株式会社Psychic VR Lab PROJECT

XRによる「まだ見ぬ体験」で新しいカルチャーシーン創出 
ULTRA TOUR by STYLY サービス開発

Outline

STYLY 体験イメージ

「人類の超能力を開放する。/ FREE INNER CREATIVITIY.」をミッションに掲げ、空間表現の場を提供するXRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」を開発・提供する、株式会社Psychic VR Lab。

xRコンテンツ市場は、ゲームもしくは産業利用など、未だ限られた層の人々しか活用していない先端分野であるため、xRコンテンツを楽しむ「受け手側」の裾野を広げていきたいという思いがありました。

「新しいツアー」の開発

2020年、Psychic VR Labはエンドユーザー拡大に向けた新サービスとして、STYLY内の作品を通じて非日常を体験できる「新しいツアー」を構想。ロフトワークをパートナーに、サービス開発に乗り出しました。

両社は2016年より、XRにおけるクリエイティブ表現と体験のデザインを、開拓・拡張していく、世界同時多発的な実験的プロジェクト/コミュニティ「NEWVIEW」を共同運営しています。今回、その経験とこれまで培ってきたクリエイターとの繋がりを生かしたサービス開発を目指しました。

そうして生まれたのが、XRを用いた「超初体験」を提供する、複数人が同時参加できるツアープログラム「ULTRA TOUR by STYLY」です。プロジェクトチームは「言葉にできない感覚と出会う」「空前絶後の超初体験」をコンセプトに、クリエイターの監修・共演によるリアルとヴァーチャルを融合させた新感覚の体験コンテンツを企画。ニューノーマル時代においてPsychic VR Labが提案する世界観を体現した、フラッグシップコンテンツが誕生しました。

執筆:石部 香織
編集:岩崎 諒子(loftwork.com編集部)

ツアーの様子(「RPGレストラン」)

プロジェクト概要

  • 期間:2020年6月〜2020年12月
  • 支援内容:新サービス立ち上げに伴うブランド策定およびサービス設計
  • クライアント:株式会社Psychic VR Lab
  • 体制
    • プロジェクトマネジメント:桑原 季
    • クリエイティブディレクション:山田 麗音、鳴海 友紀
    • Webサイト制作 PM・クリエイティブディレクション:岩倉 慧
    • オブザーバー:原 亮介
    • 制作パートナー
      • ロゴ/メインビジュアル:柴田 ハル (GIGANTIC Inc.) 
      • コピーライティング:宗像 誠也(White Note Inc.)
      • Webデザイン:田中 隼人
      • コーディング:小松 孝之
      • Webコンテンツ ライティング:くいしん(くいしん株式会社)
      • ツアー企画:佐藤 ねじ(Blue Puddle Inc.)、タナカカツキ、安東 嵩史

(所属はプロジェクト実施当時のものです。)

* XR(クロスリアリティ)は、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)といった先端技術の総称。 Virtual Reality (VR)はヘッドマウントディスプレイなどを通して、バーチャル空間を現実であるかのように体験する「仮想現実」。Augmented Reality (AR)は、カメラで撮影した映像などの実在の風景に対し、バーチャルな視覚情報を重ねる「拡張現実」。Mixed Reality (MR)は現実世界にCGなどで作られた仮想世界の情報を映し出す「複合現実」。

Challenge

XRによる「まだこの世にない体験」をデザインし、新たなカルチャーシーン創出を目指す

「新しいツアー」の要件は、Psychic VR Labが2021年6月にSTYLYに新実装したセッション機能(複数のユーザーが同時接続出来る技術*)を活用しながら、他社には実現できないユニークかつ高品質な体験を実現すること。また、作品のトンマナやUXシナリオなどを含めた、サービスの「らしさ」を定義することも重要なミッションでした。

プロジェクトの中長期的なゴールは、新しいXRのカルチャーシーンの創出です。ツアーを通して生活者とXR技術との距離を近づけ、作品を体験する利用者を増やすと同時に生活習慣に浸透させていくことを目指しました。

新サービスのユーザー像を描き、サービスの提供価値を言語化

新サービスの方針策定に向けて、まずはデスクトップリサーチを通じてトレンドスクレーピングを実施。その後、2日間に渡るチーム合宿を通じて、新サービスの方針を策定しました。

方針を定義するにあたり、これまでのNEWVIEWプロジェクトを通じて出会った、情報感度の高いクリエイターやビジネスパーソンたちが、ユーザー像を具体化する上で助けとなりました。ワークショップと議論の結果、”まだ誰も体験したことがない「超初体験」”という新サービスのコンセプトが導き出されました。

