“うめきた再開発”の一手。グラングリーン大阪「JAM BASE」
地域と共に歩むためのブランド策定・コミュニティ醸成
Outline
多様な人々が“まざりあう” アイデアとイノベーションを生む施設が誕生
商業施設やオフィスビル、物流施設などの不動産開発をはじめ、複合型まちづくり事業などを多角的に展開しているオリックス不動産株式会社(以下、オリックス不動産)。同社は暮らしに欠かせないさまざまな物件を、その場所に最適なデザインで投資・開発をしています。
2024年9月にオープンした「グラングリーン大阪」。JR大阪駅北側の旧貨物駅跡地の再開発計画「うめきた2期地区開発事業」として進められているプロジェクトで、オリックス不動産はその中核機能施設「JAM BASE」(ジャムベース)の管理・運営を行う、一般社団法人コ・クリエーションジェネレーターの構成メンバーでもあります。
JAM BASEは企業だけでなく大学や研究機関、スタートアップ企業などの人材がアイデアを出し、社会へ向けて新たに挑戦する人々を支援する場所で、イノベーションの活動拠点になることが期待されています。
大阪梅田だけではなく関西、世界へと受け入れられる施設でありながら、地域に愛され、地域の方々と育む施設にしていきたいという想いがあったことから、梅田をはじめ周辺エリアの地域プレイヤーを巻き込める“地域性”を持ち、生活者の視点を混ぜることができるロフトワークがブランディング策定から担当する運びとなりました。
ロフトワークはJAM BASEのロゴやタグライン、ブランドガイドラインの制作をはじめ、コミュニティ設計、グラングリーン大阪のオープニングイベントにて、子ども向けワークショップの企画・実施などを担当しました。JAM BASE開業に向けて複合的な関わりを持ちながら、潜在顧客層とのコミュニケーションを設計、それらを体現する場づくりに伴走しました。
Output
JAM BASE ビジュアルアイデンティティ(VI)
音楽の即興演奏を“JAMMING”と表すことから、本施設で巻き起こる独自の共創(コ・クリエーション)が、即興で音楽を作るように楽しくエキサイティングなものとなってほしいとの思いが込められている「JAM BASE」。大阪から関西、そして世界に向けてイノベーション創出ができる施設を目指しています。
同施設のVIには、訪れたさまざまな人たちが交流を通して成長や変化を体験し、個性が混ざり合っていくイメージを表現。決まった形を持たない・シーンや目的に応じて変化するダイナミックアイデンティティの考え方を採用し、“ごちゃごちゃ”と変容する世界観を表現しました。
「JAM BASE」ロゴ
タグライン:「まざまざと さまざまが まざるさま」
グラングリーンオープニングイベント子供向けワークショップに総勢280名が参加
2024年9月のグラングリーン大阪、先行まちびらきのオープニングイベント「GRAND GREEN OSAKA Opening」にて、子ども向けワークショップ「まざまざと さまざまが まざるおと」を開催。自然の音、人の声など、感覚を研ぎ澄まして街の中で生まれているさまざまな音をあつめ、音楽をつくって、楽しむワークショップです。
参加者は子ども113名、大人167名、総勢280名。子ども連れの方々だけでなく、若者や散歩中の年配の方など、年代問わずさまざまな人の注目を集め、うめきた公園のノースパークはにぎわいを見せました。今後「毎月開催したい」とのお声もあがっています。
ワークショップ「まざまざと さまざまが まざるおと」
イベントは大きく3つに分けて実施。「さまざまなおとあつめワークショップ」では会場にあふれる音をiPadでレコーディング。音集めが終わったら「さまざまなおとづくりワークショップ」として、集めた音をアプリ上で叩き音楽を作ります。最後は「まざまざとさまざまがまざる おとライブステージ」として、参加者の皆さんが作った音楽をスピーカーから鳴らし、パフォーマンスを行いました。
イノベーション創出機会を増やすためのコミュニティ醸成
イノベーション創出を目指す施設でありながら、地域のプレイヤーを巻き込みながら、地域性や生活者の視点を取り入れた場所に育てていきたいという想いがあります。
そこで、JAM BASEを拠点とするコミュニティのあり方を検討するため、JAM BASEへの潜在的な施設入居者や、サロン会員候補となる関西エリアで活躍するイノベーターを10組ほど巻き込み、フィールドリサーチ・合宿に加え、JAM BASEが新しいイノベーションを育んでいくための公開ディスカッションを企画。
ローカルなイノベーターとの関係性を醸成しながら、JAM BASEで生まれるプロジェクトのテーマやアイデア、コンセプトを発見しレポート化、開業後にコミュニティを活性化していくための方向性を導きました。
Members
佐々木 一洋
オリックス不動産株式会社
投資開発事業本部 大阪営業部長
芦田 枝里
オリックス不動産株式会社
大阪営業部 うめきた開発推進室 プロジェクトリーダー
メンバーズボイス
“グラングリーン大阪における「みどり」と「イノベーション」の融合を実現するために、この場所だからこそできること、起きると良いこと。
その特別な何かを表現することが、今回ロフトワークさんと取り組んだチャレンジでした。公園があるからこそ、大阪の中心だからこそ、どのような人たちが、どのような形で、どのような思いをもって取り組んでくれるといいのか?そのために、我々施設側にとって必要なこととは?
