日産自動車株式会社 PROJECT

Z世代×NISSANの共創で、ブランドプロミスを発信
移動体験の未来をひらく「DRIVE MYSELF PROJECT」

Outline

1933年の創業以来、革新的な技術の提供を通じて、人々の生活を豊かにするようなイノベーションをドライブし続けてきた日産自動車株式会社(以下、日産)。組織に受け継がれてきたDNAである「他のやらぬことをやる」という精神のもと、常に新しい挑戦を続けてきました。

今回、日産は自らのブランドプロミスである「Innovation for Excitement / 新たな発想でワクワクを」のメッセージを、Z世代などの若年層へと届けることを検討。Z世代とともに未来のライフスタイルを共創するプロジェクト「DRIVE MYSELF PROJECT」を、ロフトワーク、株式会社GEKIと協働で実施しました。「暮らし方のプロトタイピング」「移動体験をデザインするアイデアソン」「身近な発明チャレンジ」の3つの施策を通じて、新たなイノベーションの兆しを探索しながら、参加したZ世代に日産のブランドプロミスの魅力や姿勢を伝えました。また、参加者のSNSでの自主的な発信を通じて、日産ブランドに対するより大きな共感の輪を広げていくことを目指しました。

Z世代の若年層と共にモビリティの未来を考え、試作する場を設けることで、価値探索とコミュニケーションの機会を創出した(映像制作:株式会社GEKI)

Challenge

Z世代への直接的なプロモーションではなく、共感の輪を広げるブランド発信

未来社会の担い手であり、特有の価値観を有するZ世代は、多くの企業・団体にとって重要なステークホルダー。彼らに対するブランディングプロジェクトは、さまざまな企業で検討されています。

一方で、デジタルネイティブ世代の若者は、企業によって生み出された広告的なデザインを無意識にフィルタリングしてしまう傾向にあり、コンテンツが“本物”であるかどうかの感度が高いといえます。そのため、広告的なプロモーション施策ではない手法で、Z世代をはじめとした若者へのリーチを図る必要がありました。

「DRIVE MYSELF PROJECT」では、参加した若者が、日産のブランドプロミスである「Innovation for Excitement / 新たな発想でワクワクを」を体験できる共創プロジェクトを実施。彼ら自身が体験した“リアル”で“自然”な活動を自ら発信してもらい、さらなる共感の輪の拡大を目指すことで、ブランドプロミスの浸透を企図しました。

具体的には、日産のブランド目標やコーポレートパーパスを軸にしつつ、「アワード(公募)」「アイデアソン」「プロトタイピング」の3つの取り組みを企画。Z世代を「共にモビリティの価値を探るパートナー」として捉え、価値探索を行いながらブランドプロミスの発信を行いました。

Projects

1.暮らし方のプロトタイピング

「暮らし方のプロトタイピング」では、「モビリティ×ライフスタイル」の可能性を追求し続ける次世代クリエイター集団「SAMPO Inc.」が思い描いた理想的な暮らし方に、日産の視点や技術を掛け合わせて、未来のライフスタイルを実装したモバイルハウスを制作。

Z世代のクリエイターとの3ヶ月に及ぶ共創活動のプロセスやプロトタイプを発信することで、これからの豊かな暮らし方を提案するとともに、ブランドプロミスを体現・発信しています。

同企画で制作したプロトタイプは、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023)」の主催者プログラムである「Tokyo Future Tour(東京フューチャーツアー)」にも出展。展示を通じて、モビリティのまだ見ぬ可能性や共創への思いを伝えることに繋がりました。

「暮らし方のプロトタイピング」ティザー動画

2.移動体験をデザインするアイデアソン

「移動体験をデザインするアイデアソン」では、さまざまな個性を持ち、主体的な制作活動や発信を行う22名のZ世代を集めて「私たちの豊かさを実現する移動体験」をテーマに議論し、これまでにない移動体験のアイデアをかたちにすることにチャレンジしました。

当日は、全7グループに分かれてのグループワーク&プレゼンテーションを実施。ワークの前後には、日産の自動車開発に長年携わってきた担当者が、自動車やモビリティ技術の進化について語る「インプットトーク」や、新進気鋭のクリエイターたちが自分を動かす原動力や移動体験の未来について語る「インスピレーショントーク」を開催。各グループは車やモビリティへの理解と想像力を深めたうえで、アイデアをブラッシュアップしていきました。

