近畿大学 PROJECT

学生が自走する仕組みをデザイン
実学教育のプラットフォーム「ACT EX」

Outline

近畿大学 ACADEMIC THEATERは、「知の劇場」をテーマに、国際交流や産官学連携を促進させる場。プロジェクトスペース/図書館/カフェ/自習室などの機能を持ちながら、日々社会とつながりながらプロジェクトを生み出しています。

今回ロフトワークが支援したのは、ACADEMIC THEATERの中で「ACT(アクト)」と呼ばれる、学生主体の実学を体現する空間。42のガラス張り小部屋で、社会の諸問題を解決に導くために、文理の垣根を超えた学生主体の総合型教育や学術成果の発信、企業や地域とのコラボレーションによる新たなマーケットへの情報発信・商品開発など、新たな学びや出会いの場として活用されています。

年間30件以上のプロジェクトや150件以上のイベントを実施している一方で、ACADEMIC THEATERの公式サイトでは、概要は掲載されているものの、途中経過や活動成果についての情報発信はされておらず、学内外にその価値を届けられていないという課題がありました。

今回のプロジェクトのミッションは、ACTを舞台に活動する各プロジェクトの活動の温度感が伝わり、「私も参加したい!」と学内外から感じてもらえるような情報発信の場を作ること。そして、学生たちが自らプロジェクトを立ち上げ、自走できる仕組みをデザインすること。ロフトワークは、オンライン/オフラインの両方の施策から、プロジェクトの魅力を伝えるプラットフォームを作りました。

プロジェクト概要

  • プロジェクト期間
    2018年12月〜2019年3月
  • プロジェクト体制
    プロデューサー:藤原 里美
    プロジェクトマネージャー:国広 信哉
    ディレクター:飯田 隼矢
    テクニカルディレクター: 丹羽 孝彰、伊藤 友美
    ロゴデザイン:前澤知美
    Webデザイン:ADRIATEC 鈴木人詩
    CMS開発:takumadesign 坂田一馬
    グラフィックデザイン:岸本敬子
    印刷:修美社
    記事ライティング:北川由依
    撮影:北村渉
    Fabアドバイザー:金田金太郎

Outputs

Webサイト

ACTプロジェクトのパワーと熱量を表現するために、メリハリを強調した大胆なWebデザインに

ロゴマーク

偶然を誘発するために10°ずつ通路が傾けられた建築に合わせ、ロゴタイプも基準線から10°ずつ傾斜

学生の主体的な活動を促し、自走できる仕組みをデザイン

施策1: 自走する編集チームをつくり、主体的なマインドセットを育む

何かやってみたいけど一歩踏み出せない学生に向けて、どうすればプロジェクトの温度感を伝え、参加してみたい(主催したい)と思わせられるかが一番の課題でした。その施策として各プロジェクトを外部に発信するための編集チームを作り、取材+記事作成を行うこと」を計画しました。

これはACTプロジェクトのひとつ、編集工学研究所が主催する「編集力講座」で学ぶ学生と一緒に実施。取材先に合わせて柔軟にチームを編成し、学生たちもライターやフォトグラファーの役割で、時にはプロのクリエイターと一緒に、記事を作成していきました。

2019年4月のWebサイト公開以降、月約3本のペースで記事を作成。この状況を継続していくことで、主体的に編集を学び、情報発信をしたい学生が活躍できる場を作り、ACTで活動しているさまざまなプロジェクトに光が当たることを狙っています。

関連リンク:学生編集チームの記事一例
協力クリエイター:北川由依さん(ライター)、北村渉さん(フォトグラファー)

「価値のパラダイムシフトを近大から起こせるか」 INTERVIEW(2019年3月26日)

学生編集チームも取材へ参加
記事の末尾には学生の名前を掲出

施策2: プロジェクトの透明性を高め、横断的なつながりや協働を促す

ACTはプロジェクト同士の交流を促すため、すべての部屋がガラス張りで作られています。しかし、実際に各部屋でどんな活動が行われているかまでは分からず、興味を持った学生が入りにくかったり、各プロジェクト同士の交流が断絶されてしまうという課題がありました。

そこで、学生に向けて「透明性を高めプロジェクトに親近感を持ってもらうこと」を狙い、以下の施策を行いました。

1 顔が見える
各プロジェクトページでコアメンバーの写真/名前/所属を掲載したり、魅力を自分たちの言葉で伝えるメッセージ欄を設けました。

2 プロジェクトの「今」がわかる
施設のどこでプロジェクトが進められているかや、開催イベントを全て掲載できるようにするなど、情報をオープンに発信できる構成にしました。

3 興味→プロジェクトの導線がある
プロジェクト一覧ページでは、「SDGs」や「人工知能」などのタグで絞り込みでき、プロジェクトを横断的に検索できる設計にすることで、学生が自分の興味にマッチしたプロジェクトと出会い、行動に移してもらえるようなオープンさと透明性を意識しました。

メンバーの情報や施設マップを掲載
タグで横断的に絞り込みができる

施策3: コミュニケーションを誘発し、プロジェクトを認知してもらう

学生の日々の活動の中で、新しいWebサイトがより目に触れられるようになり、プロジェクトを認知してもらうにはどんなアプローチが良いでしょう?

着目したのは、コミュニケーションツールです。学生たちのコミュニケーションをデザインすることで、彼らの活動の認知を高めたり、活発なコミュニケーションを誘発することはできないだろうか?

