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国広 信哉, 堤 大樹, 加藤 修平, 伊藤 望 2024.03.22

複雑な世界で未来をかたちづくるために。
いま、デザインリサーチに求められる「切実さ」を問い直す

私たちは、なぜ探索するのか?

2024年時点の社会を見渡してみたとき、私たちが生き抜く上で見逃すことができない複雑で厄介な問題が数多く存在しています。ビジネスの世界は絶え間ない社会変化から影響を受けながら、経営レベルでも事業レベルでも、確からしい未来を描くことが困難な状況といえます。

デザインする対象がサービスや事業であるにしろ、人々の暮らしかたや社会システムであるにしろ、それらをよりよい状態にしようとアクションする際に、私たちロフトワークは必ず定性的なリサーチを行います。デザインプロジェクトにおいて、リサーチは未来に向かうべき方向を定めるコンパスを形成する、最も重要なプロセスのひとつです。

ロフトワークのプロジェクトにおける「デザインリサーチ」とは何か? 本記事は、3人のディレクターへのインタビューを通して、その現在地を探る試みです。

ロフトワークとデザインリサーチとの出会い

私たちが、定性的なリサーチ手法に深く入り込むことになったきっかけは、2014年に出版された書籍『サイレント・ニーズ』と、その著者 ヤン・チップチェイスとの出会いです。

本書で紹介されていた「デザインリサーチ」の基本的なやり方は、文化人類学のエスノグラフィーを下敷きに、特定のエリアや領域に潜り込みながら、より具体的で、より細かな人々の行動や生活習慣を観察することを通して、まだ広く知られていない人々の行動・習慣・価値意識などを捉えること。

このような、従来の定量調査とは異なる定性的なアプローチを通して、社会の中に隠れた新しい兆し––––潜在的なニーズやボトムアップ型の社会的・文化的システムなど––––を発見し、その中にビジネス機会を見出すための手法として紹介されていました。

経済産業省 高齢社会の機会領域を探るデザインリサーチ フォトライブラリより

『サイレント・ニーズ』の出版を契機に、デザインリサーチは広く日本国内のビジネス層に広がり、特にプロダクトやサービス、新事業を開発する人々から注目を集めました。ロフトワークは日本語訳版が出版された当時、いち早くヤン・チップチェイスを招いた出版イベントを行い、その内容を紹介しました。

2015年から16年にかけて、経済産業省の採択を受けてロフトワークが実施した「高齢社会の機会領域を探るデザインリサーチ」では、ヤン・チップチェイスとともにプロジェクトチームを組成。このリサーチプロジェクトが、私たちがデザインリサーチを本格的に実践するための道を開きました。以降、私たちはさまざまなプロジェクトを通してこの手法を発展させつつ、さまざまなかたちで応用してきたのです。

いま、デザインリサーチが照らすものとは?

2024年現在、未来に向けた何か(ビジョン、事業、サービス)を設計するときのアイデアや方向性を探るための手段として、デザインリサーチは社会で一定の浸透を果たしたと言えそうです。同時に、この10年間の変化として、デザインが果たすべき役割がビジネスや社会においてより上流へと向かう中で、デザインリサーチによって探索される事象とその意義もまた、必然的に変化してきたはずです。

デザインを取り巻く状況変化を受けて、私たちは改めて「デザインリサーチ」の役割や意義を捉えなおすべきタイミングを迎えているのではないか、と考えました。

今回、ロフトワークでこれまでデザインリサーチをリードしてきた3名のディレクターに、「いま、デザインリサーチができることは何か」という問いを投げかけてみました。

右から、
国広 信哉/ロフトワーク京都ブランチ シニアディレクター
堤 大樹/クリエイティブディレクター
加藤 修平/クリエイティブディレクター
(写真:澤 翔太郎/ロフトワーク)

彼らは、企業による機会領域探索や新規事業開発支援から、官公庁や自治体による調査など、幅広いプロジェクトのなかでデザインリサーチを行ってきたメンバー。聞き手と執筆を担当したのは、デンマークデザインセンターでストラテジックデザイナーとして活動している原田圭さんです。

原田さんと3人のインタビューから垣間見えたのは、デザインリサーチがビジネスにおいて競争を勝ち抜く手段にとどまるのではなく、不確実で予測が困難な社会において、より望ましい未来を再構築するための道筋を照らすものになり得るのではないかという、新しい可能性でした。企業の経営から地域の産業振興、社会システムの更新まで。より大きな変革の方策を模索してきたデザインリサーチの変容を、「現場の視点」から紐解きます。