参加者からの感想には、日産の技術や、自動車・モビリティに対する関心の高まりや、アイデアをかたちにすることへの意欲が寄せられました。Z世代と共にアイデアを探り、彼らが取り組みたい活動や思いを後押ししながら、日産の技術・ブランドプロミスへの関心や理解を深めることにつながっています。

アイデアソン ゲストスピーカー


株式会社オリィ研究所 所長
吉藤 オリィ

株式会社arca 代表取締役/クリエイティブディレクター
辻 愛沙子

日産自動車株式会社 先行車両開発部 部長
中島 敏行

「移動体験をデザインするアイデアソン」ティザー動画・参加者インタビュー動画

3.身近な発明チャレンジ

「身近な発明チャレンジ」では、「寄せ集めて自分で繕う」を意味する”ブリコラージュ(Bricolage)”をテーマに、日常生活をより豊かにするアイデアや工夫を世界中から募集。オープンコラボレーションプラットフォーム「AWRD(アワード)」を使い、モノやサービスなどのアイデアを幅広く募った結果、2カ月間の募集期間で、国内外から200作品もの応募がありました。

AWRDのサイトでは、『身近な発明チャレンジ powered by NISSAN』に応募された作品176点の写真とステートメントを見ることができる

日産のブランドプロミスと関連の深い概念である「ブリコラージュ」をテーマに設定することで、日産が大切にしている思想を広く社会へと共有。さらに、ブランドプロミスと接続した作品が世界中から集まったことで、日産が提案したい価値の輪郭が明らかになったことにも大きな意義がありました。

Media

同プロジェクトで実施した「暮らし方のプロトタイピング」「移動体験をデザインするアイデアソン」「身近な発明チャレンジ」の3つの企画やその成果を、Z世代や社会に発信するため、株式会社GEKIと協働でコミュニケーションツールを作成・活用しました。

Webサイト

「DRIVE MYSELF PROJECT」のメッセージや目的、活動レポートを一覧できる場所として、Webサイトを制作。キーカラーに使用したフレッシュグリーンで、挑戦していく未開の地を表現しています。

SNS発信

Z世代にリーチできるよう、Instagramを中心としたSNS発信に注力し、プロジェクトの告知や活動報告の発信を行いました。

動画コンテンツ

プロトタイプ制作過程やアイデアソンに参加したZ世代のコメントなどの映像を株式会社GEKIが制作し、YouTube上で発信しました。

Outcome

Z世代へのブランディング施策として立ち上がった同プロジェクトは、当初の目的であった今後の次世代共創の資産としてのネットワーク形成はもちろん、日産社内のインナーブランディングにも寄与しました。

自主的な発信から、次世代共創の資産としてのネットワークを形成

「共感の輪を広げる」というプロジェクトデザインの通り、参加したZ世代の多くがプロジェクトの感想をSNSで発信し、なかには自主的にディザー映像を制作するメンバーもいるなど、積極的な発信が生まれていきました。

また、プロジェクトを通じて、日産がZ世代の活動を後押し、彼らとの深い関係性を築くことにつながっています。こうしたブランドに共感する次世代とのネットワークは、今後の次世代共創やコミュニティ形成に向けた資産となっていくことが期待されます。

社員や技術者の意識変革・エンゲージメント向上にも効果を発揮

JAPAN MOBILITY SHOW 2023でのモバイルハウスのプロトタイプには、CEO含む日産社内メンバーが視察に訪れました。さらに訪問者が自身のSNSアカウントでシェアしたことで社内認知が広がり、さまざまな反響が生まれました。

なかには、展示を目にした若手社員が担当メンバーの説明を受け、「こうした展示ができること自体がイノベーティブで、日産ってすごい会社なんだと誇りを持てた」コメントを寄せるなど、社員のエンゲージメント向上にも貢献しています。

また、制作の過程においては、技術開発を続けてきたエンジニア・R&D部門の社員がZ世代クリエイターと世代を超えて共創することで、年齢やバックグラウンドの違いを超えて、お互いに作り手としての想いに共感し合ったり刺激を受けるなど、イノベーションを生み出す技術者のマインドチェンジにもつながっています。

