株式会社星野リゾート PROJECT

20代の旅の目的地に“温泉旅館”が選ばれる未来をつくる
星野リゾート「界タビ20s」Webサイトリニューアル

Outline

株式会社星野リゾートでは、2013年より、同社の温泉旅館ブランド「界(かい)」の滞在体験を通して20代に旅の楽しさや日本の地域の魅力を伝えるプロジェクト「界タビ20s」を実施しています。

「界タビ20s」は、代表取締役社長である星野佳路氏の「旅をしない若者にもっと旅をしてほしい」という思いをきっかけに発足。昨今の若者世代の経済事情を考慮し、1泊19,000円(2名利用時1名あたり、夕朝食付、サービス料・税込)というプランを毎年販売しており、2021年10月時点で累計利用人数は30,000人を超えています。

2021年11月1日、星野リゾートは「界タビ20s」をリニューアル。若者に向けて「界」らしい上質な滞在体験と、各地域ならではのユニークなアクティビティを提供できる新プランをスタートしました。ロフトワークは、今回のリニューアルをきっかけとしたキャンペーンサイトの刷新を支援。20代に向けて、温泉宿が旅の目的地になりうる魅力的な場所であることを伝えることをゴールに、コンテンツの企画・制作からWebサイト公開まで、約3ヶ月間で実施しました。

温泉旅館ブランド「界(かい)」について

星野リゾートが全国に展開する上質な温泉旅館ブランド。「王道なのに、あたらしい。」をテーマとし、心地よい和にこだわった空間と、地域の魅力を再発見できる滞在体験が魅力です。

「界」ブランドサイト|星野リゾート

プロジェクト概要

  • クライアント:株式会社星野リゾート
  • 実施期間:2021年7月〜9月
  • 体制
    • PD:柳川 雄飛, 北尾 一真
    • PM/CD:伊藤 澪奈子
    • 制作:
      • コピーライティング:堀江 麗
      • デザイン・コーディング:株式会社SETSUNA
      • スチール撮影:大森 めぐみ
      • モデル:はましゃか
      • スタイリング:西辻 未絵
      • ヘアメイク:Megumi Kato
      • 協力:藤井 海帆、松澤 菜穂、松下 雛乃

温泉旅館が「旅の目的」となる未来に向け、コミュニケーションを刷新

「界タビ20s」は当初、若者の旅離れに歯止めをかけることと、温泉旅への敷居を下げることを目的にスタートしました。以降、サービスの利用者は順調に増えたものの、国内で未だ20代が旅の選択肢として「温泉宿」を選ぶことが少ない状況が続いたことから、同社は2019年からPRコミュニケーションの方針を転換。さらに若者層への認知を広げるため、SNSのハッシュタグキャンペーンなどを通じて、温泉旅の楽しさ・ワクワクのイメージを発信しました。

このPR施策が功を奏し、2019年は前年の2倍を上回る人数が「界タビ20s」を利用。しかし一方で、

  • PRによって発信されるイメージが20代の等身大の目線に寄りすぎており、「界」の上質な滞在体験をアピールし切れていないこと
  • 利用者は「お得な宿泊プラン」に訴求されており、今後「界」および星野リゾートブランドのファン化や継続利用につながるイメージが持ちづらいこと

が課題となっていました。

そこで2021年、改めてプロジェクトの目標を「20代にとって、温泉旅館が当たり前のように旅行の選択肢にあがり、旅館が目的地として選ばれる未来をつくること」に設定。そのイメージを具現化しPRコミュニケーションにつなげるために、星野リゾートはロフトワークをパートナーに選定しました。

ロフトワークのプロジェクトチームはデザインコンセプト策定フェーズで、旅好きな20代の感覚から「界」が憧れの場所だと感じられるポイントを探るため、ターゲットと同世代の人々とワークショップを実施。さらに、今の20代にとっての「憧れ」のイメージをより真に迫ったものにするべく、コンテンツのプランニングからライティング、撮影など、さまざまな場面で20代のクリエイターを起用。徹底した「若者目線」によって、「界タビ20s」のキャンペーンサイトを刷新しました。

