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後閑 裕太朗 2026.06.03

「Loftwork Conference 2026」全13セッションの見どころを紹介

自社の事業や組織を「再創造」するヒントは、どのセッションにある?

2026年6月23日(火)〜25日(木)に開催する「Loftwork Conference 2026」。テーマは、「Re:Creation —AIの最適解を超え、予期せぬ誰かとつくる」。AIの活用があらゆる領域で前提となりつつある今、組織や地域がすでに持っている資産を、どのように新しい価値へと組みかえていけるのかを考える3日間です。

本カンファレンスでは、ビジネス、デザイン、テクノロジー、アート、大学、地域など、異なる領域の実践者を迎え、全13のトークセッションを実施。参加者の皆さんは、好きなセッションを選んでお申し込みいただけます。

この記事では、参加を検討している方や、すでに申し込み済みの方に向けて、企画オーガナイザーである、ロフトワーク バイスマーケティングマネージャーの後閑 裕太朗から、各セッションの見どころを紹介します。

イベント概要

Loftwork Conference 2026 「Re:Creation」
——AIの最適解を超え、予期せぬ誰かとつくる

クリエイティブカンパニー・ロフトワークが主催する、10年先の未来を私たちの手で再創造するための、3日間のビジネスカンファレンス。「Re:Creation」をテーマに、多様な切り口から時代を切りひらく実践者たちとの多数のトークセッションをはじめ、展示や議論、そして遊びの場を展開し、まだ見ぬ出会いと発見を提供します。

イベントの詳細を見る

DAY1(6/23):テーマ「テクノロジーと新たな産業・社会基盤」

Physical AIや核融合技術といった新たなテクノロジーの登場。そして、社会実装を支えるルールデザインや、共創のためのプラットフォーム。産業や暮らしの前提が大きく変わろうとする今、技術を新しい市場や社会の仕組みへとどう接続していけるのか。事業開発やイノベーション推進、研究開発、コミュニティづくりに関心のある方におすすめのプログラムです。

【Day1-A】Physical AIが書き換える人間中心社会 人間ならではの「技能」と「AI」が交差する未来戦略

AIがもはや当たり前になった今、ロボットや自動運転車を通じて物理世界で動作する「Physical AI」が注目されています。センサーで環境を認識し、世界モデルに基づき行動するAIです。身の回りの製品にAIが搭載される近未来、私たちの暮らしはどう変わるのでしょうか。「高度技能ロボットを実現する身体融合学習基盤の創出」プロジェクトを率いる名古屋工業大学・田中由浩教授とともに、Physical AIが人間にとってどんなパートナーになるのかを探ります。

【Day1-B】ビジョンを実現する、共創型のルールデザイン スマートレギュレーションが解放する、創造的な都市戦略

AIが均質化を加速させる今、複製できない場の固有性や偶然の出会いこそが都市の競争優位になり得ます。では、その源泉となる「創造性」を支えるルールや法令はいかに設計できるのでしょうか。規制を制約でなく、設計の素材へと転換する「スマートレギュレーション」の考え方と、行政・企業・市民がルールを「ともにつくる」プロセスの可能性を、Airbnb Japan公共政策本部長 大屋智浩さんと弁護士 水野祐さんと考えます。

【Day1-C】未来のエネルギー技術が変える産業と暮らし 核融合が覆す社会構造、問われる日本企業・地域の選択

AIの台頭によって、労働環境や知識創造環境が劇的に変化した2026年。それと同様のインパクトを秘めた次世代技術が「核融合技術」です。“次世代クリーンエネルギー“や”無限エネルギー“としても注目される核融合技術は、世界にどんな大変革をもたらし、私たちの暮らしや産業構造はどう変わるのでしょうか。そして、日本企業や自治体は、いまから何を構想し備えればよいのでしょうか。日米で120億調達した、日本初の核融合スタートアップ創業者の武田秀太郎氏とともに未来を問い、議論します。