チーム合宿の様子

異種混合のクリエイターたちと協働、4つのツアー企画を立案

ツアープログラムの方針として、NEWVIEWがアプローチし続けてきたファッション、アート領域に加え、アワードを通じてつながったアニメ・マンガといったサブカルチャー領域も視野に入れながらコンテンツ企画の方向性を絞り込み、「レストラン」、「サウナ」、「演劇」「ショッピング」などのツアーテーマを策定。「超初体験」を具体的なコンテンツへと落とし込むために、劇作家、VRクリエイター、音楽家など異分野の才能とチームを組み、ツアー企画を策定していきました。

ツアー企画に必要とされたのは、XR技術への理解と高い作家性の両方を兼ね備えたクリエイター。そこで、NEWVIEWのクリエイティブアワード受賞実績を持つクリエイターや、NEWVIEWが運営するスクールの卒業生にツアーの演出を依頼しました。こうして、多彩なクリエイターたちとの化学反応による、4つのツアー企画を形にしました。

* Psychic VR Labは2021年6月、STYLYにおいて複数人が同時に一つの作品に接続できる新しい機能を実装。ヘッドマウントディスプレイだけでなく、モバイルやWebブラウザといったマルチデバイス間でも、XRコンテンツへの同時参加が可能になった。

Outputs

ブランド・アイデンティティ(BI)

タグライン

超初体験の世界へようこそ

日常と非日常。
リアルとヴァーチャル。
交錯する二つが一つに融け合う 
三次元世界を巡る冒険、
それが “ULTRA TOUR” 。

この可能性に満ちた世界を、
とことん遊び尽くしてほしい。
さあ、超初体験へダイブしよう。

これまで遭遇したことのない未知が、
あなたの感覚を、常識を、未来をアップデートしていく。

「ULTRA TOUR by STYLY」タグライン / 宗像 誠也(White Note Inc.)

ULTRA TOUR by STYLYは、現実と虚構の世界を融合した、自分を解放できる全く新しい三次元体験であること。さらには日常の感覚を塗り替える可能性をも秘めていることを表現しました。従来の「ツアー」というキーワードから連想される「楽」「安心」のイメージとは一線を画する、「ハプニング」や「主体性」を感じさせるメッセージに仕上げました。

ビジュアル・アイデンティティ(VI)

「ULTRA TOUR by STYLY」キービジュアル / 柴田ハル (GIGANTIC Inc.)

VIの制作テーマは、「2D-3D-4Dを行き来する遊園地」。2Dグラフィックでありながらレイヤー構造や奥行きを感じさせ、クリエイターが立体・空間作品に応用して「あそびたくなる」インタラクションの可能性を示唆しています。

シンプルなパーツを迷路のように組み合わせることで、組み変えたり増築したりすることで自由自在にアレンジ可能。Webサイトやアニメーションにも転用しやすい「変幻自在な」VIとして仕立てました。

「ULTRA TOUR by STYLY」ロゴ / 柴田ハル (GIGANTIC Inc.)

ロゴタイプも同様に、立体感や揺らぎ・変形を感じさせる、2Dと3Dの世界を行き来するイメージを表現しました。

ULTRA TOUR by STYLY Webサイト

Topページ ファーストビュー。マウスカーソルを動かした時の画面の揺らぎによって、独特の浮遊感を表現。

ULTRA TOURのコンセプト「超初体験」。

Topページをスクロールしていくごとに、新しい世界が開けていくような演出を取り入れている。

ULTRA TOUR by STYLYのWebサイトで表現したのは、「超初体験前日」。アニメーションによる演出を生かし、イベント前日のような未だ見ぬ異世界への期待感・高揚感・浮遊感をWebサイトの体験に落とし込みました。

STYLYのクリエイティブで採用されているカラーパレットを踏襲しつつ、アクセントカラーにビタミンカラーを追加することで、ULTRA TOUR by STYLYの世界観を大胆に表現しつつも、STYLYブランドとの繋がりを意識しています。また、クリエイティブのエッジを効かせつつも、XRコンテンツを初めて体験する人にもわかりやすいUI・UXを実装しました。

4つのツアー企画

広いユーザー層にXRコンテンツを楽しんでもらうことを目指す4つのツアーを、クリエイターとともに企画しました。

本プロジェクト終了後、サービス設計フェーズで立案された4つの企画の中から、ファンタジーゲームの世界を舞台にモンスター料理を品評する格付けバトル「RPGレストラン」が、2021年6月に実現。2021年7月には、ツアー第2弾として、サウナブームの火付け役・漫画家 タナカカツキ氏の漫画世界を体感できるツアー「VRサ道」が公開されました。

さらに、2022年1月23日、29日、30日の3日間限定で、渋谷PARCOにてあらゆる角度からアートを観て、買えるVRギャラリー&ショップ「ANGLE ART MARKET」が開催されます。

