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宮崎 真衣 2023.01.10

テーマは「胎動」。
常識にとらわれないプロジェクトと新ユニットが披露された
一夜限りの「ここでしかできない体験」

年の瀬も押しせまる12月。ロフトワークでは、お世話になっているクリエイターやクライアントやパートナーの皆さんをお招きして、日頃の感謝を伝える「Year End Party(通称YEP)」を開催しています。

2022年のコンセプトは 「胎動 – fetal movement」。
昨年、創立22周年を迎えたロフトワークでは、私たちが信じてきたことや目指すものの言語化会社ロゴを複数のクリエイターとつくる実験プロジェクトを行いました。同時に開催した創業記念イベントでは「新生 – New Born-」をテーマに掲げ、さらに4月から「エグゼクティブ制度」 をスタートするなど次世代のロフトワークに向かう動きがたくさんありました。

今回、実に3年ぶりに開催したYEP。ロフトワークの渋谷オフィスをメイン会場に、さまざまなチームが、常識にとらわれず未来の可能性をひらくような「Unlock Potential」なプロジェクトを披露。ここでしか体験できない展示・アクティビティ・トークイベントを織り混ぜながら、私たちがどんな未来を描こうとしているのか、来場者と共に“夢”を語る一夜となりました。次の時代における変化の予兆(胎動)を、本レポートに綴ってお届けします。

執筆:宮崎 真衣(ロフトワーク)
撮影:川原田 昌徳・土田 直矢・鈴木真理子(ロフトワーク)

3年ぶりに開催した Year End Party 2022

ロフトワークの渋谷オフィスは、ビルの一階にFabCafe Tokyoがあり、他にも5つのフロアがあります。今回は、1FのFabCafeをメイン会場に3つのフロアをYEP仕様にガラリと変身!

2Fでは新ユニット「MVMNT(ムーブメント)」がお披露目され、3FではMTRL(マテリアル)とLAYOUT(レイアウト)チームによる最前線に刮目し、10Fでは新ユニット「ゆえん」がプロデュースする語らいの場が出現するなど、まさに“現在進行形のロフトワーク”を体験できるショーケースとなりました。

ここからは、各フロアのハイライトをレポート!

食べて・飲んで・体感してサーキュラーの扉を開こう

日頃から、ロフトワークの玄関的な存在でもあるFabCafe Tokyo。この日は、2022年11月に山梨県富士吉田市にオープンしたFabCafe Fujiのスペシャルフードやドリンクが並びました。
パンの耳や堅いパンの外側をアップサイクルしたクラフトビールや、FabCafe Fujiオリジナルのクラフトコークハイやコンブチャで乾杯!

FabCafe Fujiで人気のラザニアや自家製ホットドッグなど
“In the Loop”のコラボレーターによるケータリング

さらに、循環型デザインや持続可能性を追求したポップアップコミュニティIn the Loopのコラボフードも並びます。今回は、料理家・寺井幸也さんがプロデュースするデリ&ケータリングのYukiyameshi、Ekolokalさんが運営するヴィーガンフレンドリーカフェのSlowECOLABさんが提供。一口サイズの大豆ミートを使ったビーガンメニューや、チョコチップクッキーやマフィンといった体に優しいスイーツがパーティを彩ります。

FabCafeの入り口付近では、フォトグラファーのMichael Holmesさんによるフォトブースが大人気!

YEP仕様の特別フレームでパシャリ

カフェの一角では、クリエイティブのコンペティションを気軽に開催できる「AWRD」チームが、一夜限りの「AWRD EXHIBITION」を開催。これまで実施してきた「crQlr Awards (サーキュラー・アワード)」や、素材の新たな価値を探る「Material Driven Innovation Award」、国産材にクリエイティブをかけあわせた「WOOD CHANGE AWARD」の3アワードからピックアップした受賞プロジェクトを紹介しました。

植物の力で発電するbotanical lightや、国産材の広葉樹の色や質感を活かした触れると音を奏でる木の手すりなど、初めて体験するアイデアの数々に多くの来場者が足を止めました。

一夜限りのスペシャル展示を手がけたAWRDチームメンバー
サーキュラーな活動を書くとエシカルグッズをプレゼント

これまでの常識をくつがえす!オープンラボフロア

ロフトワークには複数のチームがあり、それぞれの領域で日々プロジェクトを進めています。特にこの数年、より実験的で新たな価値創造に挑んでいる、MTRL(マテリアル)とLAYOUT(レイアウト)のチームが、3Fをハックしました。

2015年の立ち上げ以来、デザインのアプローチによる材料や技術開発、先端研究を基軸にした事業開発支援に特化してきた「MTRL(マテリアル)」。今回は、サーキュラーエコノミーの実践に向けたプロトタイプの展示や、ロボット開発における新たな価値を探求するプロジェクトなど、素材や技術に新たな意味を吹き込むプロトタイプがたくさん並びました。

これまで手がけた、移動式ロボット「UMOZ」や、3Dプリンターですり身が詰めプロジェクト、家電と広葉樹を組み合わせた木と家電プロジェクト」などが展示され、来場者の関心を誘います。

「これってどんな仕組みなの?」「制作にはどれくらいかかった?」など、会場のあちこちで対話が生まれた
デジタル身体性を感じるデバイスの体験コーナー。「ハイ、チーズ」ならぬ「ハイ、ポーズ」

