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松井 創 2026.08.26

AIの最適解を超えるために、ロフトワークは遊ぶ。
“アソビ”でたどる Loftwork Conference 2026

2026年6月23日から25日までの3日間、渋谷のロフトワーク ピアビルとFabCafe Tokyoで「Loftwork Conference 2026」を開催しました。AI、都市、地域、教育、エネルギー。13のトークセッションでは、これからの社会や事業がどうなるか、どう再創造できるか。様々な実践者のみなさんと大いに語り合いました。一方そのころ、別のフロアでは沖縄そばを打っていました。ほかにも、どうでもいい悩みをAIに相談したり、みんなでラジオ体操をしたり、突然演劇をつくったり……。

なぜ、ビジネスカンファレンスでこんなことをしていたのか?

今回のテーマは、「Re:Creation——AIの最適解を超え、予期せぬ誰かとつくる」。Re:Creationは、もう一度つくること。そして少し読み方を変えれば、「Recreation(レクリエーション)=遊びや余暇」でもあります。企画の段階から、「再びつくること」と「余白・遊び」との両方が、今回のカンファレンスには組み込まれていました。新しいものを生み出すためにも、ちゃんと遊ぼう。そんなところから、今回のカンファレンスでの「アソビ」は始まりました。AIを使えば、情報を集めたり整理したり、それらしい答えを出したりすることは、ずいぶん速くなりました。でも、何の役に立つかわからないことをやってみたり、誰かの「これ、ちょっとやってみたい」を一緒に実践する時間まで、削ぎ落としてしまうのはつまらない気もします。

この記事では、トークセッションの裏側で繰り広げられたアソビを振り返ります。

どんなふうに遊んでいたのか?

3日間のカンファレンスで、約20のアソビコンテンツが登場しました。その一部を紹介します。

「世界一どうでもいい相談所」へようこそ!

たとえば、「ファミレスのメニューがいつも決められない」「飛行機は、どんな姿勢がいちばん落ち着くのか」といった、人生を大きく変えるほどではないけれど、本人にとっては、なんとなく気になるモヤモヤ。そんな悩みを受け付けていたのが「世界一どうでもいい相談所」です。相談内容を入力すると、AIを組み込んだ仕掛けを通して回答が返ってくる。それをきっかけに会話が弾む。課題の大きさではなく、誰かが気になっていることを、まずは面白がってみることで新しいものの見方ができるようになるかもしれない?

体験会で出力された用紙を人々が囲む

ニッティングヌードル 〜麺を編む?!〜

会場の一角で、なにやら生地を捏ねています。食べているわけではありません、編んでいます。「編みやすい麺とはなんぞや?」を自分たちで手を動かしながら模索したところ、麺は意外と編める、ということがわかりました。知らない人と一緒に手を動かすと、なんだか楽しい。そして、ちょっとだけうれしい。編んだ麺は、茹でてスープと一緒においしくいただきました。

麺を編む様子
麺を編む様子
機材を体験する
ライブプロジェクト「サイバーターン」による体験展示。オセロの対戦を映像や音楽に変えたり、ゲーム感覚でVJ/DJを楽しんだ
レーザーカッターで制作したパーツ
レーザーカッターがあるカフェ・FabCafeでは、アクリルのお花を組み合わせてキーリングをつくるアクティビティ
「笑い」について掘り下げていく
お笑い芸人でもある、FabCafe Osaka マネージャー 石原による、お笑いレベルを1か2くらいあげるワークショップ
自転車を漕いでいる
ペダルをこぐ力を利用して電気を生み出す自転車発電機で、かき氷をつくる時間。かき氷1杯をつくるには、かなりの運動量が必要
ラジオ体操をする
カンファレンスの間に固まった体をラジオ体操でしっかりほぐす
床の上で寝る人
頭を使って疲れた人は、ひっそりとバレずに仮眠を取れるスペースも

他方、FabCafeでは、ロフトワークが長年活用してきた、誰でも参加できる仕組みである「公募」のデザイン展示を開催。10階では、ロフトワークがこれまで関わってきたプロジェクトの制作物も並びました。トークやアソビの合間に、ロフトワークの仕事を少し違う角度から眺められる展示です。

