全社合宿レポート! 今年のテーマは『101人の表現のひき出し』
諏訪湖を舞台に全員で“彫刻”になってきました
梅雨が終わり、夏の手前。ロフトワークの毎年恒例行事「全社合宿」の季節がやってきました!全社員が参加するこの大イベントは、これまでに京都、小豆島、飛騨、台湾など、国内外問わず様々な地域に滞在し、メイカソンやサービス立案大会など、毎年異なるテーマのプログラムに取り組んできました。
2018年、舞台となったのは長野県・諏訪市。
ロフトワークは諏訪市役所とタッグを組んで、世界に誇れる「精密加工技術の魅力」を発見・発信する「SUWAデザインプロジェクト」を行っています。プロジェクトにゆかりある土地で開催することが多い全社合宿ですが……今年のワークプログラムのテーマは、『101人の表現のひき出し』!? なんと、諏訪湖を舞台に“彫刻”になってきました。
そもそもどうして、合宿!?
こんにちは!クリエイティブ・ディレクターの永谷です。
入社して三ヶ月、6月に開催された「全社合宿」に初めて参加してきました。
滞在場所・プログラムが毎年変わる合宿ですが、変わらない目的は以下の通り。ロフトワークにとっては全社員が集まる、一年に一度きりの貴重なイベント!
- 「コミュニケーションの活性化」
部署、チーム、プロジェクトを横断してメンバーの関係性を深める
- 「緊急度は低くても重要度の高いことについてじっくり考える」
普段の仕事をいったん離れて、大切なことを考える
- 「ただの旅行者ではなく、訪れた土地と向き合う」
訪問先の地域、文化、人との出会いを大切にする
立候補で決まる「合宿チーム」が、目的にそってプログラムの企画・運営を進めていきます。
私たちは毎日、“演じている”?
今年のワークテーマは『101人の表現のひき出し』
テーマを決める会話の中で、代表の林千晶からこんな言葉が。
「ふだんの仕事でも、人によって、シーンによって、表現方法が変わる状況ってとても演劇的で面白い。演じることは誰もが日々こなしていて、日常に溶け込んでいる行為なのに、それを意識している人ってあんまりいないよね。」
「演じる」ということを、相手との関係性やシーンに合わせた表現と解釈するならば、普段の生活における私たちの振る舞いも演じること、と言えるかも。例えば、クライアントに応じて伝わりやすい言葉を選ぶことや、プレゼンで魅力的な演出を意識することも、ある意味「演じている」。
私たちは、多様なプロジェクト・多彩なメンバーを集めて、日々新しい活動を起こしています。バックグラウンドの全く異なる人と働き、自分に求められる役割がプロジェクト毎に変わることも当たり前。プロジェクトの拠点も渋谷を中心に、京都、飛騨、台湾、香港……と、どんどん増え続けている中、あらゆる舞台でより良いクリエイティブを目指しています。
そんな国内外の拠点から全社員が集まり、今年の合宿は総勢なんと101人!
ワーク設計では何度も議論を重ね、イメージを膨らませていきました。
“相手との関係性やシーンに合わせて、より豊かにコミュニケーションをするにはどうすればいいのだろう?”
“自分で気づいていない個性もあるのでは。101人が集まる合宿で、「演じるプロ」の役者の方となら、私たちもお互いの表現力をひき出し合えるのでは?”
そんな想いから、演出家であり「虚構の劇団」の俳優である三上陽永さんを講師として招き、身体を使って「表現をひき出す」実践的なワークショップを企画しました。
三上さんは、演劇ワークショップも多く開催し、10年以上演出・脚本執筆も行うプロの舞台俳優。その場の空気をつかみ、言葉や振る舞いを使い分け、身体まるごとで表現するいわば「表現のひき出し」のプロです。
合宿当日は、三上さんを含めて6名のプロの役者の方にも参加してもらい、ワークショップを行いました。
三上陽永さん:1983年6月12日生まれ、青森県出身。鴻上尚史主宰『虚構の劇団』に旗揚げ準備公演から参加。2008年には同団員と演劇ユニット『ぽこぽこクラブ』を立ち上げる。舞台をメインに、テレビやラジオでも活躍。
『虚構の劇団』 http://kyokou.thirdstage.com/ 『ぽこぽこクラブ』 http://pocopoco-club.com/
頭で考える前に、楽しむこと!
