Credit Tech企業の雄、ネットプロテクションズが目指した
コーポレートブランディング
Introduction
組織の魅力も事業の価値も自分たちの言葉で語るために
テクノロジーを活用して新しい信用を創造する「Credit Tech(クレジットテック)」のパイオニア企業、株式会社ネットプロテクションズ。(以下NP)2002年に日本で初めて未回収リスク保証型の後払い決済サービス「NP後払い」の提供を開始し、現在では累計利用件数が1億4000万件を超えています。 事業、組織拡大に伴いコーポレートブランディングの必要性が高まっていた同社は、組織面と事業面それぞれのミッションを策定。コーポレートサイトでも表現すべくWebサイトリニューアルを決定しました。 目指したのは社員ひとりひとりがもつ「NPらしさ」から、組織と事業の両方の魅力を表現したWebサイトです。 ネットプロテクションズで、プロジェクトを組成しクリエイティブディレクションを担当した池田さんは背景について次のように話します。
「旧サイトでは、組織も事業も着実に成長・成熟している今のNPを表現できていない、という定性的な課題がありました。加えて、これまで言葉以外の手段で「NPらしさ」を表現してこなかったこともあり、言葉以外の要素(デザインや色、かたちなど)に「NPらしさ」を託し、サイトを訪れるユーザーに少しでもらしさの一端を感じてもらうことを考えました。」
プロジェクト体制
クライアント:株式会社ネットプロテクションズ
プロジェクトマネジメント:金指 了
クリエイティブディレクション:山田 麗音
クリエイティブディレクション:高井 勇輝
プロデュース:柏木 鉄也
テクニカルディレクション:小野村 香里
デザイン・コーディング:スタジオスプーン株式会社(https://studio-spoon.co.jp/)
CMS開発:藤原慎也(https://rncn.jp/)
Story
良いものを創るためのリスタート
企業の根幹を言葉にし、人に伝わる形で表現することは簡単ではありません。思いを持った人が複数人集まればなおさら難しさは増します。そこでロフトワークでは関係者を集め、思いを発散し意見を集約する多人数でのワークショップを実施することが少なくありません。
ただしこのプロセスが全てのプロジェクトで満遍なく機能するとは限りません。
プロデューサーの柏木は次のように振り返ります。
「プロジェクトがキックオフし、1ヶ月経ったころ、『プロジェクトの進行に不安があります。良いものを創りたいので、ご相談させてください。』と池田さんからメールをいただきました。感じられた違和感を早いタイミングでフィードバックいただけたことで、プロセスをアップデートすることができました。」
1回2時間のワークショップで多人数からの意見集約でまとめていく形をやめ、プロジェクトのコアメンバー数人とひとつのテーマ毎に半日〜3日程度集中して深掘するプロセスに変更。共に考える時間をこれまで以上に重視してリスタートしました。言葉やサービスなどアセットの関係性の整理や、ワイヤーフレームを一日かけて考える発散と収束を繰り返しました。
出来上がった物語で伝えるのではなく、一人ひとりが主体的に理解する
ディスカッションを経て浮かび上がったリニューアルのコンセプトは“Narrative”。ストーリーテリングのように出来上がった物語を企業視点から伝えるのではなく、より自由に一人ひとりが主体となって語るイメージを持つという言葉です。
多様なニーズをもつユーザーに、わかりやすいストーリーを一方通行で伝えるだけではなく、ユーザー側がネットプロテクションズらしさを解釈し理解するコーポレートサイトでありたい。という思いを込めています。
プロジェクトマネージャーの金指は“Narrative”に至る理由の一つを次のように語ります。
「いろいろな社員の方とお話をさせていただいたり、インプットした情報から、企業のミッションが個人個人にしっかりとインストールされているなと感じました。でもそれを決して相手に押し付けない。どう捉えるかを委ねるスタンスです。そこで一人ひとりが主体的に語る“Narrative”という言葉にたどり着きました。」
Narrativeの再分解と、表現するための道程。デザインの方向性を言葉で紡ぐ
