立つの?」こうした”まとも”な言葉に従っていたら、未来の社会的インパクトは生み出せません。常識を疑い、個人の直感を信じて、荒削りでもいいからまずは形にする。ビジネス、サービス、機会、そして100BANCHのルールも、みんなで作り上げあげていきましょう。

その(2)多様性を受け入れよう
100BANCHには様々な人が集まってきます。この場に集う人の中には一風変わった人もいます。自分の価値観と違う人とのコミュニケーションは、少しストレスになるかもしれません。そんな時は1歩踏み込んで相手を理解しようとしてみてください。なぜそうなのかを知れば、新しい価値観に気づけるかもしれません。

その(3)オープンであろう
ビジョンを発信し、知恵を共有すること。そんなオープンな姿勢が、既存の枠組みを超えた幅広いネットワークと、新たな価値をデザインする為の知恵と才能を呼び寄せます。その為にも失敗を恐れず、自分たちのビジョンや活動を積極的に情報発信していきましょう!
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実はこれはロフトワークのコンセプトにもかなり近いものがあります。
今は多様性という言葉が溢れていまずが、実際これだけのメンバーが揃うとなかなか簡単に団結はできません。なぜなら多様であるということは、思いがバラバラですぐには気が合わないものだから。でも、そのギャップを超えて他人にわかってもらおうと思うからコミュニケーションは生まれるのです。

化学反応の結果、、、

ここまでの活動を振り返り、100BANCHオープニング時の紹介動画で林千晶が語った意気込みを思い出しました。

”人間の暮らしの100年先を想定した時に、テクノロジーだけで解決できることはない。あらゆる領域を横断するかたちで変化が起こっていく。
出会ったことによって変化が起こっちゃって、もうどちらも昔の自分たちには戻れない。という変化をここにいる人達みんなに起こしていく。化学反応の元になりたい。
それがロフトワークの仕掛けたいこと。”

様々な化学反応が起こっていく様子を見守ってきて、昔の自分に戻れなくなったのはGARAGE Programを運営してきた私たち自身かもしれません。

これから化学反応を起こしていきたい方、またはそんな渦の中に取り込まれてみたい方、是非100BANCHへ遊びに来てください。そして引き続きGARAGE Programプロジェクトへの応募もお待ちしております。
http://100banch.com/garage-program/

越本 春香

Author越本 春香(Layout シニアディレクター)

大学卒業後、広告代理店のプランナーを経て、2012年ロフトワークに入社。クリエイティブディレクターとしてWebサイトの上流設計や、ワークショップ・イベント運営も手がける。産休後はLayout Unitにて「100BANCH」や「SHIBUYA QWS」など共創施設の事業とコミュニティの立ち上げからPR・ブランディング活動を担当。現在は企画構築から運営まで担う「AkeruE」の総合ディレクター。AkeruEプロジェクトは「日本空間デザイン賞」銅賞、「ディスプレイ産業賞」奨励賞、「iF Design Award」、「キッズデザイン賞」子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門を受賞。普段は子どもを送り出した後、木更津(千葉)から高速バスに乗りアクアラインで海を渡って出社しているのでエクストリーム出勤と言われている。

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