株式会社小島組 PROJECT

若手人材の創造性を引き出し育む
100年後を見据えた「新規事業創出・人材輩出プロジェクト」

Outline

未来を担う若手人材を発掘し、創造性を引き出す

浚渫*をはじめとする港湾土木事業を広く手がけるグローバルカンパニー株式会社小島組(以下、小島組)。2019年に創立100周年を迎えた同社は、次の100年に向けた基礎を築いていくため、港湾土木事業とは別の事業を創出し次の柱としていくことを目指しています。
そのためには指示命令型の組織運営から、社員による自発的発展型組織へ転換すること、新規事業を立ち上げ、牽引できる次世代のリーダーを輩出することが不可欠です。そこで、小島組とロフトワークは新規事業創出と人材輩出を目指す「プロジェクトダヴィンチ」を始動しました。

社内公募により、アイデアを持つ若手メンバーを募集しプロジェクトメンバーを選出。2日間の集中ワークと、対話を通じたコーチングにより彼らが持つ創造性を引き出しながら、事業プランを設計しました。
世界最大の超大型グラブ浚渫船「五祥」の船上で行われた最終発表会では、参加メンバーが社長や役員の方々に向けて事業プランのプレゼンを実施。プロジェクトスタート時には新規事業のプランニングについては未経験であった若手メンバーから、今後事業検討を含めて考えるべき事業や、組織への改善提案など、未来の小島組を創りうる多彩なプランが発表されました

phase0としてスタートした本プロジェクト、一貫してこだわったのは、個人の自発性を重んじること、そして個人と向き合い一人ひとりのクリエイティビティを引き出すこと。今後はプランごとに詳細の検討に進む予定です。

*浚渫(しゅんせつ)とは…河川、湖沼、海域などで、広い面積にわたって水底を掘ること

世界最大の超大型グラブ浚渫船「五祥」

撮影:森 善之(株式会社七雲

プロジェクト概要

  • プロジェクト期間:2021年9月〜2021年12月
  • プロジェクト体制:
    • クライアント:株式会社小島組
    • プロジェクトバックアップ:株式会社OKB総研
    • プロジェクトマネージャー:小川 敦子
    • プロデューサー:小島 和人

Process

プロジェクトの流れ

社会の潮流と自社の強みを繋げ、事業アイデアの強度を高める

ロフトワーク プロデューサー 小島和人

常に変わっていく社会の中で、自社の新しい役割や在り方をアップデートし、新しい事業を生み出していくには社会の潮流を掴み、自社の強みと繋げていく必要があります。
そこで実施したのが、未来予測ワークとロジックモデルを活用した仮説形成です。
「現状や課題」から未来を考えるフォーキャスト、「ありたい姿/あるべき姿」から逆算し今を考えるバックキャスト、2つの思考法を組み合わせ、これまで小島組がつくりあげた価値や思想と、未来の世界であるべき姿を接続し、起こり得る未来を描きました。
この舞台設定をベースとし事業プランをロジックモデルに落とし込むことで、社会の課題背景を踏まえた上で自社の強みを活かす事業プランニングを可能にしました

ロードマップ

2030年から逆算し、小島組と社会との関係性をロードマップに描きました。

対話を重ね、個々人の可能性と創造性を最大限に引き出す

クリエイティブディレクションを強みとするロフトワーク。人材育成においても「教え込む」のではなく個人のクリエイティビティを「引き出す」ことに価値があると捉えています。本プロジェクトでは一律の講義やトレーニングでは彼らが持つポテンシャルを引き出せないと考え、徹底的に行ったのが「対話」によるコーチングです。

2日間の集中ワークでは通常業務では関わることのなかった部署間を超えたメンバー同士でのグループコーチングを通じて、他者視点からの学びを得ました。アイデアのプランニングにおいては、週一回の1on1ミーティングを設定し、それぞれのアイデアや思いを言語化することに注力。新規事業に挑む姿勢やマインドセットを伝えながら、「なぜ、小島組がやる必要があるのか」という“なぜ(Why)”を何度も問うことで、それぞれの考えや思いを言語化し、個人の可能性を引き出だしていきました

あくまでも主体者は、参加メンバーである若者です。参加者の意欲を重んじ、途中で主メンバーからサポートメンバーになることもやむを得ないという考えのもと、最終的には7名のメンバーが事業プランを完成させ、成果発表に挑みました。