プロジェクト概要

  • クライアント:日産自動車株式会社
  • プロジェクト実行期間:2023年4月〜12月
  • 体制
    • [ロフトワーク]
      • プロデュース:松井 創, 柏木 鉄也, 福田 悠起
      • プロジェクトマネジメント:河合 美咲, 宮本 明里
      • クリエイティブディレクション: 棚橋 京平, 幕内 稜也, 伊阪 若奈, 関本 武晃, 田辺 真琴, 小榎 翔平, 小原 和也(弁慶)
      • 翻訳:Allison Lee, Nikki Hall
    • [GEKI]
      • プロデューサー:作左部 力
      • クリエイティブディレクション:氏家 健吾
      • コピーライター:氏家 健吾 
      • アートディレクター:千﨑 杏菜 
      • デザイナー:千﨑 杏菜, 髙橋 糸穂
      • 映像ディレクター:須藤 一輝
      • フォトグラファー:小川 遼
      • 撮影:山田燎河, 山﨑 慶
      • 編集:山田燎河, 桑原 海星

執筆:佐々木ののか
編集:乾 隼人・後閑裕太朗(Loftwork.com編集部)

Members

河合 美咲

株式会社ロフトワーク
Layout ディレクター

Profile

宮本 明里

株式会社ロフトワーク
Layout シニアディレクター

Profile

松井 創

株式会社ロフトワーク
Layout CLO(Chief Layout Officer)

Profile

柏木 鉄也

株式会社ロフトワーク
チーフプロデューサー

Profile

福田 悠起

株式会社ロフトワーク
プロデューサー

Profile

棚橋 京平

株式会社ロフトワーク
Layout ディレクター

Profile

幕内 稜也

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

伊阪 若奈

株式会社ロフトワーク
Layout ディレクター

Profile

関本 武晃

株式会社ロフトワーク
MTRL クリエイティブディレクター

Profile

田辺 真琴

株式会社ロフトワーク
Layout ディレクター

Profile

小榎 翔平

株式会社ロフトワーク
Layout co-CLO (Chief Layout Officer)

Profile

小原 和也(弁慶)

株式会社ロフトワーク
MTRL事業責任者

Profile

アリソン・リー

株式会社ロフトワーク
FabCafe Global

Profile

ニッキ・ホール

株式会社ロフトワーク
Layout ディレクター

Profile

メンバーズボイス

“未来の担い手であるZ世代との、未来のモビリティやライフスタイルを探索する活動を通じて、彼らの創造性を後押ししつつ、共に新たな価値を模索し、その過程でオーディエンスから共感を呼ぶブランドコミュニケーションを目指しました。

日産からの一方的な発信ではなく、日産のビジネスやブランドイメージと紐づかせ、ステークホルダーと新しい価値を共創する「CSV(共有価値の創造)」の実現に向けた実験的で且つチャレンジングな取り組みでしたが、本プロジェクトを通して、少しでも日産のDNA「他のやらぬことを、やる」や日産の掲げるブランドプロミスに共感してくれたならば、試みの第一歩は成功したと思っています。今後も モビリティーが人々の生活に与えるさまざまな可能性を世代を超えて一緒に議論して創造していくことにチャレンジし、エキサイティングな未来を共創していければと思います。”

日産自動車株式会社
グローバルブランドストラテジー&マーケティングエンゲージメント本部
グローバルブランドエンゲージメント部 シニア マネージャー
吉井 誠さま

“今回のプロジェクトは、新しいチャレンジであり、そしてとてもワクワクする活動でした。技術をアピールしてブランドイメージを向上させるというタスクを担う中、機能や価値だけではなく、目指すゴールに向けて開発者がどのような考えで取り組んでいるのかといったストーリーがお客様に伝わってこそ、ブランドを好きになってもらえると考えています。プロジェクトを通じて、未来に向けて突き進む熱い思いを持った日産の研究者、開発者とZ世代のクリエイターが、あるべき未来の姿を一緒に考え論議することで、深く共感し合う関係性を作り出すことができました。

目指す姿を共有し、本音で語り合うことで、世代や立場を超え理解し合えること。そして、この新しい関係性がこれからの企業、ブランドにとってとても重要であることを再認識しました。まだ新しいチャレンジは始まったばかりですが、地道な活動の積み上げによって変革を起こせると信じています。 ”

日産自動車株式会社
グローバルブランドストラテジー&マーケティングエンゲージメント本部
グローバルブランドエクスペリエンス部 シニアスペシャリスト
柿沼 朋子さま

Keywords

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