津田塾大学 ロールモデルをとおして
ビジョンを伝えるWebサイト
2030年に向け、大学の進むべき方向を示す中長期ビジョン「Tsuda Vision 2030」を策定した津田塾大学は、
津田塾で学ぶことの価値の伝え方に課題を感じていました。
そこで、各界でリーダーシップを発揮し、活躍している卒業生というロールモデルたちの存在が津田塾の魅力であると定義したプロジェクトチームは、
インタビューコンテンツとサイト構造によって、これを最大限に表現しました。
Outline
津田塾大学は「Tsuda Vision 2030」を策定、「変革を担う、女性であること」を新たなモットーとして宣言しました。しかし、Webサイトは前回のリニューアルから6年が経過し、モットーを伝えるメディアとしての役割を十分に果たすことができていない状況でした。
津田塾で学ぶことの価値はどうしたら伝わるだろうか?
企画広報課が主体となる津田塾のチームとロフトワークは共に考え、アイデアを出し合いながら新サイトをローンチしました。
津田塾大学 公式サイト: https://www.tsuda.ac.jp/
ロフトワークはまず、教職員や学生の方たちにインタビューを実施、Webサイト上の課題や津田塾がもつ価値を具体的に表現できるエピソードを収集し、新サイトが取るべきアプローチと目指すゴールを明確にしました。
津田塾の魅力は、身近に女性の「ロールモデル」がいること、そして在学中の学びをとおして人生を貫く学びを得られること。これらを「インタビュー」で伝えることにしたチームは、インタビューがよりよく読まれるような情報設計とコンテンツ編集方針を策定。新サイトのローンチ時には10本の新規記事を公開しました。
Webサイト全体構造のデザインは、ロフトワークと津田塾のチームが協働して実施。2日間の合同ワークショップで、現状Webサイトのコンテンツを「カードソーティング」の手法を用いて整理し、新サイトのサイト構造をかためました。
新サイトの公開後、「ロールモデルをとおして津田塾の価値を伝える」ことが企画広報課のミッションとして定着し、魅力的な記事が継続して発信されています。
サイト全体を通じて津田塾の魅力を強く感じられるようになったことは、学内各部署からの情報掲載依頼の増加につながっているだけでなく、他大学からも問い合わせがくるほど注目されているようです。さらに、受験生からの資料請求数も増加しているとのことです。
Story
パートナーの選定理由
津田塾大学は、日本初の女子留学生の一人である津田梅子が日本女性の高等教育を目指す私塾「女子英学塾」を1900年に開校したことが起源。以来、少人数教育・語学教育を通じてグローバルに活躍する女性を輩出しています。
ロフトワークは、前回のリニューアルを担当して以降、津田塾大学のさまざまなWebサイトの企画・構築を支援。その実績もあり、今回のリニューアルでもロフトワークが選定されました。
津田梅子と建学の歩みを語る「津田塾の歴史」ページを再編
創立者である津田梅子と津田塾の歴史は、津田塾のビジョンや学びの特色を語るうえで非常に重要な役割を果たします。そこで、学内に設置されている「津田梅子資料室」が所蔵する写真や文書を活かし、「津田塾の歴史」を紹介するコンテンツを再編集しました。
リニューアル後のページでは、日本の女子高等教育と女性の社会的地位向上に尽力した津田梅子の生涯を歴史年表として、豊富な写真とともに紹介しています。偶然にもリニューアル直後の2019年4月、津田梅子が2024年度に発行される新五千円券の肖像に採用されることが発表され、同ページに多くの注目が集まりました。
「津田塾のまなび」とリーダビリティの高い学部・学科ページ
学びの特徴を伝えるために「津田塾のまなび」のページを新たに作成。学生・教職員・卒業生など多岐にわたるインタビュー記事も交えながら、在学中に何をどのように学べるのかをコンパクトにまとめたページを立ち上げました。
学部・学科ページは、大学案内の掲載情報と既存のWebサイトの情報を整理しながら情報設計を実施。学科の特色から専攻できるコースやカリキュラム、教員メッセージ等、全学科ページの情報レベルを揃えることで受験生が求める情報を適切に伝えると共に、それぞれを比較・検討しやすくなりました。
津田塾の魅力が端的に伝わる印象的なコピーは、大学案内と統一しています。
「らしさ」を実感させる写真の数々
「津田塾らしさ」を感じさせるさまざまなシーンを大きな写真で展開しています。
真剣に勉学に励む学生たちの姿や、歴史ある校舎、美しい中庭の風景など。構内で撮影された写真はキャンパスレポートとしても定期的に発信され、津田塾の「今」を伝えています。
「時節を得た」Webサイトリニューアルを迎えて
学校法人津田塾大学 学長特命補佐 八丁地 園子 様
Webによる広報は「だれかに見つけてもらうための努力」が必要
