新Webメディア『ONTOMO』構築
Outline
音楽っていいなぁ、を毎日に。 ONTOMO
「ONTOMO」はクラシックを中心とした音楽について75年を超えて発信し続けてきた音楽之友社による新Webメディアです。2018年4月にスタートを切ったONTOMOは、映画やアート、文学やサブカル、衣食住など、さまざまなテーマとクラシックをかけ合わせ、新たなクラシック音楽の価値や愉しみ方を紹介しています。
それまで運営してきた会員制Webサイトのリニューアルに端を発したプロジェクトは、改めて要件を定義した結果、新メディアの構築に方針を転換。組織を横断して行ったワークショップで得られたインサイトを元に、これまでの顧客だけではない、新しいターゲットに向けた情報の提供が決まりました。
目指したのは、ユーザー一人ひとりに対する音楽の愉しみ方の提案ができるWebメディアです。
プロジェクト概要
支援内容
・戦略策定
・要件定義
・VI設計開発
・Webサイト設計・開発
・サービスコンセプトの作成
・Webサイト制作・VI設計開発
・メディア名・タグライン策定
・Webサイト用ビジュアル撮影
・編集方針策定
体制
・クライアント:株式会社音楽之友社
・プロデューサー:柏木 鉄也
・プロジェクトマネジメント:渡邉 多恵子
・クリエイティブディレクション:北島 識子
・ワークショップファシリテーション:室 諭志
・テクニカルディレクション:藤田 健介、大森 誠
・アートディレクション/ロゴVI/Webデザイン:PRESENT 宇都宮 勝晃
・メディアプランニング:株式会社Camp 横田 大
・コーディング/テンプレート開発:原國 政司、川満 尚生
・写真撮影:岩本 良介
Outputs
VI
毎日に触れるより日常的なメディアでありたい、という願いから、「音楽と○○」「音友と○○」という親しみやすい文脈づくりに着目。音楽とユーザーをつなぐ、「と」を視覚化し、記号化しています。音楽っていいなぁ、を毎日に。というタグラインと世界観を統一し、Webサイトのロゴは曜日によって変化していきます。
Webメディア ONTOMO
音楽への興味の入り口は人それぞれ。ダンスからくる人もいれば、文学からくる人もいます。そんな様々な興味の入り口からコンテンツに到達したユーザーが、記事にふれることで、新しい音楽の愉しみ方と出会える内容になっています。
「ニュース主体のメディア」ではなく「読みもの主体のメディア」であることが、デザインをから感じられることを最上位のデザイン要件として設定しています。加えて、親しみやすいだけでなく、音楽之友社が積み上げてきた歴史と信頼感を表現するために、堂々と、シンプルに組み上げ王道さや安定感を醸成しています。
関連リンク
エディトリアルポリシー
戦略策定、要件定義を経て明らかになったターゲット、そして記事を作成する編集部員の両者に向けた編集方針を策定。ターゲットに向けてはONTOMOの楽しみ方を、編集部員にむけては想定のペルソナに加え、言葉の選び方や、文字数などレギュレーションも規定しています。
Process
ブレのないコンセプトによる一貫したコミュニケーション設計
既存のWebサイトをリニューアルするのか、新しいサイトを作るのか。誰に何をどんな方法で伝えるべきか、改めて考えるところからプロジェクトはスタート。手法として選択したのはワークショップでした。音楽之友社の強みや、求められるニーズの整理。そしてサービスのアイデア抽出をワークショプで実施し、コアコンセプトとして明確にしていきました。
ワークショップで抽出されたインサイト(※1)から1: ハードルを下げる、2: 価値を提案する、3: 利便性をあげるの3つの仮説を立案。コアコンセプトを、クラシック音楽の楽しみ方が多様化し様々な関わり方でクラシックを楽しめる世界に絞りこみました。
※1インサイト(Insight):消費者の行動や思惑の背景にある意識。「購買意欲の核心」など。
コアコンセプトを明確にすることで、企画・設計フェーズでの編集方針策定やデザインフェーズでのクリエイティブコンセプトの策定でも、新メディアONTOMOのブレのない基準として、サイト全体のコミュニケーションを形成しています。
メディア名とタグラインの決定もワークショップを活用
動物&家電カードを利用し、今回のメディアをイメージした時に思い浮かぶ家電と動物を共有しあいながら、ぼんやりと各自が持っていたイメージを具体に落とし込んでいます。
ベーシックで拡張性のあるメディアサイトの設計と開発
サイトの運用には、スモールスタートしやすく会員機能などの拡張性に優れた、オープンソースのCMSを提案し導入しています。
また、サイトのコンセプトに合わせ、テーマを軸に一定の規律をもって運用できるテンプレートを開発しています。関連する記事や、広告など、テーマ毎に運用しやすい仕組みを実装しました。さらに関連リンクなどは自動追加を基本としつつも、手動設定にも対応し、規律に加え、運用の自由度も確保しています。
Member
メンバーズボイス
“クラシック音楽って聴いてみるとすごく感動的な心持ちになるけれど、だからといって専門誌/書籍を読むのは敷居が高いな、と思っている方が意外と多いことを痛感する。
それをWebメディアで解消したい、愉しんでもらいたい、そんな気持ちを原点にして取り組んだのが、今春からスタートした「ONTOMO」。ロフトワーク提案のワークショップが全社の意見を活発にし、スタッフも納得のうえでオープンできた。
日々編集スタッフが総力を挙げてさまざま視点からクラシックの世界、それに類する世界に切り込んでゆく。傍観的に見る、読むだけではなく、イベントやSNSを通してユーザーにもどんどん参加、拡散してもらい、クラシックのすそ野を広げ、究極的には音楽之友社の刊行物も手に取って愉しんでもらえるようにしたい。
聴く喜びを一人でも多くの方に知ってもらい、クラシック音楽がもっともっと大衆の喜びの器になることを願って、取り組みにまい進してゆきたい。
Rome was not built in a single day!”