聞き手・執筆・編集:原田 圭
企画・編集:岩崎 諒子、後閑 裕太朗/Loftwork.com 編集部
編集協力:伊藤 望/株式会社ロフトワーク VUユニット
カバー写真:惑星空地映画

リサーチャーたちが感じる違和感

「『デザイン・リサーチ』ですか? うーん、難しいな……いまは、ロフトワークでやるプロジェクトで、リサーチした結果をまとめて納品して、プロジェクトとして終わり、っていうケースはあまりないんです。最近取り組んでいるものの多くは、仮にプロジェクトとして期間を区切ったとしても、その後も取り組みが続いていくようなものが多いんです」

クリエイティブディレクター 加藤修平は、こう語る。加藤はこれまで、官公庁から中小企業まで、デザインアプローチを活用し、さまざまなパートナーとともにプロジェクトを行ってきた。膨大な情報に溢れ、多少もがいただけでは明快な答えが出てこない昨今の社会で、定量調査だけでは拾うことができない情報を拾い上げ、ビジネスに活かすことのニーズはたしかに広がっている。しかし、どうやら近年、プロジェクトのあり方に変化が生じており、これが「デザインリサーチ」という行為の位置付けにも影響しているようだ。

続いて話を聞いた、もうひとりのクリエイティブディレクター 堤大樹が語るのは「デザインリサーチ」をやりたいという企業がこの手法に対して抱いている認識と、実際にリサーチャーとしてフィールドに立っている自分自身の認識とのギャップだった。

「個人的には、デザインリサーチを実施して、そのレポートをまとめてそれを納品するだけで終わるプロジェクトにどこまで意義があるのか、ちょっと疑問なんです。僕は、リサーチにおいて大切なのは客観的なデータや解釈の外側にある直感やひらめきをつかむことなんじゃないかと思っていて。

つまり、それが新規事業開発のためのリサーチであれ、組織を改革するためのものであれ、リサーチを実施するプロジェクトの主体であるクライアント自身が発見したものに対して何を感じ、どんな学びを得たのかという生の感覚や暗黙知にこそ、価値があると思うようになってきていて。外部のリサーチャーにリサーチの実施を任せたとしても、そもそもクライアント自身がリサーチという行為に対して生身で向き合っていなければ、リサーチによって得られるものはフラットな情報に過ぎない。それは、すごく勿体ないことなんじゃないかな」

ビジネスに欠けている「切実さ」を探る

デザインリサーチの主体者がリサーチという行為に対する「向き合い」が弱くなってしまう要因はどこにあるのか。さらに堤に聞いてみた。

「プロジェクトメンバー自身がまだ『切実さ』を感じられていない、ということかも知れませんね。彼らが新しい事業や取り組みを始めるとき、僕たちが問うのは『あなたがやらなければいけないことは、何ですか?』ということだと思うんです。社会において、絶対に誰かがやらないといけないんだけど、まだ誰もやってないこと。もしくは他の人にはリソースがなくて、実現困難だったり、実践する覚悟がないこと。リサーチを通してそういうものを見つけて、社会に実装していこうとする姿勢や覚悟を強めたり、確信を深めていく過程が必要なんじゃないか、と」

忠泰建築文化芸術基金会(U-mkt) 萬華エリアのフィールドリサーチ(写真:惑星空地映画)

「客観的に『必ず儲かる』ビジネス機会を求めている場合、デザインリサーチという手法は、やり方によってはむしろ遠回りになってしまう可能性があります。デザインリサーチの醍醐味は、仮にその領域に明確なマーケットが存在していなかったとして、そこに新たなビジネスやエコシステムを生み出す必要性を見出せるかどうか、ということだと思うんです。クライアントが社会の中で実現したい願いやミッションを持っているならば、市場が存在しない領域においても課題を発見できるし、自分たちがつくるべきサービスや事業のイメージが見えてくるんじゃないかと思っています」

AIの答えではない、本当に欲しい未来を

ロフトワーク京都ブランチ シニアディレクターの国広信哉もまた、リサーチの中での「発見」の先にある活動の重要性を指摘する。

「いまは、これまで欧米が主導してきた資本主義の世界から、次の社会や経済のあり方に徐々に移行しようとしている段階なのだと思います。次のモデルと考えられるものが色々ある中で、問われているのは『あなたはどういう社会を望むんですか?』ということではないかと。そして、その答えは、レポートを読むだけじゃ出てこないはずなんです。