今回のリニューアルでは、予算に限界がある中でかなり魅力的に作っていただき、満足しています。また、制作過程でWebを活かした広報活動の構造について、共に整理して頂けたことにも感謝しています。
以前までは「なりふり構わず、努力さえしていれば、誰かが見つけてくれる」という発想で、Webサイトも掲示板のような構造でした。しかし、このプロジェクトを通じて「誰かに見つけてもらうには、なりふり構う『努力』が大事」ということを学びました。
時節を得たリニューアル
「Webサイトをリニューアルしただけでは『努力』の半分、あとは、やはり『中身の勝負』。なんとか新しいホームページの存在を世に知らしめたい」と悩んでいたところ、新五千円券のデザインに津田梅子の肖像が使われるという僥倖にめぐまれました。このニュースの発表があった春先には、前年同期の2倍以上とも言えるアクセス数があり、受験生及び教育関係者の方々以外にも本学の認知が広がっていることがわかりました。
さらに、英語教育がフォーカスされる昨今、本学のニュース発信が注目を浴びたようで、某新聞社による大学ブランドランキングも上昇しています。おかげさまで、時節を得たリニューアルができました。この「つき」をうまく活かして今後に繋げたいです。
再訪したくなる「魅力的なWebサイトづくり」に向けて
これからのWebを活かした広報の取り組みとしては、
- 学生・教員・職員、それぞれの思いと行動のフレッシュな情報発信
- 英語版充実による発信対象の拡大
- 動画サイトの導入などによる発信方法の工夫
などに力を注ぎ、ブランディングを強化しようと考えています。
プロジェクト担当ディレクターやプロデューサーのみなさんには、これからも「コーチ力」を発揮していただき、発信したいことを上手に「見える化」するための知恵、リピートしたくなる魅力的なサイトづくりの知恵を授けていただければ、嬉しく思います。
Member
メンバーズボイス
“大学案内や当時のWebサイトからは伝えきれていなかった、
「津田塾らしさ」とは「津田塾の魅力とは」なんだろうか。
この大きなテーマに、津田塾大学のみなさまと一緒に一丸となって向き合い、
言語化・可視化された「らしさ」と「魅力」を、表層から細部にいたるまで反映したことが、
「広報の要」としてのWebサイトとして刷新できた、大きな理由であると感じています。
情報を取得するために大学Webサイトに訪れるユーザーの行為を、
津田塾大学さまの良さをじんわりと感じることができる
「体験」に変化させられたのではないでしょうか。
大学の認知を広げることにとどまらず、このサイトで得られる体験が
津田塾大学さまのブランディングに貢献できれば幸いです。”
―長島 絵未(株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター)
“今回のプロジェクトで、津田塾大学という歴史ある大学のサイトリニューアルに関われたことを、心より誇りに思います。私の友人にも津田塾大学の卒業生がいますが、みなさんパワフルで行動力と聡明さを兼ね備えた、まさしく津田梅子のDNAを引き継いだ女性たちでした。そんな卒業生のみなさんが久しぶりに母校のサイトを覗いたときに、懐かしさを感じられるようなサイトになっていれば幸いです。”
―伊藤 望(株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター)
“インタビュー記事制作にあたって、4名の在学生・卒業生からご協力をいただきました。当然ながら、一人一人の性格、ライフステージ、活躍中の領域は様々。にも関わらず、皆さんから共通する「津田塾らしさ」のようなものを感じました。
それは、飛び込んだ場所や物事から、人生を切り開く学びを、自ら掴み取ってくる力そのもの。
まさしく「人生を貫く学び」だなぁと、心底納得しました。
先輩方の声が、進学を考えている若者たちにとって、
未知の将来への希望を抱くきっかけになってくれる事を、願ってやみません。”
―黒沼雄太(株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター)
Overview
プロジェクト概要
- 支援内容
・ コミュニケーション戦略、リニューアル方針策定
・ 構造設計、画面設計、CMS設計
・ ページデザイン、コーディング
・ CMS開発
・ コンテンツ企画、制作、移行
・ インタビュー記事企画、実施 - 体制
クライアント:学校法人津田塾大学
プロジェクトマネジメント/クリエイティブディレクション:長島絵未
ディレクション:柳田綾沙、伊藤望、黒沼雄太
テクニカルディレクション:小野村香里
プロデュース:柏木鉄也
パートナー:Libretto Works(アートディレクション・デザイン)、ネクストページ(コーディング・CMS実装)、矢代真也(編集)
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