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浅見 和彦, 柳川 雄飛, 武田 真梨子 2020.06.22

「食べること」の周辺を考える
Butterfly Effect ー 小さな変化への問いかけが、あたりまえを更新する Vol.1

新型コロナウィルスの影響で、今まで考えたこともない問題や、ずっと解決を後回しにしていた課題や違和感に直面することが増えています。これらを、新たな「気づき」として捉え直してみると、新しい日常をつくる出発点となりそうです。必要は発明の母、窮すれば通ず。本連載では、毎回お題ごとにロフトワークメンバーがそれぞれ個人の視点で、小さな気付きを発信します。

今回のテーマは “「食べること」の周辺を考える”

いつ、誰と、どこで食べるのか。食べるものをどう選んで、手に入れるか。「食べること」の周辺に改めて着目して問い直すことで、食べる体験がもっと豊かになるヒントが見つかりそうです。

ご飯は強烈なリフレッシュ

在宅勤務中、今までは休みの日だけだったが、平日であっても昼ごはんと夜ご飯の時間になると、妻と子どもとテーブルにつき、一緒にご飯を食べた。

食事の時間になった瞬間、半ば強制的に会社員の僕から、夫であり父親の僕に切り替わっていることに気づいた。 これは、今までの職場での昼食体験とは全く異なる感覚であり、在宅勤務ならではの発見だった。

この強制的なスイッチはリフレッシュという意味でメンタル的に良い影響を及ぼした。

“どうすれば、職場での昼食も、家族との食事のように強烈なリフレッシュ体験を生み出せるだろうか?”

Kazuhiko Asami(Producer)

料理に使う食材は、自分で栽培管理する暮らしへ

一時、近所のスーパーのお米が品切れになっていた。

自粛による生活スタイルの変化からか、「主食となるお米は切らさぬよう手元にストックしておきたい」というみんなのちょっとした不安が重なっていったのだろうか。

その光景を見ても焦りや不安を感じていなかった私は、「スーパーに無くても、産地があれば大丈夫」と田畑に実る新鮮な野菜やお米を自ら収穫する原体験を思い出していた。自分で食べる分の野菜やお米の育成状況を自分で管理することができれば、もしかしたら、食材が手に入らないという不安な気持ちを少しは軽くすることができるのではないか?

AIやIoTの技術と生産者として一線で活躍するエキスパートのサポートのもと、遠隔で自分の畑を管理する。そんなゲーム感覚でリアルに食べる野菜を管理していく暮らしもありかもしれない。

“どうすれば、自分が生産者に近い立場で食材を調達することが日常化するのだろうか?”

Mariko Takeda(Creative Director)

毎日の食事が楽しくなる献立

在宅勤務のあいだ、自宅で料理をすることが増えた。

でも、毎回のように「今日何食べよう?」と悩んでしまう。「今日はアレが食べたい!」とすぐに思いつけば良いのだけれど、考えても思い浮かばないときは、冷蔵庫にあるもので適当に済ませたり、仕事で疲れてしまったときは、献立を考える気力もなく、宅配を頼んでしまうこともあった。

それはそれでお腹は満たされるけど、何だか物足りない気持ちになるときもある。

今日食べたいものがパッと思い浮かんで、すぐ作れたら、家族の食事の時間はもっと充実した時間になるのかもしれない。

“どうすれば、毎日の食事の献立を悩まず楽しく組み立ることができるだろうか?”

Yuhi Yanagawa(Producer)
浅見 和彦

Author浅見 和彦(SPCSプロデューサー)

2014年、株式会社ロフトワークにプロデューサーとして入社。ブランディング、サービスデザイン、街づくりなど、多様なプロジェクトに携わる。2018年に、STYLY・PARCO・ロフトワークによるXR領域での世界同時多発的な実験的プロジェクト「NEWVIEW Project」を担当。これを契機に、2021年に株式会社ロフトワークを退職し、株式会社STYLYに入社。STYLYでは「NEWVIEW」の総合プロデュースをはじめ、XR技術を活用して企業や地方自治体との事業創出支援などを手がける。
現在は、ロフトワークが推進するSPCSプロジェクトのプロデュースを担当するほか、クリエイティブ関連企業にて編集長、自治体と連携したXRプロジェクトを担当するなど活動の幅を広げている。
過去には、東京都および東京都歴史文化財団によるシビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]では、アーティストフェローとして都市回遊型展覧会「AUGMENTED SITUATION D」を開催。奈良県の芸術祭「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」では、エリアディレクターを務めた。
最近の関心テーマは、 リアルとバーチャル / 人間と人間以外 / 人口と自然 / 夢と現実など、対立する概念のあいだに存在するグラデーションや曖昧さといった「境界」。

Profile
武田 真梨子

Author武田 真梨子(FabCafe クリエイティブディレクター)

筑波大学生命環境科学研究科修士課程修了。ミジンコの遺伝子解析や土壌微生物の単離など、小さな生物の生命メカニズムを研究した後、高校理科教諭を経て研究所職員として生物を指標とした研究に従事。研究活動を通して50年、100年後の地球環境と持続的な開発に関心を持つようになり科学館に転職。技術革新にまつわる”問”や、研究機関と市民との対話を目的とした企画運営を実施。アート、テクノロジー、デザインの融合促進を目指し、2018年ロフトワークに入社。夏と海と解剖観察が好き。

柳川 雄飛

Author柳川 雄飛()

大学卒業後、Web広告業界で6年間にわたり営業・メディア開拓・新規事業立ち上げまで様々な事業に従事。その後、2014年に株式会社ロフトワークに入社。プロデューサーとして企業のコミュニケーション戦略から新規事業のコンセプト策定、Webサイトリニューアルなど幅広いプロジェクト設計を担当する。また本業の傍らで、地域活性のプロジェクトに関わったことがきっかけとなり、ロフトワークでも、地域にまつわるプロジェクトへと活動の幅を広げている。

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