経済産業省 中部経済産業局 PROJECT

めぐるめぐる、東海。
第三話:知を循環させる、これからの知財とは

Outline

経済産業省 中部経済産業局、株式会社大垣共立銀行、株式会社OKB総研、ロフトワークとともに始まった「東海サーキュラーエコノミー推進〈知財活用〉プロジェクト」。本プロジェクトは製造業の集積地である東海エリアだからこそ実現できる、循環型経済を描き、実装することを目指しています。

サーキュラーエコノミーはEUで推進されている概念。日本そして東海ならではの循環の形があるはずです。そこで、本プロジェクトでは「東海圏において経済と環境問題の解決を両立させながら、持続可能な循環型経済を描くことができるか?」という問いを起点にプロジェクトをスタートしました。

共創なくして、循環型経済を描くことはできません。多くのステークホルダーが互いに手を取り、いかにより良い未来をつくっていくか。共感の輪を広げていくため、本プロジェクトは、初年度の活動記録を綴るタブロイド「めぐるめぐる、東海。」を発行。新しい未来へ向けた想い、物語の始まりを描いています。

—-
我々は、未来に何を残せるのか?
未来の循環のあり方とは?
—-

初年度の活動を振り返りお話を伺うのは、本プロジェクトのアドバイザーとして参画いただいた、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO 理事長) 石田秀輝さん、プロジェクトのプランニング、プロジェクトマネージャーを務めたロフトワーク アートディレクター 小川敦子です。聞き手には九州というローカルな土地で、手紙用品(文具)店Linde CARTONNAGE(リンデ カルトナージュ)を営む福岡の編集者、コモン編集室 瀬口 賢一さんです。地域に密着する編集者の視点から、地域と循環の営みの可能性について紐解きます。

本編は3回に分けて鼎談の内容をお届けしています。
第3回は、知財の活用・共有をどのようにとらえ、進めていくかについて考えます。

編集・執筆:瀬口賢一(コモン編集室 )
写真: 鈴木孝尚(16 Design Institute)

※本事業は経済産業省中部経済産業局から「令和3年度中小企業知的財産活動支援事業費補助金」の交付を受け実施しています。

Interview

話した人

石田 秀輝

石田 秀輝

一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)
理事長、東北大学名誉教授

小川 敦子

株式会社ロフトワーク
アートディレクター

Profile

瀬口 賢一

瀬口 賢一

コモン編集室

知財が生まれる「過程」とその後の「共有」は別物。

瀬口 小川さんにこのプロジェクトの今後をうらなう意味で不可欠な企業間の知的資産の形成や知財の共有についてうかがいたいです。各企業で脈々と育まれた知財を上手く循環させるにはどうすればいいか。2期目を迎えるプロジェクトとしてそれをどのように捉えておられるか、お聞かせください。

小川 初年度の取り組みをご一緒くださった中部経済産業局のご担当の方が、伊勢神宮のある伊勢町のご出身で、今回の成果発表時にこの冊子を提出させていただいた際に、「まさに、これですね」と私に言葉を託してくださったんです。色々な理屈を超えて、共感し、共有し合えたという手応えを感じた瞬間でした。

小川 ただし、一年目を終えて、瀬口さんが今おっしゃった本来必要な要件ー知財の具体的な循環を仕組みとして提示するということは正直なところ、プロジェクトとしてもまだまだ満たせていないと思っています。オープンイノベーション型で知財を共有しながら活用し合うって、従来それぞれが基本的に独占という形態をとってきてしまっているので簡単に実現できない側面があるんですよね。その「共有」について、冊子の後半部分に弁理士の恩田先生に弊社の矢橋がインタビューを行った記事を掲載したんですが、議論は建設的に進んだものの、どちらも譲れないポイントがいくつか生じました。その象徴が「特許」です。特許そのものをビジネスにしている立場にとって、共創とは逆接的なものなので、簡単には受け入れ難い。ただし、社会の変化を冷静に捉えるならば、我々も「共有」について検討すべきポイントがあるかもしれないと恩田先生はおっしゃられました。知財が専門の弁理士にとっては、特許に対するこだわりと同じであることを私たちも理解したうえで、今後は何もかも「情報公開」という機運を押し付けるのではなく、まずは弁理士の方々と現状認識を合わせていく必要があると思います。

