株式会社ASNOVA PROJECT

“カセツ”をテーマに、足場の可能性を拡張
若者を業界に引き込む「足場×パルクール」イベント

Outline

350名が来場、若者と足場のリアルな接点を生み出す

クサビ式足場を中心に仮設機材のレンタル・販売サービスを提供する株式会社ASNOVA(以下、ASNOVA)は、ロフトワークをパートナーに迎え2019年から建設業界の人手不足解消を目指し活動に取り組んでいます。
人材不足を解消に向けリサーチする中で、人材不足の原因は今まで課題とされていた「3K(きつい、汚い、危険)」以前に、足場業界にそもそも関心がないという「無関心の壁」であることが明らかになりました。

この障壁を突破するために、まず取り組んだのがメディア事業。2020年「カセツ(仮説・仮設)」をキーワードにWebマガジン「POP UP SOCIETY*」をローンチし、オンラインで若年層と業界を繋ぐ場として運営しています。

第二弾として実施したのが、イベント「POPUP ATHLETIC Ver.parkour」。名古屋市の中心地、久屋大通公園に建設足場を用い巨大アスレチックを建設し、世界で活躍するパルクールチーム「SPEMON」によるパルクール**のパフォーマンスと体験会を実施。若年層とのリアルな接点を生み出すとともに、普段生活者が意識していない「足場」の魅力を、アーバンスポーツとして注目を集める「パルクール」を通じて発信する狙いです。人材不足と失業者数増という双方の課題解決への寄与を目指しました

イベントには10代〜20代の若者層やファミリー層を中心に約350名が来場。「カセツ(仮説・仮設)」というキワードのもと、オンライン・オフラインのコミュニケーションを複合的に実施することで、これまで接点を持つことが困難だった若年層やファミリー層へのリーチを可能にし、足場の新たな魅力を訴求しました。

*POP UP SOCIETY•••『POP UP SOCIETY』は、「仮設性で社会を軽くする」をテーマにした不定期発行のマガジンです。仮設という切り口で、国内外のユニークで実験的な取組みを、人物・企業へのインタビュー、体験レポートなどを通じて紹介します。

**パルクール•••走る・跳ぶ・登るといった移動に重点を置く動作を通じて、心身を鍛えるスポーツ(運動方法)です。特別な道具を用いずに、障害物を乗り越えたり素早く移動したり、街中にある建物や壁などを使って行われることも。近年、競技として実施する「スポーツパルクール」も欧米諸国を中心に大会、選手権などが開催されています。

関連記事

■イベント概要
POPUP ATHLETIC Ver.parkour

■POP UP SOCIETYプロジェクト事例
CSV経営のスタート地点 若手人材と足場業界をつなぐメディア構築

■コラム(株式会社ASNOVA):【足場】とストリートスポーツ【パルクール】による アスレチックイベント開催!!

プロジェクト概要

支援内容イベント企画・運営、コミュニケーションツール制作、動画制作、レポート執筆
プロジェクト期間2021年1月〜2021年5月
体制
クライアント:株式会社ASNOVA
プロデュース:小島 和人
プロジェクトマネジメント:圓城 史也
クリエイティブディレクション:服部 木綿子
パルクールパフォーマンス:SPEMON
クリエーター
・バナー制作:鷲尾 友公
・コミュニケーションツール制作:ほそかわ なつき
・動画制作:SPEMON

Outputs

Points

1)建設し足場の新しい活用法を提示

数時間にして仮設空間の建設を可能にする足場の特性を活かし、名古屋市久屋大通公園内に一日限りの足場アスレチックを建設しました。ASNOVAとパルクールアスリート木本さん考案による、オリジナル設計のアスレチックです。日常では建設現場でしか目にすることない足場を、アスレチックに活用することで人々の視線が変わります。「短時間で自分たちの欲しい場や空間を創造できる」という足場の活用法を提示しました。

2)体験会を通じて、"無関心の壁"を超える

普段の生活の中で、我々が足場を意識することはめったにありません。一般の方々が足場に意識を向け、理解を深め、身近に感じてもらうため、「足場の組み立て」と「パルクール」という2つの体験会を実施しました。体験会に多くの子供達が参加し、素人でも簡単に組むことができるクサビ式足場の手軽さや、一見難しそうだが実は手軽に始められるスポーツ、パルクールの面白みを伝えました。

足場の組み立て体験会

主催者であるASNOVAスタッフが監督のもと、参加者がアスレチックを組み立てました。

親子で参加できるパルクール体験会

綱渡りのようにパイプの上を歩いたり、鉄棒の要領でぶら下がったり。パルクールの基本動作を学びました。
斜めに立てかけられた網目状の足場の板を蹴り上げてジャンプするなど、子供から大人までアスレチックを堪能しました。

イベント参加者の声

  • 工事現場でしか見かけない足場が、こんな活用の仕方もできるなんて驚き。パルクールと足場の相性がこんなにも良いなんて予想外だった。
  • パルクールも、建設足場も間近で見たのは初めて。演技は圧巻だったし、足場を使ってアスレチックを組み立てる体験も新鮮で楽しかった。
  • 組み立てが難しそうに見える足場ですが、基礎的な知識さえあれば、自分たちでも意外に簡単に作れるものだと実感しました。
  • 帰り道に足場を見つけた息子が「あ、これイベントのやつだね!」と、足場を組む体験会で足場の面白さに気づいたようです。