人々がゆったりとくつろいで対話する
展示の様子
展示の様子

各地のFabCafeもやってきた 

10階では、3日間にわたり各地のFabCafeがフードやドリンクを提供しました。富士吉田、大阪、千葉。それぞれの土地でFabCafeが出会ってきた食材やつくり手、土地の文化が、料理を通して渋谷へ運ばれてきました。

手作りのスイーツ

FabCafe Fujiの手づくりアイスクリームとパウンドケーキは、海外から訪れる観光客にも大人気

お菓子屋ドリンクを提供する

2026年6月にオープンしたFabCafe Chibaは、千葉県内の素材を活かしたドリンクやフードを提供。カフェで販売している千葉のお土産品“ぢばみやげ”が人気だった

水槽の中に入った、すじ青のりの種苗

FabCafe Osakaは、シーベジタブルのすじ青のりを使ったドリンクを提供。ミルクのまろやかさに、ジュニパーベリーやミント、ライムの爽やかな香りを重ね、すじ青のりのコクを引き出した。あえて材料は伝えず、まずは味や香りから感じてもらう

アソビを、仕事の技術にする

思えばロフトワークは創業以来、こうした「アソビ」を組織文化として大切にしてきました。年に一度は大掛かりなパーティを開いたり、夏には流しそうめん装置を手作りしたり、オフィスをアートギャラリーとして開放したり。最近でも、オフィスで食べられる青果を栽培するなど、外から見たら、「それは仕事なの?」と言われてしまいそうな、遊びのような実験のような活動が日々行われてきました。

仕事のなかに、あえてメンバー個々人の好きなことや興味・関心領域である「アソビ」的なアクティビティを組み込んでいるのです。アソビは、プロジェクトに思いがけない飛躍をもたらしたり、メンバーそれぞれの主体性を引き出したりするきっかけにもなります。一見、仕事からはみ出しているように見えて、その経験があとから仕事のなかで生きてくることもあります。

松井は、組織におけるアソビの役割を「発酵」にたとえていました。

松井 組織も発酵と一緒で、ときどき誰かがかき混ぜて空気を入れたほうがいい。アソビは、そのかき混ぜることに近いのかもしれない。

こうしたアプローチは社内にとどまらず、伴走するプロジェクトにも生かされています。今回のカンファレンスのサブタイトル「AIの最適解を超え、予期せぬ誰かとつくる」も、まさにその姿勢を表したものでした。自分の領域から一歩外へはみ出し、思いもよらない誰かと手を動かしてみる。そうすることで、「こんなこともやってみたい」「この人と何かできそう」という見落としていた可能性に気づきます。

一見、正しそうな答えがすぐ手に入るAI時代。クリエイティブカンパニーである私たちは、最適化志向のみにとらわれず、創造的なアクションを選択するために、より一層周囲を巻き込みながら「アソビ」を実践する技術を磨いていく必要があるでしょう。そのためには、日常のなかでこうした所作を増やしていくことが欠かせないと松井は言います。

松井 カンファレンスのような「ハレ」の日に突然遊ぶのではなく、日常の「ケ」のなかでも、小さな実験や失敗が起きています。そこで生まれたものが、また次のハレの日に外へひらかれていく。そんな循環ができたら、もっと面白いなと思います。

予期せぬ誰かと、新しい当たり前をつくるために。ロフトワークはこれからもアソビ続けていきます。

Loftwork Conference 2026 Re:Creation —AIの最適解を超え、予期せぬ誰かとつくる

カンファレンスのキービジュアル

開催日:2026年6月23日(火)〜 2026年6月25日(木)
会場:ロフトワーク渋谷オフィス10F/2F/FabCafe Tokyo
東京都渋谷区道玄坂 1-22-7 道玄坂ピア

>>Loftwork Conference 特設サイト

宮崎 真衣

Author宮崎 真衣(Public Relations/広報)

広報の理論と実践を「Mie Institute of Communication」で学んだ後、アートやIT企業の広報・企画職などを経てロフトワークに入社。さまざまな場面でわきおこるコミュニケーションを、組織だけではなく暮らしや地域に還元していくために、cooperative(協同組合)やcollective(拘束力を持たない緩やかなネットワーク)に参画しながら学びを深めている。

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