生駒市 PROJECT

公民連携の取り組み「協創対話窓口」の認知を拡大
生駒市 公民連携基本指針策定プロジェクト

Outline

公民連携の取り組み「生駒市協創対話窓口」の認知拡大を目指す

生駒山上遊園地や茶せんで知られる奈良県生駒市。大阪府と京都府に隣接する奈良県北西部の地域です。同市は公民連携の取り組みとして、2020年3月に民間事業者等 と市の担当課をつなぐ役割となる「生駒市協創対話窓口」を設置しました。

自治体の中の部署や民間事業者、大学などと連携しながら、地域のさまざまな課題に対してアクションをしていく——しかし、民間事業者等からの提案がなかなか増えないことや市役所職員にもまだまだ知られていないことなど、認知施策の面で課題がありました。

ロフトワークは公民連携事業を活性化するための、基本指針(案)の策定を担当。生駒市公民連携基本指針(案)に加え、認知拡大に寄与するため、これまでの実績をまとめた「協創対話レポート」も制作しました。民間事業者等の担当者、市役所職員、生駒市民に読んでもらえるように、ターゲットに合わせたアウトプットで活動をわかりやすく表現しました。
市役所内からの理解や賛同を増やしつつ、民間事業者等から提案が集まる持続可能な仕組みづくりに貢献しています。

プロジェクト概要

  • クライアント:生駒市役所  地域活力創生部 SDGs推進課 公民連携推進室 
  • プロジェクト期間:2024年1月-2024年3月
  • ロフトワーク体制
    • プロジェクトマネジメント:クリエイティブディレクター 笹島 啓久
    • クリエイティブディレクション:クリエイティブディレクター山﨑 萌果、クリエイティブディレクター村上 航
    • プロデュース:プロデューサー 山田 富久美
  • 制作パートナー
    • 記事執筆:狩野 哲也
    • デザイン:青柳 美穂
    • イラスト:ハギワラ スミレ

執筆:野村 英之
企画・編集:横山 暁子(loftwork.com編集部)

Output

生駒市公民連携基本指針/生駒市協創対話レポート

生駒市公民連携基本指針(案)

主に民間企業等の公民連携担当者、庁内の関係者を対象として作成。多くの自治体が公民連携を介して地域課題の解決を試みる中、生駒市と協創することの意義や目的を見出す事ができるよう、生駒市がなぜ公民連携に力を入れているのか、その先にどのような未来を目指しているのかを明確にし、そこに至るための短期・中期・長期的な視点を策定しています。

生駒市協創対話レポート

「協創対話窓口」の認知拡大のため、過去の実績や連携した民間事業者等のインタビュー記事をまとめました。民間事業者等の担当者、市役所職員、生駒市民に公民連携の取り組みを知ってもらい、理解を深めてもらうきっかけとなるレポートです。

市の未来やビジョンを具体的にイメージできるように、表紙には「生駒市の公民連携の未来像」を掲載。

ロゴマーク

市役所と民間事業者等が対話を通して互いの強みを掛け合わせ、地域課題の解決や新たなビジネス促進を協創によって実現し、住民にとってのウェルビーイングを最大化するという協創対話窓口の機能を表現。市民・行政・民間事業者等などが対話を重ねて公民連携していく様子をイメージしました。白黒印刷も想定し、モノトーン配色のロゴも制作しました。

Approach

公民連携に取り組んだ先の生駒市の未来像を描く

公民連携の推進には、民間事業者等からの提案を増やすだけでなく、実際に連携事業に取り組む庁内の担当部署とのマッチングが不可欠です。市役所内での認知・理解を促進するため、まずは公民連携を担当する協創対話窓口の担当者だけでなく、他部門で働く職員の視点を入れる必要があると考えました。
そこで、部署の垣根を超えたメンバーで公民連携事業の目指す姿や生駒市の中長期ビジョンとの関連性を議論する機会をつくるべく、ロジックモデルを用いたワークショップを実施。公民連携に取り組んだ先の生駒市の未来像を描きました。

ワークショップには、協創対話窓口の担当者、他部署の視点、複数施策を横断的・俯瞰的にみている上席の方々に加え、公民連携に知見のある生駒市職員へも参加を依頼。異なる視点を持つメンバーでワークを実施することで、議論の活性化を狙いました。

