学校法人 工学院大学 PROJECT

学生の“つくる力”をブランドに
工学院大学 共感うみだす広報戦術

Outline

工学院大学は、2019年11月、学園の魅力を伝える新しいチャレンジとして、子ども向け科学実験イベント『一夜かぎりの遊べる銭湯! おふろあそび2.0(以下、おふろあそび2.0)』を開催。その背景には、学生主体の創造活動「学生プロジェクト*」を通して、創造力豊かでチャレンジ精神溢れる在学生たちの取り組みを発信し、より一層、学内外から共感・支持される自学の姿を提示していきたいという大学広報の想いがありました。

2017年、同大学は学園広報誌を紙媒体からWebへとリニューアル。広報サイト『窓(mado)』を通じて、在学生・教職員に留まらず、保護者や卒業生、受験生など幅広い関係者に向けて、学園にまつわるトピックスを伝えています。

ロフトワークは、これまで同サイトの立ち上げと一部コンテンツの企画・制作を担当してきた経緯から、今回のプロジェクトにも参加。学生が企画・運営主体となった『おふろあそび2.0』のプロジェクト設計および運営サポートと、これらのプロセスを『窓』でオープンに伝える取り組みを支援しました。

* 「学生プロジェクト」…工学院大学で行われている学生グループ主体による理工学に関する創造活動で、同大学の建学の精神「社会・産業と最先端の学問を幅広くつなぐ 『工』の精神」を体現しています。学生たちが設計・製作したソーラーカーで世界No.1を狙うソーラーチームなど、計13の団体がそれぞれのテーマで活動中。

プロジェクト体制

クライアント:学校法人 工学院大学
共催:井草湯

プロジェクトメンバー(敬称略):

  • プロジェクトマネージャー:北尾 一真(株式会社ロフトワーク)
  • プロジェクトマネージャー、クリエイティブディレクター:伊藤 澪奈子(株式会社ロフトワーク)
  • クリエイティブディレクター:山田 麗音(株式会社ロフトワーク)
  • プロデューサー:浅見 和彦(株式会社ロフトワーク)
  • みつばちプロジェクト(工学院大学 学生プロジェクト)
  • Science Create Project(工学院大学 学生プロジェクト)
  • グラフィックデザイン、作品制作:CIVIL TOKYO
  • 作品制作:Afro&Co.、岩沢兄弟、水落 大

Process

今回のプロジェクトでは、学生プロジェクトの取り組みに光を当て、より多くの人に関心と共感を喚起することを目指しました。そのためのアプローチとして、「地域」「クリエイター」といった、学生にとって新しいステークホルダーを巻き込見ながら価値共創するプロセスに組み込みながら、プロジェクトを設計しました。

1. 学生の「やってみたい」をイベントのテーマに

今回のプロジェクトに参画したのは、入浴料「KUTE Honey In The Bath」をともに製作した『みつばちプロジェクト』と『Science Create Project』の2つの学生プロジェクトのメンバーたち。この入浴料でもっと面白いことができないか、ワークショップを通して考えました。

学生メンバーとロフトワークのメンバーがアイデアを出しあい、「子ども」「科学実験」「エンターテイメント」「お風呂」というキーワードから、「科学実験によってお風呂遊びはアップデートできるか」を活動テーマとして設定しました。

学生プロジェクトメンバーとのアイディエーションの様子

2. 地域の銭湯「井草湯」、そしてクリエイターとコラボレーション

イベントを実現するためには、イベントのコンセプトや取り組みそのものに対して共感し、前向きに場を提供してくれるパートナーの存在が不可欠でした。今回、プロジェクトチームは場としての「銭湯」に着眼。普段は遊んではいけない「銭湯」でイベントを開催することができれば、子どもたちに特別な体験を提供できるのではないかと考えました。

都内のさまざまな銭湯に協力要請をした結果、杉並区の「井草湯」が快諾してくれました。地域コミュニティに深く根ざしている「井草湯」の積極的な協力により、利用客の口コミを通じて、地元の多くの小学生たちにイベントを知らせることができました。

