継続的な集客を目指した、地域ブランディング
“周遊+食” 体験型コンテンツ開発
Outline
観光客の周遊を促す6つのルートと、長く愛される食べ歩きグルメを開発
2020年、大河ドラマ「麒麟がくる」の舞台となった大津市坂本。大河ドラマによる一過性の盛り上がりではなく、継続的な集客につながる「新しいファン」を増やしていきたいという思いがあります。しかし、エリアには飲食店が少なく坂本エリアでの滞在が時間が短いため、観光消費にも繋がりにくいという課題がありました。
そこで、大河ドラマ「麒麟がくる」大津市観光振興協議会とロフトワークは坂本の魅力をPRするため、“ピクニック”をキーワードに「OTOMO(オトモ)プロジェクト」を発足。食の新メニュー開発と観光客の周遊を促すためのコンテンツ開発をスタートしています。
OTOMOプロジェクトは公募により手を挙げた大津市内の事業者三社と共に“食べ歩き”をテーマに3つのフードメニューを開発。また、観光スポットのみに立ち寄るのではなく、観光客の町歩きを促す施策として、坂本エリアの名所をつなぐ6つの周遊ルートをつくりました。有名な観光地のみに立ち寄る“点”の観光ではなく、坂本エリア全体を巡る“面”の体験を提案しています。
長く地域に根付く活動とするため、屋台の設計や商品パッケージのデザインは事業者が自走できることを最優先とし、継続可能でフレキシブルな設計を目指しました。
2020年秋、坂本観光案内所前に設置したOTOMO屋台にて商品の発売をスタート。屋台は坂本エリアの新スポットとして活動を開始しまた。
プロジェクト概要
- 支援内容:
事業者公募、メニュー開発、販促物制作(ロゴ・パッケージ・屋台・屋台販促物)
プロジェクトWebサイト制作、フライヤー制作 - プロジェクト期間:2019年10月〜2020年3月
- プロジェクト体制:
クライアント:大河ドラマ「麒麟がくる」大津市観光振興協議会
プロジェクトマネージャー:国広 信哉
クリエイティブディレクション:松下 恵里花、服部 木綿子、横山 暁子
プロデューサー:小島 和人
クリエーター:
・フード開発アドバイザー:料理開拓人 堀田 裕介
・ロゴデザイン:増永 明子
・Webサイトデザイン:依田 樹彦
・パンフレット、屋台デザイン:ほそかわ なつき
・写真:あかつき写房 小椋 雄太
・屋台:YATAI UNIT
Outputs
ロゴデザイン
新製品 ピクニックメニューOTOMO(オトモ)
坂本エリアのフィールドワークやアイディエーションを通じ、「坂本の景観 × ピクニックメニュー」をテーマに大津市の事業者3社との新商品「ピクニックメニューOTOMO(オトモ)」を開発。
すずめのフォーチュンクッキー
500円(税込み)
西教寺の家紋「三つ集め雀」× クッキー
滋賀県産の小麦や茶葉を使用し、シンプルな素材ながらも発酵バターが香る逸品。塩麹・抹茶・ほうじ茶の3味展開です。雀の尾には大津絵が描かれた「おみくじ」つきです。
開発者:パティスリータロウ/河東 希恵
Webサイト>>
近江牛と四季の彩り押し寿司
770円(税込み)
「穴太の石積み」 × 押し寿司
坂本の代表的な景観、石積みをモチーフに。具材は滋賀の食材近江牛ローストビーフを中心に、えび・季節の菜・薄焼き卵・さば・近江牛そぼろなど、四季の食材をあしらっています。
開発者:近江牛専門 忠真/島田 真弓
Webサイト>>
所在地:滋賀県大津市比叡辻1丁目13-6
あんクレーム/抹茶クレームあん
600円(税込み)
滋賀院門跡「 蹴鞠の庭 」× クリームパン
クリームがぎっしり詰まったクリームパン。あんクレーム・抹茶クレームあん、二種の詰め合わせ。みずみずしく軽い食感のクレームに有機栽培の小豆を使った餡と、濃く風味豊かな抹茶クリームをかけ合わせています。
開発者:ネ本屋/根本 里美
所在地:滋賀県大津市木戸31−72
OTOMO屋台(販売所)
プロジェクトWebサイト
フライヤー
ピクニックルート
坂本エリアの観光スポットをつなぎ、町歩きを促進する6つの周遊ルート。マップには、点在する休憩スポットが可視化されています。