「公民連携基本指針(案)」には、ワークショップで議論した内容が色濃く反映されています。指針の構成にあたっては、協創対話窓口が伝えたいことや描く未来像が共通認識になったことで、制作時の合意形成がスムーズになりました。

難波で実施したワークショップの様子。ワークのファシリテーションは、生駒市担当者とロフトワークメンバーの2名体制で実施。自分たちの言葉でベクトルを合わせた。

ターゲットを絞り込み、読者に合わせたコミュニケーションを設計

協創対話窓口の認知度や実績数、継続性を高めていくには、ターゲットを明確にしていく必要があると考えました。「市役所内外の関係者」「議員」「市民」「公民連携を検討している県内外の民間事業者等」など、レポート読者の想定範囲が広く、具体的に絞り込めていませんでした。
そこで、制作物ごとにレポートが読まれるシーン・読者を設定するところからスタート。「誰に何を伝えるための読み物か」を整理し、情報の粒度を精査しました。

また、レポート作成においては「読んだ後にどのような行動を促したいのか」を設定し、読者の知りたいことと、協創対話窓口の認知拡大に合わせた情報設計を行いました。
一般的には「公民連携」という言葉の認知度は低く、実施した活動の詳細も思うように伝わっていない状況を受けて、過去に公民連携事業を実施した民間事業者の担当者へ取材を実施。民間事業者が得たメリットやその後の活動との接続、協創対話窓口への興味喚起や魅力づけを行っています。

Members

笹島 啓久

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

山﨑 萌果

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

村上 航

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター / なはれ

Profile

山田 富久美

株式会社ロフトワーク
プロデューサー

Profile

メンバーズボイス

“生駒市としての公民連携を次のフェーズに進めていくため、今回、ロフトワークとの協創により、基本指針(案)の作成、協創対話レポートの発行を行いました。
プロジェクトでは、ロジックモデルワークショップを通して、公民連携の目的や市のリソース、ロードマップ等の再認識・再設定をし、また、ロゴやキービジュアルの作成やレポート発行による広報・ブランディングに取り組みました。ロフトワークのデザインする「ロジック」と「クリエイティブ」を融合したプロジェクト進行により、それらの重要性を体感できました。”

生駒市 地域活力創生部 SDGs推進課 公民連携推進室 主査 石山健太郎

“これは、協創対話窓口担当のお二人と一緒に作り上げたプロジェクトです。そもそも公民連携とは何か、なぜ多くの自治体が取り組んでいるのか、なぜ生駒市がこの取り組みを進めるのかといった、基本的な問いからスタートしました。
指針の検討に関わるワークショップや、これまで協創を行ってきた民間事業者等へのインタビューを通じて、生駒市の魅力や協創対話窓口の強みについての理解を深めることが出来ました。

窓口の名前にもなっている「対話」を大切にする姿勢はこれまでの事例にも現れています。
生駒市と民間事業者等が実証実験などに取り組むにあたり、別々の問い合わせ内容を検討し、2事業者と生駒市とで共同でプロジェクトを進め、その後の活動に繋がるケースがありました。

多くの自治体が公民連携に取り組む中、生駒市だからこそ可能な独自の協創が生まれると確信しています。少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一度お問い合わせください。きっと生駒市の魅力に気づかれることと思います。

株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 笹島 啓久

“「ここまで実績を伸ばしてきた。この取り組みをもう一段階深化させるために、公民連携指針を刷新したい。」そんな力強い言葉が印象的な出会いでした。民間出身のおふたりならではの視点と、事業者・市役所職員双方との対話を重視する姿勢で成果は右肩上がり。しかし公民連携は市役所職員にとって、まだまだ未知の領域。成果の背景には、持ち込まれた提案を事業化するべく、担当部署から協力を得られるよう役所内を説明行脚をされていました。
そこで指針策定を機に、ロジックモデルのフレームを用いたワークショップを企画。生駒市を主語にみんなでロードマップをつくることで、関係部署の自分ごと化を促しつつ他部署の視点を織り込んだ市役所内での伝え方を模索しました。

3年間の地道な活動の結果、今春「公民連携推進室」が新設されました。これまでの知見と市のビジョンに基づいた事業指針を糧に、生駒市の公民連携がさらに発展するよう願っています。”

株式会社ロフトワーク プロデューサー 山田 富久美

Keywords

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