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寺井 翔茉, 鈴木 真理子 2021.12.14

ロフトワークの組織デザイン-1-
組織図のリデザインではなく、組織図が「変わり続ける」仕組み

こんにちは。PRの鈴木です。ロフトワークは来年の2月に22周年を迎えます。

実は21周年目の今年、ロフトワークに関わる私たちにとっては節目となる出来事がありました。それは組織体制が新しくなり、京都オフィス責任者で入社13年目の寺井翔茉が、新たに取締役に、共同創業者である林千晶が代表取締役から退き取締役会長になったことです(ニュース記事はこちら)。

ロフトワークという会社(というか活動体?)が、さまざまなメンバーの参加と活動によって広がっている今、健やかな新陳代謝と、自律的に成長するエコシステムをつくるために行われた変革。とはいえ、「自律的に成長するエコシステム」っていったいどういうこと?と思ったメンバーも多くいます。

今、まさにエコシステムをつくる取り組みをしているのが、新しく取締役となった寺井翔茉です。経営企画を担う実本慶子とチームで、評価制度やチーム作りなど様々な領域の組織デザインのアップデートを進めています。

さっそく寺井に、組織が自律的に成長する仕組みのひとつとして、今期から新しくスタートした「新チーム制度」について話を聞きました。

誰かが統治するのではなく、自律性の高い組織をどうつくるか

自律的に組織が成長するエコシステムづくりにとりくむ、寺井翔茉。

──今期から新しく始まった制度について教えてください。

寺井 ロフトワークのクリエイティブディレクターは、今60名以上います。ロフトワークではディレクターはチームに所属するのだけれど、今期からは、チームメンバーが主体的にリーダーを選ぶ新制度に変更しました。リーダーは、自分のチームでやりたいことなどをまとめたシラバスを公開して、メンバーは、自分がついていきたいリーダーを指名する。今までは、リーダーがチームメンバーを選ぶ形だったけれど、逆になったということです。

──選ぶ側と選ばれる側の立場が逆転しましたね。仕組みの意図はどこにあるのでしょうか?

寺井 今回の仕組みは、千晶さん(林千晶のこと)が持っている、サーバントリーダーシップや右脳的な部分をどうやって一人のカリスマに頼らずに組織的に実行できるかを考えたものです。

創業者である林千晶の代わりはつくれない。どうやったら、林千晶のよさをみんなが持てるようになるのか。それを一人に頼らず、仕組みとしてもてるようにしたいと考えています。今回の新チーム制度は、喜んで付いてくる”フォロワー”の支持によってリーダーや組織図が変動する仕組みです。

命題:
どうしたらもっと流動性と自律性の高い、
個の意志とサーバントリーダーシップに根ざした組織がデザインがでるだろうか?

仮説:
組織図のリデザインではなく、組織図が変わり続けるための仕組みをデザインしたらどうか

サーバントリーダーシップを実装するそれはつまり
喜んで付いてくる”フォロワー”の支持によって組織図が変動する仕組み
といえるかもしれない

(制度の発表時の資料より)

──自分の意思でリーダーを選べると、みんなも意識が変わりますね。

寺井 誰かが一方的に統治するのではない、自律的な組織において大切なのは、みんながどのくらい選ぶ行為をしているのか、ということだと考えています。自分で選ぶ機会を増やすことによって、それぞれのリーダーシップが育まれる。そのとき大切なのは、あくまで『自分で考えて、自分で選んだ』ということ。だから、みんなには、今の自分には何が必要なの?というのを、自分で考えてほしい。

システムとしてもそうだし、僕のマネジメントの仕方としても、こうしなさいではなく、何をなすべきなのかを伝える。それで自分で判断してもらいたいし、判断するときに相談も必要になるし、そのときにはいい判断をするためのサポートをする。今後もみんなが選ぶ機会を増やしていきたいと考えています。

新しいリーダーを生みやすくし、組織図を変え続ける

寺井 もう一つ、今回の新制度の意図には、新しいリーダーを生みやすくする意図もあります。

今、ディレクターチームのリーダーを担っているのはシニアディレクターだけれど、経験豊富であるからこそ、チームのメンバーを選んだり評価をするときに、無意識のうちに、リスク回避が脳裏によぎってしまう。たとえば仕事ができる人が評価すると「あの子には、まだ難しいんじゃない?」と考えたりしますよね。彼らの評価はある側面では正しいんだけれど、逆に言えば、完璧な人がいないと、次のリーダーが生まれにくくなる。

メンバーがリーダーを選ぶという、新たな仕組みは、新しいリーダーを生むことにもなりやすい。そして、新しいリーダーが育っていくと、今リーダーを担っている人達も、その役割を辞めやすくなりますよね。もちろん、会社を辞めやすいという意味ではなく(笑)、新しい部門を立ち上げるので、今のチームリーダーをやめて新部門長になります、と言いやすくなるんです。

寺井の新しいリーダー像のインスピレショーンの一つとなった資料。組織開発やプロジェクトマネジメントのコンサルティングを行う野村隆昌さんがロフトワーク社内向けに開催してくれたプロジェクトマネジメント講座の資料の一コマ。

 

──今のリーダー達が、別の場所でトップリーダーになっていく感じですね。

寺井 会社としては、ユニークなタレントを排出していくことはとても大切。と、同時に、その人のユニークネスを分解して、組織の機能に分散させて実装していくことを両方やっていく感じ。ユニークにしつつ、ユニークさを消してということをしていくことやっていこうと思っています。

鈴木 真理子

Author鈴木 真理子(Public Relations/広報)

大学卒業後、音楽誌や女性誌など5年間の雑誌編集を経て渡英。英国イーストアングリア大学で翻訳学修士を取得後、翻訳業界を経て、2012年よりロフトワークに所属。FabCafe主催のグローバルアワード「YouFab Global Creative Awards」の立ち上げメンバーであり、2012-2018の6年間メインディレクターを務める。他にもFabCafeを中心に、多様な文化とクリエイティブが混ざり合うグローバルプロジェクトやイベントを担当。現在は、ロフトワークのコーポレートPRのほか、FabCafe TokyoのPRを担当している。最近の日課は、「スタートレック」シリーズを必ず1話見ること。

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