京都精華大学 PROJECT

これからのオンラインコミュニケーション戦略とは?
答えのない問いに「対話」で答えるWebサイト

Outline

Webサイトは「対話」のためのツール

1968年の開学以来、表現の総合大学として歩んできた京都精華大学。日本で唯一の「マンガ学部」をはじめユニークな教育プログラムを持ちながらも、若年層の減少に伴って激化する私立大学市場の中で、一部の学部では出願者数・入学者数が減少傾向にありました。
この状況のもと、京都精華大学は2021年度に大幅な学部改組を行い、最新の学びのトレンドを織り込んだ「メディア表現学部」「国際文化学部」の新設2学部を柱として、新たな受験生の獲得を目指した広報活動を展開することになりました。
学部改組に伴う入試広報戦略上のニーズに加え、既存CMSの老朽化に伴う様々な運用課題を解決するため、Webサイトリニューアルプロジェクトが発足しました。

多角的なリサーチから導きだしたコンセプトは「対話(Dialogue)」
Webサイトを従来型の「情報発信」だけのツールではなく、「対話のためのツール」と位置づけ、プロジェクトを展開しました。
新サイトでは『話そう、セイカと。』と題したオープンQ&Aをメインコンテンツに据え、「対話する大学」としての姿勢を伝えています。

プロジェクト概要

  • 支援内容
    Webサイトリニューアル
    (プロジェクトマネジメント、企画・要件定義、サイト設計・情報設計、写真撮影、デザイン/コーディング、CMS[WebRelease2]テンプレート開発コンテンツ移行)
  • プロジェクト期間
    2019年5月〜2020年3月
  • プロジェクトメンバー
    クライアント:学校法人京都精華大学 
    プロデューサー:藤原 里美
    プロジェクトマネージャー:入谷 聡
    ディレクター:堤 大樹、圓 史也、長野 彩乃
    テクニカルディレクター:伊藤 友美、小野村 香里
    デザイン制作・アートディレクション:SAFARI inc.
    開発:株式会社ネクストページ

Outputs

京都精華大学Webサイト

デザインと担当したのはSAFARI inc.。分解された様々な図形を多様性と捉え、その断片を組み合わせることで、コンセプトである「対話」を表現しています。

Process

プロトタイピングプロセスを活用したコンテンツ開発

資料請求数を伸ばす=高校生に興味を持ってもらい、出願意欲を刺激するために、Webサイトで何をするべきなのか?
企画検討段階では、学長はじめ経営陣・広報メンバー・高校生へなど、多様な関係者への入念なインタビューを行いました。
リサーチを通じての気づきは、京都精華大学がターゲットとする高校生の大学選びを支援するためには、大学側からの一方的な情報提供(Monologue)では十分ではなく、個々人の状況を聴き、フラットな目線でこたえていく対話(Dialogue)こそが必要であるということ
「人間尊重」「自由自治」を掲げ、多様性・ダイバーシティを重視する京都精華大学では、オープンキャンパスを筆頭に、進学相談会や卒業・修了発表展など、高校生が参加できる対話の場はすでに多く用意されており、日常的に「対話」が行われていました。これこそが京都精華大学らしい特色であると考え、Webサイトの企画方針としてはもちろん、広報活動全体の戦略コンセプトも見据え、『対話(Dialogue)』というコンセプトを設定しました。

オープンQ&A・プロトタイピングプロセス

オンラインでの「開かれた対話」を試みる仕掛けが、『話そう、セイカと。』と題したオープンQ&Aコンテンツです。高校生が大学へ行くことを考えたとき、いくつもの「答えのない問い」や「答えがひとつではない問い」に向き合うはず。それらの問いに、在学生や教職員が、それぞれの思いで答えています。

コンテンツ制作にあたっては、実際にオープンQ&Aが機能するかを検証するため、9月のオープンキャンパスを舞台にオフラインでのプロトタイピングプロセスを取り入れました。

1)学内に質問を投げかけ、回答を収集する

最初に学内に問いかける質問として『友だちって必要ですか?』を選定。学内(在学生・教職員)を対象に回答投稿を呼び掛け、無記名で100件を超える回答を得ました。中には2000字を超える論考もあり、回答内容としても多種多様な声が寄せられました。
回答はこちら