アイスブレイクは、役職も国籍も関係なく楽しめるワークの数々!少しづつ心と身体がほぐれていきます。
気づけば無我夢中で楽しんでいた私たちですが、三上さんはこれこそ最も大事なことだ、と言います。
結果や評価が重要とされる場面は多いです。けれど意外と「楽しむ」ことは、置き去りにされやすいのではないでしょうか?表現の世界では、まず本人が楽しむことが大前提。楽しければ、放っておいても本人はそのことを続ける。続けることでどんどん上達し、「表現のひき出し」も増えていく。他人の評価を求めすぎて、だんだん苦しくなって、表現をやめてしまっては元も子も無い。とにかく大切なのは、「楽しむ」こと。 ー三上さんからの手紙より
「演じ方」にあぶり出される、その人らしさ
心も身体もほぐれたところで、本格的な演劇ワークにも取り組みます。
「即興劇エチュード」というワークでは、様々なシチュエーションで演じることを楽しみました。
ワークでは自分が演じることだけではなく、人が演じる様子を“見る”ことも大切だと、三上さんは言います。見ることによって、「自分だったらこう演じるな」と思ったり、「あの人はこういう演じ方をするんだ」という発見があったり。実はその「演じ方」にこそ、その人にしか無い個性・感性が見えることがある。嘘から本当が生まれる瞬間を見ると、演劇にハマってしまう、のだとか。
ルール無視、ロフトワーカーの大暴走!
101人のクリエイティビティが最も爆発したのは、諏訪湖を舞台にした「人間彫刻」。
二人一組になって、「彫刻家」と「彫刻にされる人」に分かれるワーク。文字通りに手をとり足をとり、ペアの相手を“素材”として彫刻作品にします。「彫刻にされる人」は自分では思いつかないようなポーズを強制されることで、相手から「表現のひき出し」を盗めるという狙いも。
諏訪湖という舞台と“素材”の個性が化学反応を起こし、たくさんの作品が生まれました。
1回目のワークでは与えられた場所で表現するペアが多かったのですが、二回目になるとコツをつかんだのか、ロフトワーカーの本領発揮!場所も人もお構いなしの大暴走が始まりました。
ペアになって行うワークのはずでしたが、そんなルールはどこへやら(笑)
面白さへの嗅覚を頼りに、制約を外してオープンに周りを巻き込んでいく姿勢には、講師の三上さんも驚愕していました。(というか、若干引いていた……?)
表現をひき出す感受性
ワークショップの最後には、仲間に感じた印象を「○○な表現者」として言語化し、お互いにフィードバックを行いました。
表現とは、受け取る相手がいて初めて成り立つもの。
仲間の表現をひき出す感受性も大切だということを、今回のワークで学びました。
ワークを通してお互いの個性に触れたせいか、夜の宴会も大盛況!
フィードバックしあった表現者カードをランダムに配置して、普段話したことの無い人とコミュニケーションを取りやすい席順の仕掛けも。
合宿2日目は、グループに分かれて「諏訪を巡る」プログラム。
事前に寺社仏閣や地理好きのテクニカルディレクター安藤が、「Weekly SUWA」として毎週社員に向けて諏訪にまつわるコラムを発信したり、各グループが事前に調べてツアーを組んだり。
「SUWAプロジェクト」のメンバー以外も自分の足で諏訪を巡り、その土地の文化に向き合いました。
「Weekly SUWA」一覧
仲間とクリエイティビティを信じること
今回の合宿では、いつも仕事をしている人の意外な一面や、勝手にイメージを持っていた人のまったく違うキャラクターに気づいたりと、小さな発見がたくさんありました。より良いクリエイティブを目指し、筋書きの無いプロジェクトを進めていくうえで一番大切なのは、仲間を信じてお互いをさらけ出せる信頼関係なのかもしれません。
ワークの講師としてご協力いただいた三上陽永さんはもちろん、合宿のプログラムを設計したメンバーのみんな、そして合宿にご協力いただいたすべての方々へ、本当にありがとうございました!!
今年の合宿の様子はFlickrからもご覧いただけます!
ロフトワーク過去の合宿一覧
テーマと滞在先
2017年:飛行機が飛ばず無念の中止……(大分・別府で「創造力のエクササイズ」を行う予定でした)
2016年:“個”を見つめ直すことで、今と未来のロフトワークを考える
2015年:飛騨の伝統あるお屋敷のリノベーションに挑戦!
2014年:台湾でのクリエイティブサービス立案に挑戦!
2013年:奥多摩で間伐材を活用する木工Make-a-thonに挑戦!
2012年:小豆島で地域産業の課題に挑戦!
2011年:京都で未来のロフトワークづくりに挑戦!
2010年:千葉で廃校活用アイデアに挑戦!
2018年の合宿チーム
渡部 晋也
株式会社ロフトワーク
マーケティング
石川 由佳子
株式会社ロフトワーク /
Layout Unit フェロー
伊藤 亜由美
株式会社ロフトワーク
マーケティング
浅沼 由美
株式会社ロフトワーク
総務 / あさぬまキッチン主宰
高橋 良枝
株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター
林 剛弘
株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター
金指 了
株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター
安藤 大海
株式会社ロフトワーク
テクニカルディレクター
著者プロフィール
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