行政という組織において、知財を“広くとらえる”ことのできる機運はまだ動きとしては多くはないですよね。我々こそ、改めて知財を学び直し、同じ目線に立って、議論を重ねていく必要があると考えています。それに紐づけて、イノベーションを加速し、社会をよりよくしていくために、オープンイノベーション型の知財戦略こそが重要という立場をとる研究者や有識者をお招きし、全員で議論する場を設けたいと考えています。完全には意見が一致しない話となるかもしれませんが、その意見を互いに共有することの意味は大きいと思います。

石田 そこは出口を整理する必要があると思うんですけども、僕は以前、INAXに勤務しているときに、知的財産部の部長職を担ったことがあるのですが、今、小川さんがおっしゃったのは、特許になるかもしれないものをどうするかという議論ですよね。つまり、弁理士の先生がたは、企業から「こんなものを特許にしたい」とか、「いかにして権利が生まれるか」ということを一所懸命考え、最終的に囲っていくのが仕事。けれども今回の知的財産の概念とは方向が異なる。前回のパネルディスカッションの場で有識者のみなさんと議論したときも「そこですよね」という話になった。特許、知的財産を生み出す手法というのは、実のところ今まで議論していないんですよね。

小川 そうですね。

石田 けれども今回、ぐるぐる回るというのは、結局その循環で利潤が生まれるわけですから、これ自体は特許、あるいは知的財産を生み出すメカニズムを議論していることになるんです。それって今までにないことなので、これは特許の偉い先生がたも、こういったものをどのように権利化するか一所懸命考えるけれども、生み出す「過程」という部分は、せいぜい特許になるものを何か探してきてねといった言い方しかなくて、論理的とは言いにくい。そこで今回の循環や資本という概念。再生することが利潤や資本につながるという部分、または循環というものをどんどん突き詰めていくと、それは結局全部、知的財産なんですよね。それはものだけではなく、食かもしれないし、自然かもしれない、あらゆるところにその可能性がある。そういうところから知的財産が生み出されるのであれば、われわれは手法論を議論していると言っていいかもしれません。そうして生み出された知的財産に関しても、今後それらの権利をどう分配するかというようなことは、とても一社ではできないですよね。いろんな人が噛み合わないとぐるぐるは回らないわけですから。分配はまた別の話なんです。分配して権利化するから。したがってこの2つは混ぜないで、完全に分けておいた方がステークホルダーにも理解しやすいと思いますね。

小川 なるほど…。

石田 知的財産を生み出す過程については、今回の冊子のなかから少し見えてきました。繰り返しになりますが、そこから出たものを権利化するというのは別の話です。だから権利をどうするかという部分を今度は知財の専門家から私たちが学ばないといけない。知財を共有し合うまでのオープンイノベーション化に向けたプロセスについては、こちら側で開発をし、知財の取り扱いのルールを知財の専門家と議論し合う。そこは明確に棲み分けておく。

知財そのものが生まれてくる過程こそが大事なわけで、地域経済のイノベーションが共創によって、どう起きるかということをまずは、このプロジェクトでやらなくてはならないですよね。地域経済・地域社会の循環と活性化、それを新しい知財の戦略としてこの東海圏から発信していくことが、このプロジェクトの本質的な目的であり、中部経済産業局もこういう新しいことをやってみたいと乗り出しているわけで、それがこのプロジェクトなんです。と言ってある。イノベーションを生み出すための過程が大事なんです。言葉は「イノベーション」でも「ぐるぐる」でもなんだっていいんですけど、ぐるぐるの方が親しみやすくていいですかね!

小川 ぐるぐる、がいいですね!

