パナソニック株式会社 PROJECT

3つのプロトタイプを開発・実証試験。
スマートタウンの暮らしに価値を与え続ける
サービスデザインプロジェクト「LIFE RELAY」

Outline

ソリューションドリブンからユーザードリブンのアプローチへシフト

先進的な街・暮らしを提案するべく開発された神奈川県藤沢市のスマートタウン、『Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)』(以下FSST)。街の開発が価値のゴールではなく、その街に暮らす住民の生涯において発展的に価値を与え続けるためには、どのようなサービスが必要なのでしょうか。

パナソニックのデジタルマーケティング推進室とロフトワークは、テクノロジー/ソリューションドリブンではなく、ユーザードリブンのアプローチから、新たなサービスをデザインするプロジェクトを展開。3つのプロトタイプを制作し、実際にFSSTの街で住民への実証試験を行いました。

プロジェクト概要

プロジェクト名:
LIFE RELAY

支援内容:

  • デザインリサーチを通じた機会領域の発見およびエキスパートインタビュー
  • サービスデザイン(アイデア〜プロトタイピング〜ユーザーテスト)
  • 街での実証試験
  • コンセプトムービー制作

プロジェクト体制:
クライアント:パナソニックデジタルマーケティング推進室
プロデューサー:柳川雄飛
プロジェクトマネージャー:原亮介
プロジェクトメンバー:多田麻央、加藤修平、永谷聡基、小檜山諒、加藤大雅、金子由
アドバイザー:土谷貞雄(株式会社貞雄代表)、飯盛義徳(慶應義塾大学総合政策学部教授)、石川初(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科/環境情報学部 教授)、三浦展(カルチャースタディーズ研究所)、竹内幹(一橋大学大学院経済学研究科准教授)

イラストレーション:2yang
プロジェクトロゴ、サービスプロトタイピング第2弾アートワーク:WHW!
サービスプロトタイピング第1弾:Studio PLAYFOOL
サービスプロトタイピング第2弾:深津 康幸(know Inc.)、石井 卓也(monotrum / ADDReC)Sound Engineer: 高橋 琢哉(Oyster Inc.)、Speaker App Engineer: 君塚 史高
コンテンツムービー:野中聡紀
コンテンツ提供:住民、近隣住民の方々

Challenge

XSサイズのニーズからXLサイズの価値へ

舞台は、パナソニックが中心となって開発を行い、100年続くサスティナブルな街づくりを目指し、2014年に誕生した神奈川県藤沢市のスマートタウン、Fujisawa SST(建設中のマンションを含めると約1,000世帯もの住民が暮らす街へとスケールする)。各住宅にはパナソニックの製品を完備。住民同意のもと、家電を中心に様々なデータが取得・アーカイブされ、IoTサービスへの活用などが検討されていました。

本プロジェクトのキックオフ当時(2018年4月)のイシューは、FSSTで取得できている各種データを活用していかに新たなサービスを創出するか?というものでした。しかし、それではユーザーである実際に住んでいる住民不在のサービスデザインになり、これまでのソリューションドリブンの発想から抜け出せないことを懸念。住民はどんな暮らしを望んでいるのか?というユーザードリブンのイシューに変換し、リサーチからプロジェクトをスタート。「XS」「LTV」「未知の価値」という3つ
のサービスデザイン思想を立てて、住民個人のニーズから街スケールのXLまで、いかにスケーラビリティのあるサービスができるかのチャレンジが始まりました。

Process

Phase1「DESIGN RESEARCH」

発見されたのは、新たな暮らし、住民同士のつながりを渇望するものの、行動できずにいるジレンマ

リサーチフェーズの目的を機会領域発見と位置づけ、驚くべきインサイト(洞察)を得るべく、居住年数の異なるFSST住民7世帯14名と、FSST外の近隣に住む住民3世帯を対象に、インタビューと参与観察を実施。収集した情報から6つのユーザータイプと機会領域を導出しました。大きな発見は、“みんなとの新しい暮らし”“みんなでの新しい街づくり”といった住民同士のつながりを望むものの、行動できずにいる、自分らしくあれずにいるジレンマを抱えていたこと。課題レベルの困りごとはほとんどなく、より幸福度の高いライフスタイルを求めるウェルビーイングな志向も見えてきました。

Phase2「SERVICE DESIGN」

サービスのコンセプトは、みんなができることが増える街/サービス

「サービスデザイン」においては、6つの機会領域ベースに、暮らし・街づくり・行動心理の専門家へのインタビューやワークショップを行うことで、具体的なサービスアイデアに組み上げていきました。コンセプトを「みんなができることが増える街/サービス」とし、住民同士が共同労働を通じて、暮らしのスキルを増やしていくという新しいサステナブルのかたちをサービス企画。Studio PLAYFOOLとともにダーディプロトタイプを制作、 一部の住民へのテストも行い、ポジティブな反応を得ることができました。しかし、実際のサービスとして実現するにあたっては、スケーラビリティが検討事項となり、Phase3「プロトタイピング&テスト」を実施し、サービスをさらにブラッシュアップするとともに、より多くの住民を対象に価値検証を実施する運びとなりました。

Phase3「PROTOTYPING&USER TEST」

ライフラインデータではなくライフスタイルデータを取得・活用したサービス群「LIFE RELAY」

Phase2で設定したコンセプト「みんなができることが増える街/サービス」、サービスのアイデアであるシェア倉庫サービス兼暮らしのコワーキング「Co-Lifestyle-Trunk」をブラッシュアップするワークショップを実施。結果、サービスコンセプトは「データを活用し、みんなでできるウェルビーイングな暮らし方を増やしていく」にアップデートされ、あらゆる暮らしのデータが取得可能なポテンシャルを持つFSSTらしいコンセプトに昇華しました。サービス群およびプロジェクト名を「LIFE RELAY」とし、ライフスタイルのデータを活用し住民同士のコミュニティ形成に寄与する3つのサービスをプロトタイピング。

  1. くらしのレシピとモノのシェアリングサービス「「Well-Being Recipe」
  2. 街の情報を教えてくれるスマートスピーカー「TOWN SPEAKER」
  3. 写真・音声・動画で家族のくらしを記録する「LIFELOG STUDIO」
サービス内のコンテンツは、住民および近隣住民とともに作り込み、FSST敷地内にある「KURA_THINK」とコンテナハウスに体験型の展示を行い、3週に渡って実証試験を実施しました。
実証試験にて、住民に一定の評価を得た同プロジェクト。今後実サービスへの実現に向け、パートナーを得るためにコンセプトムービーを制作も実施しました。

プロジェクトムービー

Member

原 亮介

株式会社ロフトワーク
MVMNTユニットリーダー

Profile

柳川 雄飛

柳川 雄飛

多田 麻央

株式会社ロフトワーク
シニアディレクター

Profile

加藤 修平

加藤 修平

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

小檜山 諒

小檜山 諒

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

加藤 大雅

加藤 大雅

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

金子 由

金子 由

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Keywords

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“うめきた再開発”の一手。グラングリーン大阪「JAM BASE」
地域と共に歩むためのブランド策定・コミュニティ醸成