というのも、いまほど企業の側に『当事者性』が問われている時代ってないんですよ。だって、『社会のために』とか『地球のために』と言うだけじゃ誰も納得しないし、下手したらChatGPTで生成できるようなものにしか見えない。それっぽいことを言ったとしても、生活者に『本当に?』と疑われてしまうじゃないですか。実際にプロジェクトの現場でも、『新しい事業やサービスを作りたい』と話している人に対して、ときどき『本当にそう思ってます?』と問い直したくなることはありますね」

パナソニック株式会社 オートモーティブ社 音の体験を拡張するためのアイディエーションワーク

良いリサーチには「つくる」行為が伴う

しかし、堤や国広が語る「切実さ」や「使命」のようなものを、「デザインリサーチ」を通じて掴み取ることは果たして可能なのだろうか。可能なのだとしたら、どのようなリサーチのあり方が考えられるのだろうか。「切実な個人一人ひとりのイシューを見つけるようなものは、単純なリサーチでは出てこない」と前置きした上で、堤は、あるプロジェクトのことを話してくれた。

「個人的に手応えがすごくあったのは、クラシエホームプロフェッショナルさんとのプロジェクトです。このプロジェクトで重要だったのは、リサーチのなかに『つくる』行為があったことで。同社は、理美容サロン、宿泊・温浴施設といった場所に向けて、業務用化粧品をつくってるんです。顧客の方々とのコミュニケーションの方針や戦略のようなものを作る中で、やはり今後も、事業を通して街の賑わいをつくるためのサポートをしていきたいとおっしゃっていて。ただ、そこで重要な問いになったのが、『賑わい』というものがどういうことを指すのかということでした。そこで、自社として本当に望んでいる『いい賑わいとは何か?』を一緒に探しましょうと、リサーチの段階で提案したんです。

ひとつのキモになったのは、リサーチのアウトプットを、紙の冊子にしたことです。理由は、記事コンテンツを作るとなると、実際に足を運んで話を聞きにいかなくちゃいけないから。これは『つくる』行為のプロセスに必ずリサーチが紐づいてくるということで、クライアントと一緒に実際に街を訪れて話を聞きにいく、ということをしてみました。インサイトとか、マーケットデータのみを鵜呑みにするのではなくて、実際に街の賑わいをつくり出している人たちと話して、いま、巷でどのような賑わいが生まれているのかそのいくつものあり方を感じてもらい、プロジェクトメンバーで社会とどう結びついていくのかのリアリティを得ていくのが、いちばん得るものが大きいリサーチなんだと思います。

クラシエプロフェッショナル にぎわい探究マガジン『アルケバボウ』

本当に必要なことを得るために、あえてやるべきこと

「リサーチは『生っぽい』体験であるべき」と語る国広も、「発見」のプロセスに工夫を凝らしている。鍵になるのは「相互主観性」という概念だ。

「どうしても、インターネットにある『もっともらしい』情報とか、自分のいる会社で当たり前とされている情報を、なんとなく自分の意見としてしまってる場合ってあると思うんですけど、いかにそうじゃない情報に触れるかが重要だと思っていて。

リサーチのフェーズでは、クライアントも含めて、できるだけプロジェクトに関わるひと全員に入ってもらうようにしています。その過程では、全員が同じ情報を共有しつつ、それぞれが違う意見を持ってそれをぶつけ合わせていくんです。僕は、『相互主観性』という概念が好きで、リサーチの中でも、それぞれが異なる主観を持っている中で、そのぶつけ合いの中で、どうやって別の主観を作っていくのか。どうやってそういう状況をいかに作り出すかということを心がけています

リサーチの過程で立ち現れる新たな主観性は、「発見」の次の段階においても不可欠な要素となる。国広はこう続けた。

「ただ、受発注の関係性だと、そのような主観性をつくっていくことは難しい。『株式会社○○の××さん』としての意見ばかり出てくるようになって、本人の意見が出てこなくなってしまうことが多いので。当事者として、自分の中からこぼれてきた感覚や情動を振り返って初めて、『ああ、自分ってこういう考え方を持っていたんだ』ということがわかるんです