石田 また、かっこいい言い方になりますが、それはイノベーションをおこすための、“ドライビングフォース”の設計なんですよ。だから小川さんは偉い!あなたはそんなことも前もって考えていたのです(笑)。

本プロジェクトアドバイザリーボードメンバーを務める、住友商事株式会社 執行役員 兼 住友グローバルリサーチ株式会社 代表取締役社長  住田 孝之さん

小川 そういうことにしておきましょう(笑)。
知的資産という話しに付け加えると、住田さん(住友商事(株)執行役員兼住友グローバルリサーチ(株)代表取締役社長/本プロジェクトアドバイザリーボードメンバー)にお話を伺い、インタビュー記事を冊子に掲載させていただいているんですが、ご本人が経産省在籍時につくられた「経営デザインシート」というフレームワークがあります。企業はシートに記入することによって、知財を単体で評価せず、文化や歴史を含む企業がもつすべての知的資産に紐づくものとして知財が成立することを理解できます。知的資産を企業自身が把握することで、自社の価値に改めて気づくことができる、知財の背景にある、自社の本当の価値ー文化や歴史や人が大事ということを、このシートで把握できるのです。

瀬口 パネルディスカッションの記事にある住田さんの表現をお借りするならば、「知財は不動産みたいに評価できるものではないし、単体では意味がない。同じものであってもどの企業がもっているか、どう使うかによって価値がまったく変わってくる」。ここの部分に捉え方の要点が集約されているようにも思いました。

小川 この冊子をつくりながら、私自身が感じていたことは、東海という地域そのものが、知的資産であるという点です。風土、文化、歴史、そして、人が創り出したものが積み重なって、地域が成り立っている。これは、広範な意味でとらえると、知的資産、ということになりますよね。

人が創造するすべてのもの、その積み重ねが知的資産ということ。知財の真の捉え方は、独占や儲けから離れたところに価値があると認識することなのではないか、と。今だけの瞬間で捉えるのではなく、歴史とか文化とか人とかまで考えをめぐらせ、より長期的にとらえること。過去が今をつくり、未来へとつながっていくことを自覚できた時、これが本当の知的資産なんだと思いました。成果物である冊子では、それを言葉とデザインによって、東海という土地の空気感をも表現することにトライしました。

瀬口 そちらもうかがいたいポイントでした。編集者の小川さんを知る身としては、圧倒的な文字数や大胆な写真の配置などから小川さんらしい編集だなと思いましたよ。

小川 ありがとうございます(笑)。デザイナーの鈴木孝尚さんとの共同作業によるところが、とても大きいですね。はじめに描いていた構成では、文字がまったく入らなくて(笑)。大幅に変更を加えながら、72ページにわたるものすごい分量を、ものすごい短期間で集中して仕上げていきました。

タブロイド「めぐるめぐる、東海。」

瀬口 東海がひとつのモデルとなって、他地域にも波及することに繋がれば、日本全体にとっても明るいことですよね。

小川 まずは東海圏それぞれの地域における地域循環を小さく描いてみることが、大事だと考えています。プロジェクトが始まる前に、石田先生からは「サーキュラーエコノミーという概念そのままを鵜呑みにしてはいけないよ」と言葉を受け取ったんですね。あくまでもそれは欧州という文化的背景のもとで生まれた概念であり、そのまま、日本に当てはめることは前提条件が異なるため難しい。だから東海、日本という土地を無理に概念に合わせて変化させていくというよりも、概念をうまく取り入れて(咀嚼して)考えることが大事なのではないか、と。新しい概念が取り沙汰される時って、本質を理解する前に、往々にしてそのキャッチーなワードだけが先行する傾向が強いと思うんですが、サーキュラーエコノミーの東海地域的なとらえ方、または事例に触れ、他地域の企業に「こんなやり方があるんだ」と知っていただけたら嬉しいですね。東海の例を自分たちの現状に置き換えて考えてみる。“優しい影響”とでも言いましょうか。ただし、石田先生はもっと高い視点で、見ておられるかもしれませんね。

石田 でもそういうことでしょう。地域が豊かになるための教科書ですよね。そのためにアプローチだけはきちんとしておけば、その教科書に沿って日本各地でいろんな歴史のうえに成立する思考の仕方がわかる。そんな教科書になればいいですけどね。

立場の異なる人々の声を一人でも多く。“生きる言葉”が循環を生んでいく。

瀬口 福岡に住んでいる私も日ごろ、環境の諸課題から生まれた様々な概念のなかで、独自に活動を推進する企業を多く取材させてもらっています。たとえば「フードロス」という課題(概念)において未利用の食材を生産者、あるいは飲食業者が再利用する取り組み、または「森林保護」における間伐材やジビエの再活用を目ざす企業の努力など、それぞれの実践が官民で行われたり、個人の意志で継続されていたりと。どの分野においても定められた指針をいかにして自分の地域に応用するか、また、その取り組み自体が地域で共感を得ることで持続的な意味をもつと思います。したがって、東海サーキュラーエコミーが今後、どこかの自治体や地域・活動体の教本となりうるには、その中身は議論のもとに深まっていくことになるんでしょうか。

