Exofood Thailand PROJECT

パラメトリックデザイン×昆虫食
バンコクデザインウィークでコース料理を提供

Background

フード3Dプリンティングで昆虫食への抵抗感を払拭する

3Dプリンターの進化は2000年代初頭に始まりましたが、食品を「印刷」する時代はまだ始まったばかりです。新しい技術の普及には、ユニークな課題や未開拓の領域、そして新たな可能性が広がっています。現在、チョコレートやチーズといった素材はフードプリントの主要素材となっていますが、炭素排出量が少なくタンパク質が豊富な素材を活用したらどうなるでしょうか。

バンコクデザインウィーク2022において、FabCafeバンコクチームはExofood Thailandと提携し、3Dプリントやパラメトリックデザイン(アルゴリズムを活用したデザイン手法)によってさまざまな昆虫を素材として活用したコースメニューをキュレーション、「Inno.Ento.Food」というプロジェクトとして実施しました。

昆虫料理のタブーを破り、3Dプリント料理の栄養価値を向上させる

Inno.Ento.Foodプロジェクトでは、食用昆虫業界と食品3Dプリンター業界が現在直面している複数の課題を解決するため、コラボレーションメニューの開発と料理人との調理方法の実験を実施しました。

まず第一に、昆虫を食べることに抵抗がある人でも楽しめる、食欲をそそる料理のラインナップを設計することを目指しました。そして、3Dプリンターの熱で失われやすい素材の栄養や風味をいかに残すかを追求しました。

FabCafe Bangkokは、昆虫の料理への応用をよりモダンでスタイリッシュな手法で広げることで、循環型なフードエコシステムを支援し、誰もが利用できる手頃で美味しく健康的な食事の選択肢を増やすことを目指しました。

Exofood Thailandのチームと、料理人のHapakorn "Chef Pong" Shinawasiさんとメニューについて議論するFabCafeバンコクチーム

Output

五感で楽しむ、美しく香ばしい昆虫メニュー

FabCafeとExofoodは、前菜2品、メインディッシュ、デザートの4品からなる昆虫食を提供し、体験者からフィードバックを集めるプロジェクト「Inno.Ento.Food」を実施しました。また、FabCafeのSamustpon TanapantとJetsada Wondwancharoenは、パラメトリックデザインとデジタルファブリケーションツールを使用して、視覚に訴えるプレートと心地よい食感をデザイン、Bangkok Design Week 2022のゲストから高評価を受けました。実際に提供された料理は以下のとおり。

スターター|ルアン・プエン・オアン・ヤン・バイ・トイ(パンダンハニーコムのロースト)
前菜|ヤムサラダ・カイモッデーン(酸っぱくて辛いアリの卵のサラダ)
メインディッシュ|カオ・ナ・マングダ・サム・ジー(田んぼ、ダイオウグソクムシ、3匹の昆虫)
デザート|カティアイスクリーム(ヤシガニで作ったココナッツ風味のタイ風アイスクリーム)

2時間の体験を通して、参加者は各コースをゆっくりと楽しみ、写真を撮り、感想をクリエイティブチームに伝えました。今後は、今回のフィードバックを踏まえ、各レシピをさらに改良し、より多くの方に楽しんでいただけるような新しい昆虫食を探求していく予定です。

参加者の評価を集めたココナッツ風味のアイスクリーム。タイの伝統的なレシピにヒントを得て、ココナッツの香りを放つよう特別な餌を与えたオーガニックのヤシゾウムシを使用しました。

Key Points

栄養価や風味の担保など、3Dプリンター未解決の課題に向き合う

FabCafe Bangkokでは、4種類のコース料理とは別に、Exofood社と共同で、昆虫の粉末をすり潰し、水と米を混ぜたクラッカーを開発しました。試行錯誤の末、ベースとなる食材のタンパク質含有量やその他の栄養成分を維持するための新しい方法を研究。また、昆虫の羽の模様にヒントを得てクラッカーの構造をデザインし、3Dプリンターで味を再現。通常のクラッカーに代わる、ヘルシーで食べ応えのあるクラッカーの開発にチャレンジしています。

3Dプリンターで作られた昆虫粉末ベースのクラッカー

持続可能な食の生態系を支える

Exofoodが昆虫の養殖を始めたのは、彼らの持つ有機農園のそれまでのサイクルを変えるための方法としてでした。昆虫は、動物や人間の食物として食べるだけでなく、耕作地の自然な害虫駆除に利用したり、無農薬の肥料にしたりすることができます。昆虫は栄養価が高いだけでなく、飼料や水、エネルギー、土地の使用量が少なく、環境汚染物質の発生も大幅に少ない。

FabCafe BangkokがExofoodにコンタクトを取ったのは、チームが以前からパラメトリックデザインやデジタルツールを、食の生態系や食体験の改善に応用することに関心を持っていたからです。さらに、昆虫は長い間タイの美食に欠かせない存在でしたが、一般の人々が昆虫を不衛生な風習だと考えるようになったため、その人気は歴史的に低くなっているという状況もありました。FabCafe Bangkokは、この継続的なコラボレーションを通じて、地元の食文化を尊重し、フードデザインの地平を広げ、環境に優しい食品加工と消費システムに貢献することを目指します。

FabCafeバンコク、Exofood、調理スタッフ、参加者の集合写真

こんな課題はお気軽に相談ください

ロフトワーク/FabCafeグローバルチームでは、領域を横断した食の実験を展開しています。以下のような方はお気軽にご連絡ください。

  • 3Dフードプリンティングの実験に興味のあるシェフやフードビジネスのオーナーの方
  • 3Dプリント素材にしたい材料や食材をお持ちの食品サプライヤーの方
  • アイスクリームやその他の冷たい料理など、3Dコールドプリンティングを食品に適用させる方法の探究に興味がある方
  • 食品関連の製品やサービスのプロトタイプを開発し、FabCafeのコミュニティと一緒に検証したい方

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お問い合わせ

プロジェクト概要

クライアント: Exofood Thailand
スポンサー:Green Water
プロジェクト期間:2021年12月~2022年2月
メンバー:Kalaya Kovidvisith(FabCafe Bangkok ディレクター)、Samustpon Tanapant(FabCafe Bangkok、パラメトリックデザイン担当)、Jetsada Wondwancharoen(FabCafe Bangkok、パラメトリックデザイン担当)、Athivach Pongsattasin(Exofood Thailand)、Chonticha Sujitalom(Exofood Thailand), Charee Boonyavinij (Exofood Thailand), Aviruth Thawansakvudhi, (Exofood Thailand), Thapakorn Shinawasi (料理長), Rojjanapol Limsumungkongul (オペレーティングシェフ), Trenat Boonyavinij (副料理長), Fakram Buasai (食品加工) Dittapong Chutichaiwirath (撮影).

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