パナソニックホールディングス株式会社 PROJECT

端材活用エコシステム開発プロジェクト展示会を開催

Outline

ロフトワークにおいて材料や技術開発、先端研究を基軸にした事業開発支援に特化したチーム「MTRL(マテリアル)」は、パナソニックホールディングス株式会社が主催・運営する端材活用エコシステム開発プロジェクトのパートナーとして、プロジェクトプランニング・ディレクション・制作を行いました。

本プロジェクトでは、MTRLを含めた4組のパートナーが参画。製造工程で排出されてしまう人造大理石の端材のデータ活用やデータ活用環境開発を通じて、新たな用途開拓からプロトタイプ制作までを実施しました。

さらに、これらの活動を通じて生まれたプロトタイプをいち早く紹介するための展覧会を、ロフトワークが運営するスペース「FabCafe MTRL」(東京・渋谷)にて完全招待制で開催しました。

体制

  • 主催・運営:パナソニックホールディングス株式会社
  • 協力:パナソニックハウジングソリューションズ株式会社、パナソニック住宅設備株式会社、_and Material(運営:パナソニックホールディングス株式会社) 
  • プロジェクトプランニング・ディレクション・制作:MTRL(運営:株式会社ロフトワーク)/株式会社船場、岩沢兄弟(有限会社バッタ☆ネイション)、堀川淳一郎 

Background

わたしたちの暮らしの延長にある「捨てる」の現状をみつめ、ものづくりの新しいサイクルを生むアクションへ

「リサイクルデータブック2021」では、近年の日本における産業廃棄物と一般廃棄物(ごみ)の合計排出量と最終処分量の推移が示されています。廃棄物排出量における最終処分量において、産業廃棄物がいかに大量に排出されているか。私たちの暮らしの延長にある廃棄物といえど、その現状は想像を遥かに超えた規模であることを示しています。

特に産業廃棄物の排出量にフォーカスすると、900万トンもの廃棄物が再生、減量化も難しい最終処分場行きとなっています。このような状況に際して、世界的にサステナビリティに対する取り組みが盛んになっています。

しかし、私たちの想像を超えて大量に排出されてしまっている端材を活用した製品、事業アイデアの多くは、大規模な製造を行う製造業のサスティナビリティには対応しきれない現状がありました。

本プロジェクトは、これらの現状課題を改善していくために、マテリアルの新しいライフサイクルの創出を目指して活動を開始。パナソニック社内の事業創出活動から提案された企画構想を、同社が運営する材料新価値創造コンソーシアム「_and Material」が、具体的な取り組みへと拡張しました。

Approach

端材活用エコシステム開発プロジェクト

本プロジェクトでは製造工程で排出されてしまう工場端材を「データ活用」「二次利用エコシステム」「クリエイターとの協業」という3つのアプローチによって、事業性のある端材活用検討を推進するプロジェクトです。

マテリアルは「人造大理石」

プロジェクトの題材として選んだマテリアルは、 パナソニック住宅設備株式会社が製造する「人造大理石」です。 主にキッチンのカウンターなどに活用されており、高い機能性、大理石調の高い意匠性、高強度で安定して使い続けられる、という特徴を持ちます。

今回、人造大理石の端材のデータ活用やデータ活用環境開発を通じて、新たな用途開拓からプロトタイプ制作まで実施しました。

廃材の二次活用を促す3つのアプローチ

データ活用

出てきた端材の形状を図面データ化し、データベース上で材料を扱えるデータ活用環境を開発。多くのクリエイターが扱いやすい環境を提供

二次利用エコシステム

図面データ化された端材を、人の手や頭で考えるだけではなく、データとして「限りなく無駄なく使う」ことを促す設計支援環境を開発

クリエイターとの協業

一点物 ( カスタマイゼーション ) から量産品(マスカスタマイゼーション) まで、サステナビリティ に貢献するものづくりに熱意のあるクリエイターや有識者との協業

「そのまま使う」から「組み立てて使う」まで、素材の形・特長を生かした自由な利用シーンを検討

Outputs

プロジェクトから生まれたプロトタイプ

「re-think table」「re-think stool」/ 株式会社船場 re product チーム

色とりどりの人造大理石の魅力が1台に詰まった、高級感のあるダイニングテーブル。ダイニングやオフィスなど様々なシーンで活躍し、同素材のスツールとのコーディネートも楽しめます。

