株式会社シーアールイー PROJECT

物流施設のプレゼンス高めるコミュニケーションデザインを実装
「LogiSquare」ブランディング

Outline

物流を⽀えるすべてのサービスの基盤となる仕組み「物流インフラプラットフォーム」を提供する、株式会社シーアールイー(以下、CRE)は、全国各地に物流施設「LogiSquare(ロジスクエア)」を展開しています。Eコマース拡大等の影響で物流不動産が活況を呈していく中で、LogiSquareのブランド価値を高め、他社との差別化をはかり各ステークホルダーへアプローチすることを急務としていました。

ロフトワークは、CREの施設開発部門や施設戦略を担う株式会社山下PMCのクリエイティブパートナーとして、LogiSquareのブランディングとコミュニケーションデザインを実施。与件の整理、コミュニケーション方針の策定からアウトプットの実施計画、ブランドコンセプト開発、ロゴ・LP制作までを一貫して支援しました。

執筆:石部 香織
編集:岩崎 諒子(loftwork.com編集部)

プロジェクト概要

  • プロジェクト期間:2020年9月〜2021年6月
  • プロジェクト名:CRE LogiSquare ブランディング プロジェクト
  • クライアント:株式会社シーアールイー
  • エージェンシー:株式会社山下PMC
  • 制作体制
    • プロジェクトマネージメント:菊地 充(株式会社ロフトワーク)
    • プロデュース:桂 将太郎(株式会社ロフトワーク)
    • アシスタント:長谷川 太一(株式会社ロフトワーク)
    • クリエイター:
      コピーライティング:榊原 啓(株式会社スタディーズ)
      アートディレクション / ロゴデザイン / Webデザイン:宮崎 悠(MY HEAD)
      コーディング:宮前 恵太(Tempest)
      スチール撮影:小林 茂太

Challenge

物流の役割が広がる未来を見据え、広いターゲットに価値を伝える

LogiSquareを展開するCREは、その付加価値の高いサービスによりユーザーや国内外の投資家から多くの信頼を獲得してきました。しかし、その物流施設の質の高さを物流業界以外のセクターに向けて広くアピールできていないという課題がありました。

LogiSquareのブランディングを実施するにあたり、本来はテナント・荷主をターゲットとしたコミュニケーションを策定するのが正攻法です。一方で、近年のEC利用の拡大により、物流施設は生活者の暮らしに欠かせない存在に。また、国内外のREIT投資家や建設業界の存在も見逃せず、幅広い人々に向けて施設の価値を伝えていく必要がありました。

これらの背景から、プロジェクトチームはBtoBにとどまることなく、広く一般に向けてLogiSquareの認知向上やイメージアップを目指すコミュニケーションデザインを計画。物流施設のプロフェッショナルとしての姿勢を反映したアウトプットを制作しました。

Outputs

ブランドコンセプト、ブランドストーリー

コピーライティング/榊原 啓(株式会社スタディーズ)

プロジェクトチームは、「Good Idea, Your Square」というブランドコンセプトと、それに続くブランドストーリーを制作。「あらゆるステークホルダーが求める物流施設であり続ける」というLogiSquareのブランドバリュー、企業としての姿勢をも内包しました。

ブランドコンセプト提案時には、ボディコピーで用いた言葉の選定意図を段落ごとにロジカルに解説した資料も合わせて提示。これが、経営層も含めたCRE社内の納得感の醸成に役立ちました。

ロゴ

デザイン:宮崎 悠(MY HEAD)

キャッチコピーに据えた「Good Idea, Your Square」を起点に、「ユーザーの用途に合わせて形を変えられる、使い勝手の良さ」を強調するロゴを検討。「型にはまらない考えをする」という意味の慣用句”think outside the box”という言葉を、ロゴ制作のコンセプトとしました。

円形を飛び出させることで「型にはまらない」という意味を表し、「穴の空いているところに、円形をはめると完成する」ことから、「ひと手間加える、創意工夫を惜しまない」という意味を込めています。

整理の行き届いたLogiSquareの空間をイメージさせるために、グリッドで管理されたモチーフを採用。大量の物を保管する倉庫ならではのスケール感を、遠近法を用いて表現しました。

さらに、可変性を持たせた「ダイナミックアイデンティティ」を採用し、全国の施設によって形や色が変わるという遊び心も付加。今後さらに施設が増えていくことを想定し、100色のカラーパレットも用意しました。

ブランドWebサイト(LP)

WEBデザイン:宮崎 悠(MY HEAD)/ コーディング:宮前 恵太(Tempest)

自社の強みを伝える媒体の選択肢は数多くありますが、今回、その中から最初の一手として選んだのがブランドサイト(ランディングページ、以下LP)です。紙媒体と比べ、ユーザーからの反応を見ながらアップデートしていける点や、コロナ禍の時代に即した非接触媒体であることから、LPが最適だと考えました。

ブランドサイトは倉庫内の物流をイメージし、スクロールと共に要素が動くインタラクションによって、長尺でも最後まで飽きの来ないレイアウトを実現。ロゴと共通するグリッドのイメージを背景に取り入れています。

コンテンツとして最も力を入れたのは、CREならではの顧客目線の工夫を紹介する、7つの「Good Idea」。社員参加型のワークショップによって導き出された創意工夫を、インタビュー形式で伝えています。

さらに、社員の似顔絵や集合写真を入れることで、担当者の「顔が見える」という信頼感を高めています。

Story

現場の声から導かれた強みをコンセプトへ昇華、制作物へ展開

ロフトワークが最初のアクションとして設定したのは、LogiSquareのブランドバリューをあらためて定義し、顧客とのタッチポイントを探ること。山下PMCが立案した施設戦略の内容を踏まえて、施設計画を担うコンストラクションマネジメントチーム(CM企画グループ)と共に、施設の強みを言語化するワークショップを実施しました。