さらに、イベントに参加する親子に向けて「おふろ遊び×テクノロジー」による特別な体験を提供するために、学生たちがクリエイターと協働しながら「生きたクリエイティブ」を学ぶプロセスを取り入れました。

学生チームとクリエイターチームはそれぞれ独立して作品制作を進めながらも、途中で実施された銭湯「井草湯」での現地リサーチや、アイディエーションワークなどで場やアイデアを共有。学生たちは、クリエイティブのプロフェッショナルたちから刺激を受けながら、自らが作り出す体験の品質をブラッシュアップしていきました。

3. 学生たちのチャレンジを、環境と雰囲気づくりでバックアップ

学生メンバーは作品制作のみならず、イベント運営や広報活動にも主体的にコミット。学生が本来持っている創造力と自走力を最大限に活かすために、スケジュール管理とリスクマネジメントはロフトワークがフォローを行いました。

それぞれの進捗はチャットアプリ「Slack」で把握。学生の意志を尊重しながらも、困り事や相談が発生した際に気軽に頼れる環境と空気感を共有することで、学生メンバー自身がやりたいことに思い切りチャレンジできる土台を作りました。

Outputs

学生とクリエイターが共創した、「おふろ遊び×テクノロジー」体験

今回のプロジェクトではクリエイター4組とコラボレーションしました。クリエイターの人選は、クリエイターとのコラボレーション経験が豊富なロフトワークが担当。いずれも「遊び」というテーマに親和性が高く、かつテクノロジーを活かした体験設計を得意とするメンバーが参加。全員がイベントのコンセプトに深く共感し、意欲的に作品制作に取り組みました。

泡パⓇ ラボ(Afro&Co.+岩沢兄弟)
巨大シャボン玉(工学院大学 Science Create Project)
ぷかぷかかるた(CIVLI TOKYO)
光る水(工学院大学 みつばちプロジェクト)
ゆらゆら相撲(CIVLI TOKYO)
ダイラタンシー(工学院大学 Science Create Project)

「おふろあそび2.0」オリジナルVIとコミュニケーションツール

参加ターゲットである、地域の子どもとその保護者に「おもしろそう」と感じてもらうことを目指し、ロゴ、ビジュアルを起点に告知ツールと会場装飾をデザイン。ポスター、フライヤーのほか、サイン、カッティングシート、オリジナルグッズ(タオル)などを制作し、一貫した世界観を演出しました。

ポスター、フライヤーは、井草湯の他に地域のスーパーをはじめとした商店で展示・配布することで効果を発揮。親や子ども同士の間で話題となり、当日は予想をはるかに上回る300名以上の親子が集まりました。

デザイン:CIVIL TOKYO

『窓』プロジェクトレポート記事

学園広報サイト『窓』において、イベントの企画・準備から開催までの様子をドキュメンタリー記事として発信。同大学の建学の精神「社会・産業と最先端の学問を幅広くつなぐ 『工』の精神」が、学生たちの手でまた一つカタチになっていく様子を伝えています。

Voice

Client's Voice−学生の成長を促し、活躍機会を広げるきっかけに

工学院大学 総合企画部広報課長 佐野勇一郎 様
工学院大学 総合企画部広報課 樋口知美 様
工学院大学 学生支援部学生支援課 徳永正明 様
 
* 所属部署はプロジェクト実施当時。

−−今回のプロジェクトについて、特に印象的だったことを教えてください。

イベント当日は、想定していなかったほど多くの来場者にお越しいただき、各コンテンツの収容人数を超えてしまいお待ちいただく場面もありました。そんな時に、一列に並んでもらうためのガイドラインを引いたり、積極的に来場者に声かけをしたり、必要な場面では入場制限を行ったり、滑ってしまわないよう床を拭いたり……など、学生たち一人一人が、その場に応じて混乱を起こさないための適切な行動を取っていました。臨機応変な彼らの対応により、想定外の状況でも、各コンテンツは子どもたちの笑顔が溢れていました。

発案・準備の段階から、ロフトワークの方々に支えられながらも、学生たちが責任感を持って何事にも取り組んでいき、その過程でどんどん成長していくことを実感しました。当日、彼らの高い企画力・運営力を発揮する機会となったことを嬉しく思います。

−−クリエイターとのコラボレーションを実践してみて、感想はいかがでしたか?

