デザインの力でデータ事業に付加価値を生み出す
QUICKが挑戦したアワードプロジェクト
Project Summary
- データ×デザインによる価値創出のため新設されたデザインチームが、社内外へのブランディング、クリエイターとのネットワーキングを目的にデザインアワードを企画
- 柔軟な課題設定や分野横断的な審査員のアサインによってバラエティ豊かなクリエイターが集まるとともに、データ×デザインの可能性を改めて深く考える機会に
- アワードを機に、社内でも新たな活動の萌芽が見られ、デザイン組織としての第一歩を踏み出す後押しとなった
Outline
「データで社会を見える化する」ことを目指し、金融・経済の情報サービスを提供する株式会社QUICK(以下、QUICK)。同社は、迅速かつ正確なデータ提供に定評を得てきましたが、社会の変化に合わせてデザインチームを新設し、データを活用した付加価値を生む事業についても可能性を模索しています。
デザインの視点からデータ活用の可能性を探る企業として、社内外に対するブランディング、そして今後事業を加速していくにあたって、クリエイターをはじめとする共創パートナーとのネットワークづくりを目的に、QUICKはロフトワークとともに初のデザインアワード「QUICK Data Design Challenge 2023」を実施しました。
執筆:吉澤 瑠美
編集:後閑 裕太朗・岩崎 諒子(Loftwork.com編集部)
Process
作品募集には、ロフトワークが運営するオンライン公募プラットフォーム「AWRD(アワード)」を採用し、ジャンルや属性の垣根を超えて幅広い層のクリエイターに呼びかけました。募集テーマは自由課題に加え、運営事務局が事前に選定したデータを活用する指定課題を設定することで、これまでデータに馴染みのなかった人でも、得意分野や関心のあるテーマから気軽に参加できる環境を整えました。
また、審査員にはTakram 代表取締役 デザインエンジニア ディレクターの田川欣哉さん、コピーライター/クリエイティブディレクターの尾形真理子さん、世界的に活躍するアートユニット exonemo(エキソニモ)を招聘し、多角的な視点から作品を評価する仕組みを設計。審査会における議論は、データ×デザインの考え方の再定義にもつながり、デザインチームのメンバー自身も考えを深めることに繋がりました。
初の試みであったにもかかわらず、アワードには約2ヵ月間で176点もの作品の応募があり、グランプリ1点、準グランプリ3点、QUICK特別賞1点が表彰されました。QUICK特別賞は、全社的な社員投票によって選出。社内に向けてデザインチームの活動の認知を広げると同時に、デザインに対する社員の意識向上のきっかけを生み出しました。
QUICKのデザインチームは、本アワードをきっかけに繋がった、デザイナーやクリエイターとのコミュニティ形成を通じた探索活動も始動しており、今後目指すデータ×デザイン領域の事業づくりにも期待が高まります。
AIの精度向上やドラスティックな社会変動により、データがより身近なものとして私たちの生活や考え方へ影響を及ぼすようになった昨今。今回のアワードは、「データをどう伝えるか」という、社会的に高まるニーズに対する新たな提案とも言えるでしょう。「QUICK Data Design Challenge 2023」を経て、QUICKはデザイン組織としてさらなる発展を遂げるための第一歩を踏み出しました。
Output
メインビジュアル
受賞作品
グランプリ
準グランプリ
QUICK特別賞
プロジェクト概要
クライアント:株式会社QUICK
プロジェクト期間:2023年3月~7月
体制・メンバー(LW)
- アワードフェーズ プロジェクトマネージャー:安元 佳奈子
- サポートディレクター:伊藤 望、山田 麗音
- ディレクター:根本 緑
- 要件定義フェーズ プロジェクトマネージャー:工藤 梨央
- プロデューサー:福田 悠起(以上、株式会社ロフトワーク)
- メインビジュアルデザイン:矢野 恵司
- アワード審査員
- 田川 欣哉(株式会社takram)
- 尾形 真理子(クリエイティブディレクター)
- exonemo(アーティスト)
Member
メンバーズボイス
“「データ×デザイン」の表現は非常に難しいクリエイティブな分野であり、応募がどのくらい集まるか、正直不安でした。ところが、蓋を開けてみると想定を大きく上回る応募があり驚きました。
データ表現に取り組む才能ある方々が多く、作品の品質が非常に高かったことに感銘を受けました。さまざまな分野で優れた作品が応募され、あらためて「データ×デザイン」の幅広い可能性を感じています。
審査にあたり重点を置いたのは、単純な外見や完成度だけでなく、視点やアプローチの新しさです。データの新しい考え方や独創的なアプローチを持つ作品を評価することで、クリエイティブなアイデアの奨励に努めました。
2023年度の成功は、クリエイター、審査員、そして開催を支援いただいたロフトワーク社の方々の協力と情熱に支えられたものと思っております。今後も、データとデザインの進化に期待を寄せています。”
株式会社QUICK 経営企画室 マネージャー 中山 仁志様
Interview
「QUICK Data Design Challenge 2023」の未来像を語る、インタビュー記事も公開中!
一見するとわかりづらい「データ」を、デザインの力で広く一般へとひらき、新たな価値を生み出していくには、どんなことが必要か?
QUICK常務執行役員の山口芳久さん、審査員を務めたTakram代表取締役の田川欣哉さん、ロフトワーク代表取締役の諏訪光洋の3人が、本プロジェクトを振り返りながら、データ活用の現状と未来について語る鼎談記事も公開中。こちらもぜひ、ご覧ください。
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