「connec-table」/ 株式会社船場 re product チーム

ICT活用授業やアクティブラーニングでの使いやすさを追求した、ちょっと変わった形状の学習机。組み合わせ方でレイアウトのバリエーションが広がり、人造大理石と木の異素材の組み合わせが楽しめます。

「Generative Scaffolding」/岩沢兄弟×堀川淳一郎

題材マテリアル「人造大理石」の端材を加工せずに新しいプロダクトはできないものかと考え、生まれてきた形をそのまま活かすことにしました。端材をもう一 度加工しようとすると、どうしても手間と時間とお金がかかり、そしてまた端材を生んでしまいます。 そこで、端材の特徴的な形を活用した脚をデザインし、コンピューター上でシミュレーションを繰り返すことで家具のプロトタイプを制作しました。会場では複数のバージョンを展示。

「counter”a”part」/岩沢兄弟×堀川淳一郎

キッチンカウンターの天板を作る際の端材、その形状の特徴を活かしながら、極力簡単な加工で扱いやすい部材へ変化させること。 材料として認識してもらうためには矩形に戻すことが重要と考え、2回の直線カットを行い、回転をすることでシンプルな形状に戻す、という方法を選択しました。 真ん中に現れた十字形状部分にはカットした異素材を接着することで、もともとの形状を理解させるポイントにもなっています。

端材活用エコシステム開発プロジェクトプロトタイプ展示会の様子

2022年7月21日から7月24日までの4日間、FabCafe MTRL(東京・渋谷)にて本プロジェクトの成果を紹介する展示「端材活用エコシステム開発プロジェクトプロトタイプ展示会 Powered by Panasonic Holdings Corporation」を開催しました。

本展示では、プロトタイプ4点のほか、プロジェクトのプロセスと材料サンプルを紹介。サステナビリティ関連の事業開発に取り組まれている方、空間・都市開発に関わる方、空間施工・空間デザインなどに従事される方などに向けて、本プロジェクトのコンセプトを紹介するとともに、循環型社会の実現に向けた対話の機会づくりを行いました。

Partners

プロジェクトパートナー

MTRL(株式会社ロフトワーク)
すべての人のうちにある創造性を信じる。」をミッションに掲げ、創造性の創発を支援するクリエイティブカンパニー。
「MTRL( マテリアル )」チームは、材料事業・製造業を中心に、材料素材起点のイノベーション「マテリアル・ドリブン・イノベーション」の創発を掲げ、企業の事業開発やプロジェクトデザイン、コミュニティデザインの推進を支援している。 >>Website

株式会社船場 re product チーム
商業施設をはじめオフィスや教育・文化施設等の様々な空間創造において、企画・設計・ 施工・メンテナンスまでをトータルでサポート。サスティナブル社会に求められる空間設計の新たなテーマとして循環型の内装設計“エシカルデザイン”を推進。2022年から「未来にやさしい空間を」を企業のミッションに掲げる。 >>Website

岩沢兄弟(有限会社バッタ☆ネイション)
「モノ・コト・ヒトのおもしろたのしい関係」を合言葉に、人や組織の活動の足場と なる拠点づくりを手掛ける。 空間・家具などの立体物設計、デジタル・アナログ両方 のツールを活用したコミュニケーション設計が得意。 >>Website

堀川淳一郎(Orange Jellies)
2009年コロンビア大学のAdvanced Architectural Design修了。建築やプロダクト、 アートの分野でソフトウェア開発や幾何学とアルゴリズムを用いたデザインを行う。 >>Website

 

Member

小原 和也(弁慶)

株式会社ロフトワーク
MTRL事業責任者

Profile

長島 絵未

株式会社ロフトワーク
バイスMTRLマネージャー 

Profile

松本 遼

株式会社ロフトワーク
MTRL リードディレクター

Profile

片平 圭

株式会社ロフトワーク
MTRL クリエイティブディレクター

Profile

外部記事掲載

プロジェクトがPanasonicのニュース記事に掲載されました。プロジェクトメンバーのロフトワーク長島絵未と、岩沢兄弟のいわさわひとしさんもお話しています。

Contact

プロジェクトに関心のある皆様へ

本プロジェクトに関心のある方、人造大理石端材の利活用に関心のある方は、ぜひお気軽にお問合せください。

お問合せ先:
端材活用エコシステム開発プロジェクト事務局(東京)宛

お問合せ

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