Outputs

ファーストビューは、界の上質さを伝える「温泉」や「客室」の写真。ユーザーが上質な温泉旅館で過ごす自分自身の姿をイメージできるような写真、の3枚を組み合わせる構成にしています。
Webサイト内のコピーワークも、20代のメンバーが作成。自分たちから見た「界」の魅力を率直に表現しました。
スマートフォンから見ても、PCから見ても、一貫して「界」の高品質なイメージが伝わるよう、デザインとコーディングに拘りました。
「写真から選ぶ」「地域から選ぶ」など、宿探しを簡単にするためのUIも実装。

Story

本プロジェクトにおいて、プロジェクトマネジメント/クリエイティブディレクションを担当した、クリエイティブディレクター 伊藤澪奈子も、「界タビ20s」のターゲットと同世代。今回実施したリニューアルのポイントを解説します。

伊藤 澪奈子 クリエイティブディレクター

大学ではマネジメント学を専攻。在学中のグラフィックデザイン事務所での勤務をきっかけに、デザインの可能性とそのインパクトに興味を持つ。卒業後、より広い分野のクリエイティブに携わるべく2019年ロフトワークに入社。人のクリエイティブの最大限の発揮を目指し、感性やアイデアを育てるディレクションを目指し日々仕事に邁進している。

>>プロフィール

温泉旅館の魅力を「そのまま」発信する

プロジェクトの序盤、私たちは「界タビ20s」のキャンペーンサイトリニューアルの方向性を探るために、リサーチを行いました。その結果「界」には、地域の伝統工芸品をしつらえた空間や和の客室、その地域ならではの旬の素材を活かした季節の会席料理など、魅力が溢れていました。

さらに、新しい「界タビ20s」では、観光地に足を運ばなくてもご当地の魅力を体験できるオプションサービスを提供しています。例えば、和三盆糖や琥珀羹などの干菓子が入った「ウェルカムお菓子箱」と抹茶のセットや、夜の語らいの時間にご当地のお酒とスタッフお勧めのおつまみで会話に華をそえる「至福のナイトタイムセット」など。

「界」の彩豊かな滞在体験を目の当たりにした私たちは、これらをできるだけ「ありのまま」Webサイトで発信することが一番ではないかと考えました。「界」そのままの魅力で、20代のターゲットを訴求すること。一見してシンプルなテーマでしたが、実現までの道のりにさまざまな挑戦がありました。

20代に向けた訴求ポイントは、20代の目で見つける

20代に「刺さる」訴求ポイントを探るのであれば、20代のメンバーと考えるのが一番。今回のプロジェクトでは、さまざまな場面でターゲットと同世代の人々を巻き込みながらWebサイトを作り上げました。

まずデザインコンセプト策定フェーズでは、20代の女性を集めてワークショップを実施し、「界」の施設やサービスの中から彼女たちが本当に魅力的に感じるものを探し出しました。

ワークショップに参加したのは、自分らしい働き方やライフスタイルを実践しSNSなどを通じて発信している人や、旅行が好きな人たち。「実際に、自分が行きたい『界』を探す」をテーマにしたワークで、彼女たちが “いいね!” したくなる「界」の写真やサービスを選んでもらい、それぞれが良いと思った理由を一つ一つ書き出してもらいました。

このようなワークを行ったのは、一対一のインタビューでは回答者が質問者の意図や解決したい課題を意識しすぎるあまり、本心とは違う意見を言ってしまうことがあるからです。ワークショップを介して意思表示をすることで、ワークショップ参加者のより素直な趣味趣向を引き出しました。