他の1企画も、現在ツアーの実現に向けて制作が進められています。

魔法料理・モンスター料理を試食できる超初体験VR「RPGレストラン」|RPGレストラン

RPGに登場するモンスターや魔法の「味」を体験できるVRコンテンツ。ひとつのRPG料理を食べ、使われている食材を情報と舌で推測しながら、存在しないファンタジーを味わっていく。ゲームの世界に没入しながらリアルな味を体験できる、新たなVR体験を提供する超初体験VR「RPGレストラン」。

ツアーの詳細情報

コラボアーティスト:

  • 佐藤ねじ(企画・演出・監修)
  • 金田遼平(ロゴデザイン)
  • オツハタ(ツアー案内人)
  • 村上 大輔(料理クリエーター)
  • YORIMIYA(VR空間デザイン・開発)
  • アフロマンス(イベントプロデュース)

VR × ととのったー!=超初体験「VRサウナ」 360°マンガ空間による未知の感覚で脳内をハックせよ|VRサ道 

「ととのうVR」を確立すべく立ち上がったタナカカツキのエクスペリメンタルサウナプロジェクト。マンガ調の360°見渡せる大自然の中、季節の移ろいや個性的なキャラクターと共に巡るサウナセッションの果てに、あなたは未知なる「ととのい」に出会う。 新しい生活様式の中に、自分の感覚と向き合う時間を提案する超初体験「VRサウナ」。

ツアーの詳細情報

コラボアーティスト:

  • タナカカツキ(企画・原作)
  • 小江華あき(VRマンガ空間開発)
  • gen asai(楽曲・サウンド制作)
  • hacha(ととのい演出制作)
  • マグ万平(ツアーガイド)

あらゆる角度からアートを観て、買う。謎の超初体験「VRギャラリー&ショップ」|ANGLE ART MARKET

アーティストたちがVR空間を意欲的に活用した新たな展示表現を試みました。お客様は展示を楽しむだけでなく、展示作品をお気に入りのアングルで撮影し、ロンTやトートバックにプリントが可能です。制作したアイテムは実際にご自宅にお届けします。さらに、一部の作品はVR内での購入も可能。独創的なセレクトショップを提供する、超初体験「VRギャラリー&ショップ」です。

ツアーの詳細情報

コラボアーティスト:

  • 安東嵩史(キュレーション)
  • Hikari Matsuura(3Dモデリング)
  • JACKSON kaki(3D空間構成)
  • Gen Seiichi(楽曲制作)
  • 大河原 健太郎(出展アーティスト)
  • 小畑多丘(出展アーティスト)
  • 河野未彩(出展アーティスト)
  • なみちえ(出展アーティスト)

Member

渡邊 遼平

渡邊 遼平

株式会社Psychic VR Lab
執行役員 / CMO

浅見 和彦

浅見 和彦

株式会社Psychic VR Lab
プロデューサー

山田 麗音

株式会社ロフトワーク
Creative Executive/シニアディレクター

Profile

岩倉 慧

株式会社ロフトワーク
バイスFabCafe Tokyoマネージャー

Profile

原 亮介

株式会社ロフトワーク
MVMNTユニットリーダー

Profile

Method

リサーチ〜CMSの選定までロフトワークのWebプロジェクトの特徴・進め方

プロジェクトの全体感をつかみ、戦略と戦術に落とし込むことで、Webプロジェクトの「成功のすがた」を描きます。

ロフトワークのWebプロジェクトの特徴・進め方

EVENT

3次元空間での表現と体験のデザインを開拓する、 複合型イベント「NEWVIEW FEST 2021」開催

株式会社Psychic VR Lab、株式会社パルコ、ロフトワークによる共同プロジェクト「NEWVIEW」が、複合型イベント「NEWVIEW FEST 2021」を1月21日(金)〜1月30日(日)に開催します。「ポスト・リアリティとノーノーマル」をテーマに、リアル会場の渋谷PARCOに加え、世界中からアクセス可能な「バーチャルPARCO」でも同時展開。
アート、デザイン、音楽、ファッションなど、多様なジャンルのクリエイターが参加し、XRカルチャーの最前線を体験できる内容が盛りだくさんです。イベントにて、本記事でご紹介した「ANGLE ART MARKET」も体験できます。(「ANGLE ART MARKET」のみ要事前予約)

 

会期
2022.1.21(fri) – 1.30(sun)
会場
渋谷PARCO 1F「NAKASHIBU STREET」 / 4F 「POP UP SPACE」 / 10F「ROOFTOP PARK」(東京都渋谷区宇田川町15-1)
時間
渋谷PARCO 11:00-20:00(※渋谷PARCOの営業時間に準ずる) VIRTUAL PARCO 24時間いつでもどこからでも体験可能
参加費
無料

Activity

Keywords

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アワードとスクールを通じて、世界のVR/AR新潮流をリード
NEWVIEWのグローバル戦略