NTTレゾナント PROJECT

新規事業アイデアのスケールを拡げる
NTTレゾナント「goo “未来ヒント”」

Outline

インターネットポータルサイト「goo」をはじめ、BtoC、BtoBtoCのサービスを数多く展開しているNTTレゾナント。同社には、新規サービスの開発支援・改善を担う「Xデザインチーム」という組織があります。

事業化したいサービスの方向性を明確にし、社会変化と課題を捉えるスケールを広げることを目標に、ロフトワークは、今後5-10年間に起こる社会とユーザーの変化の仮説とチャレンジポイントを機会領域としてまとめた「goo 未来ヒント」を制作する共創を通して、NTTレゾナントが新規事業の精度とスピードを高める組織づくりを支援しました。

プロジェクト概要

実施内容
今後5-10年間に起こりうる変化のリサーチ

  • NTTレゾナントが取り組むべきサービステーマの仮設定
  • 未来像の解像度を高めるためのエキスパートインタビュー
  • 変化の仮説とチャレンジポイントを機会領域としてまとめたガイド「未来ヒント」の制作

プロジェクト期間
2019年10月〜2020年3月

プロジェクトメンバー

  • クライアント:NTTレゾナント Xデザインチーム、ブランド戦略室
  • プロジェクトプロデュース:浅見和彦
  • プロジェクトデザイン:山田麗音、伊藤望
  • リサーチ:山田麗音、伊藤望
  • ワークショップ企画・設計・実行:山田麗音、伊藤望、飯澤絹子
  • 「未来ヒント」クリエイティブディレクション:山田麗音、伊藤望
  • イラストレーション:野中聡紀

Process

サービス化を見据え、未来を「5〜10年後」に設定

一般的に未来予測というと10年あるいはもっと先の未来をイメージするケースもありますが、今回のプロジェクトでは、“現在から遠すぎない” 5〜10年後を未来として設定しました。gooの一般ユーザー像も考慮し、未来すぎて突飛に受け取られないことが理由です。

社会とひとの変化に加え、gooはどうなっていきたいのかという視点から、機会領域検討の仮説となるテーマをワークショップ形式で選定しました。

エキスパートインタビューの実施と機会領域への統合

6名のエキスパートへのインタビューを実施。得られた発言から「未来インサイト」を探り、機会領域へと昇華させると同時に、gooならこの未来にどのようなサービスを提供できそうか、考えるヒントとなる「問いだて」を設定しました。

Outputs

リサーチ結果を統合し、最終的に社会とユーザーの変化を考える「6つの未来ヒント」にまとめました。

Challenge

社員が自発的に発想できる土壌をつくる

プロジェクトを進めるにあたり重視したのは、社員が自発的に発想できる土壌をつくることでした。プロジェクトの第一段階では、様々な部署の社員が参加するワークショップを開催。新サービス開発の際によく用いられるマーケットリサーチやトレンドスクレイピングではなく、様々な領域の未来を特集した雑誌を使ってスクラップブックを作成するワークショップにすることで、社員自身で「これからgooをどうしたいのか」を考え、社員の主体性をベースに”未来の変化の見立て”を作ることを大切にしました。

ワークショップには、様々な役職の社員が参加しました。未来予想を特集した多くの雑誌を用意し、「gooとしてどの領域に興味があるか」を意見交換しながら、スクラップブックを作成。各々が気になった記事を切り貼りする作業を通して、社員の意識や思い描く未来を〝見える化〟し、仮説を立てました。身体性をともなう共同作業のため、楽しみながら能動的にワークする参加者の姿が見られました。

捉え所のない未来を俯瞰するのに、幅広いトピックを一覧できる雑誌は効果的。参加する社員の部署やキャリアがバラバラでも、記事という素材があることで、それぞれの考えを発表しやすくなります。

Xデザインチームだけでなく、現場でサービス企画を行う担当者たちがプロセスに関わることは、「未来ヒント」が本当に組織に根づき、活用されるのに不可欠なチャレンジでした。

