今、なぜ経営にデザインの力が必要なのか?

SDGsやESGなど、社会問題の解決を前提とした持続可能な事業発展の方向へ、世界各国が舵を切り始めています。また、あらゆるものがデジタルで繋がり、個人中心で情報が交換されることが日常となりつつあります。この状況を鑑みると、企業が「消費者」へ一方的に価値提供する関係はゆるやかに減少し、これからは「個人」と社会と企業がつながりあい、新たな価値をつくる時代へと加速しているように感じます。企業は未来に向けてどんなビジョンを描き、社会と個人に対しどんな価値を提供するのか。あらためて問い直す局面に来ていると私たちは考えます。

デザインは、企業が⼤切にしている価値、それを実現しようとする意志を 表現する営みである。
『「デザイン経営」宣言』より

経営にデザインを取り入れることが、全ての答えと強調するわけではありません。しかし、デザインは新しい世界へ向かう旅の相棒として、大いなる力を発揮する可能性を秘めている。とは、言いたいです。

4月に新たな期を迎える企業の方も多いと思います。それを前にロフトワークは「デザイン経営」の導入方法に焦点を当てたイベントを企画しました。これら企画に携わる岩沢より、それぞれの見どころをご紹介します。

テキスト:岩沢エリ、編集:実本慶子

1. 3月13日 東京開催「デザイン経営2020」

最初に紹介するのは、3月13日(金)に開催予定のカンファレンス「デザイン経営2020」。「次の時代を創造する、デザインドリブンの組織と文化」をテーマに企業ビジョンを芯としてデザイン主導型組織をどうつくり、新しい文化へと育てていくか、ゲストとともに考えていきます。どのプログラムもおすすめしたいのですが、3つに絞ってPickupプログラムとしてご紹介します!

イベント詳細:https://www.design.cc/

Pickup 1|ソニーらしさをデザインする、クリエイティブセンターの実践

今回の基調講演は、2014年にソニー クリエイティブセンターのセンター長に就任された、長谷川さんに登壇いただきます。ソニーは2017年の経営方針説明会で、平井一夫社長が「ソニーは感動会社」だと記者に説明していました。多様な事業を抱えるソニーだが、いずれも根幹にあるのは「感動を届ける」こと。このソニーのミッションを、デザインの力を使って体現しているのが、長谷川さんが率いるクリエイティブセンターです。

長谷川氏からは、ソニーのクリエイティブセンターが担う役割や関わるデザイン領域だけでなく、実際のプロジェクトをなぞりながら、どのようなデザインプロセスを実践しているのか。これからどんな発展を目指しているのかなど、お話いただきます。

デザイナーが最上流の事業開発からどのように関わっているのか。どんな結果に現れるのか。ぜひ自社で実践できそうなヒントを発見してみてください。

Pickup 2|「かみの工作所」「空気の器」「テラダモケイ」…福永紙工のデザイン経営

福永紙工は、印刷から加工までを一貫して製造できる工場です。創業当初より、多様な印刷・加工技術に磨きをかけ、仕事を請け負ってきました。しかし、新しい時代に向けて会社の姿も大きく変えなくてはと現在の代表である山田社長が一念発起。2006年より、社外のクリエイターと恊働し、自社の技術をいかした新しいブランドや製品開発に取組むプラットフォーム、「かみの工作所」を立ち上げます。

「空気の器」や「テラダモケイ」など、クリエイターと生み出した製品は、国内外のデザイン賞を多数受賞。オリジナル製品の企画・開発・製造という新事業領域はいまも着々と拡がっています。

本登壇では、山田氏よりこれまでの挑戦してきたことや、クリエイターとの恊働についてお話いただきます。福永紙工の取組は、従来の業態に変化を興したい、技術先行の大手の事業部や開発部、中小企業に役立つヒントがたくさんあるのではないでしょうか。

Pickup 3|デザイン経営を実践する中堅・中小企業8社の調査から見えたヒントと成果

関東経済産業局・日本デザイン振興会・ロフトワークの3社は2019年度、全国の中堅・中小のデザイン経営実践企業8社を調査し、デザイン経営実践のためのモデル抽出に挑戦しています。今回調査をさせていただいたのは、たねや、ファミリア、ジャクエツ、パーク・コーポレーション、福永紙工、スノーピーク、米富繊維、恋する豚研究所。今回のプログラムでは、プロジェクトリーダーのロフトワーク加藤より、調査報告と、調査を経て見えたデザイン経営実践の5つのステップをご紹介します。なお、この調査レポートはデジタルデータで公開を予定します。

以上、見どころ3つのご紹介でした。すこし、イベントの様子が想像できたでしょうか。参加の検討材料になれば嬉しいです。

デザイン経営2020 ー次の時代を創造する、デザインドリブンの組織と文化

日時
2020年3月13日(金)13:00~17:30
参加費
8,000円
会場
SHIBUYA QWS(渋谷スクランブルスクエア 15F)
定員
200名
対象
・経営者および経営幹部の方
・新規事業・組織デザインなど、デザイン経営導入に関わるリーダー

◎詳細/申込:https://www.design.cc/

2. 中小企業のデザイン経営 シリーズイベントも3月から開始!