パナソニック株式会社 オートモーティブ社 音の体験を拡張するためのアイディエーションワーク

個人を縛っているさまざまな枠組みや固定観念を取り払い、当事者として、実行に向けた『切実なもの』を掴み取っていくためのプロセスは、実際には言葉で書き表す以上の難しさ・苦しさがある。それは、単なる「調べもの」の範疇をこえた、個人の「信念」の捉え直しでもあるからだ。

南アフリカで「参加型アクションリサーチ」に携わった加藤は、ロフトワークで、リサーチにおける「当事者性」と強く深く向き合ってきたディレクターのひとりでもある。

「僕は元々『開発』の分野に興味があって、南アフリカに行った経緯があったんですけど、いわゆる『開発』の現場に行ってみると、本当に多くの問題があることに気付かされました。例えば、開発プロジェクト自体が、まったく現地のニーズを無視したまま行われていることとか、「マッチポンプ」と呼ばれるような、外部の人が作り出した問題を外部の人が解決する構図があったり。これは、南アフリカだと、植民地時代の人びとや現代のグローバル企業が作り出した問題を、外部からやってきたグローバルのNGOが解決に取り組んでいるような状況のことを指しています。このようなサイクルが続くと、問題解決に関わる雇用の大半が外部に流れてしまうし、必要な知見もローカルの地域に溜まっていきません。かつての宗主国がもたらした不平等が解決されていかないんです。

ただ、こうした問題が山積していても、僕が元々勉強しようとしていた一般的な社会学の研究領域では、自分が場に介入してしまうとバイアスがかかってしまうので、あまり良くないことだとされるんですよ。そして、その時に出会ったのが『参加型アクションリサーチ(Participactry action reserch)』という考え方でした。これは中南米の住民運動で取り入れられて発展していった分野なんですけれど、実際にもっと現場と積極的に関わりを持ちながら、リサーチをするという考え方で。知識を生み出すことで人々が力をもつエンパワーメントに重きが置かれているんです。この手法に出会った時に、ああ、リサーチが直接的な介入としての行動や、政治的な力を持つことにつながっていいんだなと感じられて、すごくしっくりきたんです」

プロジェクトの境界線をひらいていく

領域や分野、人と人の間の境界線をこえていく「参加型アクションリサーチ」の考え方は、加藤がロフトワークで手がけるプロジェクトやリサーチにも強く引き継がれている。

「個人的に、プロジェクトの新しいあり方が見えたなと手応えを感じたのは、国土交通省と実施した『Deasy(デイジー)』というプロジェクトでした。このプロジェクトでは、高齢化社会が進み、より多くの人が排泄コントロールに支援を必要とするなかで、オムツをトイレに流せるようにするとか、誰もが排泄に関してストレスを感じずに済むような社会のあり方を下水道システムの刷新などを通じて実現するということを考えました」

排泄の未来をデザインするプロジェクト「Deasy」

「『Deasy』では、目の前にある『紙オムツ』とか『下水道』といった課題に、多くの問題や障害が絡み合っていて、多様なステークホルダーが関係し合っているので、単純に『こうすれば、こうなる』といった解決策を考えること自体が不可能でした。なので、問題系をしっかり捉えようとすると、プロジェクト自体が、クライアントや伝えられた課題の外へとどんどん大きく広がっていき、そのプロセスで、ステークホルダーとなる企業やいろんな人たちを巻き込んでいくようなかたちになっていきました。

仕事自体をクライアントワークと割り切ってしまえばそれまでなんですけど、このプロジェクトのように、クライアントワークという境界線を溶かして、外側に広げていくと、その過程でプロジェクトに共感する人たちが自然と集まっていきました。一緒にリサーチや勉強会をしながら、システムに関わる当事者として、どんなことができるのかということを考えることができたのです。

リサーチに関しても、プロジェクト自体が目の前の商品やサービスだけでなく、よりシステミックに広がっていくなかで、考える時間軸が、いわゆる商品やサービスの消費サイクルとして考えられている期間よりも、長くなっていきます。魔法のような解決策によって、短期間で立ち所に問題がなくなる、というようなことは起こりませんから