【Day1-D】個人の熱を価値に変えるプラットフォームとは Peatixの実践から探る、関与と共創のインフラ

働き方や所属のあり方が変化するなかで、個人のアイデンティティは「どの組織に属しているか」だけでなく、「何に関わり、どのような活動を続けているか」によって形づくられるようになっています。コミュニティを起点にしたマーケティングや事業開発は、長く注目されてきました。一方で、人が継続的に関わりたくなる場をつくることは簡単ではありません。では、個人の関心や熱量を、どのように継続的な参加や価値創出へとつなげていけるのでしょうか。

Peatix Japan代表取締役の藤田祐司さんを迎え、イベント集客にとどまらないコミュニティサービスとしてのPeatixの展開を伺います。あわせて、ロフトワークが運営する公募プラットフォーム「AWRD」の視点も交えながら、参加と共創を生み出すプラットフォームのこれからを考えます。事業開発やマーケティング、コミュニティ・プラットフォーム運営に関わる方におすすめです。

DAY2(6/24):テーマ「経営・アカデミアと創造性」

大学の知を社会にひらく場づくり、経営におけるデザインの役割、教育のこれから、そしてAI時代の人間らしい創造性。アカデミア、ビジネス、クリエイティブの現場から、「つくること」「営むこと」の可能性を探ります。大学・研究機関との共創、経営とデザイン、企画や創造性に関心のある方におすすめのプログラムです。

【Day2-A】未完の場がアカデミアを社会へひらく 建築・運営・研究から問う、大学発共創拠点のあり方

大学は、教育・研究の資源を持ち、社会の知的な基盤を担う存在です。一方で、その専門性や制度の複雑さゆえに、アカデミアの価値が社会に届きにくいという課題もあります。近年、キャンパスには、産学官連携や地域連携のハブとして、多様な人が交わり新しい価値を生み出す「イノベーション・コモンズ」としての役割が期待されています。しかし、共創を生み出すには、建物をつくるだけではなく、どのような仕掛けをデザインし、運営し続けるかが問われます。

本セッションでは、名古屋大学構内の共創拠点「ComoNe」を設計した建築家・小堀哲夫さんと、東京科学大学の美学者・伊藤亜紗さんを迎えます。伊藤さんには東京科学大学の共創拠点「もしも:まちと未来の実験室」での活動を、小堀さんからは、学生、研究者、地域の人々が行き交う場をつくるための設計思想を伺います。さらに、ComoNeの運営に関わるロフトワークからも、場を育てるソフト面の視点を紹介。大学関係者の方はもちろん、共創拠点づくりに関心のある方にはぜひご参加いただきたいです。

【Day2-B】経営とデザインの10年戦略 思想と仕組みの両輪から、企業の強みをつくりなおす

デザインを、経営や組織づくりにどう生かしていくか。AI時代においても、自社の固有性を磨き、組織を持続的に成長させていくうえで欠かせない問いです。一方で、組織にデザインの力を取り入れる手段は一つではありません。サービスやプロダクトの体験価値を起点にする場合もあれば、企業の思想やビジョンを組織全体に広げていくこともあります。

本セッションでは、異なるアプローチで経営とデザインを接続してきた、弥生株式会社とコクヨ株式会社のキーパーソンを迎えます。弥生からは、代表取締役社長の武藤健一郎さんが登壇。法人向けクラウド会計サービス「弥生会計Next」を起点に、体験価値の拡張に向けた組織的な取り組みを進めています。コクヨからは、経営企画本部でクリエイティブディレクターを務める安永哲郎さんが登壇。120周年のリブランディングや「THE CAMPUS」などを通じて、経営のビジョンを形にするプロジェクトを手がけてきました。経営者とデザイン人材、それぞれの視点が交わることで、これからの経営におけるデザインの役割を考えます。

【Day2-C】マヤのフィールドから教育をつくりなおす 人類学者/学苑理事長が語る、変化を謳歌する学びの未来

激動の社会情勢とAI時代に突入するなかで、子どもたちが「自在に生きる力」を発揮し、変化を謳歌するためには、どのような教育環境が必要なのでしょうか。メキシコ・マヤでのフィールドワークを経た文化人類学者であり、明星学苑の理事長として教育・経営の陣頭指揮を執る落合一泰さんと、ロフトワークで教育・ビジネス領域をまたいで活動する藤原里美を迎え、小中高から大学へと繋がる「自由と責任」を育む学びの未来をいかにデザインするかを問い直します。