Pickup3でもご紹介した、「中小企業デザイン経営実践企業8社の調査報告」に焦点を絞ったイベントシリーズも始まります。3月の調査報告の冊子公開に合わせて、日本デザイン振興会の協力を受けて東京・新潟の2箇所での開催が決定。

なお、それぞれイベントテーマは違いますが、調査報告部分については同じ内容をご紹介予定です。いずれも、中小企業や小規模企業経営者の方や、デザイナーの方にはおすすめのプログラムです。

3月5日 東京開催!ファミリア、ジャクエツ、まちの保育園経営者登壇

東京開催のゲストは、ベビー・子ども関連ブランドのファミリア、あそびの空間づくりを行うジャクエツ、まちの保育園などを運営するナチュラルスマイルジャパン。3社のビジョンに共通する「子どもの未来」を切り口に、中小企業のデザイン経営について議論します。

中小企業のデザイン経営 Vol.1 デザイン経営で、こどもの未来をつくる

開催日
2020年3月5日(木)14:00〜18:00
定員
100名
参加費
無料
会場
東京ミッドタウン・デザインハブ
対象
・事業継承を迎える中小企業・小規模事業経営者の方
・デザイン経営の導入を検討する経営者、リーダー層の方
共催
株式会社ロフトワーク、公益財団法人日本デザイン振興会

◎詳細/申込: https://loftwork.com/jp/event/20200305_designkeiei

3月11日 新潟開催!スノーピーク、自遊人…地域のデザイン経営実践者登壇

新潟開催のゲストは、アウトドア総合メーカー スノーピーク、新潟県南魚沼市にある複合型施設「里山十帖」を運営する自遊人、着物の製造販売を行うやまと。3社のビジョンに共通する「地域の未来をつくる」を切り口に、中小企業のデザイン経営について議論します。

中小企業のデザイン経営 Vol.2 地域の未来をつくるデザイン経営

開催日
2020年3月11日(水)14:00〜18:00
定員
40名
参加費
無料
会場
Snow Peak Headquarters(燕三条)
新潟県三条市中野原456
対象
・事業継承を迎える中小企業・小規模事業経営者の方
・デザイン経営の導入を検討する経営者、リーダー層の方
主催
株式会社ロフトワーク
協賛
株式会社スノーピーク、公益財団法人日本デザイン振興会

◎詳細/申込 https://loftwork.com/jp/event/20200311_designkeiei

3. 関西でも「デザイン経営」イベントを開催します!

京都でも「デザイン経営」をテーマとしたイベントを開催します。テーマは「デザイン経営の『組織と文化』」。ゲストには、中川政七商店から2018年に先代より社長を引き継いだ千石あや氏と、特許庁のデザイン経営プロジェクトを牽引する外山雅暁氏の2名。特に、関西近郊の企業経営者やデザイン経営に関心のある方は、詳細をご覧ください!

デザイン経営の解剖学 〜ユニークな組織と文化のつくりかた〜

開催日
2020年2月14日(金)14:00〜17:15
定員
50名
参加費
無料
会場
FabCafe Kyoto / MTRL KYOTO
京都府京都市下京区本塩竈町554
対象
・経営者および経営幹部の方
・企画職の方
・新規事業・組織デザインなどの若手リーダーの方

◎詳細/申込 https://loftwork.com/jp/event/20200214_designmanagement_kyoto

以上、4つの「デザイン経営」関連イベントをご紹介しました!

ロフトワークでは、今後も引き続き、デザインを経営に取り入れたい企業・団体の担当者の方に向けて、自社で導入するための方法やヒントを発信していく予定です。定期的に情報キャッチしたい方はメルマガも購読してみてください。待ってます!

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岩沢 エリ

Author岩沢 エリ(Culture Executive/マーケティング リーダー)

東京都出身、千葉市在住。大学でコミュニケーション論を学んだ後、マーケティングリサーチ会社、不動産管理会社の新規事業・経営企画室を経て、2015年ロフトワークに入社。マーケティングチームのリーダーとして、ロフトワークのコミュニケーションデザイン・マーケティング戦略設計、チームマネジメントを担う。2022年4月からCulture Executiveを兼任し、未来探索と多様性を創造力に変えるカルチャー醸成に取り組む。最近では、「分解可能性都市」をテーマに、生産・消費に加えて分解活動が当たり前となる都市生活へシステムチェンジするためのデザインアプローチを探究している。1児の母。

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