もちろん完全に答えがでているわけではなく、これからこの場所で、その答えを皆さんと作り上げていきたいと思っています。”
オリックス不動産株式会社 投資開発事業本部 大阪営業部長 佐々木 一洋
“「みどり」と「イノベーション」というシンプルで力強いメッセージを、大阪ならではの進化として体現するには、ソフト、ハードとそこに集まる方々の活動、その全てが大阪らしく有機的に混ざり合って、予想だにしなかった化学反応を起こす必要があると感じています。これまでのVI、コミュニティ醸成、オープニングイベントはその有機的な混ざり合いが表現できたように思います。これからももっとまざまざと混ざる状態を引き起こしていきたいです。”
ロフトワーク プロデューサー 小島 和人
プロジェクト概要
◾️ブランディング方針策定
- クライアント:オリックス不動産株式会社
- プロジェクト期間:2023年5月〜2023年9月
- ロフトワーク体制
- プロデュース:プロデューサー 小島 和人
- ブランディング方針
- プロジェクトマネジメント:クリエイティブディレクター圓城 史也
- クリエイティブディレクション:クリエイティブディレクター太田 佳孝
- 制作パートナー
- ブランディング方針策定
- VI制作:NEW Creators Club
- コピーライティング:はせがわ てつじ(株式会社コピーライター)
- ブランディング方針策定
◾️コミュニティ設計
- クライアント:オリックス不動産株式会社
- プロジェクト期間:
- コミュニティ設計:2023年9月〜2024年1月
- ロフトワーク体制
- プロデュース:プロデューサー 小島 和人
- プロジェクトマネジメント:クリエイティブディレクター服部 木綿子
- プロジェクト期間:コミュニティ設計:2023年9月〜2024年1月
- 制作パートナー
- コミュニティ設計
- アドバイザー:井口 尊仁(Audio Metaverse, Inc. CEO.)、眞鍋 邦大(龍谷大学 経営学部 准教授)、阿久根 聡子(一般社団法人for Cities 広報・プロダクションマネジメント・営業)、鎌田 頼人(合同会社NEWSKOOL 代表取締役CEO)、奥 祐斉(株式会社 bona代表取締役)、中村 純二(一般社団法人ツワモノ 代表理事)、藤本 遼(株式会社 ここにある代表取締役)、小笠原 舞(合同会社こどもみらい探求社 共同代表)、小島 伊織(アイナインオー株式会社 共同創業者兼代表取締役社長)、廣川 文花(BUNCA.代表)
- グラフィックレコーダー:外崎佑実、三宅正太
- 写真撮影:小黒恵太朗(ひとへや)
- コミュニティ設計
◾️ワークショップ企画・実施
- クライアント:
- グラングリーン大阪開発事業者、株式会社電通ライブ 関西支社
- プロジェクト期間:2024年6月〜2024年9月
- ロフトワーク体制
- プロデュース:プロデューサー 小島 和人
- プロジェクトマネジメント:クリエイティブディレクター服部 木綿子
- クリエイティブディレクション:クリエイティブディレクター山﨑 萌果
- 制作パートナー:
- アートディレクション:ほそかわ なつき
- イラスト制作:岡島 飛鳥
- ワークショップ企画協力:小笠原 舞(合同会社こどもみらい探求社), 池田 浩基(株式会社SAKAZUKI Production代表取締役/映像作家/脚本家)
- 動画制作:廣川 文花(BUNCA.代表)
- オリジナルスピーカー提供:TEAMクラプトン
執筆:田中 青紗
編集:野村 英之
企画・編集:横山 暁子(loftwork.com編集部)