【Day2-D】ナンセンスを貫く知性が、世界を作りかえる 「これでいいのだ!」10年先のクリエイティヴ論

AIがセンスまで模倣する時代、クリエイティヴの価値はどこへ向かうのか。その答えは、逆説的にも「バカさ」にあるかもしれません。常識を疑い、ズレた問いを立て、偶然の事故さえ発明に変えていく全肯定の力。それこそが、アルゴリズムが最も苦手とする人間の本領ではないかでしょうか。現“在”美術家・宇川直宏さんと、『問いの編集力』著者で編集工学研究所社長・安藤昭子さんを迎え、今こそ問い直すべき「創造の源泉」に迫ります。

DAY3(6/25):テーマ「地域・都市・産業と未来構想」

市民の感性を都市戦略の軸にする試み、地域のブランド価値を問い直す視点、水を起点にした価値のリデザイン、100年単位で自然と人の関係を編み直す構想。そして、スペキュラティブデザインがひらく、まだ名前のない未来の可能性。地域、都市、産業をめぐるさまざまな「場」の価値を、未来志向から捉え直します。自治体、デベロッパー、企業など、異なる立場の実践者とともに、場と価値の「Re:Creation」を考えるプログラムです。

【Day3-A】10年後の地域らしさを問い直す 「地域」の変わるもの、変えたいもの、残るもの

人口減少、産業構造の変化、デジタル化によって、地域のあり方は常に変化し続けています。本イベントでは、今起きている事象を、歴史や文化、人の営みから地域を捉える視点で俯瞰し、地域に入り込んで活動する実践者のリアルな視点と重ね合わせながら、10年後の地域らしさを問い直します。地域の「らしさ」はどう変わり、何が残り、何を変えていきたいのか。その「らしさ」はどこに宿るのか。参加者と共に考える対話の場です。

【Day3-B】市民の感性が、都市の価値に変わるとき 「なんかいい」を戦略にする、まちづくりの新たな軸

都市・施設開発の現場では、人口・人流・売上といった既存指標とまちの実態が乖離する「KPIの空洞化」が課題となっています。その打開策として注目されるのが、愛着や心地よさといった生活者の「感性」を戦略や構想に組み込むアプローチ。定性的な市民の感性や土地本来の魅力を捉え、その価値を使いこなすことが、長期的な投資リターンや都市の持続的な成長力につながる可能性を秘めています。

ゲストは、グラングリーン大阪や大阪・関西万博のプロジェクトを牽引し、市民の感性をデータとしてまちづくりに導入するスマートシティを推進してきた大林組の船橋俊一さんと、「CIVIC PRIDE®」ポータルサイトの編集長を務め、市民の街に対して感じる愛着や誇りを”シビックプライド”として発信する読売広告社の小関美南さん。市民の声や感情データを活用したボトムアップのまちづくりの実践から、企業や市民が消費者の枠を超えた価値創造の主体となる可能性を議論します。都市開発・施設運営・まちづくりに広く携わる方におすすめです。

*本セッションはご好評につき満員となりました。

【Day3-C】水のめぐりと価値の再構築 未来を創造する、組織のイマジネーション力

企業が持つ技術や人的資産を起点に、経済・社会的な「価値の再構築」へ導くために必要なプロセスとは何か。本セッションでは「水」という自然資本をキーワードに、これからの企業に求められる価値創造と未来構想を考えます。

日本初のゼロウォータービル「Kurita Innovation Hub」は、高度な水処理技術を有する栗田工業が、日建設計の建築・エンジニアリングとコラボレーションすることで「技術の可視化」につながった事例です。セッションでは、両社の担当者とともに水循環が生み出す価値を考えます。さらに、パナソニック ホールディングス 執行役員 グループCCOである臼井 重雄さんをゲストに迎え、未来を構想するためのイマジネーション力が、組織のブランドやデザインをどう形作っていくかを議論します。経営企画や社会的価値創造、ブランド推進に携わる方におすすめです。

