金融庁 PROJECT

若者の資産形成を促すためのビデオクリップ制作

Outline

資産形成のアクションを促すための
実践的なコミュニケーションツールづくり

金融庁は個人の資産形成実現のため「貯蓄から資産形成へ」をスローガンに、つみたてNISAをはじめとした非課税制度を充実させるなどの様々な政策を実行しています。しかし、預貯金が過半を占める構造に変化が見られず、英国・米国に比べていまだ「増やす」ことを目的とした投資行動には結びついていないのが現状です。

このような背景のもと、ロフトワークは金融庁より「国民の資産形成促進のためのビデオクリップ教材制作」を受託しました。ライフプランにおける資産形成の重要性を伝えるというミッションに対して私たちは、これまでの金融庁によるメッセージ発信の仕方だけではない方法を模索。そこで、若者が資産形成を始める・続ける要因および阻害要因を明らかにするリサーチを丁寧に行い、そこで得られた発見を企画のインプットとするアプローチをとりました。

また本プロジェクトでは、ビデオクリップが効果的に利用されることを企図し、主にセミナー講師に向けたガイド(プレイブック)の制作を提案。これらをセットで用いることで、より実践的な投資教材となりました。これらのアウトプットは、すでに金融庁のWebサイトで公開されています。

プロジェクト概要

  • 実施内容
    東京・英国で「若者の資産形成の実態」を把握するためのデザインリサーチ
    「若者の資産形成」の課題喚起と制度を紹介するビデオクリップの制作
    プロモーションイベントの企画運営
    プロモーション映像の制作
  • 体制
    クライアント:金融庁
    プロデューサー:脇水 美千子
    プロジェクトマネージャー:菊地 充
    デザインリサーチ ディレクター:神野 真実/加藤 修平
    ビデオクリップ・プレイブック ディレクター:原 亮介/松永 篤
    PRイベント ディレクター:実本 慶子
  • プロジェクトパートナー
    リサーチ ローカルガイド:多田 涼
    リサーチ ローカルアドバイザー:ヴァーゴ・オリバー
    プレイブック コピーライティング:株式会社Rockaku 森田 哲生/中尾 奈津子
    プレイブック デザイン:IDEASKETCH, INC.
    デザインリサーチレポート・プレイブック イラストレーター:黒地 秀行
    ビデオクリップ制作:P.I.C.S.
    PRパートナー:ONE MEDIA Inc./ VML/株式会社パブリックグッド

Outputs

デザインリサーチレポート

私たちは、ビデオクリップのターゲット層に、より効果的な訴求を行うため制作に先だち投資に限らず、そもそも「お金」というものに若者がどのように向き合っているのか、という観点からリサーチを行いました。レポート内では、リサーチから得た若者とお金にまつわる発見や、若者の人物像を紹介すると共に、若者に資産形成の重要性に気づいてもらうためのアイデアを掲載しています。 

資産形成促進ビデオクリップ教材制作のためのリサーチ
若者のお金との向き合い方(日本語・13.4MB)

PDFダウンロード

リサーチの手法

今回のリサーチにおいてはデザインリサーチの手法を採用しています。デザインリサーチとは、マーケティングリサーチとは異なり、これまでのマーケットの延長線上にはないようなプロダクトやサービスを生み出す気付きを得るものです。

ユーザーに対する共感を得るため、定量的に得られるデータだけをもとに仮説を導き出すのではなく、対象となる人々の生活や環境に没入し、インタビュー、参与観察*やプロトタイピング**といった手法を用いてよりリアリティある言葉を引き出します。

こうしたリサーチは、複雑化する社会の中で多様化するユーザーのニーズを探り、大きな変化を起こす際に有効な方法とされています。

*リサーチャーが対象となる社会や集団に参加し、行動様式を観察・記述する手法
**必要最低限の機能でアイデアを試作し、対象者から新たな学びを得る方法

具体的なリサーチのプロセスについて

東京・ロンドンでのデザインリサーチを担当したクリエイティブディレクター神野が、リサーチを行った背景と、そこでの発見をFindingにまとめています。

映像・プレイブック

資産形成促進のためのビデオクリップ教材

デザインリサーチでの発見を元に、動機篇・知識篇・制度篇の3本のビデオクリップを企画・制作しました。

これらのビデオクリップは、職場つみたてNISAの投資教育セミナーや企業型DC・iDeCoの投資教育(導入・継続)セミナーなどの職場での活用、ファイナンシャル・プランナーによる職場内外でのセミナーや個別相談業務での活用など、様々な場で広く活用されるよう、制作したものです。

デザインリサーチでは、言語・思い込み・情報過多、面倒の3つのコミュニケーションの壁を発見。これらの壁を越えるためには、資産形成の目的を明確にする視点を提示することが特に重要と考えました。知識・制度篇ではアニメーションを使用しシンプルでわかりやすく、動機篇では同年代へのインタビューを通して共感や気づきを形成するビデオクリップとなっています。

動機篇・知識篇・制度篇
制作した3つのビデオクリップはこちらからご覧いただけます

詳細

PR映像

ONE MEDIAとのコラボレーションでつみたてNISA PR施策の一環として映像を制作しました。PR施策を通じて、不安喚起型の訴求方法だけでなく、「お金にも働いてもらうって聞いたことある?」と「貯金しか知らなくて大丈夫?」という2パターンの訴求方法で制作。ソーシャルメディアで配信してその結果を確認することで効果検証を行いながら情報発信をしていきました。

プレイブック

主に講師の方に向けに、セミナーにおける受講者のマイン」と、セミナーで伝えるべき内容とのギャップを埋め、受講者の「興味関心」→「理解」→「実践」の視点をスイッチさせ、セミナー自体をより活性化するためのヒントを詰め込んだPLAYBOOKも合わせて制作しました。

未来のあなたのために ~人生とお金と資産形成~ プレイブック(日本語・8.5MB)

PDFダウンロード

イベント

ビデオクリップ・レポート・プレイブックの公開に先立ち、2018年3月25日に渋谷100BANCHにてイベント「Think Life Journey – 個人のやりたいことをベースに人生を描く時代と資産形成」を開催しました。当日の模様とあわせて、今回のビデオクリップ配信について日本経済新聞で紹介されています。

渋谷100BANCHを舞台に若者の資産形成について考えるイベントを開催

パラレルキャリアの実践者、経済学者、起業家という多彩なゲストとのオープンなディスカッションを実施

東京・ロンドンでのリサーチをもとに制作したビデオクリップも会場でお披露目した

Member

脇水 美千子

脇水 美千子

株式会社ロフトワーク
プロデューサー

菊地 充

株式会社ロフトワーク

Profile

神野 真実

神野 真実

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

加藤 修平

株式会社ロフトワーク
クリエイティブディレクター

Profile

実本 慶子

株式会社ロフトワーク
経営企画, CIO

Profile

原 亮介

株式会社ロフトワーク
MVMNTユニットリーダー

Profile

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