そこで提案したのが、学生たちが使う「名刺」でした。自分たちのプロジェクトの名刺を持っていない学生は多く、持っていてもデザインが統一されていないことがほとんど。そのため、学生が手書きすることで完成するプロジェクト名刺と、文房具やパソコンなどに貼れるステッカーを作成しました。どちらもロゴとQRコードを大きく掲載することで、Webサイトにアクセスできるデザインです。

実際に2019年4月12日(金)に行われた「ACT PROJECT GUINDANCE×EVENT」で、各プロジェクト同士のコミュニケーションツールのひとつとして利用されました。イベントはもちろん、日常でプロジェクト紹介に利用してもらうことで、各プロジェクトの取り組みや新しいWebサイトが認知されるようにと考えています。

プロジェクト名刺とステッカー
イベントでもプロジェクト間の自己紹介で利用

施策4: 場を考えるプロジェクトを長期的にメンタリング

ACTの活動を学生自身が自走していくためには、環境を整えるだけでなく、学生自身のマインドセットも変えていく必要があります。そのために行なっているのが、ACTのプロジェクトのひとつ「Creative Junction」への参加。アイデアを形にするスキルを実践的に学べるワークショップをFabcafe Kyotoマネージャーの木下が長期的にメンタリングしています。

コラボレーションが生まれる仕掛けや、ヒト・モノ・コトが有機的につながるコミュニティづくりについて、学生と一緒に考えていくことで、彼らがやりたいことと、それを実現するための道筋を自分自身が設計できるようサポートしています。

Creative Junctionの授業をMTRL KYOTOで実施

Process

複合的なインプットを関係者全員で集中統合する

プロジェクトの魅力を伝え、学生自身で自走できるプラットフォームを作るためには、複合的なインプットをもとに、ACTプロジェクトの「今」と「これから」を描けるメンバーで集中統合することが重要です。そこで、どのような施策を実施すべきか決定するため、フィールドリサーチ+デスクトップリサーチで得た情報をインプットに、事務局、施設運営担当、ロフトワークの3社で1.5日のワークショップを敢行しました。

リサーチからコンセプト策定までかかった時間は7日。リサーチで得た情報が新鮮なうちに、スピード感をもって決裁権のあるメンバーが集まって方針決定することで、その後の施策にブレが起きない

集めた情報を踏まえ、「インサイトマップ」(=Webサイトを作る上で特に大事にしたい要素を洗い出したもの)、「ステークホルダーマップ」(=Webサイトのターゲット)、「サイトマップ」(=情報構造の設計図)の3つに整理。「Be Active -やってみたいを行動へ移せるプロジェクトサイト」というコンセプトを定め、具体的な施策を設計しました。

新しいWebサイトを機に発足した編集チームは、積極的にACTプロジェクト主催のイベントに行って取材記事を書きながら、毎週の定例会で自分たちの活動について話し合うなど、学生が主体的に活動する場になりつつあります。Webサイトはまだ公開して間もないため、プロジェクトを横断した活動や協働はこれからですが、実際に利用した学生からの反応もよく、認知は徐々に広がっており、これからプロジェクトがどう発展して行くのか楽しみです。

Member

寺本 大修

寺本 大修

学校法人近畿大学
アカデミックシアター事務室

金子 由依

金子 由依

学校法人近畿大学
アカデミックシアター事務室

国広 信哉

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

飯田 隼矢

ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

藤原 里美

株式会社ロフトワーク
プロデューサー

Profile

メンバーズボイス

“どうすればいいのか…答えの無い問いに、共に仲間として真摯に向き合って頂いたことに強い信頼感を持っています。単なる御用聞きのWEBサイト構築ではなく、ワークショップを通じた課題抽出、目標設定、イメージの具体化はプロの技でした。”

学校法人近畿大学 アカデミックシアター事務室 寺本 大修

“ガラス張りの部屋「ACT」の中で活動している「人の熱量」が学生に伝わらないこと、ダイナミックなプロジェクトの動きが可視化できていないことが大きな悩みでした。大学としては前例がないということもとあり、施設を運営している私たちでさえサイトの要件を洗い出すことが難しい状況でした。
サイト構築時のヒアリングやワークショップを通して「ACT」の存在について改めて認識することができ、本当の意味で「ACT」の魅力を発信できるサイトを作り上げることができました。”

学校法人近畿大学 アカデミックシアター事務室 金子 由依

“アカデミックシアターに行くと、学生さんが生き生きしています(本当に)。ホワイトボードの前で熱心に議論する姿、本を積んで勉強に勤しむ姿、建築模型を前に和気あいあいと話してる姿。そんな心地よい雑多さをWebでも表現したいと思いました。ガラス張りのACTの中で、今日もいろんなことが起こってるんでしょうか。社会を驚かせるようなプロジェクトが、これからガンガン生まれることを楽しみにしています。”

ロフトワーク クリエイティブディレクター 国広 信哉

“このプロジェクトでは、「ACTプロジェクト」で活動する様々な学生にお会いしましたが、1人で複数のプロジェクトに参加している学生も多く、彼らのアグレッシブさには驚かされました。学部・学年を超えて同じ志を持った学生が集まり、単位に関係なく自分がやりたいからやっているというのが話を聞いていてよく分かりました。今回リニューアルしたWebサイトを通して、彼らの熱い思いや活動内容が学内外に広まり、新たな交流が生まれ、プロジェクト全体がさらに発展していくことが楽しみです。”

ロフトワーク クリエイティブディレクター 飯田 隼矢

Keywords

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「京都市観光協会」の事業価値を再定義する
Webリニューアルプロジェクト

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