複数年計画で取り組む「技術の里」として地域ブランディング
/ SUWAデザインプロジェクト
Outline
諏訪地域を「技術の里」 として再びブランディングし、 継続的に外部企業、人材を呼びこむためには、どうすればよいのか。ロフトワークでは、諏訪の技術を、企業やクリエイターに触れてもらう機会を生み出し、諏訪市の魅力を諏訪圏外に伝えることで、事業者の技術を発信し、仕事と人材の流入につなげることを目的にこれまで3年にわたり、プロジェクトを実施しています。
諏訪市の産業連携事業を母体とし、SUWAクリエイティブシティ化戦略の一貫として実施されているSUWAデザインプロジェクト。初年度は事業者と創る物語を通じて、諏訪市の技術を外部に発信。2年目はハッカソンを軸に諏訪がもつ技術を活用するプロジェクトを実施。そして2018年。3年目はデザイン思考のフレームワークを用いた自社の価値の再定義や魅力を発信するツールの制作を目指しています。
- プロジェクト期間:2016年4月~(継続中)
- 体制
クライアント:諏訪市 経済部 産業連携推進室
プロデュース:諏訪 光洋(2016-)/柏木 鉄也(2016- )/二本栁 友彦(2018-)
プランニング:二本栁 友彦(2016-)/金指 了(2017-)
プロジェクトマネジメント:二本栁 友彦(2016-2017)/金指 了(2018-)
クリエイティブディレクション:金指 了(2016-)/桑原 季(2017)
ディレクションサポート:宮本 明里 (2018 – )
テクニカルディレクション:村田 真純(2016)/安藤 大海(2016)
Background
戦後は時計・カメラ・オルゴールを中心に発展し、「東洋のスイス」と言われ、日本でも有数の精密機器の産業集積地として知られていた諏訪市。1980年代以降、大手メーカー工場の海外移転に伴い、地域内の工業は急激かつ大幅に縮小傾向にありました。工業集積の規模の縮小に伴い、電気機械、金属製品、輸送用機械器具などへの業種転換、または業種の多角化を行っています。
その結果、近年では加工技術の高精度化、微細化、あるいは地域周辺の加工技術の活用などを通じて、広地域での活用や海外進出、自社製品の開発に繋げていく動きが徐々に現れてきています。精密機器の製造で培った超微細加工技術と“ものづくりのDNA”は脈々と受け継がれて今に繋がっています。
そこで、諏訪市では、産業連携事業の一環として、クリエイティブシティ化戦略事業を展開。
1.諏訪地域の事業者の活性化
2.諏訪地域の事業者による新規事業創出
3.諏訪及び、諏訪地域のエリアプロモーション
4.諏訪地域圏外との交流人口増加
を目的に様々な取り組みを行っています。
これら活動をさらに加速させ、首都圏を中心とした新たな販路開拓や、クリエイティブ人材との交流から、将来のクリエティブシティ化へ向けての足がかりを作るために、2016年度からロフトワークとともにSUWAデザインプロジェクトを開始しました。
関連リンク
Process
SUWAを知る(2016年):3つの事業者の物語を通じて、諏訪市の技術を発信
地域内に拠点を構える事業者を公募。応募があった事業者と新しい価値や利用機会を見つけるための個別のプログラムを実施。現地視察から事業者の公募選定、事業プロデューサーのアサイン、Webサイトからのプロセスの発信など一連のプロセスを担当。
該当事業者とアウトプット
・株式会社ミクロ発條:新規プロダクト開発
・株式会社 松一:プロモーションツールの制作
・株式会社nittoh:クリエイターコラボレーションのためのハッカソン開催
2016年度の狙い
・外部のパートナーを加えた3社3様の取り組みを通じて諏訪市の魅力(技術)を発信すること
・プロセスから含めてWebサイトに記録を残すこと
・ロフトワーク自身も諏訪市への理解を深めること
SUWAを使う(2017年):ハッカソン開催を軸に、諏訪市の技術を活用
諏訪拠点の各社の技術を活用するために、圧倒的な認知度と大きな技術活用素地をあわせもつミニ四駆をプロジェクトの中心に据え、クリエイターと共にハッカソン形式で共創するプロジェクト「SUWACKATHON」を実施。事業者の公募に加え、クリエイターの公募やクリエイターとの現地視察ツアーの実施から、アイデアソン、ハッカソンを開催しレースまで実施しています。
2017年度の狙い
・諏訪圏外の外部人材/クリエイターが諏訪を知り、技術に実際に触れる機会を創出。交流人口を増やす
・諏訪市内企業の技術を詰め込んだ広報ツール(ミニ四駆)の制作
・諏訪市内企業が首都圏クリエイターとのコラボレーション
・首都圏クリエイターが諏訪の技術に触れる機会の創出
・SUWAデザインプロジェクトを通じたビジネスへの発展
SUWAを伝える(2018年):諏訪市の技術や魅力をつくり、伝える手法の習得(現在進行中)
自社の価値を再定義しプロモーションツールを作ることを目的にスタート。業種や業界・規模も異なる4社を迎え、諏訪市と共に、新たな顧客に伝える価値創出をめざして、プロジェクトが始動しました。
“設計図に沿ったものづくり”から、“設計図自体からのものづくり”の実現へ――
デザイン思考のフレームワークを用いて、諏訪市に拠点をおく企業自らが、産業競争力を高めるための挑戦が始まっています。
Output
外部のパートナーを加えた3社3様の取り組みの魅力(技術)を記録・発信するWebサイト(2016)
3事業者との取り組みで生まれた、新しいプロダクトとアイデア(2016)
首都圏在住の外部クリエイターとのコラボレーションで生み出された新しいプロダクトは、既に商談の場などで活用がはじまっており、本業のビジネスへも貢献しています。
事業者各社の技術を詰め込んだミニ四駆をクリエイターと共にハッカソン形式で制作(2017)
光源や研磨技術、微細バネなど様々な技術的な特徴をもった諏訪ならではのミニ四駆が勢揃い。スマホから操作でスピードの制御ができるものや、全身発光しながら疾走するマシンまで通常のミニ四駆からは大きく異なるマシンの数々にレース当日は大きな盛り上がりを見せました。
Impact
これまでの3年間で、諏訪地域の企業間による新たな繋がりの創出や、諏訪圏外への新規販路の開拓、圏外企業の素材と諏訪地域の技術を使った新たな商品開発など、いくつもの成果が生まれつつあります。また自らの価値を見つめ直し、外と繋がることで、新たな魅力を作りだそうというマインドもプロジェクト参加者である諏訪地域の事業者間で醸成されています。
長い年月をかけて築いてきた地域の伝統や人の営みから、新たな価値を発見し育てていく。階段を登るように簡単にステップアップができるわけではありません。仮説と検証を繰り返し、複数年をかけて持続可能な取り組みに育てていくことを、これまでもこれからも目指していきます。
Member
金指 了
株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター
桑原 季
株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター
安藤 大海
株式会社ロフトワーク
テクニカルディレクター
金子 雄二
諏訪市
経済部 商工課長 産業連携推進室長
飯田 洋一
諏訪市
産業連携推進係長
岩波 恵一郎
諏訪市
経済部 産業連携推進室 主任
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