他方、2017年の立ち上げ以来、空間やコミュニティの再編集・価値創造をするユニット「LAYOUT(レイアウト)」。“LAYOUT”、という名前には、「何をどこにどのように配置するのか」という再編集の意味が込められています。そして、一人ひとりのアイデアを空間やコミュニティに編入することで、よりよい暮らしを “LAYOUT” することを目指しています。

今回は、未来の働く場をプロトタイプする実験や考察を提示しました。
LAYOUTのユニークな点は、アウトプットして完了ではなく、実際にそれがユーザーの手に触れ、改善を繰り返される運営のフェーズにも携わっていることです。クライアントの企画構想の段階から直接関わることでプロジェクトデザインから始め、これまで、100BANCHSHIBUYA QWSAkeruEといった複合施設を手がけてきました。

新しいワークプレイスの実験と考察をする「Donuts basecamp」。実験のプロセスを一枚の紙に綴った
共創施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」で生まれた「問い」

最上階に開店!地域×クリエイティブをつまみにするスナックバー

ロフトワークが10年以上前から手がけてきたテーマ「地域×クリエイティブ」。
これまで、地域産業に関わる方々のマッチングの場を提供する「JAPAN BRAND FESTIVAL」、長野県諏訪市の「SUWAデザインプロジェクト」、47都道府県のものやサービスを実際に体験(レンタル)・購入できる展覧会「47 RENTAL STORE」など、たくさんのプロジェクトを手がけてきました。

そして、地域の事業者を支える日本発・世界拠点の「インフラ」を目指すために、満を持して誕生したのが新ユニット「ゆえん」です。「由縁を紐解き、所以を紡ぎ出す」を掲げるゆえんですが、今回は、さまざまな企業や自治体とのデザイン経営プロジェクトを通じて生まれた由縁ある食品を皆さんを堪能すべく、地域の未来を語り合う「スナックゆえん」が10Fにオープン!

エレベーターで10Fに上がると、ピンクの照明がスナック感を醸し出している

赤提灯や裸電球の灯りの下で、各地のうま〜い逸品とお酒のマリアージュに酔いしれます。岐阜県各務原市の蔵元林本と開発した「“飲める”会社案内」は、テイクアウトでも人気でした。

階下を堪能した人々が最後に行き着くのがスナックゆえん。
しっぽりと語らう場に欠かせない焼き鳥や、体が温まる味噌汁が体に染みる……。

システムキッチンのダイニングテーブルがスナックバーに変身
ちなみに、ゆえんは誕生したばかりで絶賛メンバー募集中!

はじめまして!MVMNT(ムーブメント)です

YEPの中締めを21時頃にした後に賑わいを見せたのが、2Fに陣取った新ユニット「MVMNT(ムーブメント)」。
エモーショナルな社会と文化の創造をミッションに、アーティストやクリエイターとともに未知のムーブメント(新たな伝説)を生み出すことを目指すユニットです。

この日は、ムーブメントを今まさに一緒に生み出そうとしているクリエーターらが集い、夜遅くまで語らう姿がありました。

XR、ミラーワールドなど、アートコレクティブと生み出したアイデアや作品群

この世からときめきを救うための実験プロジェクト。雑誌、テレビ、長文、割り箸、恋...… ときめかないものが、世の中にはいっぱい。

パーティーが終われば、次の年がはじまる

2022年は、ロフトワークで二つの新しいユニットが誕生すると共に、ざわざわと蠢くような賑やかさとエネルギーが顕在化しはじめた年でもありました。今回、YEPで目にしていただいたのは、各チームの特徴と目指すところを表すプロジェクトではあるものの、これらは氷山の一角に過ぎません。
ユニットが今後さらに増えることにより、あるときはデザインの領域で、またあるときは、活気あるコミュニティづくりや継続的なビジネスエコシステムの構築に携わることで、社会の当たり前を問い直し未来の可能性をかたちにしていきたいと考えています。

今回、YUURI MIKAMI FESIGN OFFICEに手がけていただいたYEPのKey visualのように、2022年に動き出した熱量を2023年にさらに加速できるよう、さまざまな取り組みをしていきたいと思っています。

「胎動 – fetal movement」 Key visual
制作:YUURI MIKAMI FESIGN OFFICE

膨張し、動き出すエネルギー

「胎動」というテーマに合わせて、蓄積されたエネルギーが地下、あるいは水面下でゆっくりと、大きなうねりとなって動き出すようなイメージです。
多種多様な生命エネルギーのぶつかり合いを色彩によって表現しつつ、うねりや動きを、モアレが動いてみる視覚効果によって表現しました。また、ビジュアルの四辺をフレーミングすることによって「まだ外に出てきていないもの(枠に収まっているもの)」が「出てこようとしている(フレームが膨張している)」さまをあらわしています。

YEPプレイリスト(ロフトワーカーが「胎動」をテーマに曲を選びました)

宮崎 真衣

Author宮崎 真衣(Public Relations/広報)

広報の理論と実践を「Mie Institute of Communication」で学んだ後、アートやIT業界で広報やオンラインコミュニティの企画・運営を経験し、2022年にロフトワークに入社。
仕事で培ったコミュニケーションを、組織だけではなく暮らしや地域に還元していくために、cooperative(協同組合)やcollective(拘束力を持たない緩やかなネットワーク)に参画しながら学びを深めている。大切にしていることは、つながる(まち歩き)・つくる(保存食)・はぐくむ(繕う)。気候変動への関心から、できるだけ環境負荷の少ない暮らしを目指している。

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