石垣市役所 「旅」の体験を新しくデザイン

Outline

年間100万人以上が訪れる人気観光地、石垣島。「大切な環境を維持したまま、みんなから愛され続ける場所でいられるだろうか。」という問いからスタートし、これまで2年間にわたり、石垣島の魅力を外部目線から再発見し、発信するUSIO DESIGN PROJECTを実施してきました。最後の年となった3年目のテーマは「再編集」。地元の編集者の協力のもと、これまで再発見してきた石垣島の魅力を、国内外より多くの旅行者へ伝えるため、Webサイトと冊子にまとめました。

石垣島へ訪れた旅行者へ新たな「旅の視点」を提供し、一過性ではなく、島の魅力がずっと発見され続ける仕組作りに挑戦した、「地域×デザイン」プロジェクトです。

Outputs

体験にフォーカスしたWebサイト「ISHIGAKI NOW」

ISHIGAKI NOW - 石垣島らしさを感じる体験・観光スポット情報 - Webサイト

詳細

島にいる人が、島を感じるWebサイト

観光地である石垣島の情報は、ガイドブックやWebサイトが既に数多く存在しています。ISHIGAKI NOWが目指したのは、スタンプラリーのようにガイドブックに載っている点を巡るのではなく、その場所でどんな風にどんな視点で過ごすのが石垣島らしいのかを一般旅行者に届けることです。

島内の無料Wi-Fiのエントランス画面からの誘導や、Webサイト訪問の時間帯に合わせたお薦めコンテンツの表示など、その瞬間瞬間で、新たな石垣島らしさを感じるための視点を得てもらい、より深く石垣島を体験してもらうことを目的としています。

Webサイト左上のエリアには、ライブ感の演出として、現在の気象情報や月齢情報を表示。特に月齢は月の満ち欠けが生活に密接に結びつく石垣島ならではの営みを表現するために、APIで取得し、リアルタイムに更新されます。

多様な目線をもったプロフェッショナルな編集チーム

プロジェクトを通じてのキーワードとなっていた「多様性」「外部視点」に沿ってクリエイターチームを結成。外国人の視点や旅人の視点として、「地上で読む機内誌」をコンセプトにした雑誌『PAPERSKY』編集長のルーカス氏や、石垣島内の視点として、島内に編集部を置く雑誌『モモト』のライター松島由布子氏、アジアからの観光客のインバウンドに造詣が深い北海道のディレクション&制作チーム「Gear8」と取り組みました。国内外の様々な魅力を発信してきた経験をもとに、1週間で50記事の現地取材を行いました。

繁体中文での情報発信。台湾へのラブコール

沖縄本島よりも台湾に近い石垣島には、年間25万人以上の台湾人観光客が訪れます。昔から文化的な交流も多い台湾からの旅行者にも、より深く石垣島を知ってもらうために、全てのコンテンツを英語ではなく繁体中文でも展開しています。

誰もが無料で使える写真ライブラリー

3年間のプロジェクトで撮りためた中から厳選した400枚の写真を再編集し、CC(クリエイティブ・コモンズライセンス)で公開するフォトライブラリーを用意しました。色や場所、カテゴリーなど様々な条件で検索を可能にし、島内外からの情報発信の際に誰もが使える素材として提供。また、石垣市観光文化課が外部からの問い合わせに応じて活用する広報ツールとしても想定しています。

「今」石垣島にいる人のための観光ガイドブック ISIGAKI NOW / journal

本当の石垣島を「旅の発着点」で知る。

石垣島を訪れた旅行者が、いわゆる名所だけを足早にまわるような旅をするのではなく、その場の空気やストーリーをじっくり味わう視点を提供するために、新たに紙冊子の「ISHIGAKINOW / journal」を発行しました。旅の出発点での気付きを提供するために、空港や港、ホテルなどで配布しています。

さらに、島内を旅するときにもカバンに入れやすいサイズ感と島内で撮影した色鮮やかな写真を起用し、情報誌ではなく写真集をイメージしたシンプルなデザインは、様々なリーフレットが置かれた観光案内所でも、一目見た瞬間に手に取りたくなる効果を狙っています。持って帰りたくなるクオリティーを追求することで、旅が終わっても周りの友人や家族への波及効果も期待しています。もちろんWebサイト同様、記事はすべて繁体中文が併記されています。

持続可能性へのアプローチ

CCで無料公開した写真のライブラリは、個人や法人を問わずプロジェクト終了後も写真が利用してもらえる仕組みです。外部サービスであるflickrと連携することで、クライアントである石垣市役所が今後も継続的に写真を追加することも可能です。

また記事コンテンツは、地元の雑誌編集部である「モモト編集部」と共同で制作しているため、ロフトワークがプロジェクトを離れても島内だけで新たな記事を作り続けることが可能になっています。

頻繁にWebサイトの更新ができなくても、Instagramのハッシュタグ(#ishigakinow)を読み込んで表示させることにより、石垣島の「今」がリアルタイムに届けられる仕組みになっています。