小川 そうですね。冊子をデザインしてくれた鈴木さんと「2年目どう描こうか?」とわくわくしながら話していたとき、とにかく現地でたくさん議論をして、その中からきっと大事なことが見えてくるだろうから、出てくる言葉をきちんと記録していくことをやろう、と話しました。なぜなら様々な立場から寄せられる声はすべてが尊いものだからです。たくさんの声をありのままに集約し、記録していく。石田先生は“多様”ではなく“多色”という表現で表してくださったんですが、一人の人から発せられた言葉も、集合知として集めた声も、そのすべてが、知的資産であると私は思っています。いわば“生きる言葉”として、大切に受け止めたいですね。私たちの役割は、あくまで“導き係”ですから。

瀬口 徹底した「ヒアリング」ですね。その部分でいうと、石田先生は東北大学に在籍しておられる際に、「90歳ヒアリング」というのを実践しておられたと聞きます。小川さんが今おっしゃった様々な人たちがもつ言葉や実践のあれこれを、大小問わず拾っていくという行為にも通ずるところがあると感じました。ただし、こういう議論をする時には、専門家とそうでない人たち(ただし、テーマに強い関心はもっている)との間に明らかな知識量の差があるものです。今回の場合も、同プロジェクトが丁寧に仲介することにより、個の声が企業、または社会を動かすことになればいいと私個人としては思っています。素朴な視点から放たれる「こうなったらいいのに」という声をきちんと拾い上げる姿勢もまた、決して小さくなくないプロジェクトの存在意義のように感じます。

石田 そうですね。以前、小川さんに僕は「決して反論しませんよ」と言ったのはそこなんですけれども。私は必ず根拠をもって話します。もちろん各専門の先生がたもそうです。でもそれが仮に根拠をもたない、あるいは一般論であっても、私はその声をすべて受け止めたいと思っているんです。そこに我々にとっての気づきが生まれたら、こんなにありがたいことはないわけですから。だから今回、少し悩ましかったのは、初年度の取材対象企業というのは、もはや“循環している“という現状。肝心の対象は、現時点でその意識を持っていない(循環していない)、あるいは(循環に)追いついていない企業のはずなんです。でもそれを単純に比較してしまうようなことになると、レベルの悪い本になるわけですよね。昔はすべて循環していたのに、今はなぜ循環しないんでしょう。みたいな議論も、今回のある時点までは必要なのかなと個人的には思いながらも、それをやってしまうと今度は、あれがだめでこれがだめということになり、何も生まれなくなってしまうおそれもある。それは小川さんが主導するプロジェクトとしてはきっとやっちゃいけないことなんだろうと僕は思っていて。だからこそ循環って何?再生することで利潤が生まれる?はたまた資本って何?というところを、みんなから意見をとことん聞いていく。どうしても僕たち(専門家)が考えると「人が循環すると理性が生まれる」みたいな話しか出てこないけれども、「人が循環すると子どもが生まれる」という人があるかもしれないし(笑)。そういう切り口や視点の違う声を拾い上げてみると、何かすごくおもしろいものが見えてきそうな気がするんですね。幸いにもこのプロジェクトには土台があるので、そこから議題の整理をしていくこと。「90歳ヒアリング」は私が命名しましたけど、次年度のヒアリングは小川さん、なにか名付けてみてはどうですか?ヒアリングの手法(名称)を一個つくると、おもしろそう。“○○ヒアリング”みたいに。

小川 そうですね。検討してみようと思います!ところで今の話を受けて思い出したんですが、デザイナーの鈴木さんから、愛知県のほとんどの企業が循環していないのだから、いっそ極端な話、そういう企業を一堂に集めて「このままとことん資本主義を加速させたらどうなるか」という議論をさせてみたらどうか。という提案をもらったんです(笑)。

石田 良いけど誰がコーディネートするんでしょう(笑)?