そこから導き出されたのが、「テナントニーズにフレキシブルに応え、常により良い物流施設を目指すこと」「快適性」「持続可能性への取り組み」という言葉にまとめられた、こだわりの数々。一方で課題として浮かび上がったのは、快適な空間や独自の工夫によって高水準のユーザー体験が実現されているにもかかわらず、外部に対してその価値を十分に伝えきれていないという状況でした。

ロフトワークは山下PMCと共に、クリエイティブによって「組織内部にとどまってしまっているLogiSquareの価値」を顕在化することに力を注ぎました。各取り組みを紹介するコンテンツを用意するのはもちろん、LogiSquareのブランドバリューを印象づけるためには根本的なイメージ刷新も必要であると判断。ブランドコンセプト、ブランディングサイトの開発に加えて、当初の予定にはなかったロゴも制作しました。

狭山日高の物流施設見学の様子

プロジェクトチームは、LogiSquare内で実践されている具体的な工夫を制作に反映させるべく、コピーライター、アートディレクターとともに物流施設を視察。一般的に「倉庫」と言えば、暗く殺風景な場を想起しますが、LogiSquareにはそのステレオタイプを覆す空間が広がっていました。

落ち着きのある暖色系の照明、快適な空調。ラウンジもあるほか、ピクトグラムにより空間がわかりやすく整理されていたり、荷物の積み下ろしをスムーズにするための仕掛があったりなど、随所にユーザー目線の配慮がありました。プロジェクトチームは、テナントのニーズを柔軟に受け入れ、創意工夫されたサービスが行き届いていることを肌で感じました。

こうして紡ぎ出されたのが、「Good Idea, Your Square」というブランドコンセプト。事前のリサーチによって明らかになった外部視点に、ワークショップを通して浮かび上がった内部視点、さらに実際の倉庫を体験したクリエイターの視点が融合し、強固なコンセプトが編み出されました。その言葉を軸に、ロゴ、ブランディングサイト、コミュニケーション方針に展開。伝えるべき価値の照準がブレなかったことで、経営層含む社員たちからも高い納得感を得られました。

多様な視点を交えて自らの強みを再定義し、クリエイティブの力で新たな出発点に立ったLogiSquare。さらなる拡大が見込まれる物流業界において、一層の存在感を増していくことが期待されます。

Member

柴田 善弘

柴田 善弘

株式会社シーアールイー
開発事業本部 CM企画グループ 部長

田村 真吾

田村 真吾

株式会社山下PMC
事業創造推進本部 第一部

菊地 充

株式会社ロフトワーク

Profile

桂 将太郎

桂 将太郎

株式会社ロフトワーク
プロデューサー

長谷川 太一

長谷川 太一

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

榊原 啓

榊原 啓

株式会社スタディーズ
CEO

宮崎 悠

宮崎 悠

MY HEAD(Design Label)
Graphic Designer + Director

メンバーズボイス

“物流施設を提供するデベロッパーにとって他社との差別化というのは非常に難しい課題であり、明確に施設のブランディングを打ち出すことができている企業はほとんどありませんでした。その中で当社が行ってきた物流施設へのこだわりをロゴやブランドメッセージとして具現化できたことは多様なセクターに対して大きなアピールになり、今後の施設計画における当社のアイデンティティにもなったと感じています。”

株式会社シーアールイー 開発事業本部 CM企画グループ 部長 柴田 善弘 様

“立地×賃料×タイミング×スペック×「それ以外の何か」。この方程式を完成させることがこのプロジェクトのミッションだったと思っています。
共に考え抜いた、ロジスクエアのブランドバリューを体現する「それ以外の何か」は、倉庫開発に真面目に真摯に誠実に取り組み、倉庫の効率性、合理性、機能性を考え抜く、CREさんの「チーム」でした。
「チーム」が生み出すGood ideaの魅力が伝わる、CREさんの色がよく表れた印象的なブランドスローガンとビジュアルができたと思っております。各方面からの反応がとても楽しみです。プロジェクトを通じて多くの刺激と学びを得ることができました。ありがとうございました。”

株式会社山下PMC 事業創造推進本部 第一部 田村 真吾 様

“CREさんの物流施設に対しての創意工夫や向き合う姿勢をいかに表現して伝えていくか。プロジェクトチームの皆様の力を借りながら粘り強く議論を重ねたことで、価格やスペックではない、まだ発信できていない魅力に光を当てることができました。今後も様々なステークホルダーと対峙していく中で"チームLogiSquare"から様々なGood Ideaが生み出されていくことを確信しています。この度は本当にありがとうございました。”

株式会社ロフトワーク クリエイティブDiv. シニアディレクター 菊地 充

“ブランドスローガンは単に耳触りの良い言葉を並べたものではなく、競争優位性を言語化したものであるべきだと考えています。そうした観点から、短期的にも中長期的にも使いやすい物流施設を実現するアイデア力や、多様なステークホルダーの課題を解決するアイデア力を主軸に据えました。LPにおいてもそのこだわりとストイックさが表れているのではないかと思います。改めて、バッターボックスをくださった皆様に御礼申し上げます。”

株式会社スタディーズ CEO 榊原 啓

“ロゴは削ぎ落とした中にどれだけ意味を込められるかが重要だと思っています。今回は「THINK OUTSIDE THE BOX(創意工夫をする)」という慣用句を物流施設のハードと重ね、これからの時代は物流も「箱の外側から」考えるものと定義しました。チーム内の連携が良好だったおかげで意思決定プロセスからディティールまで、とてもスムーズに仕事させていただきました。本当にありがとうございました。”

MY HEAD(Design Label) Graphic designer + Director 宮崎 悠

Method

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