ISHIGAKINOWのWebサイトやISHIGAKINOW / journal(冊子)で実施された多くのアクションは、プロジェクト自体が終わりを迎えた後も、無理のないペースで継続することができるなど、持続が可能であることを強く意識してデザインしています。

ディレクターインタビュー

プロジェクトの終わらせ方に挑戦した3年目のUSIO Design Project

インタビューの詳細

Impact

受賞歴

1. 日本タイポグラフィ年鑑 2015 入選
(パッケージ部門,ロゴタイプ・シンボルマーク部門)[玄米乳]
2. 日本パッケージデザイン大賞 2015 入選 (一般飲料部門)[玄米乳]
3. 日本パッケージデザイン大賞 2015 入選 (食品部門)[あんまぁーのアンダーミシュ]
4. 日本パッケージデザイン大賞 2015 入選 (一般飲料部門)[庭のハーブティ]
5. 離島フェア 2014 沖縄県優良特産品 [にごり黒糖ジンジャーシロップ]
6. NY Type Directors Club年鑑2015 入選 [玄米乳]

32

メディア掲載数

ニュース・一般紙 32
海外メディア 7
国内デザイン系メディア 10

Member

翁長 隼大

翁長 隼大

石垣市役所
企画部観光文化スポーツ局観光文化課

小笹 俊太郎

小笹 俊太郎

石垣市役所
台北駐在員

寺井 翔茉

株式会社ロフトワーク
京都ブランチ事業責任者

Profile

メンバーズボイス

“寺井さんを空港で迎えるなり、山に登らせたり、崖を下らせたりと、ハードな島めぐりの記憶が色濃く焼き付いています。

1年目の小笹さんから受け継いだUSIO Design Project。ゼロからコトを起こすことの大変さを味わうことができました。10数年あまりをシステムエンジニアとして、動くか、動かないか、白黒はっきりした世界にいた私が、正解のないことを想像して仮定して、これで行こう!と決めた、2年目、そして3年目のUSIO Design Project。私にとっては、とても大きな挑戦でした。

外部目線を取り入れて、島の魅力を再発見する本プロジェクトを通して、今、私たちに足りないもの、これからやってみたいことが見えてきました。いつも隣にいたUSIOメンバーの存在はとても心強かったです。

3年目の取材で、寺井さんが言った言葉がずっと残っています。プロジェクトってその人の個性が出てくるものですよ。小笹さんは小笹さんの、翁長さんは翁長さんの色が出てくるんです。小笹さんなら絶対山に行かないし、崖も下らないし、自転車にも乗らなかった。そんな風にプロジェクトの端々にその人の個性が出てくるもんなんです。

この言葉を聞いて、小笹さんだったら〜と心のどこかにあった、小笹さん目線から一歩前に進めた気がしました。3年目、私たちUSIO Design Projectは、冊子を作りました。日本語と台湾で使われている繁体字の2か国語で。
ステキな写真の数々と味わいのある手触り感。これぞUSIOテイスト。その美しさのあまり、私は、冊子を数冊取り、職場内を周りました。冊子の出来栄えを自慢しに。一番嬉しかった感想は、私たちはこんなに素晴らしい島に住んでいるんですね〜というコメントでした。中にいると忘れてしまいがちな島の魅力。それを再発見することが、USIO Design Project。このプロジェクトは、大成功でした。

そして、公募から4年目の2016年夏には、紅いもパイ、ツナフレークの販売が開始され、これで10アイテムすべてが日の目を見ることができました。270km西の小笹さん、2,000km北の寺井さんも大変苦労したことと思うと同時にその分、歓びも一入だと思います。石垣島、台湾、そして東京。今は離れ離れではあるものの、そこがまた新たな潮のきっかけにもつながるかなあとぼんやり思っているのです。”

石垣市役所企画部観光文化スポーツ局観光文化課 翁長 隼大

“いま僕は台北で仕事をしていますが、このプロジェクトがキッカケになったとも言えると思います。僕ら石垣島にとっては、那覇よりも近い “おとなりの台湾” からの視点は、プロジェクト第1弾から大切にしてきました。

USIO Design Project からうまれたプロダクト、ISHIGAKI NOWで再編集された石垣島の物語も、台湾の皆さまからとても興味を持ってもらっています。

台北の人気店 “好丘” で特集コーナーを設けてもらったり、台湾の地方政府からプロジェクトのプロセスなどについてお問合せを頂いたりもしました。単純に“旅行地”という対象としての興味ではなく、いろいろな角度から気持ちを寄せてもらう事ができたと感じています。

ロフトワークさんとは、とてもワクワクお仕事できました。
変な言い方ですが、同じチームという感じで、一緒にいろんなチャレンジができたと思っています。カラフルかつ聡明、そしてフレンドリー。理想的です。
非常感謝★”

石垣市役所台北駐在員 小笹 俊太郎