【Day3-D】生き続けるための都市環境とは 京都駅前100年の森構想と大阪森之宮のまちづくり

「商業アートはもういい。駅前に100年かけて森をつくる」——京都市立芸術大学の小山田徹学長が、加速する京都駅前の開発に疑問を呈し、こう呼びかけています。高層ビルではなく緑の回廊を。にぎわいではなく長尺の豊かさを。その思想は「引き算の経済学」と呼ぶべきものです。

一方、大阪・森之宮では、UR都市機構が人と自然環境が共生するまちづくりに取り組んでおり、ロフトワークも伴走しています。自然が人々の健康や暮らしにとって本当に必要なものとして根付いていくには何が必要か。その問いを持ちながら、URで森之宮プロジェクトをリードする柏井一成氏とロフトワークの浦野が小山田学長と語ります。

都市における自然環境の話をするとき、それは快適さや景観、生物多様性の評価のためではないかと思われがちです。でも、気候変動が日常に食い込み、都市の脆弱さが露わになる今、都市の自然は「あるといいもの」ではなく、より、人々の生活を守る基盤としての重要性を増しているのではないか。そんな問いを、2つの現場から考えます。

【Day3-E】未来を演じ、身体でリサーチする 身体を通じて、新たな意味を共創するリサーチの可能性

AIによるリサーチの超高速化が進む一方で、データだけでは踏み出せない意思決定の場面が増えています。「ピンとこない」という違和感の正体は、未知の世界に身を置き、手触りを確かめるプロセスの欠如にあるのかもしれません。

本セッションでは、演劇を応用したSFプロトタイピング手法であるLARPや、現場に身を置くエスノグラフィーといった「身体性」をリサーチに取り戻す手法を探ります。多様な領域をデザインリサーチで横断する、京都工芸繊維大学の水野大二郎さんと、文化人類学をバックボーンに、定量調査では見えない価値を企業の実践へとつなげるアイデアファンド代表の大川内直子さんの二人をゲストに迎え、未来を探るリサーチの可能性を議論します。SF思考やスペキュラティブデザインなどの手法に関心の高い方や、新規事業・イノベーション、マーケティング、ユーザーリサーチなどに携わる方におすすめです。

13のセッションと「Re:Creation」

AIの力により、誰もが最適化された戦略を持てるようになりました。それは悪いことではないけれど、どこかに焦りや虚しさを感じている人は、少なくないのではないか。どうすれば今までの常識を超えて、ワクワクする明日を作れるのか。このカンファレンスを企画するとき、そんな感覚が出発点にありました。

しかし、この疑問に対する答えはひとつではないはずです。そして私たちロフトワークは組織の外へ「ひらく」ことを大事にしている。だからこそ、「最適解の先」を実際に歩いている方々をゲストとしてお招きしました。

Physical AIの研究者、組織デザインに挑む経営層、100年の森を構想する大学学長、ナンセンスを知性と捉え直すアーティスト——それぞれ違う領域で、「誰も最適化していない問い」と向き合っています。そしてそれは、登壇者だけではありません。参加される方々もまた、さまざまな課題に向き合い、挑戦を続けているはずです。異なる文脈を持つ人たちが交差するとき、自分たちがすでに持っているものの意味が、書きかわる瞬間が生まれる。私たちはそれを信じて、この3日間を設計しています。

「Re:Creation」という言葉には、ふたつの読み方が込められています。「もう一度、創造する(リクリエーション)」と「余白のなかで遊ぶ(レクリエーション)」。ワクワクを失わずに、偶発性の力を生かして、真剣に探索すること。それが私たちの目指す場の姿です。ぜひ、あなたの思いも聞かせてくれると嬉しいです。会場でお待ちしています!

後閑 裕太朗

Author後閑 裕太朗(バイスマーケティングマネージャー)

2021年入社。学生時代のWebメディアでの企画営業インターンをきっかけに、活動の起点としての情報発信に関心を持つ。入社後はマーケティング部門にて、コーポレートサイト「Loftwork.com」の企画編集、メールマガジン運営を担当し、多様なプロジェクトの意義を社会へと発信。現在はコンテンツ戦略の策定やKPI設計、分析体制の構築に携わり、戦略と編集をつなぐマーケティングを推進している。

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「操作」を超える「願い」の設計
──「行動変容デザイン」の探求(第3回)