2)集まった回答をオープンキャンパスで展示する
すべての回答から抜粋したフレーズを展示物にまとめ、オープンキャンパス会場に展示しました。当日は展示ボードの前に立ち止まって見入る人もおり、また、学内向けのインナーブランディング効果も含めて、一定の手応えを得ることができました。

これらのプロセスを通じて、企画意図通り「問い」を投げかけて多数の回答が集められること、学内外の反響からコンテンツとしても有効であることが確認できました。最終的にWebサイトを公開した3月時点では、12本のQ&A記事を公開しました。各記事ページを起点として、高校生や保護者、在学生などから広く「問い」を募集する投稿フォームも設置されています。訪問者からの質問投稿も、徐々に増えつつあるとのことです。

オープンQ&A

Member

入谷 聡

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

藤原 里美

株式会社ロフトワーク
プロデューサー

Profile

圓城 史也

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

長野 彩乃

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

堤 大樹

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

伊藤 友美

株式会社ロフトワーク
テクニカルディレクター

Profile

小野村 香里

株式会社ロフトワーク
テクニカルディレクター

Profile

メンバーズボイス

“今回の京都精華大学のWebサイトリニューアルは「対話」という着地になりましたが、本プロジェクトを思い返すと、はじめから「対話」で始まっていたと感じます。
1年間のプロジェクトのうち、はじめの3カ月間はロフトワークの皆さんによるインタビューの時間でした。受験者数などの数値から大学の理念、個人的な大学への思いまで、ありとあらゆる大学の情報を集約し、「京都精華大学らしさ」とは何か、対話を通じて掘り下げていきました。そのプロセスを経たことで、共通した認識のもと具体的な構想設計の段階に進むことができ、その後の細かなご判断に対しても、すべて信頼を置いてお任せできたと感じています。
大学のWebサイトは、ターゲットや掲出する情報も多岐にわたり、どこに向かえばいいのか分からず困っていたところからの出発でしたが、「精華らしい」Webサイトに辿り着いたこと、とても嬉しく思います。入谷さんをはじめロフトワークの皆様、デザイン制作や開発チームの皆様、本当にありがとうございました。”

京都精華大学 広報グループ 植松 あおば

“今回のコンセプトである「対話」というキーワードは、京都精華大学に通っていた僕としてもしっくりきました。京都精華大学が対話や自由を尊重することで生徒の可能性を広げているように感じていたからかもしれません。
デザインとしましては、普通ではない「精華らしさ」を基盤にしつつ対話を視覚化したものが「タイポグラフィ」であると捉え、分解し再構築することで、新たな対話やカタチを構築、展開していくようなイメージで制作しました。
僕たちデザインチームが動きやすい健康的な土壌を作っていただいた京都精華大学の皆さま、ロフトワークの皆さま、開発チームの皆さまに感謝いたします。”

SAFARI inc. デザイナー 前田 悠樹
(京都精華大学ビジュアルデザイン学科グラフィックデザインコースOB)

“新サイト公開の翌週末、「WEBオーキャン」(コロナウイルスの影響で中止された春のオープンキャンパスに代わるプログラム)の映像を見ていました。公開質問会の中継では、学長のサコさんと3人の在学生が、高校生から寄せられた質問や、YouTubeLiveのコメント欄で随時投げかけられる質問に、一つずつ真摯に答えていました。この姿を見て、「対話」は、ほんとうに「精華らしい」入口なんだなとしみじみ感じました。ロフトワークのスコープは「Web制作」でしたが、大学広報の核となるツールとして、強力な基盤が作れたと自負しています。たくさんの高校生が、Webを入口に、京都精華大学と接点を持てることを願っています。”

ロフトワーク クリエイティブディレクター 入谷 聡

“大学サイトにおいて、本学サイトと受験生サイトが分かれていることはよくあることですが、受験生(ユーザー)にとって必要な情報が分散しているサイトも多くみられます。
今回のプロジェクトでは、受験生、在校生それぞれに用意されたコンテンツが双方にとって有益であると考え、本学サイト、受験生向けサイト、在校生向けサイトを統合し、1つのサイトとしてリニューアルしました。その結果、大学、在校生、受験生が「対話」できる精華らしいサイトができたと思います。今後も様々な対話を通して、Webサイトも育てていただければと思います。”

ロフトワーク プロデューサー 藤原 里美

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