株式会社音楽之友社 常務取締役 大谷 隆夫
“どんな企画のサイトにすれば、事業目的が達成できるのかーー当初は、Webでの可能性の大きさに、私自身も方向性に迷っていました。
そんななか、ロフトワークさんにはプロジェクトの進め方を明確に示していただき、ワークショップでは全部署の参加スタッフが意見を出しやすいユニークな方法で主導、何より、通常業務と並行して進められるよう、渡邉さんをリーダーとしてテキパキとまとめてくださったことに大変感謝しています。
ロフトワークさんのプロジェクトメンバーのキャラクターも多彩で、それが多様な視点から考えをめぐらせて最善を選択することにつながったように思います。
おかげさまで、ONTOMOのスタートは概ね好評をいただいております。一方で運用の大事さも猛烈に実感。クラシックの専門出版社として、どのように成長させられるか、引き続き、見守っていただければうれしく思います。”
株式会社音楽之友社 編集部 Web企画編集室 室長 和田響子
“当初はどのように取り組めば良いのか悩みながら手探りしながらのワークショップと提案になりました。提案する前に和田さんにこっそりこれで提案して良いのか?と相談したり。
それでも一度コンセプトが決まってからは大きくブレる事はなく、和田さんをはじめ音楽之友社の皆さま、クリエイターの皆様、ロフトワークメンバーの力も借りて、みんなで同じ方向をむいて一緒に考えて、少しずつ形にできたと考えております。メディアサイトはローンチしてからが本当のスタートですので、これからはメディア本体だけでない、他メディアやリアルとの連携等を考えていきたいと思います。”
株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 渡邉 多恵子
“プロジェクトで一番印象的だったのは、部署横断ワークショップと編集会議で、これからのクラシック・音楽を伝えて行くために、音楽之友社は何が出来るだろう?クラシックの入り口として、読者の方は何に興味を持ってくれるだろうか?という投げかけに対して、友社のみなさん、メンバーのみなさんが目を輝かせながらたくさんのアイデアを出してくれていたところでした。
コンセプトやアウトプットの答えは、言語化出来ていないだけでチームやメンバー中にすでにある、というのはよくあることですが、その体現のようなプロジェクトだったのかなと思います。”
株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 北島 識子
“みなさんは普段クラシックを聴きますか?
普段なじみのない分野のプロジェクトで、未知の部分は多かったですが、ワークショップや打ち合わせを重ねる中で、自分自身もクラシックの面白さを体感することができました。百聞は一見にしかず、ということでロフトワークメンバーでクラシックイベントに出かけたり……。
今回のプロジェクトでは、音楽之友社のみなさまが持つ、新しい切り口や伝え方の工夫を持ち寄り、再編集することで、良い意味でこれまで「クラシックらしい」とされていたトーンから少しはずれた仕上がりになっているのではないでしょうか。
やさしく、読みやすいサイトですので、みなさんがクラシックに興味を持つきっかけになってくれると嬉しいです。”
株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 室 諭志
“負荷が予め予測できるサイトでは、サーバーのスペックを計算しやすいですが、メディアサイトは記事によって大きく波ができます。ONTOMOには突発的なアクセス増加に備えて、CDNを提案し導入しています。コストを抑えながらも、急激なアクセスの増加にも対応していますので、安定して運用ができます。”
株式会社ロフトワーク テクニカルディレクター 藤田 健介
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