こうしてワークから得られた情報をもとに、デザインコンセプトを導き出しました。

アウトプットの品質基準は「自分たちに刺さるかどうか」

キャンペーンサイトのイメージを決定づけるのが、コピーライティングと写真です。一般的に、Webサイトのコピーはコピーライターに依頼することが多いのですが、今回はあえて、クラフトジン『HOLON』のプロデューサー 堀江麗さんと一緒に検討。私たち自身に刺さることを重視しながら、界の魅力を伝えるコピーを作りました。

撮影も、カメラマン・モデル共に20代の方をアサイン。20代はSNSやWebサイトなどを通じてビジュアルから情報収集する傾向にあります。そこで、スタイリスト、ヘアメイクの方を撮影チームに迎え、写真の品質向上を図りました。

モデルはカメラ目線やわかりやすいポージングを入れず、あくまで自然体で寛ぐイメージで撮影しました。
撮影ディレクションでは、理想とリアルさの間「演出しすぎない、でも映える」という絶妙なラインを狙い、小物の設置や撮影角度など細かい部分を考えながら撮影を行いました。

リサーチ〜CMSの選定までロフトワークのWebプロジェクトの特徴・進め方

プロジェクトの全体感をつかみ、戦略と戦術に落とし込むことで、Webプロジェクトの「成功のすがた」を描きます。

ロフトワークのWebプロジェクトの特徴・進め方

Voice

20代の「リアルな」ニーズと感覚をつかんだ、Webサイトリニューアル

株式会社 星野リゾート マーケティンググループ 界マーケティング 鹿子木 祥乃 様

星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」で行っている20代の旅を応援するプロジェクト「界タビ20s」。今回は「界タビ20s」のリニューアルに際し、サイトもリニューアルすることとなり、ロフトワーク様へご依頼させていただきました。
今回のプロジェクトで達成したいことは、20代にとって温泉旅館が当たり前のように旅行の選択肢にあがり、旅館が選ばれる未来をつくること。20代へより温泉旅館の良さを感じていただくため、コンセプト作成から撮影、サイト作成までロフトワーク様と共に作り上げて参りました。

実際進めていくにあたり、20代の意見が重要になることから、20代の女性デザインユニットを組んでいただき、言葉や写真の見え方ひとつひとつ、何が20代にとってフックするのか模索しながら進めていただきました。

その様に進めていただけたからこそ、20代のリアルなニーズや感覚をつかめ、根拠をもって、サイトのデザイン等に反映できたと感じています。
実際リニューアルサイトをご覧いただいた20代の方の意見を伺っても、「すごく行きたくなった」「見ていてわくわくする」といったお言葉もいただけております。

20代へフックする素敵なサイトに仕上げていただき、誠にありがとうございました。

Member

伊藤 澪奈子

伊藤 澪奈子

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

北尾 一真

北尾 一真

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

柳川 雄飛

柳川 雄飛

メンバーズボイス

“20代に向けたサイトを、自分も含めた20代を巻き込んで作る。普段はプロや有識者にヒアリングやインタビューを行うことが多いため、一般的なインフルエンサーマーケティングとも違った、かなり挑戦的なアプローチでした。ですが、実際にご協力いただいたメンバーから得た情報は、まさに「リアルな20代の考え」そのもの。その情報を整理し導き出した答えは、今回のアプローチだからこそ出てきた答えであり、界タビ20sにぴったりだったと思います。
20代に対しての課題には、必ず20代に向けた解決策がある。そう思うことができるプロジェクトでした。今後もこのような今までにないアプローチに挑戦していきたいです。
また、ぜひ多くの方に界タビ20sで味わうことができる、「非日常に浸る、あるがままの時間」を体験していただければと思います。”

株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター 伊藤 澪奈子

Download

ロフトワークのWebサイト制作PJの資料ダウンロード

資料内容
・Webサイト制作プロジェクトの課題
・支援内容
・プロジェクト紹介
・モデルケースと価格
・会社紹介

Keywords

Next Contents

足場レンタル業から、価値提案型企業へ転換
6年間・15のプロジェクトであゆんだ企業変革の道のり