ロクシタンジャポン株式会社 PROJECT

ロクシタンジャポンが組織文化を刷新
デザイン思考を浸透させる短期ワークショップ

Outline

製品開発からマーケティングに至るまで、デザイン思考による課題定義と創造のプロセスは、思い込みから脱却して創造的なアイデアを生み出すための有効なツールです。デザイン思考はデザイナーだけでなく、ロクシタンジャポンのニコラ・ガイガー氏のようなCEOまでをも魅了しています。

ガイガー氏は、10年以上前にビジネススクールでこの概念に触れて以来、自身の経営のアプローチにも取り入れてきました。ロクシタンジャポンで強固な企業文化を構築したいと考えていたガイガー氏。自社のスタッフが仕事や生活に対する考え方を刷新するためにはどんな働きかけが有効なのかを考える中で、ロフトワークの取り組みに着眼しました。

本プロジェクトでは、ロフトワークが独自に発展させたデザイン思考ワークショップを通じて、スタッフが自身の変化や成長を妨げる「コンフォートゾーン(居心地のいい場所)」から脱却することをサポート。一人ひとりが変化を恐れず、コラボレーション、共感、イノベーションに対して前向きにアクションするための組織文化づくりを支援しました。

ワークショップの冒頭、ガイガー氏は自身のスタッフにこのように語りかけました。
"みなさんはこれから知識のような具体的な「何か」を学ぶわけではありません。その代わりに―同じ問題を別の視点から見ることで、より良い解決策を導き出す―そのようなアプローチを身につけることでしょう。”

*この記事はLoftwork Global Teamが執筆・編集した記事の日本語版です。英語記事はこちら


ロクシタンジャポンのニコラ・ガイガーCEOは、デザイン思考を支持する経営者のひとり。

Objective

デザイン思考の核となる大切な原則である「共感」を実践するうえで、わたしたちはユーザーをよりよく理解するために、自身の思い込みを捨てる必要があります。しかし、共感力の強い企業文化を構築することは容易ではありません。

プロジェクト初期に行われたロクシタンのスタッフとの事前インタビューでは、以下の2つの事実が明らかになりました。

  • スタッフが自ら新しいアイデアを活かせるような創造的でオープンな環境がないこと
  • スタッフの多くが「以前うまくいったやりかた」をそのまま踏襲してしまう傾向があること

ほとんどの従業員は日本の大企業で働いた経験があり、同時にそのような企業が持つ保守的な文化のもとで社会経験を積んでいました。
そのため、スタッフが自らのコンフォートゾーンにとどまることなく、チャレンジしながら成長するのは難しいことでした。さらに、多くの社員がコラボレーションよりも「競争」という共通意識のもとで仕事をしていることもわかりました。

私たちは、彼らの組織文化をよりよく理解するために、さらにロクシタンのスタッフにインタビューを行いました。プロジェクトの全体像を描いていく中で、今回のデザイン思考ワークショップは、そのファーストステップ「フェーズ0」として定義されました。ワークショップのゴールは、ロクシタンのスタッフにデザイン思考の基本的な所作を身につけるための機会を提供し、「共感」の企業文化を発展させるための基礎を確立すること。そして、その企業文化が現場の仕事においても統合され、永続的に続いていくように促すことです。

Process

「ダブルダイヤモンド」のデザインプロセスマップ。

今回のワークショップは、英国デザイン協議会が考案したデザインプロセス「ダブルダイヤモンド」のサイクルをベースに設計されました。この2つのダイヤモンドは、「ある問題をより広く、または深く探求するプロセス(発散的思考)」と「集中的に行動するプロセス(収束的思考)」を表しています。

チームビルディング/Team Building

チームビルディングでは、メンバー全員の意識を揃え、チーム内で構造的に対話を進められるように準備をします。メンバー間の団結力と生産性を高めるための重要なプロセスです。

今回のワークショップでは、まず、ロクシタンジャポンのスタッフがA〜Dの4つのチームに分かれました。チーム内でそれぞれの目標やモチベーションを明確にしながら、個人のスキルセットや価値観を共有することで、メンバーの連携を深めることを目指しました。

発見/Discover

ダブルダイヤモンドの最初のステップである「発見(Discover)」は、憶測で課題を捉えるのではなく、リサーチなどを通じてきちんと「理解する」ためのプロセスです。課題を感じているユーザーと対話したり、一緒に時間を過ごしたりします。今回、ロクシタンのメンバーは街頭に出て、潜在的なユーザーや顧客との対話を実践しました。

ロクシタンの各チームは、街頭でターゲットとなる顧客/ユーザーに話を聞きました。

課題定義/Define

発見のプロセスで得られた知見は、チームメンバーがそれぞれの方法で課題を定義するのに役立ちます。インタビューを終えた後、それぞれのチームでディスカッションを行い、どの課題に重点的に取り組むかを決定しました。

