京都における産・学・公のあらゆる機関が相互に情報を共有しながら、連携と協働を進めるためのプラットフォームとして活動する、京都産学公連携機構。2019年9月20日、機構が主催する「コーディネート人材のためのスキルアップセミナー ーデザイン視点のコーディネーションー」に、京都ブランチ事業責任者の寺井翔茉が登壇しました。

寺井は、「アイデアとは他者との関わりの中から生まれるものであり、コーディネート人材とはその化学反応のプロセスを作り出すことではないか?」というメッセージを、ワークショップを交えながら伝えました。

寺井 翔茉

Author寺井 翔茉(取締役 COO)

2008年立命館大学経済学部卒、ロフトワークへ新卒入社。シニアディレクターとしてWebサイトリニューアルから地域名産品のリデザイン、共創スペースにおけるプログラムデザインなど幅広い分野のプロジェクトを担当。2017年より「Loftwork Kyoto Branch / FabCafe Kyoto」の事業責任者として組織開発に取り組みながら、企業ブランディングや企画展プロデュースなどのプロジェクトを実施。「偏愛」をテーマとしたレジデンスプログラム「COUNTER POINT」や、バイオロジカルデザインの可能性を探求するコミュニティ「SPCS」を新たに立ち上げた。2022年より取締役 COOに就任し、ロフトワークの次の時代づくりに邁進中。Golden Pin Design Award、TOP Awards Asia、Skift IDEA Awardsなど受賞多数。米国PMI®認定PMP®。

Profile

「不確実性」や「複雑性」に向き合う思考法を学ぶ

従来の価値観に捉われず、価値創造や市場創造、顧客創造を実現できる起業家人材をサポートするコーディネート人材(コーディネータ)のスキルアップが重要であるという想いのもと企画された「コーディネート人材育成事業」。この講座は、コーディネーターとしての姿勢や考え方を学ぶため、3回にわたって専門家を登壇者に招いて開催される連続講座です。

セミナーでは、不確実で複雑な社会課題に向き合うための思考法や姿勢が、寺井を含む3名の専門家から紹介されました。

まず京都工芸繊維大学デザイン・建築学系教授の櫛勝彦さんから、複雑な課題に取り組み、エコシステムを作る思想体系としての『デザイン思考』を、思考法が生まれてきた歴史を通して解説。立命館大学経営学部准教授の吉田満梨さんからは、『エフェクチュエーション(=優れた起業家の意思決定理論)』をとおして、イノベーションを起こす思考法を解説。

寺井は2名のセッションを踏まえて、「コーディネーター人材に必要な姿勢とは?」についてワークショップを交えながら語りかけました。

京都工芸繊維大学デザイン・建築学系教授の櫛勝彦さんは、デザイン思考が生まれた歴史的背景を紐解き、デザイン思考は「エコシステムを作るもの」だと説明した
立命館大学経営学部准教授の吉田満梨さんは、エフェクチュエーションの基本的な考え方が解説された

課題解決における、観察→問題発見→発想のプロセス

寺井は、ビジネスにおける思考法を整理したうえで、デザイン思考のプロセスの中で重要だと考える「観察」、「問題発見」、「発想」に向き合うための姿勢を、ロフトワークの具体的な取り組みを通して伝えました。

デザインシンキングを他の思考法と比較しながら、用途を解説。縦軸は構造的か脱・構造的か、横軸は問題解決型か問題提起型かという分類

気づきのプロセスをコーディネートする

複雑性/不安定さ/不確実性/曖昧さが進んでいる中で、複雑に絡み合った問題に向き合うためには、既存の常識やルールをの中で答えを探すのではなく、自ら常識を作り出すこと。そのためには、新しい「気づき」を生み出すプロセスが重要になってくるのではないか?という寺井。 プロジェクトメンバー全員が主体的に気づきを得ていくために、気づきのプロセスをコーディネートする立場の人間が必要だと訴えました。

トークのあとは、発散思考と収束思考を体験するワークショップを開催。他社の視点を入れることで、強制的に思考を発散させ、「気づき」が生まれる感覚を体験しました。参加者同士のコミュニケーションも活発になっていました。

ワークショップのお題は、水族館の新しい企画展を考えるというもの。「最近気になるテクノロジー」「最近感動した体験」「水族館といえば」の3つの質問に対する回答を参加者それぞれが付箋に書き、それらをランダムに組み合わせることで、アクロバティックなアイデアを作り出しました。

イベント概要

「コーディネート人材のためのスキルアップセミナー ーデザイン視点のコーディネーションー」

会期:2019年9月27日(金)13:00-17:0
会場:京都経済センター4F 4-B会議
主催:京都産学公連携機構 事務局 (一般社団法人 京都知恵産業創造の森)
詳細:http://www.enokojima-art.jp/zoku_school_2019

ロフトワークについて

ロフトワークは「すべての人のうちにある創造性を信じる」を合言葉に、クリエイターや企業、地域やアカデミアの人々との共創を通じて、未来の価値を作り出すクリエイティブ・カンパニーです。ものづくりを起点に、その土地ならではの資源やテクノロジーを更新する「FabCafe(ファブカフェ)」、素材と技術開発領域でのイノベーションを目指す「MTRL(マテリアル)」、クリエイターと企業の共創プラットフォーム「AWRD(アワード)」などを運営。目先の利益だけにとらわれず、長い視点で人と企業と社会に向きあい、社会的価値を生み出し続けるビジネスエコシステムを構築します。

株式会社ロフトワーク 広報:pr@loftwork.com

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Layout シニアディレクター宮本明里とバイスMTRLマネージャー長島絵未が登壇