プロジェクトを通じての気づき

  • プロセスの中で、知識量が少ないのは致命的だと感じました。また、自分一人の知識や考え方だけでは、限界があることを知りました。違うプロジェクトを考えているメンバーに自分のプロジェクトを話しフィードバックをもらうことで、新たな観点、可能性に気づくことができました。今後は、プロジェクトを計画し実行するまでのプロセスを学んでみたいです。(大阪支店 工事部 神野さん)
  • 自分軸でとらえる視点と、他者目線からの見え方の違いを学びました。相違を繰り返しながら研ぎ済まされていくと感じた反面、相違していて良い部分もあるという気づきを得ました。実行する意味(why)を考えること、そして実行し続ける力を養うことの両方が重要だと思います。(工事部 加藤さん)
  • メンバーの知識共有により、企画の土台が出来上がっていく過程や新しい企画に変わっていく過程を目にして、意見をする、聞くということの大切さを痛感しました。また、共同作業することで初めて知る事が多くありました。幅広い人材が集まっているという事は、多くの知識を持っているという大きなメリットだと思います。それぞれの知見を共有できたのならば、次はその知識を一本化し、計画することが望まれます。一つ一つ進めていく必要があり、実現性の高い計画をたて、実行するために“準備”することが重要です。次は、この準備の方法について学んでいきたいです。(工事部 市川さん)

ーー最終プレゼンテーションを経て、小島社長にコメントをいただきました。

プロジェクトに参加したメンバーのみなさんがエネルギーを注ぎ、事業アイデアをつくり上げてくれました。そして、小島組の課題だけでなく、名古屋港、社会の課題を捉えていることに感銘を受けました。何より、みなさんの能力の高さがひしひしと伝わってくるプレゼンテーションでした。これらの提案を経営層もしっかり受け止め、みなさんが描いた事業を実現できるように精進していきます。今後は、プロジェクト案の個性に則した進め方を検討していきたいと思います。

これまで培ってきた彼らの貴重な知見や経験、感性、価値観は、本プロジェクトがなければ、小島組の既存の仕事の中では真正面から脚光を浴びることのないままだったと思います。あるいは、既存事業に埋もれて、本人さえ忘れてしまうことになっていたかもしれない。それぞれが学び経験してきたことを最大限に企業が活かし、彼らの自己実現欲求と重ねていくことが大切だと思います。

(株式会社小島組 代表取締役社長 小島 智徳)

ーーバックアップメンバーとしてご参加いただいたOKB総研 長瀬さんよりコメントをいただきました。

本プロジェクトの起点は約2年前OKB総研とロフトワークが共催で実施した名古屋共創会議での出会いにあります。そこから小島社長はじめ皆さんと、数多くのディスカッションを重ね本プロジェクト実施に至りました。

最終報告会では、参加メンバーの皆さんのプレゼンテーションに感動しました。外部のメンバーとプロジェクトを進める中で、より自社や業界についての理解が深まり、自分ごと化されていっのだと感じました。今回のプロジェクトはphase0ですので、phase1,2への発展を期待しています。

(株式会社OKB総研 戦略事業部長 長瀬 一也)

最終プレゼンを行ったのは超大型浚渫船「五祥」の船上です。「五祥」は約20年前、当時の新規事業として開発を進め、今の小島組を支えています。この小島組のイノベーションの象徴とも言える船上で、若者達の手に未来へのバトンが渡されました。

最終プレゼンを行ったのは超大型浚渫船「五祥」の船上です。「五祥」は約20年前、当時の新規事業として開発を進め、今の小島組を支えています。この小島組のイノベーションの象徴とも言える船上で、若者達の手に未来へのバトンが渡されました。

最終プレゼンを行ったのは超大型浚渫船「五祥」の船上です。「五祥」は約20年前、当時の新規事業として開発を進め、今の小島組を支えています。この小島組のイノベーションの象徴とも言える船上で、若者達の手に未来へのバトンが渡されました。

最終プレゼンを行ったのは超大型浚渫船「五祥」の船上です。「五祥」は約20年前、当時の新規事業として開発を進め、今の小島組を支えています。この小島組のイノベーションの象徴とも言える船上で、若者達の手に未来へのバトンが渡されました。

Member

小川 敦子

株式会社ロフトワーク
アートディレクター

Profile

小島 和人(ハモ)

株式会社ロフトワーク
プロデューサー / FabCafe Osaka(仮)準備室

Profile

メンバーズボイス

“本来のクリエイティブディレクションは、創造性を引き出し、一つに調和させ、世界観を構築することだと捉えています。人の育成においても、全く同じで、一人一人の想像力/創造力を引き出し、統合していくことが、ディレクターの役割なのだと思います。もしかしたら、人材育成は最大のクリエイティブディレクションとも言えるのかもしれません。教える側は、教える側が考える<完璧にできること、正しい答えを言うこと>=これが本質的な成長や育成ではない、と捉える必要があると考えています。”

ロフトワーク アートディレクター 小川 敦子

“事業開発において、個人の想いを社会と自社の活動に結びつける事はとても難しいことです。今回のプロジェクトではロフトワークは導きすぎず、メンバー自ら変化を引き起こし、文脈同士を繋げていく。それにトライしました。その難しい挑戦を、熱量の高いメンバーが見事に成し遂げてくれました。”

ロフトワーク プロデューサー 小島 和人

Service

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