諏訪市 PROJECT

地域の産業競争力を高める挑戦。3年目のSUWAデザインプロジェクト

Outline

諏訪市と諏訪地域に拠点を構える企業自らが産業競争力を高めるための挑戦

諏訪市の産業連携事業を母体とし、SUWAクリエティブシティ化戦略事業の一貫として、実施されているSUWAデザインプロジェクト。諏訪市に拠点を置く企業が、クリエイティブ人材との交流やワークを通じて自社の技術や魅力を見える化し、広く伝えることを目指しています。ロフトワークでは2016年度より、諏訪市と共にプロジェクトを推進しています。

2018年4月より、3年目の取り組みが始まりました。3年目の目的は、

自社の価値を再定義しプロモーションツールを作る

と定義しました。諏訪市により実施された公募で選ばれた企業は、金属の研磨・加工を得意とするつ株式会社松一、諏訪地場の伝統的なおみやげ菓子を展開する中央食品工業 有限会社、金型加工を得意とする株式会社 旭、寒天生産と販売を行う有限会社イリセンの4社。

業種や業界・規模も異なる4社を迎え、諏訪市と共に新たな顧客に伝える価値創出をめざして、プロジェクトが始動しました。“設計図に沿ったものづくり”から、“設計図自体からのものづくり”を実現する。デザイン思考のフレームワークを用いて、諏訪市と諏訪地域に拠点を構える企業自らがが産業競争力を高めるための挑戦が始まっています。

Process

3年目の取り組みでは大きく2つのフェーズに分け、全6回のプログラムを実施しています。 前半は内部と外部の異なる視点で自社の情報・価値を整理。事業者が自社の強みや技術を整理しつつ、工場の見学を通じて外部視点で価値の掘り起こしていきます。各事業者のユーザー視点を捉えて、何をどのように伝えることで、魅力がより伝わるようになるのかアイデアを検討していきます。 後半では前半で見つけた価値とアイデアを実際のツールとして制作していきます。

プログラム1:内部視点で自社のアセットを言語化・整理

手法:親和図法

8月24日、諏訪市役所にプロジェクトに参加するメンバーが集合。これまでのSUWAデザインプロジェクトのプロセスや、今年のプロジェクトゴールを共有しました。

企画趣旨の説明を経て、情報やアイデアを視覚的に見える化する親和図法を使って諏訪市の特徴の整理からワークを開始しました。最終的に同様の方法で自社のアセットを整理・可視化するところまで行い第一回目のワークを終えました。

プログラム2:外部視点を取り入れるための工場見学とアイデアスケッチ

手法:工場見学、リフレーミング&アイデアスケッチ

9月14日-15日の2日間の日程で実施した第二回。この日から外部のデザイナー2名が合流。参加事業者と共に、職場・工場を視察し、各社がどのようなプロセスでものづくりを行っているかをインプットしました。その後諏訪市の居酒屋を会場にプロジェクトメンバー全員による懇親会も実施し、親睦を深めました。

▲職場見学、有限会社イリセンの寒天を茹でる巨大な釜
▲株式会社 旭 金型の製造工程を見学
▲株式会社松一で金属の研磨を体感
▲カラフルな寒天の原材料

2日目は、諏訪市のお隣である茅野市のWORK LAB YATSUGATAKEを会場に、ワークショップを実施。工場見学を通じて外部視点で得られた発見を共有し、視察先のそれぞれの商材や技術、環境を使った新しいアイデアのスケッチを行いました。

▲付箋で書き出したアイデアをイラストで具体化していきます
▲新たにメンバーに加わった鶴本晶子さん(株式会社ナガエプリュス ブランドマネージャー)
▲小林新也さん(合同会社シーラカンス食堂 代表)

新たな価値を掘り起こすための内部・外部の両視点

3年目のプログラムを設計する上で事業者の魅力や技術力を一時的な情報として発信するのではなく、事業者自身が継続的に伝える力をつけることが課題に上がっていました。 そのため、まずは内部の視点で自らの魅力や技術力を言語化し改めて理解。その上でデザイナーやロフトワークなど外部からの視点を取り入れ、事業者が気付いていない価値・視点を可視化しています。 内部・外部の両視点を取り入れることで、新たな価値を掘り起こし、同時にデザイナーやロフトワークなどの外部の参加者のインプットの場としても機能しました。

プログラム3:ユーザーへの共感とアイデアスケッチ

手法:インタビュー、共感マップ、アイデアスケッチ

10月6日に実施した第三回。各事業者のユーザーニーズの把握や行動へ共感するため、宿題として参加事業者が行ってきたインタビューを元に、顧客が普段何を見て、何を感じているのかを明らかにする共感マップを作成しました。 その後、共感マップとユーザーのタッチポイントとなりうるシーンから、新しいアイデアをスケッチ。 第二回目と合わせて2回のアイデア出しを行ったことで、新しくも地に足のついたアイデアがたくさん生まれました。

議論の下地を作るアイスブレイク

アイスブレイク1:「Yes and」でマインドセットを整える

ワークを進める上で”場の空気”はとても重要です。ポジティブかつ建設的に、どんなことでも言える空気を作る工夫が欠かせません。「他人の意見を否定しない」などルールの事前提示を行いつつ、この日はさらに、「Yes and」というアイスブレイクを行いました。自分の前に発言した人の内容を受け入れ、反対意見ではなく、自らの意見やアイデアを追加していきます。参加者のマインドセットを揃え、その後の議論を円滑に進めることができます。

アイスブレイク2:「ブレストカード」でアイデア発散を体感する

ブレスト専用のカードを使って、ワークショップの一部を体感してもらうことを目的として実施しました。 カードのイラストから連想される「昨日見た架空の夢」や「新しい諏訪のお土産」について制限時間内にアイデアを話し、アイデア発散の要領を体感いただきました。

その日のワークや参加者属性にあわせたアイスブレイクは、参加者の姿勢やマインドに変化を起こし、よりよい議論の下地を作るのためにとても重要なステップです。

プロジェクトは2018年10月10日現在も進行中。2018年度内には継続的に6回のプログラムを実施予定です。

Member

金指 了

金指 了

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

二本栁 友彦

株式会社ロフトワーク
ゆえんユニットリーダー

Profile

柏木 鉄也

株式会社ロフトワーク
チーフプロデューサー

Profile

宮本 明里

株式会社ロフトワーク
Layout シニアディレクター

Profile

安藤 大海

安藤 大海

株式会社ロフトワーク
テクニカルディレクター

金子 雄二

金子 雄二

諏訪市
経済部 商工課長 産業連携推進室長

飯田 洋一

飯田 洋一

諏訪市
産業連携推進係長

岩波 恵一郎

岩波 恵一郎

諏訪市
経済部 産業連携推進室 主任

小林 新也

小林 新也

合同会社シーラカンス食堂/MUJUN
代表・デザイナー

鶴本 晶子

鶴本 晶子

株式会社ナガエプリュス
ブランドマネージャー

Keywords

Next Contents

社会課題解決に向け、地域に「共助」の仕組みをつくる
NECが挑む、新たな事業領域の探索