3)イベント運営をきっかけに部署間の協力関係をつくる

足場を主役とした一般向けのイベントは初めての試みです。安全なイベント運営を実行するため、事業企画室、営業部、機材管理部などから部署横断チームが結成されました。スタート当初、新規事業として担当者1名でスタートしたPOP UP SOSIETYの活動でしたが、イベントには有志のメンバーも参加し、社内への浸透を促す機会を創出しています。

20代を中心とするチームSPEMONとチームASNOVAがタッグを組み、アスレチックの建設や体験会の運営を実施しました。

足場業界に対する好感を育ることが、最終的に人材の定着につながる

ーー人材不足を解消するという課題に対し、一見遠回りな活動にも思えます。なぜ、メディア事業や一般向けのイベントを実施するのでしょうか?ASNOVA 代表取締役 上田さんに伺いました。

“テーマを足場そのものからカセツに置き換えたことで、これまで足場とはまったく接点のなかった人びととの関係性ができ、さまざまなチャネルに対してカセツの価値を伝えることができたと考えています。足場業界に対する好感を育て、業界のイメージをまず変え、社会的地位を向上させていく。社会から目を向けられることで、業界も変わっていくのです。それが最終的に、人材の採用・定着・育成につながると考えています(上田さん)”

関連記事:
若者の人材不足解消を目指す、中小企業の挑戦!足場レンタル会社 社長が語る、メディア事業を始めた理由

Member

小野 真

小野 真

株式会社ASNOVA
事業企画室 室長

木本 登史

木本 登史

SPEMON
パルクールアスリート

圓城 史也

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

服部 木綿子(もめ)

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

小島 和人(ハモ)

株式会社ロフトワーク
プロデューサー

Profile

横山 暁子

株式会社ロフトワーク
マーケティング

Profile

メンバーズボイス

“どれだけの人が参加してくれるだろうか、本当に楽しんでくれるのだろうかと不安で仕方ありませんでした。建設業界は人手不足が深刻化している業界のひとつです。その最大の理由は、多くの人が建設業界に対して自分には関係のない世界だと線引きしているから。この『無関心の壁』は厚いので、直接的に足場の魅力を伝えても自分ごと化しづらく、響かない。ならば、まずは足場を身近に感じてもらおうと、このイベントを企画しました。
今回のイベントで見てもらった通り、足場を活用すれば、短時間で自分たちの欲しい場や空間を創造できます。本来は建設業界のために作られたものですが、アイデア次第で業界を超えたポテンシャルを秘めているものだと思うんです。
多くの方に参加していただき、とてもいいイベントになりました。またぜひ次もチャレンジしたいです。”

株式会社ASNOVA 事業企画室 室長 小野 真

“ASNOVAさんが人手不足が深刻化する建設業界にかける思いや、建設現場だけでなく足場の可能性は無限に広がっていることを知り、パルクールとの親和性をより強く感じました。パルクールも競技人口はまだまだ伸びしろがある状態。一般的にあまり知られていない魅力や可能性を伝え広めていく点では、両者ともに目的が合致しているなと思ったんです。
パルクールも足場も、自由自在。パルクールはだれかと戦うところに主軸を置くスポーツではなく、自分のやりたいことを自由に挑戦できるところに魅力がある。建設足場も作り手の意思で自由にかたちを変えられますよね。
会場のアスレチックも、僕が設計を考え、その構想通りにASNOVAの皆さんと組み立てました。
また、足場アスレチックでパルクールの演技を披露したいですね。”

SPEMON パルクールアスリート 木本 登史

“パルクールチームと一緒に足場空間を考えてみる、建設現場では普段やらない足場の組み方を試してみる、足場を組むところから体験会にしてみる。色々なチャンレジポイントがあり、「どんな光景になるかな」とドキドキしながら当日を迎えました。SPEMONやASNOVAの皆さん、ロフトワークのメンバー、プロジェクトに関わった1人1人が、最初から最後まで一緒に楽しみながら取り組んでくださったおかげで、皆のやりたいことや、伝えたいことを素直に表現できました。このイベントを通じて、足場にはまだまだ想像を超える活用方法があり、さらなる可能性があると感じました。これからも足場を使った新しい展開を、一緒に考えていきたいです。”

ロフトワーク クリエイティブディレクター 圓城 史也

“実はアスレチック以外に、受付の机も足場で組んでいただきました。最初は一般的な机を利用する予定でしたが、会場のトンマナを合わせるためにも足場で組めないかとASNOVAさんに相談。快諾いただき、私もトンカン打って組み立てました。気軽にユニークな空間を作ることのできる足場の可能性を感じた舞台裏話でした。
SPEMONの皆さんもASNOVAさんの作業着をまといパフォーマンス。最後に、プロジェクトメンバー全員で、足場アスレチックに乗って記念撮影をしましたが、人が乗った足場は格好良い!”

ロフトワーク クリエイティブディレクター 服部 木綿子

“WebマガジンPOP UP SOSIETY企画の際に「足場とパルクールはなんだか相性が良さそう。組み合わせてみよう。」というぐらいのジャストアイデアから始まった一連の流れ。
ASNOVAさんと木本さんの初回顔合わせが実現した際、「面白そう!やってみよう!」と即、具体化することに。とても軽やかなプロセスを経て実現に至ったイベントでした。
こうやって物事をポジティブな目線でデザインし続けると、軽やかに素敵な街が組み上がっていくのだと思います。”

ロフトワーク プロデューサー 小島 和人

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若手人材と足場業界をつなぐメディア構築