小川 そのときは鈴木さんで(笑)。突き詰めてみたらどうなるのかという議論をそれはそれでしてもらったてもいいかなと。

石田 僕は隅っこで聞いていればいいですかね。

小川 いち人間としての立場と企業人としての立場のはざまって、ほとんどの人が抱えている状況ともいえるじゃないですか。そこがありつつも、未来を考える当事者になれるにはどうしたらいいのでしょうか。

石田 僕が今の会社をつくったのもそこに理由がある。あまねく中小企業のなかで、とにかく自分が生きている間に代表者にならなくてはいけない人、社会の変化にも対応しなくてはいけないというような社長たちは、実はものすごく考えているし、必死ですよ。だからと言って私が大企業の社長たちのことを諦めているということではないんですが、事実、考えている社長は中小企業に多いんですよね。

小川 言われてみるとそうですね。

石田 自分の年齢的なこともあり、そういう若い人(社長)たちをもっと育てること。とんがった思考をもっととがらせる。だから私は方向を変えたんです。明日からはじまる4日間の合宿もそういう会社の社長さんたちがたくさんいらっしゃるんです。とてもレベルが高いですよ。

小川 刺激的な感じがする場ですね。

石田 サーキュラーエコノミーじゃないけれども、カーボンニュートラルなんて、彼らはとっくに考えていますからね。しかも本気で。4年間社長やって後はよろしく、ではないですから。彼らは。だからそんな人から言わせると、カーボンニュートラルは目的じゃなく一つの経過。あるいはアウトプットの一つだ、などという発言が平気で出てくる。だから個人的に今、内心しめしめと思っているんです。さきほど話題に挙がった循環できていない人を集めて、未来をどう考えているんだ!と議論してみたって、今は大変だけれどすでに手を打っているとか、SDGsやっているとかそういう話しにしかならないような気もします。もちろんやるのはいいんですよ(笑)。聞きたいとは思いますが、今のところいい成果が生まれるとは考えにくい。

確かに。想像つきます(笑)。

石田 そういう企業、多いでしょ。大垣共立銀行などもそうですよね。本気度が伝わってきますよね。

小川 そうですね、同銀行常務の土屋さんのお話をうかがうと本当にその心を感じるというか。中小企業または家族経営で代々で社長を担っておられる方の傾向として、地域の雇用も生み出さないといけないし、地域と積極的な結びつきを大切にされているのを感じますね。そこには自社だけがよくなればという考えがない。だから人材育成に対してもものすごく熱心です。

今回インタビューさせていただいた港湾のインフラ事業を営む小島組さんは、25、6歳くらいの若手社員の方々を集めて次の時代の新戦略を練らせています。社長は若手の声を傾聴し、褒める。社員の声に真剣に耳を傾ける。そんな経営者に会うと私もパワーをもらいます。そのような方々が東海圏の社会を動かし、地域の未来を創造していくと思うんです。

瀬口 それもいわば、ロングスパンな思考法であり視点ですよね。

小川 そうですね。小島さん(社長)は自分はおじいちゃんと昔一緒に住んでいて、祖父から受け継いだ大事なことを次の世代に渡していく、継承していくということを大事にされているとのこと。

石田 それならますます、そういう人が膝を打つ教科書というのを、このプロジェクトでつくりたいですよね。

小川 本当にそうですね。

石田 未来を考えるという時、思いはあっても手法がわかんないとか、これを見せてくれたら、なるほどそのとおりだと思えるんだけど、自分では考えられないという部分が出てくる。だからそこに必要なキーワード、もしくはアプローチの仕方というものが2年目の議論のなかで見えてくると、周囲の人たちの注目も引けると思いますけどね。

小川 HOWの部分ですよね。

石田 こちらの想像をはるかに越えて、“思いのある人”はたくさんいるんですよ!ま、どのように進んでいくかがわからない人が多いから、うちみたいな会社があるのかなと思います(笑)。小川さんも瀬口さんも、いつか沖永良部島に来てみてください。島の焼酎で一杯やりながら、未来のことを大いに語り合いましょう。そして小川さん、2年目も頑張りましょうね。

タブロイドに掲載しているストーリーはこちらのWebサイトでご覧いただけます。

Webサイト:https://tokai-ce.com/

Keywords

Next Contents

クリエイターとの共創で、読書体験をリデザインする
新サービスプロトタイプ開発プロジェクト「文喫の実験室」