リニューアルのコンセプト、およびそれまでにインプットされた情報から、ネットプロテクションズらしさを感じさせるビジュアルとキーワードに再分類。分類したキーワードマップからデザインの方向を決める言葉を抽出しています。
表現を着地させるための軸をつくる
再分解されたコンセプトから、少しずつデザインを形づくるための言葉の輪郭が見えてきました。
「社員の自律・分散・協調を実現するティール型組織を謳っているネットプロテクションズでは、ミッションがしっかりとインストールされているだけではなく、個々人の思いや考え方を非常に大切にしている印象でした。特にコンセプトやデザインを決める。というタイミングは慎重に進められていたように思います。決定プロセスを支援するために、ディレクター山田らとデザインに独自の評価軸を策定し、論理的な意志決定が行えるように工夫しました。」
と金指。
感覚的に判断しがちな表現を論理的に判断できるよう、デザインの方向性やリニューアルのコンセプトさらには企業としてのミッションからも軸を設定しています。
それぞれのデザイン案には、タイトルも付与。最終的には6つの評価軸が「組織」と「ビジネス」の間でどのポジションになりえるのかも合わせて検討しています。
Output
一人ひとりの思いの集積、そしてロジックから導き出したWebサイト
一つ一つのコンテンツを印象づけるために、フルスクリーン型を採用。画面の切り替えには複数のレイヤーにわたって異なる要素と動きを入れ、小さなスクロールでも大きな動きに見せています。キービジュアルには「つぎのアタリマエをつくる」というミッションを、変化する背景カラーとシンプルなメッセージで表現しています。
Webサイトのデザインおよびアートディレクションを担当した山田は、次のように振り返ります。
「ネットプロテクションズは良い意味で一枚岩ではない会社です。「社員一人一人のらしさ」が集積となり、「企業としてのらしさ」を形成しています。そのため、「NPはこういう印象!」といった固まったイメージへ向かうようにデザインを設計しても、その良さを表現できません。そこで、色の変化も含め動きのある要素を多く採用しています。時代の変化や働く個人の思いにより常に動き続けるネットプロテクションズ。信念とテクノロジーの力で常識を超えてきた組織を体現するWebサイトに仕上がったのではないかと思います。」
ビジネスとカルチャーの接合の表現。一見異なるターゲット向けのコンテンツを結びつけるために、それぞれのページ間の動線には、文脈を繋ぐコンテクストエリアを設けています。ビジネスとカルチャーそれぞれの飛び先のページの理解をサポートする狙いがあります。
Impact
組織の魅力も事業の価値も考え抜いて表現した先で
組織の魅力・事業の価値を、コーポレートサイトとして表現し、2019年1月にサイトローンチを終えました。
プロジェクトを振り返り、担当の池田さんは、次のように語ります。
「プロジェクトが終わったときに、自社の組織、事業のことをわかった気でいた自分に気がづきました。これほど会社のことについて考えたことがなかったなと振り返り、非常に充実した感情になったことを覚えています。ネットプロテクションズという存在の輪郭がクリアなったというか。
企業としての考え方に共感しているからこれまで走ってきましたが、今回のプロジェクトを経て、共感するだけでなく自分がしっかりと伝えていかなければ、という責任感のようなものも感じ、非常に大きな成長を与えてくれた機会だったと思います。」
メンバーの確かな手応えと共に、定量・定性の両面からもポジティブなフィードバックが返ってきています。
「パートナー企業の方々や、学生さんなど様々な方から『素敵なサイトですね』というお言葉をいただける機会が増えました。最近では国内外問わず採用などを行っていることもあって、海外の学生さんからの評判も良いというお声をいただいてます。SNSで学生さんがシェアしてくれているのを知ったときは嬉しかったですね。」
と池田さん。プロジェクトメンバーが本気で考え抜いた結果は、数値にも大きな変化となって現れています。
+77%
セッション数
76,584→136,642
+105%
ページビュー
154,315→317,284
+44%
平均セッション時間
00:01:25→00:02:02
リニューアル前後6 ヶ月間における伸び率の比較
Member
Next Contents