つづく地域を
つくるには?
Point of View
暮らしつづけたい場所はどこですか?
思い出の風景はありますか?
忘れられない味はなんですか?
それらをかたちづくる存在の
過去・現在・未来に、想像と思考の橋をかけてみる。
そこにはたしかに、
幾千種もの植物や虫、動物がいました。
ゆたかな川と海がありました。
人と自然がささえあう営みが、
多様な生活と仕事が息づく
まちと文化がありました。
これらを未来へ引き継ぐために
“つづく地域をつくるには?”
誰と、何を、どうやって?
わたしたちのイメージを、わたしたち自身で超えていけるか。
クリエイティブカンパニーとして
地域のみなさんとともにつくり、ともに踏み出し
見つけた、4つのヒントとデザインのアプローチ。
アートディレクション:松本 健一(MOTOMOTO)
デザイン:佐藤 千祐(MOTOMOTO)
Approach
岡山県真庭市: SDGsビジネス創出プログラム

地域に「稼ぐ力」が求められている昨今。地場産業から価値が生まれる状態をつくり、自律的・持続的な経済成長を目指す方法を、さまざまな地域が模索しています。
そんな中、櫃ケ山や蒜山高原を擁する岡山県真庭市は、2021年から「人も自然も幸せにする500のビジネスを生み出す」ことに挑戦。市内の事業者と都市で活動する起業家やデザイナー、企業がチームを組みビジネスアイデアを形にする5ヶ月間のプログラムで、地域内外の共創関係を育んでいます。
さらにこの取り組みでは、地方銀行やベンチャー・キャピタルとの連携や地域住民との交流会、地元高校生のインターン受け入れも実施。地域の未来に関わる多様な人々を巻き込み、産業だけにとどまらない多領域に関係を繋げながら、里山を起点とした新たな経済圏の形成を目指しています。


つづく地域をつくるアプローチ

さまざまな要因が複雑に絡んでいる地域課題を解決に導く手法として有効なのが、システム思考です。物事を単体の要素としてではなく、相互に関係し合う全体のシステムとしてとらえることで問題の本質を理解し、持続可能な解決策を見出すためのアプローチです。
北海道釧路市: 阿寒アイヌアートウィーク

人々は、地域観光に何を求めているのでしょうか? その土地の食や名所、景勝地はもちろん魅力的です。一方で、モノ的な価値に頼る地域のブランディングやPRは、訪れる人との長期的な関係をつくりづらく、消耗戦になりがちです。
北海道釧路市が取り組んだ「アイヌ文化関連観光プロモーション事業」では、地域に内在する本質的な魅力を発掘するフィールドリサーチを実施。アイヌの文化・人・生業と阿寒湖の大自然の価値に光をあてるプロモーションを行いました。
柱となったのは、2つの施策。アイヌの伝統工芸と現代アートを融合させたイベント『阿寒アイヌアートウィーク』と、アイヌの人々と都市の若者との交流を描く短編映画の制作です。これらの取組みを既存の観光コンテンツとも接続しながら、阿寒湖アイヌコタンの感性的な価値と地元の人々の誇りを同時に高めていくことで、モノ的な価値のみに頼らない「つづく観光」を目指しています。


つづく地域をつくるアプローチ

すべての地域に、固有の価値や資源があります。それらの深い魅力に光を当て、適切に伝えていくのが、コミュニケーションデザインの仕事です。私たちは感性的な価値を大切にしながら、デザイナーやアーティストといった「表現」のプロたちと協働し、その地域ならではの体験を形にします。
石川県: デジタルデザインキャンプ2024

地域の企業が価値をつくる力を高めるために、その活用が急がれる、デザインとデジタル。しかし、どちらも型にはまったやり方を学ぶだけでは人材や組織に浸透しにくく、中小企業が主体的に活用するにはハードルが高いとも言えます。
石川県による「企業のCI作成支援事業およびデジタルとデザインによる提案力強化事業」では、県内企業がCI(コーポレート・アイデンティティ)とデザイン、デジタルテクノロジーを活用するための集中プログラムを実施しました。大切にしたのは、よりアクティブで実践的な学び。多彩なデザイン人材との座学とワークを通して、ビジョンの言語化やXR技術を使ったサービスの試作を行いました。
さらに、すでにデザインとデジタルを導入している先進企業を訪問するツアーも敢行。五感と対話を通して、デザインとデジタルを使いこなすための体感を得る機会をつくりました。


つづく地域をつくるアプローチ

顧客(ユーザー)の視点に立ちながら、課題の発見から価値創出までを素早く進める、デザイン思考のプロセス。ユーザーのニーズをもとに小さくプロダクトを試作して素早く改善する所作には、それを実践する人の発想力と挑戦する力を高める効果もあります。
神奈川県横浜市: 子育て世代の支援に向けたデザインリサーチ

人々が住む場所を選択するとき、大切にしていることは何か。また、未来を担う若い世代がどんな生き方を望んでいるのかを知るのに、従来の定量調査のみで十分なのでしょうか?
「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」を掲げる横浜市は、市内および近隣都市に暮らす20〜40代の子育て世代のインサイト(潜在的な欲求)を探るための「デザインリサーチ」を行いました。
調査者が地域に入り込むフィールドリサーチと対象者への深いインタビューと行動分析によって、生活者視点の課題とそれが発生しているメカニズムを把握。定量調査だけでは知ることができなかった次世代の実態を抽出したことで、子育て世代への支援をより充実させていくための適切な施策設計・実行の推進に繋げています。


もっと詳しく知る
つづく地域をつくるアプローチ

地域の課題を紐解くには、そこに住む人々の生活環境や価値観、土地の歴史や文化、生業などを深く理解することが不可欠。エスノグラフィの手法を活かしたデザインリサーチは、統計データやアンケートなどの定量調査ではキャッチアップできない本質的な要因の理解に役立ちます。
Project Design
つづく地域をともにつくり、ともに踏み出す
わたしたちの考えかた
デザインと共創、コミュニティづくりとエコシステムの構築。クリエイティブカンパニーとして25年間培ってきたこれらのアプローチを地域の価値づくりに最適化しながら、持続的な効果や成果へと導くのが、ロフトワークの地域共創です。
異なる専門性や得意領域を持ったユニットが連携しながらチームを編成し、フィールドリサーチを通してその地域固有のプロジェクトをデザインします。
さらに、地域の営みを担っている企業や人材はもちろん、地域の内外から招聘されるデザイナーやアーティスト、研究者、アントレプレナー、ベンチャーキャピタルなど。多様性に富んだ人材と地域とをネットワーキングし、創発しながら、価値共創のエコシステムを実装します。
Our Team
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地域と多様な人々との関係をむすびながら価値の種を育て、それらが成長できる土壌をつくる、挑戦の記録。
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