クリエイターの皆さんが出展された作品は、どれも魅力的で、学生たちにとって良い刺激になったと思います。コンテンツそのものが面白いのはもちろん、ロゴマークを作ったり、タイトルを一工夫したり。ビジュアルや細部にまでこだわって、来場者を惹きつけていました。プロの仕事を身近で実感し、学生達がより高い目標を持つきっかけになったと思います。

−−プロジェクトに参加した学生メンバーから、参加してみての反応や変化はありましたか?

多くの学生がこのような大規模なイベントに主催者側として企画・運営に関わるのが初めてで、その過程でたくさん気づきや学びがあったと話してくれました。しかし、それ以上に「こうすれば次はもっと上手くいく」といった今後に向けての反省点を真剣に考えてくれ、学生たちの高い向上心に圧倒されました。「今年度もこの2団体でイベントの企画・運営を行いたい」と声を上げてくれています。

「みつばちプロジェクト」「Science Create Project」ともに、今回のプロジェクトを完遂したことが自信になり、さらに活動の幅を広げています。このイベントをきっかけに、新規イベントの企画・運営やさらなる支援者の獲得に向け、積極的に動き出しています。

−−『おふろあそび2.0』について、学内・学外から反響はありましたか? 

『窓』のドキュメンタリー記事を多くの方が閲覧してくださったのはもちろん、他の記事と比べても、ひとりひとりがこの記事をじっくり楽しんで読んでくれていることが、データから分かりました。たくさんの方が、学生たちのチャレンジ精神旺盛な活動に興味を持って、共感・支援してくれていることを実感する結果でした。

また、こうしたプラスの露出を増やすことで、「みつばちプロジェクト」「Science Create Project」には、学内外から以前より多くのイベントやプロジェクトへ参画しないかと声がかかっており、2つの団体の活躍の場はどんどん広がっています。

−−今回のような、学生プロジェクトと外部人材との共創の取り組みを、これからも実践していきますか?

本学の建学の精神は、「社会・産業と最先端の学問を幅広くつなぐ 『工』の精神」です。今後も、外部の方々とのコラボレーションで刺激を受け、学生達が創造性豊かでリーダーシップを発揮できる人材に育つことを期待します。

−−ありがとうございました!

Member

北尾 一真

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

伊藤 澪奈子

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

浅見 和彦

株式会社ロフトワーク
プロデューサー

Profile

山田 麗音

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

メンバーズボイス

“プロジェクトマネージャーとして携わらせていただきましたが、学生の皆さん、井草湯さん、クリエイターという、バックグラウンドや環境、年齢がばらばらな方々との協働であったこと。また、銭湯という未知の環境での挑戦だったことで、運営的に難しいと感じる局面もありました。しかし、皆さんの尽力により無事イベントを実施することができました。「力を合わせる」とはこういうことなのか、と実感しました。

特に驚いたのは、「学生の力」でした。準備から集客施策のためのミニイベント、当日運営まで。指示を待つことなく自分からてきぱきと動ける姿を頼もしく感じました。

プロジェクトに関わるみなさんが最後まで前向きに取り組めるように、また、参加してくださるお子さん・親御さんにとって「良い思い出」となるイベントを目指していましたが、結果として予想を超えるたくさんの方に来場いただき、「楽しかった」という声をいただきました。プロジェクトに関わってくださった皆さんの力があったからこそ、成し遂げることができたのだと思います。本当に、ありがとうございました!”

伊藤 澪奈子 / 株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター

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