創造/Develop

2つ目のダイヤモンドでは、これまでのプロセスから明確に定義された課題に対し、多様な人々と協働してデザインすることで新しい視点からインスピレーションを得て、複数の答えを導き出すことを奨励しています。

ここでは、再び発散的な思考が求められます。メンバーはチームの中でアイディエーションを行い、課題に対してできるだけ多くのアイデアを生み出しました。

解決策は1つだけではないかもしれません:チームメンバーはできるだけ多くのアイデアを考えようとします。

提供/Deliver

「提供(Deliver)」のステップでは、前のステップから生まれたさまざまなソリューションをスモールスケールでテストします。うまくいかないものは却下し、うまくいきそうなものを改善していきます。プレゼンテーションは、素早く雑に作った「ダーティプロトタイプ」で構いません。アイデアを伝え、フィードバックを得ることさえできればよいのです。

メンバーはまず一緒にアイデアをスケッチし、その後、提供された道具や日常生活にある材料を使って、モバイルアプリのプロトタイプやダンボールで作ったVRヘッドセットといったダーティプロトタイプを作りました。

プロトタイプが完璧である必要はありません。

『未来言語』のセッション

今回のワークショップではデザイン思考のトレーニングと並行して、ロクシタンジャポンのメンバーがゲーム感覚で「創造的な文化」を体験するための即興的なセッションを取り入れました。このセッションは、参加者が自身のコンフォートゾーンから抜け出るためのきっかけをつくる狙いもあります。

私たちがワークショップでよく取り入れている『未来言語』は、参加者に目や耳、口を覆ってコミュニケーションしてもらうエクササイズです。元々は視覚や聴覚などに障害を持つ人たちとの相互理解を目的に作られたもので、参加者は様々な障害を持つ立場を体験しながら、いかにコミュニケーションできるかを模索します。

ゲーム感覚のエクササイズ『未来言語』では、聴覚、視覚、発話などを「できる・できない」という「壁」を越えてコミュニケーションすることに挑戦します。

Outputs

スマートフォンアプリをプロトタイプしたチームC

チームAは、業務に「共感性」を生かそうと試行錯誤した結果、よりフラットな組織構造とオープンに意見を共有できる環境を検討しました。一方チームBでは、メンバー自身が悩んだ体験からデザインチャレンジのトピックを探ったことで、批判的・否定的な空気を避けてオープンに議論を進めることができました。

今回のワークショップで焦点を当てたのは、このようなオープンで協調的なマインドが彼ら自身のプロジェクトや日常のタスクと結びついていないという課題でした。そこで、プレゼンのお題となるデザインチャレンジではこれらのマインドをさらに強めるために、個人の利益ではなく、社会の利益のために働くという包括的な目標を設定。「子育て」や「ワークライフバランス」といったより大きな社会的課題をテーマにすることで、これまで習慣化していた自己中心的な考え方から一歩踏み出すことを試みました。

ロクシタン営業本部リージョナルマネージャーでチームDの内堀真由美さんは、”自分の能力を証明しようとするのではなく、チームに必要とされていることに専念できました”と語っています。

各チームはデザインチャレンジのアイデアを発表

各チームはデザインチャレンジのアイデアを発表

社会的課題をテーマにしたデザインチャレンジでは、自分たちの業務の枠にとどまらずにリアリティのある解決策を提案する必要があるため、メンバーはアイデアを自由に発散させました。その結果、それぞれのチームが柔軟性と適応力を高め、ひいてはイノベーティブな態度へと変わっていきました。

例えば、チームCは「家族」に対する常識や社会通念を覆すような、オルタナティブなライフスタイルを創造しました。Bチームは、リサーチを通じて多くの若者が自立した生活を十分に経験できていないことを知り、チャレンジのテーマを当初考えていた「女性と家事」から「同居の経験」へと変更。元々のアイデアにこだわることなく、素早くピボットできました。

Voices

山本 亮 / 営業本部 リージョナルセールス Sr. Manager

“共感 “とは、相手の発言を理解するのではなく、相手の状況を読み取り推し量ること。他人の視点を理解するのは難しいけれど、大切なことだとわかりました。自分の常識と他人の常識がいかに違うかを実感することができ、とても良い経験になりました。

木島 潤子 / マーケティング本部 Director

アイデアの質にとらわれすぎるのではなく、少しでも多くのアイデアを生み出すというアプローチを始めてみたいです

Member

伊藤 建人

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

加藤 修平

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

岩倉 慧

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

戴 薪辰

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

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野村 善文


プロデューサー

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