リサーチとは「歪み」を見つけること

加藤が語るように、現代の社会課題の多くは、問題の原因が複雑に重なり合い、多様な要素がお互いに影響し合うようなあり方で存在しており、明確で単純な解決策が存在しない。こうした「ウィキッド・プロブレム」(Wicked Problem)とも呼ばれる、複雑な課題に直面する現代において求められるプロジェクト、リサーチのあり方とは一体何だろうか。国広の言葉に、ヒントがありそうだ。

「『課題解決』って言葉がよく使われますけど、僕としては、『課題』なのかどうかって実際よくわからないと思うんですよ。誰かはそれを課題だと思っているかもしれないけど、別の誰かにとってはそうじゃないかもしれない。もしくは、課題だとされているものの背後には、もっと色々な要素が絡み合っていて、半年とか1年のプロジェクトっていう単位で区切ること自体が不可能なものかもしれない。

だから、個人的には『課題』よりも、『歪み』を見つけていきたいっていう思いがあるんです。僕にとって『歪み』というのは、本来こう使われるはずなのにそう使われていない、とか、本来こういう生活のあり方であるべきなのにできていない、みたいなズレた事象のことを指しています。ただ、その『歪み』を見つけることって、自分が囚われている枠組みのようなものを外さないと気付きにくいと思うんです。

経済産業省 高齢社会の機会領域を探るデザインリサーチ フォトライブラリより

“能動的”な「課題発見」に対し、国広が語るプロセスはより内省的なあり方だと言えるだろう。しかし、周囲や世の中のニーズとしては、より明解で、わかりやすくキャッチーな答えも同時に強く求められる。「わかりやすさ」と「わかりにくさ」の狭間で、リサーチに携わる人にはどのような心構えが必要なのだろうか。答えのない問いであることは理解しつつ、国広に聞いてみた。すると、彼から出てきたのは意外な言葉だった。

「僕は、リサーチするときには『朝ごはん』がすごい重要だって思ってるんですよ。夜に『飲み会』するのもいいんですけど、どうしてもハレの日っぽいというか、ちょっと張り切る感じになるじゃないですか。反対に、朝はむしろすごくオフな時間で。その時は、まだ鎧をかぶってない、個人の時間としてあるんですよね。

だから、リサーチをやるなら、『朝ごはん』をみんなで食べながら話す時間をつくることが意外と大事なのかなと。できるだけ、そして、自分自身を裸の状態に近づけながら、ひとりの生活者として世界を経験し直すことが大事なんだと思います」

プロフィール

国広 信哉

Author国広 信哉(シニアディレクター / なはれ)

美術展やVIのグラフィックデザインを7年間手掛けたのち、2011年ロフトワーク入社。ロフトワーク京都ブランチの立ち上げに従事。企業や省庁の新サービスの顧客開発や、新技術の用途開発などの機会領域を社会に問いながら探っていくプロジェクトが得意。主な担当に、高齢社会の機会領域を探る基礎調査「Transformation」、オンライン融資サービス「ALTOA」顧客開発、成安造形大学特別授業「デザインdeath」など。米国PMI®認定PMP®。趣味は山のぼり、辺境音楽収集、野外録音。大阪大学人間科学研究科博士前期課程に在籍しながら、デザインと人類学の周縁を研究中。

Profile
堤 大樹

Author堤 大樹(クリエイティブディレクター)

2016年にロフトワークに入社。クリエイティブディレクターとして、企業のブランディングや事業創出、地域の産業振興、デザインリサーチなどのPM・CDの業務と並行しながら、自主活動として「ANTENNA」「PORTLA」という2つのメディアの編集長を務める。2020年に企画・制作・編集プロダクションEat, Play, Sleep inc.を設立。2021年にマガジン『OUT OF SIGHT!!!』を創刊。2023年2月、ロフトワークを卒業し経営者としてのキャリアを本格的にスタート。

加藤 修平

Author加藤 修平(クリエイティブディレクター)

ケープタウン大学サステナビリティ学修士。アフリカ地域での鉱物資源開発に伴う、周辺コミュニティへの影響調査をエスノグラフィ調査手法によって実施。また、同大学内Hasso Plattner Institute of Design Thinking (通称d-school)において、デザイン思考コーチとして学生、社会人の指導を行う。ロフトワークでは、『中小企業のデザイン経営』のリサーチ・執筆・編集を行なったほか、「Dcraft デザイン経営リーダーズゼミ」のスキームを立ち上げ、全国各地の中小企業を対象に経営にデザインを取り入れるための講座とハンズオンを行なってきた。

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