各ルートを回ると大社や寺院はもちろん、里坊、石積み、地蔵、水路など坂本らしい景観を堪能することができます。ぜひ坂本の景観をInstagram otomo.projectにてご覧ください。
Process
長く愛される商品を目指し、景観からインスピレーションを得たメニューを開発
自然石を巧みに積み上げた石積みや、里坊や水路に囲まれ景観が豊かな坂本エリア。他地域と差別化をはかるため、この地域の一番の観光資源である景観と紐づくメニューを開発を目指しました。
事業者の方々、フードアドバイザー、プロジェクトメンバー全員でフィールドリサーチを実施。地元の事業者の方々も普段歩かないエリアに足を踏み入れ、改めて坂本エリアの魅力や特徴を肌で体感し、リサーチから得た情報をメニュー開発の起点としています。
事業者の方々が、継続して自走できるデザイン
長く愛される商品をつくるため、最も重きにおいたことは「継続性」。メニュー開発においては各事業者それぞれが突飛なものを作るのではなく、得意分野を活かした商品開発を目指しました。
また、単価が高いパッケージでは利益が出づらく続けて販売することが困難です。凝ったデザインパッケージは敢えてつくらず、単価を加味した上で各事業者がパッケージを選び、デザイナーからアドバイスをうけブラッシュアップしています。
販売場所である屋台は、状況により場所を移動しての販売なども想定し、女性でも組み立てや移動ができ、フレキシブルで実験的な取り組みができる仕様にしました。
OTOMOプロジェクトについて
大津市坂本は大河ドラマ「麒麟がくる」の舞台となる比叡山の門前町です。訪れたみなさんが大津市坂本を周遊しながら、自然・文化・歴史を体験し、魅力ある場所として感じてもらうこと。そしてドラマ放映後も愛される場所となることを目指して「OTOMO(オトモ)プロジェクト」がスタートしました。
このプロジェクトのキモとなるのは、「食べ歩きのオトモとなる、ピクニックメニュー」。大津市坂本が持つ、豊かな景観を周遊しながら楽しめるメニューを、大津市ゆかりのお店の方々と一緒に開発。オトモを片手に、徒歩で、自転車で、車で。大津市坂本の魅力を味わいながら、心はずむピクニック体験を提案します。
Member
喜田 力文
大津市
産業観光部 観光振興課
堀田 裕介
料理開拓人
河東 希恵
パティスリータロウ
島田 真弓
近江牛専門 忠真
根本 里美
ネ本屋
松下 恵里花
株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター
メンバーズボイス
“比叡山坂本は、歴史や街並み、そこに隠れたストーリーの数々が、噛めば噛むほど味わい深い場所です。今までのプロジェクトの多くが、その魅力を、正面から「すごいよー」って伝えるものだったと思います。でも地域の課題は明白で、「休憩スポットがなくて、街歩きや寺社巡りだけだと飽きる」というものでした。そこでロフトワークさんからのご提案は、「魅力を一緒に探しに行く、オトモをつくる」という、少し変わった角度からのアプローチでした。(そこが気に入っています。)
地域の魅力や、私たちのやりたいこと、事業者さんの想いなど、様々な「わがまま」を、コロナ禍で急変する環境の中、丁寧に聞き取り、コミュニケーションをとって下さったことに、本当に感謝しています。”
大津市 産業観光部 観光振興課 喜田 力文
“「観光に欠かせない食を中心に、比叡山坂本の魅力を伝える。」
しかし食を作るだけでなく、事業者のみなさんが自走して販売を行っていただけるような仕組みづくりが重要なプロジェクトでした。販売間近というところで、コロナの影響を受けましたが、販売が開始できほんとに嬉しいです。
また一緒にプロジェクトを作り上げてくださった比叡山坂本の事業者さん、クリエイターさん、大津市さんにはとても感謝しています。みんなの想いがこもったオトモとマップをもって比叡山坂本の街並みを多くの方に堪能してほしいです。”
株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 松下 恵里花
Information
Next Contents