Member

伊藤 望

株式会社ロフトワーク
VU unit リーダー

Profile

山田 麗音

株式会社ロフトワーク
Creative Executive/シニアディレクター

Profile

飯澤 絹子

飯澤 絹子

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

浅見 和彦

浅見 和彦

株式会社ロフトワーク
シニアプロデューサー

野中 聡紀

野中 聡紀


イラストレーター・映像クリエイター

メンバーズボイス

“gooやOCNの事業を取り巻く環境が大きく変化するなかで、なにを目印にすればいいのか。拠り所はどこなのか。なにかひとつでも、方向性を指し示せないか。そんな課題意識から、<私たちが考える>未来を導き出していきました。ロフトワークとの協働作業を通じて見えてきたのは、私たちらしい未来図。プロジェクトは新型コロナウイルスが流行しはじめたころに完了していましたが、この新しい日常は、「goo 未来ヒント」でも示唆されているものがあり、間違ってはいなかったことを確信しています。
一連の導出プロセスにおいて、ロフトワークのメンバーの熱量と創意工夫に驚かされると同時に、だからこそ私たちももっと高みを目指すことができました。すでに新規サービス検討に活用されはじめていて、今後、これをもとにしたサービスが未来を形作ってゆくであろうことを信じて止みません。”

エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社 担当部長 桝村 季弘

“社会変化を見立てながら、社内の共通言語とサービス開発の一助となるガイドを作りたいと始まった本プロジェクト。未来の地図を描くような、挑戦したことのないアプローチと私たちの想いに、最後まで自分ごとのように向き合っていただいたロフトワーク社の皆さまに感謝しています。
新型コロナウイルスの流行で社会変化がどう加速・変化するのか。偶然ではありますが新型コロナウイルスの流行前に見つけたこの6つのヒントが私たちの目印になるのではと感じています。社内公開後、それぞれのプロジェクトに沿った形で「goo未来ヒント」を手がかりにしているケースも出てきています。これからも当社らしいサービス開発が活発になるよう、このプロジェクトで得た発見やノウハウを実践できればと思います。”

エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社 Xデザインチーム/ブランド戦略室 米村剛

“このリサーチをしていたのは、新型コロナウィルスが世界を席巻する直前でした。昨今ではニューノーマルだなんて言葉がありますが、個人的には未来が変わったというよりも、新型コロナウイルスの影響によって未来へと加速したと捉えるほうが正確ではないかと考えています。その意味で、ここで描いた未来はもともと10年先を想定していましたが、2,3年は短縮されたような気がします。
本プロジェクトで多様でありながら精度の高い未来を描けたのは、インタビューに協力いただいた有識者のみなさまのもつ視点ももちろん大きいですが、それ以上にNTTレゾナントの皆さんと交わした密度の濃いディスカッションの賜物であると思います。議論を通じて我々の視座も引き上げていただけたと感じています。ここで描いたシナリオが、NTTレゾナントさんから良いサービス・事業が生まれることに貢献できることを願っています。”

ロフトワーク クリエイティブ・ディレクター 伊藤 望

“コアメンバーの皆さまの真摯な姿勢に焚きつけられ、同じ時間を共有させていただき、受発注の関係を超え、1つとなり打ち込めた有意義なプロジェクトでした。答えの無い”未来”を捉えることは大変に難しい作業ですが、だからこそ、既存のフレームワークに頼るのではなく、このプロジェクトならではのユニークなアプローチ(ワークショップやリサーチ)を開発し、自分たちが一番可能性を感じるやり方を探すことが必要でした。また、未来を垣間見るための言葉やイメージをコピーライターの宗像さんやイラストレーターの野中さんと共に考え、プロジェクトに関わるメンバー全員で創作的なディスカッションを重ねられたことも、質の高いアウトプットに繋がったと考えています。
本プロジェクトはNTTレゾナントさんから新規事業を生み出すための初めの一歩でしかないので、引き続き、この先もご一緒できれば幸いです。”

ロフトワーク クリエイティブ・ディレクター 山田 麗音

Keywords

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